日本だけでなく海外での人気も高い漫画『ONE PIECE』。海賊王になるため、主人公モンキー・D・ルフィが仲間たちと「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を目指して冒険をくり広げます。しかし、そんな海賊達を取り締まり、海の秩序を保つ組織である海軍も黙っていません。ここでは、その海軍のなかでトップの座に君臨する、「赤犬」ことサカズキの魅力に迫ります。 彼の圧倒的な力を感じてみてください。
※2018年現在のデータです
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-06-01
菅原文太をモデルにしたキャラクターで、口調も広島弁。ちなみに、誕生日も同じ設定です。マグマを自在に操れる「マグマグの実」の能力者で、信条である徹底的な正義を貫くためなら犠牲も止むを得ないという思想の持ち主です。
その強さや冷酷さも衝撃的。マリンフォード編では、世界最強の海賊と言われる白ひげの顔半分を焼きつけるシーンがありましたが、過激すぎたためかアニメ版では腹部の一部に変わっていた程です。
この時点では黄猿、青キジとともに海軍大将を務めてましたが、後に海軍のトップである元帥の座に就きます。
圧倒的な強さと海軍のトップという立場から、彼がラスボスなのではないかと言われているほどです。
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「ワンピース」史上最大の出来事であり、激しい戦いがくり広げられた頂上戦争。
海軍本部の上層部、世界最強の海賊団と言われる白ひげ海賊団、世界政府公認の7人の海賊王下七武海、そして主人公のルフィ、彼の義兄弟のエースなど10万を超える人間が集結したこの戦争は、衝撃の結末を迎えます。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-08-04
マリンフォード編では、海賊王ゴール・D・ロジャーの息子でルフィの義兄弟、白ひげ海賊団2番隊隊長でもあるエースの公開処刑が、海軍によりおこなわれます。目的は海賊王の血縁を絶つため、さらにはエースを助けに来るであろう白ひげ海賊団の壊滅です。
そのために、海軍本部のマリンフォードには中将や大将、元帥、海兵などが10万人体制で待ち受けます。そして予想通り、白ひげ海賊団が現れるのです。さらに処刑情報を聞いたルフィが、インペルダウン刑務所から脱獄者達を引き連れ到着します。
そのなかには、過去にアラバスタ編で戦ったクロコダイルの顔もありました。戦いが始まり、エースを救出しようと、一斉に処刑台へ向かいます。海兵も海賊も続々と倒れていくなか、最前線に立って動き出そうとする白ひげ。しかし、その時、刀が彼の体を突き抜けてしまうのです。
刺したのは、仲間である大渦蜘蛛海賊団のスクア―ド。なんと赤犬は事前に彼に嘘を吹き込み、不意打ちを仕向けたのです。動揺する白ひげ海賊団に、赤犬は拳の形をしたマグマ・流星火山を浴びせます。
そんななかでボロボロになりながらも、海賊や脱獄者たちの助けを借りて、ルフィはエースを救出するのです。しかし、またしても赤犬が現れてエースを煽ります。
“白ひげ”は所詮…先の時代の“敗北者”じゃけェ…!!!
終いにゃあ口車に乗った息子と言う名のバカに刺され…!!
それらを守る為に死ぬ!!!
実に空虚な人生じゃありゃあせんか?
(ともに『ONE PIECE』59巻より引用)
白ひげを侮辱されたエースは挑発に乗ってしまい、戦いになります。しかし赤犬には敵わず、ルフィの前で倒れ……。目の前で義兄を殺されたルフィは、心と体に大きな傷を負うのです。海兵、海賊ともに多くの犠牲者が出てしまった、この戦争。赤犬に戦争を止めるよう進言したのは、海兵のコビーでした。
しかし「正しくもない兵は海軍にゃいらん」と、彼までも殺そうとするのです。これには、さすがにやりすぎではないかと声が上がりました。
頂上戦争が終わった後、海軍のトップである元帥を務めていたセンゴクが、その座を明け渡します。彼は、頂上戦争でエースと白ひげ、その他大勢を倒して貢献した赤犬を、自らの後任に指名しました。
しかし、同じく大将で、赤犬と対立していた青キジが反対したため、決闘でその座を争うこととなったのです。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
海軍のなかで1、2を争う腕を持つ実力者同士の決闘は、なぜか漫画には描かれていません。2人の戦闘シーンが見られないのは非常に残念ですが、魚人島編の話のなかで、魚人で元王下七武海のジンベエが麦わらの一味に教えてくれたことから判明します。
パンクハザードでおこなわれた決闘は激しく、なんと10日間にもおよびました。天候を変えてしまう程の戦いは、赤犬の勝利で終わります。冷酷な彼も、さすがに命を奪う事はありませんでしたが、青キジは左足を失う程の大怪我を負いました。
もちろん赤犬も無事で済むはずがなく、お互いに大きな傷跡を残します。その後、赤犬は元帥の座につき、青キジは海軍を去ったのでした。
赤犬は、マグマグの実という能力を使うことが出来ます。マグマを自在に操り、ありとあらゆる物を焼き尽くしてしまうのです。雨のようにマグマを降らせたり、地中を移動させながらの攻撃も可能。
この能力が最強だと言う人も多い、かなり危険な能力です。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-06-01
実は赤犬が使うマグマグの実と似た能力が、もう1つ存在します。それは頂上戦争で彼に殺されたエースが使っていた、メラメラの実です。メラメラの実は炎を身にまとい、火炎攻撃をくり出します。しかし、頂上戦争では赤犬にまったく歯が立たず、殺されてしまったのです。
この能力の差を、物語のなかで赤犬自身が説明しているシーンがあります。
お前はただの〝火〟
わしは〝火〟を焼き尽くす〝マグマ〟じゃ!!
わしと貴様の能力は完全に上下関係にある!!!
(『ONE PIECE』58巻より引用)
つまり似た能力のなかにも、上位互換があるという事なのです。エースもかなりの実力者ではありますが、それをまったく寄せつけない赤犬の能力と強さを見ると、マグマグの実が最強説もあながち間違いとは言えないかもしれません。
海軍として海賊を含めた悪を許さず、正義のためなら仲間の犠牲もためらわない、行き過ぎともいえる赤犬の生き方。しかし、そんな姿に魅力を感じる人も多いのです。
ここでは、そんな赤犬だからこそ言える名言を紹介します。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2011-11-04
やるんなら徹底的にだ…!!!
(中略)悪は可能性から根絶やしにせねばならん!!!
(『ONE PIECE』64巻より引用)
エニエス・ロビー編の回想シーンで出てきた言葉。まだ中将だった赤犬が、オハラという島で、政府の敵になる可能性がある考古学者と一般市民が乗る船を攻撃します。この頃から、悪に対して異常なほどの嫌悪感を抱いていることがわかるシーンです。
罪のない一般人を巻き込んで攻撃した赤犬に対して、青キジは不快感をあらわにします。これが、後に対立する一因になりました。
海賊という"悪"を許すな!!!
(『ONE PIECE』59巻より引用)
マリンフォード編で、頂上戦争のなかで叫んだセリフ。エース、白ひげが死んでも、赤犬は次々と海賊達を仕留めていきます。悪は根絶させるという、彼の信条を表しているシーンです。
この後、戦争を止めようとした部下のコビーをも殺そうとします。この一連の出来事を見ていた海軍のスモーカー大佐、たしぎ少尉は、彼に不信感を抱くようになりました。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2010-03-04
本当に家族を思うちょるんなら"生き恥"をさらすな……!!!
(『ONE PIECE』57巻より引用)
マリンフォード編で、頂上戦争の時に戦場から逃げ出そうとする部下が「死ぬ事が恐くなった。家族を思うと、足が竦むんです」と言います。すると赤犬はこのセリフを言いながら、部下を殺してしまいます。
確かに軍人である以上、逃げ出すという行為は許されません。だからといって、厳しすぎる気もします。しかし、これこそが赤犬の言う、徹底的な正義なのでしょう。
この3つのセリフだけで、彼の性格がよくわかります。これほど悪を憎み、正義に固執するには、過去によほどの出来事があったのでしょう。しかし物語のなかでは、未だ語られていません。
「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を目指す海賊達にとって、赤犬が元帥となった海軍は、今まで以上に脅威の存在となった事は間違いないでしょう。
物語の設定上、赤犬は主人公である麦わらの一味を含めた海賊達を潰す立場にあります。そのなかで、人気キャラクターであったエースや白ひげを殺したことで嫌う人も多いと思います。しかし視点を変えれば、海の秩序を守る海軍という巨大組織のトップとしては、悪を憎む心や、味方を犠牲にしてでも敵を根絶させる位の精神が無ければ務まりません。
そう考えると、赤犬はとても魅力的な男なのではないでしょうか。
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