漫画にも、国語の教科書にだってあんまり興味が湧かない私だった。祖父と姉が本好きで、本屋の何が面白いのか、学校での10分間の読書週間にも嫌気がさすくらい活字は苦手だったのに。
高校2年の夏、そんな私が珍しくリビングで小説を読んでいたら「お前も小説読むんだなぁ」と父に感心されたものだ。その小説を読み始めたきっかけというのは、当時つき合っていたボーイフレンドが図書館司書になりたいと常々口にしていて、図書館の素晴らしさについてあれこれ話してくれたことである。
偶然にも高校の隣は道立図書館で、小説に夢中になってからは毎日のように図書館に行っていた。古本の匂いも新しいインクの匂いも苦手だったのになと今では思う。そんなわけで、今回選んだ本は、“私でも読めた本”を紹介していこうと思う。
大人になって小説が苦手というのもなんだか格好わるいし、想像力が足らない現代社会を生き抜くには逃避する脳内世界も必要だろう。時折登場人物と自分を重ねてみたり、色も形も匂いも、言葉から受けて生み出す想像がすべて、自分だけのものになるってのが最高に面白いのだ。それらはきっと、あなたを豊かにしてくれる。
私でも読めた本なのだから、ほんの少しの興味で読み始めることができると思う。つまらなかったらやめていい。気に入ったものを見つけておくれ。
それでは、私が高校時代や大学時代に読んだものたちを順々に。
これらは私の青春の一部であり、はからずも私自身の一部にもなっているであろうものたち。
恋愛って繊細なもの
- 著者
- 村山 由佳
- 出版日
- 1999-06-18
これがきっかけの、初めて黙々と読み続けた小説である。読み切れるか想像もつかないシリーズ物なのだけど、難なく毎日読み続けられた。これは恋愛もので、主人公は男の子。
こんなの現実にありっこない!な感じも一人で浸れるからこそ続きが気になるものだ。コーヒーってのも、高校生の私にはまだ美味しいと思って飲めるものではなかったから喫茶店でバイトするのにも憧れたし、美術教師ってのも保健室の先生より響きがいいもんだ(笑)。
恋愛って繊細なものだなぁと、しみじみ感じた小説。
「なんてこったおそるべし」な一冊
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
王道なのは読まないと!と、なったわけではなく、当時つき合っていた人の大好きな本であったので読んでみようと手に取ったもの。
村上春樹の作品は読みやすいとも聞くし、描写が分かりやすくて女性はだいたい年齢相応な健康体型美人だし、服も洒落ているから私はとっても好き。
あと、しゃべり癖が面白くてよく真似していた。
そんなことよりこの本、当時18歳の私には非常に重たくて下巻ではもう落ち込み放題だった。入り込みすぎたら鬱になりかねない。読み直してみたくもなるけど立ち直れないと困るのでまだ封印している。メンタルが鍛えられる「なんてこったおそるべし」な一冊。