「守り人」シリーズの魅力とは。『精霊の守り人』や新刊のあらすじもネタバレ

更新:2019.3.3

上橋菜穂子による異世界ファンタジー小説「守り人」シリーズ。幅広い年齢層から愛される作品であると同時に、アニメやドラマなどのさまざまなジャンルに展開され話題となりました。この記事では、「守り人」シリーズにおける世界観や、作品の魅力を解説。また代表作『精霊の守り人』や、最新刊の『風と行く者』についても紹介していきます。

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「守り人」シリーズとは。概要を簡単に紹介

 

作者の上橋菜穂子は、東京都出身の作家、文化人類学者です。「守り人」シリーズを代表とするさまざまな作品を執筆し、同シリーズでは複数の賞を受賞。自身も2014年に「国際アンデルセン賞作家賞」を受賞しています。

「守り人」シリーズは、女用心棒バルサと皇太子チャグムの成長を描いた長編小説のほかに、バルサの少女時代が描かれた中・短編集も発表されています。なかでも『精霊の守り人』から始まるメインストーリーは全10巻が刊行されました。タイトルに「守り人」とつくものはバルサが主人公、「旅人」とつくものはチャグムが主人公の物語として分けられています。

さらに本シリーズは、1巻ごとに完結する構成になっているため、どこから読み始めても違和感なく楽しめるのも魅力のひとつでしょう。

また「守り人」シリーズは、2006年にラジオドラマ化され、その後アニメ化、漫画化を経て、2016年にテレビドラマ化。お茶の間で多くの話題を呼んだ作品となりました。児童文学でありながら、年齢や性別を問わず惹きつけられる作風が特徴です。
 

ちなみに本シリーズの世界観は、上橋の中央アジアでの生活と民族の見聞から影響を受けているそうです。

 

「守り人」シリーズの魅力1:世界観

「守り人」シリーズには、目に見える人間の世界「サグ」と、目に見えない精霊の世界「ナユグ」が存在しています。2つの世界は同じ時、同じ場所に重なって存在する、平行世界のような関係性です。

「サグ」に住んでいる普通の人には「ナユグ」の世界を見ることはできず、ましてや「ナユグ」の生き物と会話することもできません。ただし呪術師は、呪術によって「ナユグ」の世界と接触することが可能なのです。

呪術師のほかにも、まれに呪術を用いなくても「ナユグ」を見ることができる人間(子ども)も存在しています。また、まれに「サグ」と「ナユグ」が交わる場所があります。

本来は接触するはずのない2つの世界が重なることで、異界からのメッセージを受け取る不思議な現象を体験できる面白さが、本シリーズの魅力のひとつだといえるでしょう。

ほかにも「守り人」シリーズには、「新ヨゴ皇国」「カンバル王国」「サンガル王国」「ロタ王国」と、主に4つの国が登場します。国によって言語は異なり、宗教も違います。ファンタジーの世界でありながらも、現実世界と似た環境だからこそ、親近感を覚えることができるのです。

「守り人」シリーズの魅力2:大人も子どもも楽しめる児童文学

児童文学作品は、一般的に子どもが主人公です。しかし「守り人」シリーズにおける主人公バルサは、物語の開始時から30歳の女性という大人の姿で描かれています。

そのほか10歳の皇子チャグム、バルサより2つ年下の呪術師タンダ、年齢不詳のトロガイなど、さまざまな年齢や性別の登場人物が現れるのも特徴です。だからこそ「守り人」シリーズには、年齢や性別を問わずたくさんのファンがいるのでしょう。

登場人物はみなそれぞれに自分の人生を生き、どれだけ過酷な運命が立ち塞がろうとも真っすぐ受け止め、自身のなかで消化していきます。たとえ気丈に振る舞っていても、心のなかで葛藤や迷いが生まれている姿に、読者も勇気づけられます。

「守り人」シリーズでまず読むならコレ!『精霊の守り人』のあらすじをネタバレ紹介

著者
上橋 菜穂子
出版日
1996-07-11

どの巻からでも読むことができる本シリーズですが、初めて手に取る人は巻数の多さに圧倒されてしまうかもしれません。その場合、まずは物語の始まりである『精霊の守り人』から読むことをおすすめします。世界観や登場人物たちの関係性を知ることができるでしょう。

では『精霊の守り人』のあらすじを簡単に紹介します。

 


 

短槍使いであり用心棒を職業とする女バルサは、ある日、川に流されていた少年を助けます。少年の正体は新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムで、異世界「ナユグ」に暮らす水の精霊ニュンガ・ロ・イムの卵を宿していました。

かつて新ヨゴ皇国の建国の際に、ニュンガ・ロ・イムは退治されたといわれています。チャグムの父帝は、国の威信のために、卵を宿したチャグムを暗殺しようと動いていました。さらに、ニュンガ・ロ・イムの卵を食らう「ナユグ」の怪物ラルンガからも、命を狙われているのです。

チャグムの母であるニノ妃から、彼を連れて逃げるよう依頼されたバルサは、卵がチャグムの体を離れるまで幼馴染や師匠とともに暮らすことにしました。

「守り人」シリーズの最新刊『風と行く者』のあらすじをネタバレ紹介

著者
上橋菜穂子
出版日
2018-11-19

本編が完結して以降、11年ぶりとなる「守り人」シリーズの外伝『風と行く者』。シリーズのなかでも最大の長編とされています。

作者の上橋自身、かなり以前から書き始めていた作品でありながらも、途中で執筆が止まっていたとのこと。数年の時を経て完成し、バルサたちの新たな物語を読むことができることは、ファンにとっても喜びひとしおです。今作をきっかけに、「守り人」シリーズを読んでみようと考えている方も多いでしょう。

では『風と行く者』のあらすじを簡単に紹介します。

 


 

ある日バルサは、連れ合いのタンダとともに草市を訪れました。そこで、かつて護衛をしたことのある風の楽人サダン・タラムたちと再会します。サダン・タラムの頭(かしら)は、流水琴シャタを奏でることで異界への道を開くことのできる力をもっていました。しかしある事情から命を狙われており、彼らはバルサにふたたび護衛を依頼するのです。

途中バルサは、頭が養父ジグロの実娘かもしれないと知ります。複雑な心境を抱えながらも彼女を守り、歴史に隠された秘密を抱えるロタ王国へと向かうのです。

「守り人」シリーズを読むなら『増補改訂版「守り人」のすべて』もおすすめ

著者
上橋 菜穂子
出版日
2016-12-14

「守り人」シリーズの世界観や、登場人物の日常を知るためにも、重宝できるガイドブックです。

そのほか作者の上橋菜穂子の著作一覧をはじめ、対談や書き下ろしの短編小説も収録。さらに増補改訂版にはバルサの旅の日々を描いた短編小説に加え、ドラマ版「精霊の守り人」の美術担当者との対談も追加収録されている豪華っぷり。

すでに「守り人」シリーズに親しんでいる人も、これから読み始める人にも、欠かせない内容となっています。

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