『北北西に曇と往け』あらすじ、面白さをネタバレ!アイスランドを車と旅する

更新:2021.11.30

雄大な自然を擁するアイスランドを舞台に描かれる『北北西に曇と往け』。主人公の日常は旅、時々、探偵稼業。生活費を稼いで暇を潰すために、今日も依頼を解決していくのでした。 本作は『乱と灰色の世界』などで知られる入江亜季の漫画作品。2019年のマンガ大賞にノミネートされたことでも注目を集めた作品です。読むと、あなたも車で旅に出たくなってしまうかも?この記事では、そんな本作の魅力、見所などをご紹介していきましょう!

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『北北西に曇と往け』が面白い!最新3巻までネタバレ紹介!【あらすじ】

極北の大地・アイスランドで、フランス人の祖父・ジャックとともに暮らす17歳の少年・御山慧(みやま けい)。彼の日常は、旅、時々、探偵稼業で成り立っています。

祖父をはじめとするツテで舞い込む依頼は、犬探し、一目惚れの相手探し、家出少年の捜索と多種多様。慧は自身が持つ「電気機器から情報を聞き取る事が出来る」という不思議な能力を使い、その依頼を解決していくのでした……生活費を稼ぎ、暇を潰すために。

両親を亡くし、高校も中退した主人公・慧。彼が異国の地・アイスランドで逞しく生活していくさまを描いた探偵活劇ともいえる本作は、見所がたくさんあります。作者の描くアイスランド、慧をはじめとした魅力的なキャラクター、先の展開が気になるストーリー……。

祖父から譲られた、アイスランドの道を知り尽くした愛車・ジムニーと「会話」しながら、北緯64度の大地を巡る日々。お酒と、煙草と、美女が苦手な肉食少年・慧の探偵活劇は「エブリデー・ワンダー」です。

著者
入江 亜季
出版日
2017-10-13

作者・入江亜季とは

 

香川県丸亀市出身の漫画家。同人誌活動を経て、2002年、入江あき名義で掲載された「フクちゃん旅また旅」でデビュー。以来、独特の美しいペンタッチと鮮やかな人物描写で、多くの漫画家に影響を与え続けています。
 

2005年には『群青学舎』の連載を開始。この作品は「このマンガを読め!2007」の第4位にランクインしました。

2008年には『乱と灰色の世界』の連載をスタート。こちらが初の長期連載で、2012年には文化庁メディア芸術祭マンガ部門で、審査委員推薦作品に選ばれました。

 

著者
入江 亜季
出版日
2009-11-16

 

入江アリ、入江あき名義でも活動しており、あさのあつこや新井素子の小説挿絵を手掛けるなど、幅広く活動しています。

このページでご紹介させて頂いている『北北西に曇と往け』は、『乱と灰色の世界』の連載終了から2年を経て、2016年から連載がスタート。漫画雑誌「ハルタ」にて2019年3月現在も連載中です。

本作は2019年のマンガ大賞にノミネートされ、見事6位にランクイン。注目度の高い作品となっています。

 

『北北西に曇と往け』の魅力1:圧巻の大自然、アイスランドの魅力が丸わかり!

『北北西に曇と往け』の魅力:圧巻の大自然、アイスランドの魅力が丸わかり!
出典:『北北西に曇と往け』2巻

 

アイスランドと聞いて、位置や特色がすぐに思い浮かぶ人はあまりいないのではないでしょうか。北大西洋に浮かぶこの島はグリーンランドの東、北極圏のすぐ南に位置しており、おおよそ韓国程度の大きさです。

そんな国が舞台の本作。作中では、その魅力とスケールの大きさ、そして、たくさんの驚きを感じさせてくれます。

2巻では、慧の小学校時代からの親友・清(きよし)がアイスランドを訪れるため、観光案内がメイン。この一冊で、まるで観光ガイドブックを読んだような満足感が味わえますので、旅行好きな方にもお楽しみいただけるのではないでしょうか。

 

出典:『北北西に曇と往け』2巻

首都・レイキャビクにあるハットルグリムス教会の美しさ、大迫力のストロックル間欠泉、大地の裂け目・ギャオが雄大に走るシンクヴェトリル国立公園、火山活動が活発なアイスランドならではの露天温泉、そして、夜の街の上にはオーロラ……。

作者の美しいペンタッチで描かれるアイスランドの風景は、漫画でありながら、美しいポストカードのような見ごたえがあります。読後には、実際にはどんな所なんだろう?と、アイスランドについて、つい調べてしまうかもしれません。

アイスランドまで!とは言いませんが、車でどこかを旅してみたくなるはずです。

『北北西に曇と往け』の魅力2:慧とジャックが食べる、おいしそうな料理たち!

『北北西に曇と往け』の魅力:慧とジャックが食べる、おいしそうな料理たち!
出典:『北北西に曇と往け』2巻

 

本作で魅力的なものの1つに、折々に出てくる美味しそうな食事があります。登場するのはアイスランド独自の料理から日本のジャンクフードまで幅広く、読んでいると思わずお腹が空いてきてしまう事もしばしば。

一時帰国した日本での、とんかつ、ラーメン。ヘルシンキのシナモンロールにハチミツ入りホットミルク。ジャックの友人宅での、焼いた羊の肉と、アイスランド料理。ミルで豆から挽くコーヒー。ジャックと慧が早起きした作った力作サンドイッチの数々……。

その他にも、日本の不動産屋で出された、湯飲みに入った氷入りのお茶や、アイスランドで食べる、ちょっとビックリな方法でチョコレートがトッピングされたソフトクリームなど、さりげなく登場するものまでとても美味しそう!

トナカイの燻製肉(!)のサンドイッチなんていう、変わり種もでてきます。

今回は一体どんなご飯が登場するのか、ワクワクしながら読んでしまうでしょう。

 

『北北西に曇と往け』の魅力3:妖精のような美女リリィ

『北北西に曇と往け』の魅力:妖精のような美女リリィ
出典:『北北西に曇と往け』1巻

ここでは「美女が苦手」な慧の天敵(?)、妖精のような美少女・リリヤとの関係についてご紹介しましょう。

祖父・ジャックの新しい恋人であるカトラの、姉の娘が、リリヤです。3人の関係などつゆほども知らず、リリヤと出会った慧ですが……その初対面は衝撃的なものでした。

ドライブ中に立ち寄った滝で、一糸纏わぬ姿で水浴びをしていたリリヤを見てしまったのです!

あまりの美しさと人間離れした雰囲気に、妖精か何かだと思ってしまった慧は、声をかけることも出来ません。驚きのあまり滝壺に落ちて風邪をひき、踏んだり蹴ったりの彼ですが、受難はまだ終わりません。ずぶ濡れで立ち寄ったカトラの家に、なんと先程の妖精が、またしても裸同然の格好で!?

しかも「2回も自分の裸を見たから」という理由で、慧のパンツを無理矢理脱がすというエキセントリックな行動に出たリリヤに、さらに圧倒されます。以後、顔を合わせる度に下着を脱がされそうになる慧は、彼女に苦手意識を覚えるのでした。

しかし、恋の達人・ジャックからすれば、2人の関係は微笑ましいもののよう。一見すると犬猿の仲のように見える関係ですが、一体どんな変化を迎えるのか?注目していきたいポイントです。

 

『北北西に曇と往け』の魅力4:怖くて目が離せない……謎多き少年・三知嵩

『北北西に曇と往け』の魅力:怖くて目が離せない……謎多き少年・三知嵩
出典:『北北西に曇と往け』3巻

 

本作の長閑な雰囲気のなかで、不思議な存在感と恐ろしさを放っているのが、慧の弟・三知嵩(みちたか)です。

不穏な空気と謎を抱えたこの少年が、物語にどことなく不透明な部分を作り、不気味さを加えています。この項では、そんな彼の「怖い」部分をご紹介させていただきましょう。

日本に住む母方の叔父夫婦に預けられていた三知嵩。彼は、叔父夫婦が相次いで事故死・病死した後、「アイスランドにいる兄を探す」と言って姿を消します。慧とジャックの連絡先を知っている筈の彼は、なぜか叔父夫婦の死を2人に知らせずに消息を断ち、1人でアイスランドへ向かうのです。

何を考えているのか掴めないところが、なんとも不気味といえるでしょう。

 

出典:『北北西に曇と往け』3巻

慧に対しては、兄を慕う無邪気な弟の顔を見せますが、他人からしたら、ずいぶん違う印象のよう。彼を「人殺し」だとして執拗に追う日本の刑事。三知嵩のことを「気持ち悪い」「嘘を吐いている」と断じて、「2度と会いたくない」とまで言うリリヤ。

そして3巻では、三知嵩を恐れて姿を消した美女・フレイヤが登場し……色濃く不穏な空気を感じさせる展開がくり広げられていくのです。

両親を亡くし、残された家族は祖父と弟だけだと感じている慧は、盲目的に弟を信じているようですが……。徐々に明らかになる三知嵩という少年の底知れぬ闇が、物語に暗い深みを加えます。

美しい容姿と抱える闇のギャップが、この少年から感じる「怖さ」を引き立てているよう。慧の目から隠されている三知嵩の「真実」が明らかになる時、物語は一体どんな展開を迎えるのでしょうか……?本作最大の、注目ポイントの1つです。

『北北西に曇と往け』3巻の面白さをネタバレ紹介!

 

親友・清がアイスランドを訪れていたため1週間の休暇をとっていた慧は、清の帰国後、探偵稼業を再開。今回請け負ったのは、家出人の捜索です。家出少年の足跡を辿り、行き着いたセーフハウスに足を踏み入れた慧は、「この階段を知っている」と感じます。

訪れた覚えのないセーフハウスの記憶。そして、そこの利用者の1人・フレイヤの失踪に、弟・三知嵩が関わっている可能性が浮上します。慧の前に示されていく、三知嵩の「真実」の断片。慧は沸き上がる疑問と不審を押し隠すように、三知嵩の関与を偶然と片付けますが……。

物語が大きく動き始める第3巻です。

 

著者
入江 亜季
出版日
2019-01-15

本巻の見所は、慧には見えていない三知嵩の姿が明かされていくところです。
 

1、2巻で「なんとなく、変」「なぜか怖い」という印象が付きまとう三知嵩。なぜ恐ろしいと感じるのか、それがついに、第3者目線で語られます。

彼と関わり、姿を消したフレイヤが見た三知嵩という少年の不気味さは、言葉で言い表すのが難しい類いのものでした。生理的嫌悪感、という言葉が一番近いでしょうか……。

見た目は天使のような三知嵩のなかに渦巻く、理解しがたい感情。慧たち一族が持つ「不思議な力」が、三知嵩にも表れていたという事実が判明します。そして、その力を彼がどのように使ってきたかという事ことも。

弟を信じ続ける慧がそれらに直面した時に、物語はどんな展開を見せるのでしょうか……。

入江亜季作品を始めて手に取られる方にも、おすすめな作品です。

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