複雑な気持ちや愛情が交錯し、胸が熱くなる
親子の絆の物語、ざっくりとこの本を紹介するなら誰もが、そう言うのではないかと思います。この本に出会ったきっかけは、当時のマネージャーさんが東野圭吾さんの大ファンで、読書が好きな私にプレゼントしてくださったのです。単行本なのにも関わらず「タイトルが難しくてかっこいい」という理由だけで学校に持って行っていた覚えがあります。
いざ読んでみると、複雑な気持ちや愛情、思いが交錯してこちらまで胸が熱くなるような気がしました。家族を守りたい、家族と一緒にいたい、と思うのは当たり前のことかもしれませんが、家族だから絆や愛情が芽生えるのか、絆や愛情がなければ家族ではないのか、なんのための親子なのか……もう一度そんな当たり前のようで見えないものに目を向けたくなる小説です。
どことなく感じる青春の匂い
当時、「ドラマの原作本」という響きに魅力を感じていた私。たまにはミステリー以外の本も読もうと思い、書店を見ていたとき「確かこんなドラマやっていたな……」と思い手に取った一冊でした。ミステリーじゃなきゃ満足できないとでもいうかのように、ミステリーやホラーばかり読んでいた私にとって、こんな心が温まる本もあるんだなー、と新しい発見ができたような気がしました。
その名の通り、フリーターが家を買うために頑張るという本なのですが、誰かのために本気になる!という主人公の泥臭さが、この本のどことなく感じる青春の匂いの理由かなと感じます。そして、きっと誰もが親近感を覚えたり、心の拠り所になったりできる物語です。主人公も頑張れたんだから自分もきっと頑張れる!と勇気づけられ、元気づけてもらえるような一冊です。
主人公に宛てた母の言葉
この本は最初、携帯のアプリで読んだ覚えがあります。後に映画化され大ヒットをおさめましたが、4年前に「LINE」の連載小説として配信されていました。そこでとても興味を持った私は本を読んでみることにしました。まず、この小説はどんな物語なんだと、良い意味でびっくりしました。コメディのような要素もあり、シリアスな部分もあるのに、どうしてこんなに心を動かされ、切なく感動するのかと。なにより、主人公に宛てた母の言葉は心にちくりと何かが刺さった気持ちでした。世の中のお母さん達の思っていること、伝えたいことが、この中に詰まっているような気がしました。「これって本当?」と、いつか私の母に聞いてみたいような、照れ臭くて結局聞けないまま、私もその気持ちが分かるようになるのかな……などと一人で考えていたことを思い出します。