海賊王になるため、主人公のモンキー・D・ルフィと麦わらの一味と呼ばれる仲間たちが「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を目指します。ここでは漫画ONE PIECE』で麦わらの一味のメンバーであるウソップの魅力を掘り下げていきます。
※2018年時点のデータです。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 1998-10-01
麦わらの一味に、3番目の仲間として加わわりました。
長く伸びた鼻に首に掛けているゴーグル、モジャモジャの髪型に帽子がトレードマークです。性格はとても明るく優しいですが、実は異常なほどネガティブで敵と戦う場面では逃げる事を一番に考え、争いを避けたがる臆病者です。
しかし仲間思いな一面もあり、危険が迫った時はビビりながらも勇敢に戦うかっこいい所もあります。名前のとおり、嘘をつく事が多いですがあからさますぎる嘘なので、すぐにバレてしまいます。
父親も海賊で、赤髪海賊団の狙撃手を務めるヤソップという男。その血を引くウソップも、麦わらの一味での役割は狙撃手となっています。
ルフィとナミ、ゾロは小さな村に立寄ることになり、その村で「海賊が来た」と毎日嘘をついて回るウソップと出会います。海賊の父を誇りに思い海の戦士に憧れているウソップとルフィたちは、すぐに意気投合しました。
ウソップとルフィたちが出会う回では、彼が嘘をつくようになった理由が明らかになります。
彼は子供の頃に、母親を病気で亡くしていました。父親のヤソップが海に出ている間に体を壊し、日々弱っていく母を少しでも元気づけようと「海賊が来た、帰って来た」と嘘をつくようになったのでした。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 1998-08-04
そんな彼には、もう1つ日課にしていることがありました。それは、体が弱く外に出れないお嬢様・カヤに、架空の冒険話を聞かせて元気づけるというものでした。
しかし彼女の住む屋敷には、それを快く思わない執事・クラハドールがいました。カヤや村人にも慕われていましたが、その正体はクロネコ海賊団の船長・クロでした。財閥の娘であるカヤを殺し、財産を奪う目的で執事となり、近づいていたのです。
それを知ったウソップは、計画を止めようと村中に言って回りますが、村人はいつもの嘘だと思い、誰も信じてくれません。さらには、クラハドールを信頼しているカヤにも突き放されてしまいます。
誰にも信じてもらえないウソップは、嘘つきとしての筋を通すため、クロネコ海賊団を倒してこの一件を全部嘘にすることを決意しました。
するとルフィたちは、不器用でお人好しな彼を気に入り、力を貸してくれることに。彼らの協力により、クロネコ海賊団を叩き潰し、村を守ることができました。
見ず知らずの自分を助けてくれたルフィたちの姿を見て、自分も本物の海賊になるため海にでることを決意した彼は、ウソップ海賊団を解散し1人で出航するつもりでした。
しかしルフィから仲間だといわれ、麦わらの一味となったのでした。
麦わらの一味については<漫画「ワンピース」麦わら海賊団メンバー一覧!ついにジンベエが加入!?>で紹介しています。あわせてご覧ください。
実は「ワンピース」のストーリーの中で、ウソップが1度麦わらの一味を脱退するシーンがあります。自分たちの海賊船であるゴーイング・メリー号に対する思いのすれ違いで、ルフィと本気の決闘までした時のことです。
始まりは、ウォーターセブン編で麦わらの一味の海賊船ゴーイング・メリー号の修理を船大工に依頼するところから。船大工の答えは、直せる状態ではなく限界だと言われます。ルフィは、船長として船を乗り換えることを決意し、みんなに伝えます。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2004-11-04
しかしメリー号は、カヤを助けたときにお礼として貰ったものであり、愛着のあるウソップは猛反対。
ルフィが意思を変えるつもりがないことを伝えると、ウソップは船をおり、決闘しろと言いだします。もちろんルフィに勝てるはずもなく、大敗。こうしてウソップは一味を離脱することになります。
その一件が終わり麦わらの一味は、後の仲間となるニコ・ロビンを助けるために、エニエスロビーという島に向かっていきます。一味を抜けたウソップでしたが、彼女を助けたい気持ちは変わらず持っていたので、仮面を被り「そげキング」という別人になり麦わらの一味とともに戦います(ルフィとチョッパー以外はウソップだと分かっています)。
無事ロビンを助けウォーターセブンに戻り、新しい海賊船・サウザンドサニー号に乗り船出の準備をします。ルフィやナミは、ウソップを迎えに行こうとしましたが、ゾロは止めました。対決に敗けて抜けたからには、簡単に戻してはいけないという彼の意見に従い、ウソップが謝罪しなければ船には乗せないと決意します。
最初は素直になれずにいましたが、仲間が好きで離れたくないウソップは泣きながら謝ります。ルフィも泣きながら迎え入れ、麦わらの一味に再加入を果たしました。
最期には素直に謝るウソップと、それをずっと待っていたルフィと見守る仲間たち。麦わらの一味の絆の深さが分かる場面です。
能力を持つわけでも、高い戦闘力を持つわけでもなく、ナミ、チョッパーと並んで自らを「弱小トリオ」と言うウソップ。
しかし、いつまでも弱いままでいたくないと思い、新世界編の中で出会ったヘラクレスンという勇者に修行をしてもらい、新技を身に付けます。そして、ドレスローザ編ではゴッド・ウソップと呼ばれるまでの存在になります。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2014-06-04
「偉大なる航路」後半の海域である新世界、その中にあるドレスローザ王国でのエピソード。王下七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴが国王になっている国に、ルフィ達はドフラミンゴを倒すべく乗り込んでいきます。
ウソップはロビンと行動している途中で、ドレスローザで暮らす小人達に捕まってしまいます。彼らがモンブラン・ノーランドという人物を崇拝している事を知ったウソップは、自分がノーランドの子孫だと嘘をつきました。そのため、ドフラミンゴの部下で触った相手をおもちゃに変えるホビホビの実の能力者・シュガーと戦う羽目に。
皆でシュガーの所に乗り込みますが、小人たちをおもちゃにされてしまい怖くなったウソップは、逃げ出してしまいます。しかし、自分を信頼している彼らを裏切れず引き返し、ボロボロになりながらもシュガーを気絶させる事に成功し、おもちゃにされていた人達が元の姿に戻ります。
小人たちは、助けてくれたウソップをゴッドと呼び崇拝するのでした。
この一連の騒動がキッカケとなり、手配書の懸賞金がゴッド・ウソップ名義で2億ベリーに跳ね上がります。
信頼してくれる人を見捨てることができない、彼の人間性が感じられるエピソード。この件で、ウソップの名前はたくさんの人に知れ渡ることになりました。
物語の中でウソップはいろいろな嘘をつくことがあります。しかし、あからさまな嘘ばかりなので誰も本気にしません。このあたりがウソップが憎めないキャラクターである理由のひとつ。
しかし、物語が進むにつれて過去についた嘘が現実になっている事がいくつかあるんです。ここでは現実になった嘘を紹介します。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 1998-06-01
「驚いたのはあのフンのでかさと長さだ。
おれはてっきり大陸だと思って上陸しちまったのさ」
(『ONE PIECE』3巻より引用)
カヤをホラ話で楽しませ元気づけようとしている中でのセリフです。しかし、後のリトル・ガーデン編でルフィたちの前に突然巨大な金魚が現れます。
すると、巨人族のドリーとブロリーが「怪物金魚め。驚くのはこいつのデカさだけじゃない、 その辺の島を食い潰して出す こいつのフンのデカさと長さよ、確か何もない島という巨大なフン昔 大陸と間違えて上陸しちまったことを憶えている」(『ONE PIECE』15巻より引用)という話をしたため、ウソップの嘘が過去に現実になっていたことが判明しました。
「その時切り身にして小人の国へ運んだが
いまだに喰いきれてないらしい」
(『ONE PIECE』3巻より引用)
巨大金魚の話の続きでカヤが「その金魚はどうしたの?」と質問した答えとして言ったセリフです。しかし、ドレスローザ編でトンタッタ族という小人達が、巨大金魚を捕まえて食べている所をウソップ本人が目撃します。
「ケルベロスだ追い払えっ!!」
(『ONE PIECE』3巻より引用)
東の海編で、ウソップ海賊団の子分達との回想シーンの中で普通の犬を見つけて言ったセリフです。後にスリラーバーグ編で、外科医のホグバックによって改造されたケルベロスが登場。さらにスリラーバーグ編でも動物のゾンビとしてケルベロスが出てきます。
このように、軽い気持ちで言った嘘が後に実現しています。他にも、このようなウソップの嘘があり、これは伏線ともいえるかもしれませんので、今後も彼の発言をお見逃しなく。
また、ここで紹介した嘘は、人を傷つけるためでなく、カヤを元気にするためのもの。実際に口に出してはいませんが、カヤもウソップが言っている事が嘘だと分かっている節が東の海編に描かれています。ウソップの優しさを理解したうえで、楽しく聞いていたことが分かります。
ウソップのついたウソを一覧にした<漫画「ワンピース」ウソップのついたウソ一覧!>もおすすめです。
ウソップの攻撃は基本的に狙撃であり、パチンコ技を軸に進化するもの。種類は多く、「○○星」と付く必殺技が多いですが、新世界編で修行を受けてからはポップグリーンという植物を使った緑星という技が主軸になります。
魚人島編で使用した悪臭を出す緑星・ラフレシアや、海草を使う緑星・サルガッソなどがあります。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2014-12-27
遊び心のある技も多く、ハンマーで急所を殴る「ウソップハンマー」、痛そうな話を大声で聞かせて怯ませる「ウソップ呪文(スペル)」などがあり、新世界編で登場した数km離れた場所でも狙える巨大なパチンコ「黒カブト」というものも。また、ナミにも天気を利用し攻撃できる「天候棒(クリマ・タクト)」を作ってあげることもありました。
さらに、ドレスローザ編で一瞬だけルフィの気配が見えたシーンがあり、生物の心の声を聞く能力「見聞色の覇気」を使えるようになるかもしれない可能性を見せています。
今後、覇気を使いこなせるようになるのか楽しみです。仲間達を助けられるくらい強くなるため、いろいろな技を開発したり仲間の武器を作ったりする彼は、麦わらの一味に必要な存在だとあらためて感じられます。
漫画『ONE PIECE』には数多くの名言や名シーンがあります。その中から普段あまり頼りないウソップだからこそ響く名言、名シーンを紹介しましょう。
- 著者
- 尾田 栄一郎
- 出版日
- 2001-09-04
「どうしても戦いを避けちゃならねェ時がある。
仲間の夢を笑われた時だ!!」
(『ONE PIECE』20巻より引用)
アラバスタ編で、敵と戦っている時にルフィの夢を笑われ、ボロボロの体になりながら立ち上がり、敵に向かっていきます。そしてともに戦っているチョッパーに対して言ったセリフです。いつもなら敵から逃げる事を考えるウソップが仲間のために怒り、立ちあがる熱い心を見せた名シーンです。
「ルフィを信じろ」
(『ONE PIECE』39巻より引用)
ルフィと喧嘩をしているときでも、心から彼を信じているのがよく分かる名言。 エニエス・ロビー編で、自分を救おうとしてくれるルフィ達を信じるべきか悩んでいるロビンに言った言葉です。彼女の背中を押す、仲間思いの彼だからこそでた名言です。
「もう一度...!!!おれを仲間に入れてくれェ!!!!」
(『ONE PIECE』45巻より引用)
ウォーターセブン編でルフィとの喧嘩の末、麦わらの一味を脱退したウソップ。しかし本心では、後悔し戻りたいと思っていました。
はじめこそ強がっていましたが最後には謝罪し、このセリフを伝えて仲間に戻ります。ルフィもウソップが謝罪し帰ってくるのをずっと待っており、彼らの絆が感じ取れる名シーンでした
「辛ェ時に一緒にいてやんなきゃ・・・
仲間じゃねェだろォ~!!!」
(『ONE PIECE』60巻より引用)
頂上戦争編で、ルフィの義兄エースが殺された事を、遠く離れたボーイン列島で知ったウソップの言葉です。兄が殺され辛い思いをしているであろうルフィを思い泣きます。楽しい時ではなく、辛い時こそ仲間の存在が必要だと分かっている魂の叫びです。
「あいつにはおれ様の力が必要なんだ!!!」
(『ONE PIECE』61巻より引用)
頂上戦争でエースを殺されたルフィは、今より強くなるために修行をすることになりました。それを知ったウソップは、今までルフィは何もしなくてもいずれ海賊王になるだろうと思っていました。
しかし、頂上戦争の一件でルフィにも勝てない敵がいて、助けが必要なんだと分かり、このセリフを言うのです。この後、ウソップも修行を積み一回り成長します。
他にもまだまだありますが、仲間を大切に思っていることがわかる名言が多いのが彼の特徴です。臆病で、ときにズルく、いざというときはカッコいいウソップは、やはり魅力的な男です。
ここまでウソップの紹介をしてきましたが、魅力は伝わったでしょうか?確かにスマートなカッコよさを持ったキャラクターではありません。しかし、自分の弱さを隠さず曝け出せるのも魅力だと思います。そんなウソップに興味を持った人は漫画『ONE PIECE』をぜひ読んでみてください。
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