年間で何百、何千と出版されている絵本。玉石金剛で、何を選べばよいのか迷ってしまうことはありませんか?そんな時は、長年愛されているベストセラーの絵本がおすすめ。この記事では、累計発行部数100万部以上のものを厳選してご紹介します。これを選んでおけば間違いない、というものばかり。大人の方も懐かしい作品に出会えるかもしれません。ぜひチェックしてみてください。
「あかちゃんの本」シリーズの一冊、『いないいないばあ』。赤ちゃんとのコミュニケーションに悩む大人の不安を解消するために生まれました。
「いないいないばあ」と語りかけることで、大人も赤ちゃんも笑顔になり、一緒に楽しむことができます。
- 著者
- 松谷 みよ子
- 出版日
- 1967-04-15
本書は1967年に出版され、2016年には累計発行部数600万部を超えたベストセラーの絵本です。読者からの口コミで広まり、長い年月を経てもなお支持されています。
文を児童文学作家の松谷みよ子、絵を画家で版画家の瀬川康男が担当。ぱっちりとした目のにゃあにゃ(ねこ)、くまさん、ネズミさんなどたくさんの動物が登場します。瀬川の描く優しくてかわいらしいタッチのキャラクターが、ページをめくるのに合わせて「いないいないばあ」を披露してくれるのです。また言葉のリズムも楽しく、何度も赤ちゃんを笑顔にしてくれることでしょう。
さらに『いないいないばあ』は、お父さんにもおすすめの絵本なんです。普段は気恥ずかしさもあり、なかなか赤ちゃんとコミュニケーションをとることができない人も多いのではないでしょうか。しかしコミュニケーションは決して難しく考える必要はなく、親子で心の交流をし、信頼を深めあうことが大切。本書をきっかけに、赤ちゃんと楽しく触れ合うことができるでしょう。
主人公のねこは、ある時は国王のねこ、またある時は船乗りのねこ、そのまたある時は手品師のねことなり、100万回生まれ変わって死んでいきました。100万人の飼い主は皆、ねこの死をとても悲しみましたが、ねこは飼い主のことが大嫌いだったので、まったく悲しむことはありませんでした。
ある時彼は、誰のものでもない野良猫になります。これまで自分が100万回生きて死んだことを自慢げに話し、それを聞いたメスのねこたちも、友達や恋人になりたいとプレゼントを持ってきます。ところが、ある1匹の白ねこだけは、見向きもしません。
ねこはしだいに白ねこへ惹かれていき、ついにはプロポーズ。これを受け入れた白ねこは子ねこをたくさん産み、年を重ねて、最後には寿命をまっとうし死んでいきます。100万回生きたねこは、初めて心から悲しみ、100万回泣きました。そしてとうとう、白ねこのそばで動かなくなったのです。
- 著者
- 佐野 洋子
- 出版日
- 1977-10-19
佐野洋子が手掛けた『100万回生きたねこ』は、1977年に出版。2013年には累計発行部数200万部を突破しました。特に大人からの支持が多く、「絵本の名作」といわれています。
何度も輪廻転生をくり返しながら、誰も愛することのなかった1匹のねこが、初めて本当の愛を知ることができた物語。挿絵は水彩画の繊細で優しいタッチで、ねこの出会いと別れをより美しく彩っています。彼がさまざまな飼い主のもとで生活する様子も楽しめるでしょう。
5歳のみいちゃんはママに頼まれて、生まれたばかりの赤ちゃんの牛乳を買いに、おつかいへ出掛けます。向かう先は坂の上のお店。道中では自転車がそばを通るたびにドキドキし、さらには途中で転んでしまい……。
ようやくお店に辿り着いて、大きな声で呼び掛けました。しかし自動車の音でかき消されてしまいます。諦めずにもう1度大きな声で呼び掛けると、お店の奥からおばさんが現れました。
無事に牛乳を買うことができたみいちゃん。坂の下では赤ちゃんを抱いたママが、みいちゃんの帰りを待っています。
- 著者
- 筒井 頼子
- 出版日
- 1977-04-01
文を筒井頼子、絵を林明子が担当した『はじめてのおつかい』。1977年に出版され、2018年には累計発行部数231万部のダブルミリオンセラーを達成しました。
誰もが幼い頃に体験する初めてのおつかい。ひとりで出掛けて帰るまでの子どもの心境を、みいちゃんを通じて丁寧に表現しています。
みいちゃんがお店に向かうまでの道のりは、絵を追いかけるとすべて繋がっているのが特徴です。みいちゃんの気持ちになって、一緒に初めてのおつかいを体験できます。
すぐに対応できなかったお店のおばさんが、みいちゃんの存在に気付いたあとはしっかりと向き合う様子や、坂の下でみいちゃんの帰りを待つママなど、子どもを見守る大人の姿も描いていて、優しい気持ちになれる作品でしょう。
「こんなじかんに おきてるのは だれだ?」(『ねないこだれだ』から引用)
時計の針が夜の9時を指すと、おばけの時間が始まります。夜遅くまで起きている子どもは、おばけがさらいに来て、空の彼方まで連れて行ってしまうのです。
- 著者
- せな けいこ
- 出版日
- 1969-11-20
『ねないこだれだ』は、絵本作家のせなけいこによる作品です。1969年に出版され、2015年には累計発行部数200万部を超えています。
挿絵はすべてちぎり絵で制作され、不気味ながらも愛嬌があるおばけが印象的。作者自身も、本書はしつけのための絵本ではなく、「(自分の)息子が友達になれるおばけ」をコンセプトに生み出したと述べています。
ちょっと怖いけれど会ってみたい、という子どもの豊かな感情に刺激を与えてくれる作品です。
双子の野ネズミ「ぐり」と「ぐら」は、料理をすることと食べることが大好き。今日も森の中を歩き、どんぐりや栗を拾っていると、途中で大きなたまごが落ちているのを見つけます。
たまごはあまりにも大きくて、2匹で運ぶことは難しかったため、外でカステラを作ることにしました。いいにおいは森中に広がり、動物たちが集まってきます。そうしてできあがった大きなカステラを、皆で分け合っておいしく食べるのです。
ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集)
1967年01月20日
『ぐりとぐら』は児童文学作家の中川李枝子と、絵本作家の山脇百合子という姉妹によって生み出されました。2人は『ぐりとぐら』を発表する以前に、短編連作童話集『いやいやえん』で名声を確立。本書は、1963年に発行された「こどものとも」に掲載され、たちまち話題となりました。
シリーズとなり続編を次々と発表しながら、その1作目となる本書は2015年に累計発行部数400万部を突破。10言語以上に翻訳され、世代を超え、国境も超えて愛されています。
背景を簡略化させることで、ぐりとぐらの動きに注目できるよう工夫がされているのが特徴。また2匹が登場する時に歌う「自己紹介の歌」には決まったメロディがついていないので、読者が自由に読んで楽しめるようになっています。
「おりょうりすること」と「たべること」が好きな双子の野ネズミが、森の中で大きなたまごを見つけ、大きなカステラを作って動物たちと分け合う様子が印象的。残ったたまごの殻は車にするなど、最後まで遊び心も満載です。