「週刊少年ジャンプ」で連載されていた人気漫画『NARUTO -ナルト-』のなかでも、最強のくノ一として登場する人物。ギャンブルで負け続けることから「伝説のカモ」と言われるなど破天荒な面が目立ちますが、その実は「伝説の三忍」であり、さらには五代目火影でもある凄まじい女性なのです。そんな肩書きをもつ彼女とは、いったいどういった人物なのでしょうか? 今回は「ナルト」界の強い女代表・綱手についてご紹介していきます!
作中屈指の巨乳キャラであり20代から30代の美女にしか見えませんが、その正体は齢50を過ぎる壮年の女性です。老化を嫌う彼女は、忍術を使用して若返り、若い見た目を保っているのでした。術を使用している限り、年を取らないのです。
しかし術が切れれば、肉体も本来の年齢に戻ります。チャクラが切れた際には、よぼよぼのおばあさんのような見た目になるよう。本編で手元や体のシワが描かれているシーンはありましたが、素顔は明かされはしませんでした。その姿を見た人物は、作中でも限られているのです。
付き人は、彼女の恋人でもあった加藤ダンの姪・シズネ。ペットは忍豚のトントンです。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2003-08-04
綱手は「伝説の三忍」の1人として、自来也、大蛇丸とともに、子供時代には三代目火影・ヒルゼンに師事していました。因みに自来也によると、子供時代の彼女の胸は「まな板」だったとか……。
そんな彼女は、医療忍術のスペシャリストです。戦闘では、医療忍術でも発揮されている精密なチャクラコントロールを使用。チャクラで肉体を強化し、怪力で攻撃する戦闘スタイルが特徴となっています。
美貌と実力を兼ね備えた綱手。実は、初代火影・千手柱間を祖父に持つ、千住一族の一員でもあります。賭け事が好き綱手の性格は、柱間譲りだとの声も。後に綱手自身も五代目火影に就任し、里の皆から慕われる存在に。
本作の映画版でも、里の危機に際し、どんな犠牲を払ってでも里を守るという強い決意を見せ、火影としての役割を果たす様子が描かれました。
本編では名前を「綱手」としか名乗っていませんが、スピンオフ漫画『ロック・リーの青春フルパワー忍伝』で登場する年賀状に「千手ツナデ様」と書かれていた事もあり、本名は「千手綱手」であると推測出来るでしょう。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2013-07-04
そんな彼女について気になるのが、「木遁」についてです。木遁の始祖である柱間の孫でありながら、彼女は医療忍者。木遁を使用する様子は1度たりとも描かれませんでした。第四次忍界大戦中、穢土転生で復活したうちはマダラからは、「木遁も使えない」「弱い千手」と言われる始末。
綱手が千手一族なのは間違いありませんが、木遁を受け継いでいないのは確かなようです。
そもそも木遁を扱える人物は、柱間を含めた限られた人数しかいなかったのでしょう。木遁は3種類の特性を合わせる事で発動する、特殊な血継限界です。同じ千手一族だからといって、必ずしも血継限界を受け継げるわけではないのでしょう。
事実、柱間の弟である二代目火影・扉間も、木遁を使用している描写は見受けられませんでした。この事から、木遁自体が忍の世界では特殊な忍術であると考えられるでしょう。
「伝説の三忍」の紅一点、医療忍者として活躍していた彼女。しかし、ある事がキッカケで、木ノ葉の里、そして医療からも遠ざかってしまうのです。
かつて彼女には、縄樹という弟がいました。火影を夢見る少年であった彼ですが、幼くして亡くなってしまいます。任務先での戦死でした。
さらに彼女は、結婚を考えるほど愛していた最愛の恋人・ダンも、戦争で失くしてしまうのです。しかもダンに至っては、彼女が懸命に医療忍術を施したのも虚しく、助けられずに目の前で看取る事になったのでした。
その後、彼女は医療忍者として表から姿を消します。そしてシズネを付き人に、里を離れて放浪の旅に出るのです。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2003-05-01
しかし、三代目火影・ヒルゼンが亡くなった事で、名実ともに戦歴と実力のある彼女に、火影就任の要請が舞い込んできます。それを知らせるために、ナルトと自来也は彼女を探しにいくのでした。
しかし、その頃、木ノ葉崩しの際に両腕を使えなくなった大蛇丸が、治療をしてもらおうと彼女に接触。治療の取引として「縄樹とダンを生き返らす」と持ち掛けられ、綱手は動揺します。
その晩、ナルトと自来也に火影就任の要請の知らせを受けた彼女は、「火影になろうとするやつなんてクソ」と一蹴。ナルトは、彼女に対し怒りを見せるのです。
しかし、綱手がそう言うのには理由があったのだと考えられます。実は縄樹もダンも、「火影になる」という夢を抱いていたのです。その2人が死んでしまった事から、「火影になる夢=呪い」だと彼女は認識していたのでしょう。
しかし、このナルトとの出会いで、彼女の考えは大きく変わっていくのでした。
大蛇丸から、「腕を治す代わりに、弟と恋人を生き返らす」と交渉を持ちかけられた綱手。結局、彼女は大蛇丸との取引には応じず、交渉は決裂しました。その事で、戦闘へと発展します。両腕を使えない大蛇丸は満足に忍術が使えないので、側近であるカブトが前衛として戦闘に参加するのです。
序盤は綱手が押しているようにも見えますが、長らく実戦がなかったことから苦戦を強いられます。さらにカブトは、彼女の弱点に漬け込むのです。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2003-11-04
かつて、戦場で重症を負ったダンに医療忍術を施した綱手。しかし、すでに手遅れの状態でした。その際に血まみれの彼と自分の手を目の当たりにした事で、彼女は血液恐怖症になっていたのです。
それを知っていたカブトは、彼女の前でわざと自らを傷付け、血を流します。それを見た綱手は震えが止まらなくなり、動く事が出来ない状態に。カブトは、そんな彼女に容赦なく攻撃するのです。
そこへ駆けつけた、ナルトと自来也。綱手を庇ったナルトが、カブトと戦います。実力の差があっても諦めずに、何度も立ち上がって挑む彼を見た綱手は、自身を奮い立たせ、この戦いの最中に血液恐怖症を克服。五代目火影になる決意をするのです。
そこから彼女は、本来の力を発揮。戦闘シーンでも持ち前の怪力を惜しみなく疲労し、攻撃をくり出します。「伝説の三忍」が介したこの戦闘シーンは、まさに迫力満点。彼女の本当の強さが描かれた名シーンとなりました。
彼女は医療忍術の実力に加えて、五体をフルに活用した怪力で戦います。精密なチャクラコントロールによって強化された拳は地面を叩き割り、踵を落せば、そこは真っ二つ。
この怪力をお見舞いされた相手は、タダでは済みません。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2012-02-03
そんな彼女の必殺技は、「忍法・創造再生」です。綱手のおでこにあるひし形の模様は、ただの飾りではありません。長年に渡って額に溜めたチャクラ「百豪の印」なのです。それを解放する事で肉体の再生能力をあげ、瞬時に傷を治す事が可能になります。
そのため、彼女は「戦いでは死なない」と豪語。実際、本来なら致命傷になるほどのダメージを負っても、瞬時に治しながら戦い続ける事ができるのです。後にこの百豪の印は、弟子であるサクラも受け継がれます。
さらに、「口寄せ」として巨大なナメクジ・カツユを呼び出すことも。カツユは治癒・防御などの援護を得意とするので、医療タイプの綱手のパートナーとして非常に相性のよい口寄せ動物です。
攻撃する際には、口から酸を吐きます。「仙人モード」を使う自来也、禁術を使う大蛇丸、戦いでは死なない綱手……まさに「伝説の三忍」に相応しいでしょう。
大蛇丸については<漫画「ナルト」大蛇丸12の事実!息子がいた?焼肉屋でバイト!?謎を解説!>の記事で解説しています。気になる方はぜひご覧ください。
初代火影・千手柱間の孫である彼女。千手一族である事は間違いないのですが、一部ではナルトの祖母なのではないかという声も。
それは柱間の妻が、うずまき一族である事に関係します。柱間の妻は、うずまきミト。彼女は、綱手の祖母です。つまり綱手は、千手、うずまき、両方の血筋を受け継いでいます。
そしてナルトの母親は、うずまきクシナ。この事から「血縁関係があるのでは?」といった事が導き出されるわけです。ミトは過去、九尾の人柱力でした。そして、その後任がクシナ、その次がナルトです。綱手とも親戚関係があると思うのは、無理もありません。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2010-11-04
ナルトは綱手の事を、出会った当初からずっと「綱手のばあちゃん」や「ばあちゃん」などと呼んでいます。老化を嫌う彼女なら、こう呼ばれるのを怒りそうなもの。
ですが彼女は、それを咎めたりはしていません。これは綱手自身も、彼の事を親族だと認識しているからではないかと考察することもできるでしょう。
何より、彼女はナルトに「初代火影の首飾り」を譲り渡しています。それは、柱間の形見でもあったものです。ナルトが火影になると信じた証であると同時に、もしかしたら親族の証でもあったのかもしれません。
- 著者
- 池本 幹雄
- 出版日
- 2016-08-04
その後、綱手は火影を退任し、六代目火影にカカシが就任します。そして本作のラストでは、ついにナルトが七代目火影に就任するのです。続編『BORUTO-ボルト-』では、彼にもボルトという名前の息子が誕生。親となっても、綱手の事は「ばあちゃん」と呼び、まるで家族のように描かれています。
しかし実際に彼女がナルトの祖母であるとの記述はなく、本当のところは謎のまま。もしかしたら、いつかこのことに言及される日がくるかも……なんて思いながら「ボルト」を読むのも、面白いかもしれません。
作中屈指の怪力を誇る綱手。原作中ではありませんがOVAには、雷影・エーと腕相撲対決をした話が収録されています。雷の性質をもつチャクラを身にまとい、身体能力を極限にまで高める事の出来る強者・エー。2人が腕相撲で対決すると、どうなってしまうのでしょうか。
ある時、エーの部下が敵の忍術によって、寄生虫を胸に埋め込まれてしまいます。それはチャクラを喰らい、最終的には爆発するというおそろしい虫です。しかも居合わせた医療忍者では、治療が出来ない状況でした。
命の危険に晒された部下を見捨てる事が出来ないとエーは、偶然居合わせた綱手に治療を依頼するのです。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2010-01-04
依頼を受けた彼女は、賭け勝負を持ちかけます。その条件は「勝負は腕相撲」「綱手が勝てば飲み屋の代金を支払って貰う」「エーが勝てばすぐさま治療」というもの。そして腕相撲勝負が始まるのです。
序盤はどちらも譲らずに拮抗した状態が続きますが、怪力自慢の綱手が徐々に押し始めます。そんななかエーは、ある秘策に出るのです。彼は雷の性質のチャクラを生かした、スピードに特化した技が得意。それを腕相撲にも応用するのです。
1度綱手の手を離し、チャクラでスピードを上げた力で一気に押し込みます。その結果、勝利を掴み、無事に部下の治療をしてもらったのでした。
結果として賭け勝負に勝ったのはエーですが、純粋な力勝負だけでいうなら、綱手の方が勝っていたのかもしれません。
数々の戦場で活躍してきた彼女ですが、命の危険に晒されることも。
暁であるペインが木ノ葉の里を襲撃した際には、火影として力を出し切りました。里が壊滅に近い状態で怪我人も多いなか、綱手はカツユを分裂させ、里の1人1人に元に送ります。そして、忍法・創造再生を発動。一斉に治療を施したのです。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2009-02-04
そのおかげで、里への人的被害は最小限に済ませる事が出来ました。しかし、その際にチャクラ切れとなった彼女は、瀕死の状態に陥ってしまうのです。
昏睡状態となった彼女は、火の国の上層部によって火影を解任されてしまいます。しかし、第四次忍界大戦に向けた五影会談後に意識を取り戻して復活。再び火影に復帰しました。
最後まで里のため、人のためにチャクラを惜しみなく使う姿は、まさに火影の鑑といえるでしょう。
ここからは、彼女を火影と呼ぶに相応しい名言を紹介!きっとその言葉の端々から、彼女の強さを感じられるでしょう。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2003-08-04
私の性格は良く知ってるでしょ…
おちょくるのは止めなよ…
殺すぞ コラ
(『NARUTO -ナルト-』18巻より引用)
腕の治療を頼みに、大蛇丸が綱手に接触してきた時の会話で出てきたセリフ。死んだ弟と恋人を生き返らせるという条件の内容に対し、彼女はふざけているのかと怒りを見せました。
もちろん愛する2人を交渉の引き合いに出された事で、純粋に怒ったのでしょう。しかし「私の性格は良く知ってるでしょ」という言葉から、昔馴染みが自分を刺激する発言をした事に対しての怒りも感じられます。
それにしても、彼女の圧が伝わる、なかなかに怖いシーンでした。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2003-11-04
やっぱりこの想いだけは朽ちてくれないんだよ…
(『NARUTO』19巻より引用)
大蛇丸が提示してきた交渉条件は、彼女を迷わせる事となります。「ありえない」と言い、相手にしようとしない綱手。ですが、大蛇丸から死者を蘇らせる禁術の話を聞き、つい期待を抱いてしまうのです。
そして、交渉猶予当日。弟と恋人に会えるなら、と交渉を結ぶつもりだった彼女。しかし、2人への想いと、自分がしようとしている事の愚かさに気づき、危険人物である大蛇丸を殺す決意をするのです。
2人への朽ちぬ想い、会いたいという気持ちは本物だけれど、だからこそ交渉を結ぶわけにはいかないという、彼女の葛藤が感じ取れるセリフではないでしょうか。
- 著者
- 岸本 斉史
- 出版日
- 2009-05-01
ナルトは 強いぞ
(『NARUTO』46巻より引用)
ペインが木ノ葉の里へ襲撃し、綱手と彼が対峙した際のセリフ。ペインが木ノ葉へ来た理由は、九尾を狙って、人柱力であるナルトを捕らえるためでした。
目的がわかっている敵に対して、ナルトの居場所を易々と教えるわけにはいきません。そんななか、ナルトを簡単に捕らえる事が出来るだろうと考えているペインに対し、綱手はこう言い放つのです。
ナルトの成長を近くで見て感じてきた彼女の、彼に対する信頼を証明するような言葉に、読んでいて胸が熱くなる名シーンでした。
作中屈指の強さを誇るくノ一・綱手についてご紹介しました。見た目の美しさだけでなく、心も強い彼女。その真の強さと魅力が気になる方は、ぜひ本作を手に取ってみてください!