漫画『スプリガン』20の見所。あらすじ、名言、タイトルの意味【アニメ化】

更新:2021.11.18

古代遺跡や神秘をテーマにして生み出された冒険漫画の傑作品。たかしげ宙が原作で、皆川亮二が作画を手掛けました。両作家とも今やSFやファンタジー漫画の重鎮と呼ぶべき2人ですが、そんな彼らの初期作品が、この『スプリガン』です。 この2人が共同で生み出した作品が、面白くないわけがありません。98年に大ヒットしたアニメ映画に続き、2019年にはWebでアニメが制作されることが発表された話題作。そんな本作について、今回は見所などをご紹介しましょう!

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漫画『スプリガン』が面白い!アニメ化!タイトルの意味は?

「我々の残した遺産を、悪しき者より守れ」。古代人が残したメッセージにより、遺跡を管理する特殊組織「アーカム財団」はチームを結成します。その名も、「スプリガン」。

彼らの使命は、世界中に存在する古代文明のテクノロジーを裏社会の人間から守るため、その結晶たるオーパーツ(発見された時代にそぐわない技術で造られた器具)の回収をおこなうことです。優れた戦闘技術や特殊能力を駆使して、挑みます。
 

もともと「スプリガン」はイングランドに伝わる妖精の一種を指し、古代の砦に住み着き、そこで財宝を守る存在といわれています。つまり「古代遺跡にいる財宝の番人」という意味でつけられたチーム名なのです。

主人公の少年「御神苗優(おみなえ ゆう)」は現役の高校生にして、優れた格闘術と戦闘能力をもった、アーカムのなかでも優秀なスプリガンの1人。

本作は古代のテクノロジーを我が物にしようと企む裏社会の組織と、彼らから古代文明のテクノロジーを守ろうとするスプリガンとの攻防を描く、少年誌の誇る正統派冒険活劇漫画といえます。

その他にも人知を超えた神秘現象、サイボーグや特殊能力者とのバトル、忌まわしい過去を持った主人公の成長など、少年漫画としての娯楽要素がたくさん込められた名作なのです。

著者
["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
出版日

作品の連載が開始されたのは、1989年。しかし、それから30年近く経つ現在から見ても、精密に描かれた絵、そして臨場感あふれる画面構成には驚かされるばかりです。

元々80年代の漫画や映画の世界では、古代遺跡や秘宝を巡る冒険活劇は時代遅れの産物になっていました。しかし、映画「インディ・ジョーンズ」シリーズが放映されて冒険や古代文明をテーマにした物語が再注目されるようになり、同系統の娯楽作品が登場していくことになりました。

本作もそんな中で影響を受けたうちの1つといえるでしょう。

そんな本作ですが、1998年には『AKIRA』で有名な大友克洋の総監修によって映画が製作され、さらにNetflixによってアニメ化されることが2019年に発表されました。

本作はただ単に娯楽を描くのではなく、含みを持たせるような結末を描くことによって、人類の行く末はどうなるのかを読者に問いかけるような内容となっているところも魅力。古代文明のテクノロジーを悪しき形にするのも善の形にするのも、すべては人間の判断しだいと語っているように感じられるはずです。

作者・皆川亮二とは?「アームズ」も名作!

皆川は高校の同級生だった漫画家・神崎将臣にアシスタントとして誘われ、1988年に読みきり作品『HEVEN』でデビューを果たしました。その後、本作『スプリガン』の連載を経て『ARMS』を連載。小学館漫画賞を受賞し、『D-LIVE!!』や『海王ダンテ』などを生み出すヒットメイカーとなりました。

その他にも、ゲームのキャラクターデザインを手がけるなど、幅広い活躍をしています。

七月鏡一の原案で生まれた『ARMS』は、金属生命体を体の一部に移植された、異能の高校生たちの活躍を描いた傑作SF漫画。『進撃の巨人』で有名な諌山創をはじめ、多くの作家達が多大な影響を受けたと公言するほどの名作です。

皆川は映画好きとしても有名。彼の作品は小気味いいテンポで進み、臨場感のある画面構成や絶妙なタイミングのフェードアウトなど、映画から影響を受けて編み出された表現技法が多数取り入れられているのが特徴です。端麗なタッチで描かれる背景も皆川作品の見所の1つでしょう。

過去のインタビューによると、特に影響を受けた映画は『スター・ウォーズ』と答えており、冒険やアクションを題材にした作品には、師と弟子の関係、闇の側面と葛藤する主人公など、その影響が入っています。

漫画からだと大友克洋から多大な影響を受けており、緻密な建造物や機械の描写には『AKIRA』の影響があるといえるでしょう。

ARMS (1) 少年サンデーコミックススペシャル

皆川 亮二 (著), 七月 鏡一 (著)
小学館

一方原作を担当した、たかしげ宙は、予知能力を持った少女を巡る盲目の剣豪と、テロリストとの戦いを描いた『死がふたりを分かつまで』や、電子工学の天才が戦闘用スーツを身にまとって異能の犯罪者と戦うアクション漫画『ALCBANE(アルクベイン )』など、一風変わったSFアクション漫画の原作を手がけています。

本作『スプリガン』もまた、古代文明のテクノロジーや魔法、主人公の優が使っている強化服「A.Mスーツ(アーマード・マッスルスーツ)」など、オカルトやSF的な設定を盛り込んだたかしげ原作ならではの風変わりな設定が見所です。

漫画『スプリガン』の見所1:「炎蛇の章」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

16歳でカーネル大学の教授となった言語学の天才・山菱理恵は、アーカムからの依頼で古代文字の解読に携わることになりました。 

しかし、そこに現れたのはアーカムの人間ではなく、黒服を着た2人組の男。彼らは強引に彼女を連れ込ていこうとします。しかし、そこへ1人の少年が現れて、彼女を助けます。本作の主人公・御神苗優です。

なんと彼こそアーカム研究所から派遣された護衛者で、古代遺跡の保護と回収をおこなう「スプリガン」と呼ばれる工作員なのでした。

彼は高校生でありながら、優れた戦闘技術を駆使する凄腕の工作員。そして、今回のヒロイン・理恵と彼は、実は幼馴染み。しかし子供時代に別れたっきりであるため、突如現れた彼が優であることに、理恵は気づいていない様子で……。

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["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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本作は「インディ・ジョーンズ」のような古代遺跡に関する冒険活劇ですが、この第1話は冒険物というよりは、とてつもない力を巡る世界各国の工作員とのバトルが中心。敵のなかには特殊能力者もおり、異能力者バトル漫画のスパイ活劇として楽しむこともできるでしょう。

また、当時の時代背景なども関連した歴史的事実の影響が見られるのも面白いところ。

敵キャラクターにソビエトの諜報機関であるKGB(ソ連国家保安委員会)や米国の情報機関であるCIA(中央情報局)が存在するなど、東西冷戦(第2次大戦後に発生した、米国を中心とした西側自由主義諸国と、ソビエトを中心にした東側社会主義国の政治的対立)に関係する内容も含まれています。 

テンポのよいストーリー運びでハリウッド映画を見ているような爽快感ですが、バトルだけでなく、優と理恵の淡い恋愛描写も見所の1つ。偶然の再開を果たした2人は、その後……。

漫画『スプリガン』の見所2:「仮面伝説の章」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

1985年、メキシコの博物館から、マヤ文明の王の棺から発見された翡翠の仮面「パレンケの仮面」が行方不明となりました。そんななか、アーカム考古学研究所日本支部は、その在りかが優の同級生で双子の笹原姉妹の父親・耕一が買い取ったことを突き止めます。 

それに際し回収を命じられた優ですが、耕一の娘・香穂(かがほ)は仮面に引き寄せられ、仮面を被ると乗っ取られたかのように暴れ周り出すのです。仮面を手にした者は不審な死を遂げるといわれているなか、果たして彼女の運命は……。 

今回のヒロインは2人。気の強い性格だけれども世話焼き屋な姉・初穂(はつほ)と、姉とは裏腹に大人しい性格で優に思いを寄せている妹・香穂の笹原姉妹です。

今回のエピソードの冒頭で優は学校を抜け出して任務に向かいますが、これ以降、任務のために授業を休んだり抜け出したりするのが本作の恒例のパターンとなります。 

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["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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物語の発端は、笹原姉妹の父親がメキシコのマヤ文明の秘宝「パレンケの仮面」を手に入れたこと。その後、香穂は仮面に意識を乗っ取られ、謎の呪術師に狙われるようになるのです。

彼女は旅客機に侵入してマヤ文明の遺跡へと向かってゆきます。そして彼女を追いかけて、優と初穂も日本からメキシコへと舞台を移していくのです。

メキシコの呪術師の使役する怪物「ワ―ジャガー(魔術で豹に変えられてしまった人間)」とのバトルや、仮面に意識を乗っ取られた香穂がくり出す精神波攻撃によるサイキックバトルも迫力満点。 

優が身につけているA・Mスーツが、オリハルコンという古代文明のテクノロジーで生み出された特殊な金属で製造されていると判明し、そうした解説も見所です。

 

漫画『スプリガン』の見所3:「ノアの方舟伝説」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

 

アーカム考古学研究所のトルコ支部が、アララト山に眠るノアの箱舟を発見。しかし、その中にあった金属板には「ノアに干渉するな」という文面が彫られていたのです。

護衛のためにアララト山にある発掘場にいた優は、攻め入ってきた米国の工作員と対峙。彼らは体を機械に改造されたサイーボーグ兵士であるだけでなく、優と同じオリハルコン製スーツを身に纏っていたのです。

そこへ、ノアの箱舟の警備についていた「スプリガン」の1人ジャン・ジャックモンドが加勢に入り、この場は納まりました。

一刻も早くノアの箱舟の真実を探ろうとするアーカムの科学者達でしたが、そこに米国から新たな工作員が登場。奇妙な力を持つその人物は、なんと子供でした。彼は発掘場を制圧し、責任者であるメイゼル博士とその助手のマーガレット女子を連れ去ってしまうのです。

彼らを追って箱舟の内部に入り込む優とジャンでしたが、そこで彼らが見たものとは……?

今回新たに登場するのは、優に新たな武器、オリハルコン製のナイフを提供する科学者メイゼルです。アーカムのお抱え科学者である彼は、助手の女性科学者マーガレットとともに行動し、オーパーツの研究をおこなっています。今回のオーパーツ、ノアの箱舟の調査もおこなっている人物です。

そして優と同様「スプリガン」の一員でフランス人の荒くれ者ジャン・ジャックモンド。彼は腕がたつだけでなく、優れた身体能力と「ライカンスロープ(獣人)」に変身できる特殊能力を持っていますが、驚くべきやり方で変身します。

 

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["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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本作に登場するノアの箱舟には不思議な秘密が隠されていて、たとえば冒頭で出てきた「ノアに干渉するな」という文面が記された金属板は、現代のいかなる技術を持ってしても壊すことができない材質でできています。

そして、箱舟に使われている材質は一見すると材木に見えますが、これも現代の技術では破壊することができない特殊な材質で構成されているのです。

さらに驚かされるのはノアの箱舟の大きさで、本編によると旧約聖書に伝わっている方舟のサイズ300キュピト(150メートル)の倍はあるのだそう。この巨大な舟の入り口は完全に閉ざされ、「ノアに干渉するな」という言葉から、その内部には恐ろしい力が宿っていることが考えられるのです。

そして、もっとも注目したいのは、ノアの箱舟を虎視眈々と狙っていたペンタゴン(米国国防総省)から派遣された「マクドガル大佐」と呼ばれる子供。この不気味な少年は周囲の物体を軽々と破壊する衝撃波を生み出す力を持ち、そして大人顔負けの思慮深さと狡猾さを持ち合わせた強敵です。

発掘所を制圧した彼は箱舟の秘密を知っているようで、扉を簡単に開けて内部に入りこみます。果たして彼は何者なのでしょうか?そして、ノアの箱舟に秘められた力とは?

劇場アニメ化もされ、本作の人気を決定づけたこのエピソードは必見です。

 

漫画『スプリガン』の見所4:「狂戦士の章」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

アーカム、イギリスの考古学チームが発見した「狂戦士(バーサーカー)」と呼ばれた謎のオーパーツが、イギリスの軍部によって押収されてしまいました。この事態に対しアーカム財団は、優をはじめとした回収部隊を向かわせましたが、SAS部隊(イギリスの特殊部隊)の攻撃によって優以外は全滅してしまいます。

そのころオーパーツが保管された軍施設では、技術将校マリア・クレメンティの指揮のもと「狂戦士」に電圧を加える実験をおこなっていました。すると「狂戦士」は目覚め、暴走し始めるのです。

そこへ駆けつけた優。しかし、ときすでに遅く、軍施設は半壊状態になっていました。優は、無事だったマリアとともに「狂戦士」を止めようとしますが……。

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["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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このエピソードに登場するイギリス軍の技術将校マリア・クレメンティは、当初は優と反目しあいますが、徐々に協力し合って「狂戦士」を倒すべく奔走します。気の強いインテリ女性である彼女と優の掛け合いも、本作の見所の1つです。

「狂戦士(バーサーカー)」とは北欧神話に出てくる獣の皮を被った戦士のことですが、このエピソードで登場する「狂戦士」は、古代人が作り出した戦闘兵器(戦闘ロボット)。昆虫とカブトガニを合わせたようなかなり有機的な外観であり、一目で現代の技術とはまったく異なる技術で製造されている、というのがわかるデザインとなっています。

優の解説によると、古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」(古代インドの英雄ラーマ王子の活躍を描いた伝説)に刻まれている戦争の時代で使われたそうです。

人の干渉を受けずに勝手に破壊をおこなう「狂戦士」のさまは、人間がコントロールできない強大な力そのものを表しているよう。その一方で、強大な力を手に入れたがっているイギリス軍部は、人間の底知れない欲を暗示しているように感じられます。

「狂戦士」が覚醒して暴れまわるさまは、スタジオジブリの名作アニメ『天空の城ラピュタ』に登場するロボット兵が暴れまわる場面を彷彿とさせるほど迫力満点です。

漫画『スプリガン』の見所5:「帰らずの森篇」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

 

「ラーマ-ヤナ」の英雄ラーマを崇める教団のいる洞窟に侵入した優。しかし、そこには遺跡荒らし(今でいうトレジャーハンター)と悪名高い少女、染井芳乃(そめい よしの)がいました。教団の目の前でラーマの像をかっさらう彼女でしたが、教団に追われ、隠れ潜んでいた優まで巻き添えを食うことになります。

無事に逃げおおせることに成功した2人でしたが、優の本当の目的は、村の近くにある「帰らずの森」の探索でした。それを聞いた芳乃は宝にありつけるとばかりに、彼についてく事にするのです。

その森は、「ラーマーヤナ」に出てくる森。かつて国を追われたラーマとシータ夫妻が暮らしていましたが、ある日ラーマが目を離した隙に、魔王に妻を奪われてしまいます。森の精霊たちは、ラーマにそのことを知らせようともしなかったためにラーマの怒りを買い、彼によって呪いをかけられてしまうのです。

その呪われた森にあると言われている不老不死の妙薬こそ、今回優が調査しようとする「神酒(ソーマ)」なのでした。

しかし、その森にはアーカムを目の敵にしている兵器開発組織「トライデント」の工作員、暁巌(あかつき いわお)が指揮する部隊も侵入しようとしていて……。

 

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["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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今回のヒロインである芳乃は遺跡荒らしとして悪名高く、場合によっては裏切ることも厭わない狡猾な一面もある少女。しかし義理堅い一面もあり、どこか憎めないキャラクターです。彼女と優、そして巌という、曲者3人の奇妙なやり取りも、本作の見所の1つでしょう。

芳乃は本作で狂言回しのような役割を担っているので、その後のエピソードにも登場します。

もう1人登場するキャラクターは、アーカムの敵対組織「トライデント」の工作員、巌。優に匹敵する実力を秘めた男で、優と同じA・Mスーツを纏って戦います。こちらはライバルキャラのポジションで、その後も優の敵となったり、共闘するような奇妙な間柄となる人物です。

ほぼ互角の力を持ち、同じA・Mスーツを纏った彼と優の格闘戦は、最大の見所でしょう。

ストーリーは前回同様「ラーマーヤナ」の伝承にかかわる遺跡のエピソード。神話の舞台となった深遠な森に潜む神秘の秘法、そして森の暗闇に潜む無数の怨霊達という、ゴシックホラー的な展開が特徴です。

呪われた森にある「神酒」を巡り、森の中で優と芳乃、巌で争いが起きてしまいますが、森はそんな彼らの諍いなど気にもとめていないよう。無数の怨霊とゾンビになったトライデントの兵士達が出現し、優達に襲い掛かってきます。

最初は対立しあっていた一同も、生きるために共闘することに。やがて森の奥へと進んだ一同は、なぜこの呪われた森にソーマが隠されたのかを知ることになるのです。その秘密とは……。

漫画『スプリガン』の見所6:「龍脈地図 御神苗優抹殺計画」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

16世紀に活躍したトルコの船長ピリ提督の描いた、24枚の謎の地図「マッパムンディス」。アーカムは、そのうちの19枚を回収することに成功しました。 

そんなある日、優の通う学校に1人の転校生がやって来ます。彼の名は、金谷唱(かなや しょう)。彼の正体は、米軍の特殊部隊「COSMOS(コスモス)」の一員です。

この組織は、かつて幼少時代の優を拉致し、殺人マシーンとして鍛え上げた米軍の部隊。その一員である金谷は、優が回収したマッパムンディスを奪うために現れたのでした。

彼の登場によって、優は己の忌まわしい過去と向き合うことになります。そして、マッパムンディスを巡るコスモスとアーカムの対立の背後には、優を抹殺しようとする何者かの企てがあって……。

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["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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今作で重要なカギを握る金谷はコスモスによって優と同様に拉致され、特殊部隊員として訓練を受けた少年。コスモスは子供を拉致して、戦いに不都合な感情を省いた殺人マシーンとして育て、彼らを兵士にして構成された米軍の実験部隊です。

金谷は優と同じ境遇で、優と同等の戦闘力を秘めた少年でありながら、優とは違って殺人マシーンになってしまった少年。光と影のように、まったく対照的な2人が織り成すドラマが今回の見所でしょう。

その他には優の義理の姉・御神苗秋葉(おみなえ あきは)と、優の師匠で気孔を操作する力を持った男・朧(おぼろ)が登場します。彼はA・Mスーツを纏った優でさえ敵わないほど実力を持っている、最強のスプリガンです。

今回の登場する遺跡マッパムンディスは、風水で有名な「龍脈」(大地の気の流れであり、地球のエネルギー)について記された地図であり、今回はこの地図を巡ったスプリガンとコスモスの戦いを描いていています。

それと同時に優の過去が明かされ、彼がなぜ高校生でありながら、これほど優れた戦闘力を持っている理由が明かされますので、そちらにも注目してみてください。

 

漫画『スプリガン』の見所7:「混乱の塔」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

 

イタリアの山岳都市ロッキスの教会で「混乱の魔法陣」が盗まれ、優に回収命令がくだります。その魔法陣には、「リバースバベル」と呼ばれるもう1つのバベルの塔の場所が記されているのです。

バベルの塔は2つ存在しており、その内の1つがリバースバベルです。悪魔との交信を目的として建造されたといわれ、各国政府が血まなこになって探し出そうとするほどに強大な力を秘めています。

そのリバースバベルに関わる秘密を握る修道女「シスター・ケイト」を守護するのが、朧の任務です。しかし、リバースバベルを狙う呪術師ヘウンリー・バレスの魔術によって、朧は消えてしまいます。一方、アーカムは朧とケイトの行方がわからなくなったので、優にケイトを探し出す指令がくだるのです。

朧を打ち破るほどの実力を持つ男に、優はいかにして立ち向かうのでしょうか。そしてケイトは、リバースバベルのいかなる秘密を握っているのでしょうか。

 

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["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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今回登場するシスター・ケイトは、魔法陣のあった教会の司教の孫娘であり、祖先から伝わった本を大事に持ち歩いています。彼女の持つ本には、リバースバベルに関する重要な秘密が記されています。

可憐な見た目の女性ですが敬虔なクリスチャンであるために、荒事にまったく慣れていないうえに、少々トンチンカンな言動も多いのが特徴。そのため彼女を無事に発見した優は、珍妙なやり取りをするハメになります。

彼女の持つ本を狙うのは呪術師ヘウンリー・バレスで、すぐれた黒魔術の力の使い手です。序盤で彼は朧と対峙。優の師匠でもあり、スプリガンのなかでも選りすぐりの実力者である彼を、魔術で造った異空間に彼を閉じ込めてしまいます(作中によると、朧に勝てるのは世界中で5人といないそう)。

今回のエピソードでは魔術や悪魔が登場するので、オカルト的要素の強いエピソードになっています。リバースバベルの正体も悪魔に関する、ある装置なのです。ちなみに、ここでいう「悪魔」とは、ガイア理論(地球を、さまざまな生命と共生する1つの命であるとする説)を巧みに絡めた興味深い設定になっています。

 

漫画『スプリガン』の見所8:「獣人伝承」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

 

己の故郷であるフランスの貧民街に帰ってきたジャンは、かつて自分がアーカムに雇われた経緯を思い出していました。貧民街で捨てられていた彼は、そこの売春婦の元締め・マリアに拾われ、彼女の息子マークの兄として育てられたのです。

しかし、己の内に秘めた獣人の力を欲するトライデントとフランス軍に捕らえられ、マリアとマークは殺されてしまいます。そんななかで彼を救ったのは、スプリガンの1人、ティア・フラットでした。家族を失ったジャンは、彼女の誘いでスプリガンとしての道を歩むことになったのです。

ジャンはフランスで優とティアと合流すると、任務によりルーマニアへ行くことになります。それはトライデントが発掘調査に乗り出している遺跡であり、アーカムも彼らから遺跡を守るために、スプリガンを派遣することにしたのです。

その遺跡には、獣人ライカンスロープの真実が隠されていました。そして遺跡にたどり着いたジャンは、そこで己の正体を知る者に出会い……。

 

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["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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今回、初登場するキャラクターは、ティア・フラット。彼女は魔術の使い手であり、ジャンをアーカムに招き入れた張本人です。またトライデントの工作員である巌も再登場し、再び優と合い間見えることとなります。

このエピソードではスプリガンの2番手キャラ、ジャンの出自が明らかになります。彼がなぜスプリガンになったのか、アーカムに入ることになった逸話やライカンスロープの正体が語られるのです。

ライカンスロープは元々「人狼」という意味なのですが、本作では狼に変身しないものの人狼のルーツとなったという設定で、その出自には古代文明が大きく関わっているよう。その力ゆえに、たどらなければならなかったジャンの悲しい過去。そして彼と再会する肉親をめぐるドラマ。

ジャンのファンは、必見のエピソードです。

 

漫画『スプリガン』の見所9:「終末計画」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

 

インダス川上流で発見された遺跡。その壁一面にびっしりと刻まれた特殊な紋様を、アーカムの考古学研究チームは、アメリカの研究施設にあるスーパーコンピューター「アース」に解析させようとしていました。

しかし、解析中にアースは異常をきたし、自分が設置されているアーカムの研究施設を完全に支配。職員たちを閉じ込めてしまいます。そして世界中のコンピューターをハッキング。その内の1つは、アメリカ防空システムでした。ハッキングされたコンピューターには「ヤーマ」の文字が表示され……。

優は閉じ込められた職員を助けるため、アーカムの私設軍隊隊長マックスの隊員たちとともに研究施設に潜入を試みます。そこで彼が見たのは、アースによって洗脳されてしまったアーカムの職員たちでした。 

やがてアースは優達に、自らを「ヤーマ」と名乗り、施設と世界中のコンピューターを支配。核弾頭ミサイルまで手中におさめてしまうのです。

「ヤーマ」は、一体何をしようとしているのでしょうか……。

 

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["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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今回登場するキャラクターは、アーカムの私設軍隊隊長マックスです。優とは古い馴染みなのか、優の父親とも顔見知りの様子。

優の解説によると、ヤーマとはインドの神で、日本の閻魔大王のルーツとなった存在。つまり冥府や死の神であり、核弾頭ミサイルを手中に収めたことで、その名のとおり死の神となったのです。

今回のエピソードは他のエピソードのような派手さはありませんが、徐々にアーカムの施設がコンピューターに乗っ取られ支配されていくさまはかなり気味が悪く、SFにあるコンピューターが暴走する物語を彷彿とさせます。

アースが暴走した理由は遺跡に描かれていた謎の紋様を解析したのがきっかけであり、ヤーマの正体の秘密もそこに隠されているようです。

優達が施設に侵入した際に無機質なコンピューターが彼らを監視しているさまは、現代の監視社会の隠喩にもとれるでしょう。もしかしたら現実の社会でも、どこかで今回のエピソードのような事件が起きているかもしれません。

 

漫画『スプリガン』の見所10:「聖杯」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

 

イギリスのサルベージ船が、第2次世界大戦時に製造されたドイツのUボートを発見。内部を調査したところ、キリストの血を受けたとされる「聖杯」が発見されたのです。アーカムから依頼を受けたティアは、ネオナチに奪われる前に回収しようとしますが、聖杯を狙ってやってきた芳乃とネオナチに阻まれてしまいます。

一方で優は、とある洞窟の警備をしていました。その洞窟は、ナチスが世界中の遺跡からかき集めた宝が眠っているといわれています。聖杯もそのうちの1つで、そこにはヒットラーの魂が入っているとされていました。

洞窟はヒットラーしか開けることのできない、特殊な鉄扉で守られています。そのためネオナチスは、ヒットラーのクローンを創ろうと画策していたのです。しかも洞窟には、さらに恐ろしい力を持った秘宝が存在していて……。

そんな時ティアから、聖杯を奪われたという連絡を受け、優はネオナチの集まっているアジトへ向かいます。ネオナチ達はヒットラーのクローンに魂を宿し、ヒットラーを復活させてしまうのです。しかし復活したヒットラーは、どこか様子がおかしく……。

 

著者
["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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ネオナチとは、多くの国に存在しているナチスの思想を継承し、ナチスを復興させようとする集団のこと。

ネオナチの少尉を務めるボー・ブランシェは、高い身体能力を持つ優れた軍人ですが、やたら芝居のかかった言動のうえに、走っている芳乃の車の前に飛び出すなど、いろいろな意味でぶっ飛んだキャラクター。もっとも、躊躇無くアクセルを踏んだ芳乃もひどい性格をしています(後ろにいたティアの表情にも注目!)。

ティアに言わせると、本作に登場するナチスの宝の入った洞窟は魔術によって守られているようです。ナチスがオカルトに昏倒し、実際に世界各国の美術品を収集していたり、独自の科学研究機関を持っていたのは有名な話。ナチスが古代文明の遺産を収集しているという今回の設定は、ここからきています。

ヒットラーが復活するというのは、これまでもさまざまなフィクションで語られていますが、ヒットラーは物語として描かれてしまうくらい、良くも悪くも人々の関心を引く何かがあるよう。それが、彼が「カリスマ」と言われているゆえんなのかどうかはわかりませんが。

ただし、このエピソードで登場する彼は、予想外なキャラクターとして登場します。また、今回は芳乃の過去が語られており、なぜ彼女が遺跡荒らしになったのかもわかります。要注目です。

 

漫画『スプリガン』の見所11:「忘却王国」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

 

優はアーカム海洋開発特別最高顧問スティーブ・H・フォスターとともに彼の船「ロシナンテ」に乗船して、太平洋で出たり消えたりをくり返している不思議な幽霊島の調査に向かいます。しかし、そこへまたしても芳乃が現れるのです。

彼女を警戒する優は、下ろすようにフォスターに言いますが、彼は彼女の行動力を気に入りなんと乗船を許可。 そこへ今度はトライデントの指令によって出向した、アメリカ海軍のイージス艦と遭遇します。彼らはロシナンテを発見すると、攻撃を仕掛けてきたのです。

しかし、アーカムの技術の推移を結集してつくられた調査船ロシナンテの能力と優の機転によって、難を逃れます。

やがて幽霊島が出現し、優達は調査を開始。そこにあったのはピラミッド群と、何十年、何百年も前に海から忽然と姿を消したといわれている船の数々でした。

今回登場するスティーブ・H・フォスターは、アーカム日本支部の所長である山本が緊張するほどの人物ですが、優とは仲良しで海の男らしい気さくな好人物。

彼が船長を勤めるロシナンテは、 対空レーザーを装備し、超電導推進によって海上で60ノットのスピードで移動することができるスーパーシップです。この船がイージス艦と、とてつもない海上戦をくり広げるので、ぜひご注目ください。

 

著者
["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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今回の幽霊島ですが、古代遺跡ものというよりはバミューダ三角海域や幽霊船の逸話のような、不気味な海の神秘現象を描いたエピソードです。その幽霊島の中には、現代の技術でも製造が困難なほど精巧に造られたピラミッドがあるのでした。

そして幽霊島に漂着していた船は、奇妙な状態になっていました。16世紀くらいの船であるにも関わらず、漂着してからそれほど状態が劣化していないものもあれば、20世紀初頭の船でありながら100年くらい経ったかのようにボロボロの状態になっているものなど、まるで時空間が歪んだかかのようにバラバラの状態で存在しているのです。

この怪異現象は、果たして何を意味しているのでしょうか。そして優がこの島で遭遇する敵、それは彼にとって親しかった人物であり、この島で悲しい戦いを迎えることになるのです。

漫画『スプリガン』の見所12:「降臨」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

 

優は、サハラ砂漠で発見された古代遺跡の調査をしているエヴァ・マクマホン教授に同行していました。その遺跡は洞窟の中に建造された、巨大なドーム状の空間です。

この周辺に住むドゴン族と呼ばれる原住民は、天から神が降りてきて文明を伝えたという神話を語り継いでおり、マクマホン教授はそれをヒントにして、天文学と今回の古代文明との関連性について優に講義をしていました。すると何者かが襲いかかってきたのです。

それはCIAが差し向けた、2人の暗殺者でした。遺跡を守るために応戦する優ですが、2対1の不利な状況のうえに敵が特殊能力者だったため、とっさに洞窟の内部に逃げ込みます。

逃げ込んだ先には、古代の地球の光景を見せる部屋がありました。氷河期の哺乳類や恐竜の姿に驚く優と教授でしたが、その正体は精巧な立体映像。さらに奥に進むと、電子媒体を使ったデータバンクを発見するのです。

古代の地球の記録を、CIAは一体何の目的で狙っているのでしょうか。

 

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["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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今回登場するキャラクターは、この遺跡を調査しているマクマホン教授。優は彼女の講師時代に、彼女から講義を受けていたことがあるようです。

今回のエピソードは、断片的な情報から遺跡の正体を探るというミステリー要素を含んだ内容。最初マクマホン教授は、この土地では天からきた「ノンモ」という神は、肉眼では見えない星の存在をはじめ、当時では知りえない天文学の知識を持っていたという伝承を語ります。

そして遺跡の内部には、過去の地球を再現した立体映像や、当時の地球の環境や生物の情報を分子・遺伝子レベルでデータ化した装置などがありました。それが「天からきた」というのは、いかなる意味を持っているのでしょうか。

一方では、情報が敵の暗殺者に漏れていたり、アーカムのなかにも兵器開発をおこなうべきだと主張するものが現れ始めたりするなど、徐々に物語が不穏な空気を帯びてきます。終盤に明かされる遺跡の正体とその意義は、星新一の小説を彷彿とさせるような皮肉の効いたものになっています。

 

漫画『スプリガン』の見所13:「不死密売」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

優は芳乃から、奇妙な麻薬が出回っているという情報を聞きました。その麻薬の通り名は「神酒(ソーマ)」。服用している間は不死身になれると聞き、優はかつて帰らずの森で発見したソーマではないかという疑惑を持ちます。 

真相を確かめるために、タイにいる心霊手術の達人にしてスプリガンのドクター・パーカップ・ラムディに話を聞くと、それは三蔵法師が持ち帰ったとされる神酒の原材料「アンブロジア」と呼ばれる植物で作られた薬品ではないかと言うのです。

そんな彼らの前に、1人の拳法家が現れます。彼の名は、源双烈(チェン スワンリェ)。彼は優れた拳法の腕前と気功を操る力で優を完膚なきまでに叩きのめしましたが、ドクターの仕掛けたトラップに引っかかったため優は難を逃れます。

そしてアンブロジアを栽培している組織には、かつてアーカムに所属していた科学者の姿があり、アーカムのなかに徐々に亀裂が生じ始めていくのです。

著者
["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
出版日

初老の心霊手術師パーカップが、今回の優の協力者です。心霊手術とは超能力を使った医療術で、体に触れただけで人体の悪い部分を取り除いてしまうというもの。彼は治療術だけでなく戦闘力も高いので、アクションにもご注目ください。

その他にも拳法家で用心棒の源双烈が登場。強力な格闘術と気功の使い手である彼は桁外れな戦闘力を誇り、A・Mスーツを着た優すらも追いつめていきます。優は苦戦を強いられますが師の言葉を思い出し、己を奮い立たせて苦難を乗り越え、さらに強く成長するのです。

源は過去に朧と決闘したことがあり、若き日の朧について語られる貴重なエピソードも要注目。

その一方、今回のエピソードでアーカムの上層部が遺跡を独占しようとしていることがわかり、腐敗していくアーカムの実態が見え隠れしていきます。 

漫画『スプリガン』の見所14:「修学旅行」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

 

優は、通っている高校の修学旅行で京都に来ていました。生まれて初めての修学旅行で少々羽目を外していた彼に、1人の女子生徒、真田柊が近づいてきます。彼女は優のことが気になるのか、急接近してくるのです。そして彼の秘密を探ろうと迫ってきますが、初穂の助けもあり難を逃れます。

そんな時、同じく修学旅行に来ていた芳乃が現れます。彼女は、京都に住んでいる考古学教授の家の改築工事の際に偶然発見された飛鳥時代の古墳を探ろうとしていましたが、それを優に手伝わせようとするのです。

優はしぶしぶ彼女に同行しましたが、そこでなんとオリハルコンの元となる「賢者の石」を発見。しかし、それを狙って不気味な集団が優を付けねらうことになります。せっかくの修学旅行を台無しにされたくない優は、極力事を穏便に済ませようと思っているのですが……。

 

著者
["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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このエピソードで登場するキャラクター柊は、ちょっとひねくれた雰囲気で知りたがり屋ですが、それ以外はごく普通の女子高生です。しかし彼女が優に関心を持ったために、さまざまなトラブルを巻き起こしてしまいます。

今回のエピソードでは、珍しく学校の行事が中心。スプリガンとしての任務のために満足に学校生活を送れない優にとっては、まさに貴重な時間です。

しかし、そこへ芳乃が登場。優は修学旅行中にやった悪戯の証拠写真で脅迫され、遺跡調査を手伝ってもらうことに。スプリガンである優は古代遺跡に関するトラブルが避けられないのか、結局うっかり賢者の石を発見してしまうのです。

賢者の石は、あの有名な「ハリーポッター」シリーズにも出てくる錬金術によって精製される不思議な鉱物のことですが、本作の世界ではオリハルコンを精製するための貴重な鉱石という設定になっています。

そして優は、その石を狙っている奇妙な集団と戦うハメになるのです。修学旅行を楽しみたい一心で、周囲に悟られないように賢者の石を守る優の姿は涙ぐましいものがあり、いつも以上にコミカルな場面の多いエピソードでしょう。

漫画『スプリガン』の見所15:「精霊惑星」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

カナダのインディアンの儀式に込められた秘密に迫るべく、優とジャンは彼らの土地に入り込みました。彼らは龍脈に宿る生命エネルギーを召還し、精霊を呼び込む、としています。儀式がおこなわれると、必ず災害が起こると言われていました。

インディアンに伝わる予言の石版には、「最後の儀式がおこなわれると白い者の文化は崩壊し、彼ら(インディアン)は開放されるであろう」と記されています。

その膨大な力を呼び込む先住民族のメカニズムを欲して、世界各国の諜報員達がインディアンの森に集まってきます。そして優たちもインディアンと接触するべく、彼らの集落を目指すのです。

驚くことに、そこにいたのはインディアンの儀式を守るべく奮闘する優の父親(里親)御神苗隆(おみなえ たかし)でした。

彼に言わせると、この地の精霊が集まるのは100年に1度のことで、一生の内にあるかないかの貴重な儀式なのだそう。その儀式を守るために、優はジャンと隆と協力して、各国の工作員と戦うことになるのです。

そして始まるインディアンの儀式。優たちは、どんな現象を目の当たりにするのでしょうか。

著者
["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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今回登場するキャラクターは、優の父親である御神苗隆です。自称冒険家の風変わりな人物で、いつも世界中を巡り、カナダのインディアンの長老とも親しいよう。トラップの達人で、本職の諜報員や軍人でさえあっさり引っかかってしまうほど優れています。

はっきりいってかなりの変人ですが優のことを常に気にかける親らしい部分もあり、殺伐したスプリガンの任務よりも、自分とともに冒険をしてみないかと誘ってきます。本作は親子や家族に関わるエピソードは多くないので、貴重で印象深い内容です。

インディアン(現在では「先住民族」と呼ばれている)の儀式によって現れる精霊の正体とは、龍脈に流れている大地のエネルギー。このエピソードでは、これまでにも語られてきたガイア理論や龍脈が語られます。

そして予言の石版にある白いものの文化はもちろん、西洋人の文明を意味しています。このエピソードでは大地の精霊を崇めるインディアンの精神文化と、西洋人の物質文明の対立が語られているのです。

物語の最後に現れる巨大な精霊の姿は、西洋人の生み出した物質文明の終焉を暗示させるものなのか、それとも他に意味があるものなのでしょうか。

 

漫画『スプリガン』の見所16:「獣人伝承2」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

ジャックと優がアーカム日本支部で次の指令を聞いていたところ、芳乃が優に助けを求めてきました。

優は止むを得ず彼女をアーカムの施設に匿いましたが、追手は強靭な肉体を持った怪物。アーカムの誇る強化ガラスを難なく破壊してしまいます。おまけに銃弾も高圧電流もものともせず、背中から翼を生やして空まで飛んでしまうたのです。

芳乃から事情を聞こうとした優でしたが、彼女はどこかへと逃亡。そこで優は、彼女からくすねたフロッピーディスクの中身を見てみることに。すると、そこには奇妙な肉片を使って実験している画像があったのです。彼女が忍び込んだのは、トライデントの下請けをしている高隅化学工業研究所でした。

それを見たジャン顔色を変え、高隅化学工業研究所に潜入。そこで実験していた肉片の正体は、かつてトライデントに採取されたジャンの細胞であり、怪物の正体は獣人の細胞を基に製造された生物兵器だったのです。

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["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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今回は古代遺跡とはあまり関連性が無く、不気味な科学実験によって生まれた怪物と戦うというSF映画もしくはモンスター映画のような内容です。

またしても芳乃が騒動の発端となり、周囲を引っ掻き回し、遺伝子工学で生み出した怪物を巡るエピソードであるにも関わらず、コミカルな内容となっています。

「獣人伝承」のエピソードで、スプリガンになる前のジャンが己の肉片をトライデントに回収された場面がありますが、今回はその肉片がどうなったかが語られます。

最後のオチでは、芳乃がちゃっかりあるものを持ち去ろうとしているので、そこにもご注目ください。

 

漫画『スプリガン』の見所17:「人工進化」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

インカ帝国以前の時代に製造された、精密な石造りの模型が発見されます。その模型には、脳外科手術方法が記されていました。しかしアーカムの情報連絡ミスで、米軍の手中になってしまいます。

米軍の実験施設では兵士のなかに負傷者が現れたことを利用して、彼を実験台にして模型に記された図面どおりに手術してみることに。すると突如その被験者のテレパシーが覚醒し始めるのです。

一方、優は模型を回収するべく、研究施設に向かいました。しかし現場に到着した時には被験者の力が暴走し、その場にいた大半の人間は殺され、施設はパニック状態でした。 

そしてテレパシーの力が暴走し、彼の頭の中から不気味な幻像が出現。優がそれに触れると、被験者の力が媒体となって、自分自身の心の世界を見ることができて……。

優は己の精神の深層で、果たして何を見るのでしょうか。

著者
["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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冒頭からアーカムの連絡ミスなど、組織の腐敗が目立ちます。徐々にアーカムがおかしくなっているようです。

古代インカ帝国が脳外科手術をおこなっていたと優が解説していますが、実際にその時代の道具でも脳外科手術は可能なのだそう(もちろん麻酔薬もあります)。超常現象じゃなくても、古代人の技術は時に驚かされるものがあります。

このエピソードで興味深いのは、被験者のテレパシーが暴走した際に脳から出てきた、怪物のような幻像です。ややグロテスクながら、どことなく人間の潜在意識をイメージしているような興味深いデザインです。

テレパシーを通じて、優もまた人間の、そして自分自身の恐ろしい一面を目の当たりにします。人間とって進化とは何かを考えさせるエピソードでしょう。

 

漫画『スプリガン』の見所18:「山岳ピラミッド」あらすじ、見所をネタバレ紹介!

トライデントから脱退したために、彼らから追われることととなった巌と元ネオナチスのボー。彼らを追っているのは、かつて優の命を狙った米軍特殊部隊コスモスでした。

そんな2人に救いの手を差し伸べたのは、トライデントから脱却したラリー・マーカスンという男。彼はアーカムの新会長ヘンリー・ガーナムと手を組み、新しいアーカムの一員になりました。

アーカムはトライデントの出資者である高隅財閥と手を組み、工業力を用いて日本を軍事大国にする計画を打ち立てていたのです。

一方、コスモスたちはトライデントと手を組み、日本の龍脈を変えて日本列島を沈没させようと企み始めました。 

その情報を察知したラリーは、アーカムと決別しようとしている優とジャンに、コスモスと戦ってもらうように依頼します。

それに対しコスモスの金谷は優に執着し始め、己の指揮する部隊とともに戦いを挑んでくるのです。コスモスは優にとっても因縁深い相手で、忌まわしい過去を象徴する存在でもあります。

さらなる殺人マシーンとなって戻ってきたコスモスと幾多の修羅場を潜り抜け、心身ともに強い人間として成長を遂げた優。超人と殺人マシーンの戦いに決着をつける時がきました。

著者
["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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いよいよ明らかになるアーカムの腐敗。それは新会長ヘンリー・ガーナムの暴走が原因でした。彼はトライデントの優秀な指揮官ラリー・マーカスンを引き入れ、アーカムの技術を軍事利用するつもりだったのです。そして日本の工業力に目をつけ、軍事大国にしようと目論見ます。

今回は、冒頭から巌とボーという珍しいコンビの登場からスタート。ボーは格闘ゲームのような必殺技の名前を叫んで攻撃したり、一緒に逃亡した巌を勝手に「相棒」呼ばわりしたり、ぶっ飛んだ性格に磨きがかかっていることが窺えます。

そんな彼らはコスモスと戦うべく、かつての宿敵であるスプリガンの優とジャンと共闘することに。

一方コスモスは、オリハルコンを使って脳波を増幅し、精神波によって全体を1つの思考で動かし、より正確な戦闘技術と連携プレーで優達に戦いを挑みます。

しかし、数多の修羅場をくぐった優は、己の呪われた過去も乗り越えようと、心身ともに強くなっていました。そして朧の最後の教えによりA・Mスーツを脱ぎ、コスモス相手に肉体のみを頼りに戦うことを選ぶのです。

それぞれの考えと思惑が交差し合い、物語はうねりを見せ、最終局面と向かってゆきます。

漫画『スプリガン』の見所19:名言ランキングベスト5!

第5位

また機会があったら一緒に〝神秘〟を楽しもーぜ!!
(『スプリガン』第9巻より引用)

優の父親である隆が、本作のエピソードの1つ「精霊惑星」で事件が一段落して最後の場面で、再びまた冒険に出る際に優とジャンへ向けた別れ際の挨拶。優達のように、世界を守ろうという堅苦しい大義名分ではなく、人生を楽しもうとする大人の余裕を感じさせるセリフです。

第4位

生きているうちは、
神秘を神秘でかたづけちまうのはもったいねーじゃねーか………
(『スプリガン』第7巻より引用)

「忘却王国」で、優が船の上で幽霊島を探していた時に、船長のフォスター特別顧問から「世界中の神秘を見るつもりか?」と聞かれたときに言ったセリフ。本人の冒険への強い思いがこもった言葉で、上記の父親のセリフと比べてみると、いかにも若者らしい挑戦精神を感じさせるものとなっています。

第3位

誰が賢くて誰が愚かな選択をしたかは、
すべてが済んでからでないと何者にも判断はできません。
(『スプリガン』第10巻より引用)

「賢者の石」に出てくる優の師、朧のセリフ。朧は腐敗したアーカムを離れ、コスモスと行動をともにしていました。その際、彼が金谷から「あなたは賢い選択をした」と言われたときに返したセリフです。

どんな行動も100%正しいかどうかは、最後まで誰にもわかりません。まずは今自分が正しいと思ったことをやり、それを間違えたときは反省し、学ぶことが重要なのです。歴史や古代遺跡の研究も、自分や他人の行為を省みて、学ぶことの延長にあるものなのではないでしょうか。

第2位

オレの本当の家族はマリアとマークだ。
(『スプリガン』第6巻より引用)

「獣人伝承」で、ジャンは行方不明だった自分の父親と再会を果たしました。しかし父は、アーカムの宿敵トライデントに協力していたのです。そんな彼と対峙したときに、ジャンが言ったセリフ。

幼い頃に捨てられ、売春婦のマリアを母親代わりに、そして彼女の息子マークを兄弟としてともに過ごした彼。血のつながった実の父親より、己を育てたマリアと、実の兄のように慕ってくるマークこそ本物の家族だと語ります。

彼にとって真の家族は、ともに育ち、育てた者なのでした。我が子を虐待する親が後を絶たない昨今において、考えさせられる言葉でしょう。

第1位

オレ自身の手でアーカムを叩き潰す!!
(『スプリガン』第3巻より引用)

「帰らずの森」のエピソードで、優が「神酒(ソーマ)」の秘伝書をトライデントの巌から守ろうとしたとき、彼から「アーカムが必ずしも正義とは限らない、集めた遺産を使って世界の支配者になるかもしれない」と言われた時に放った言葉。

自分の所属している場所が、必ずしも正しいとは限らない。『スプリガン』は、そうしたことも読者に突きつけてくる作品でもあります。そんな時にどうするのか、今度は組織ではなく自分の判断で行動するしかないのです。

そして判断に従わないということは、その組織から見限られてしまうということにも繋がります。それは想像している以上に大変なことでしょうが、優に迷いはありませんでした。

漫画『スプリガン』の見所20:最終回が予想外の結末に?【ネタバレ注意】

 

アーカムの新会長に就任したヘンリー・ガーナムは、優が回収した龍脈の地図「マッパムンディス」のデータを持ち出し、南極へ向かいます。そしてアーカムの集めた古代文明のテクノロジーを独占、その技術を経済と軍事に転用し、世界の軍事バランスを掌握することで、この世界に秩序をもたらそうとしたのです。

それに反発する優たちスプリガン一同、アーカムに所属する学者達、そして元トライデントの巌は、ともにアーカムと戦う決意をし、南極へと向かいます。

南極には龍脈の力を引き出す遺跡があり、アーカム達が龍脈と接触を図ると、そこから炎の大蛇のような巨大な力があふれ出てきました。そして南極の龍脈に呼応して、世界中の龍脈から強大な力があふれ出てきたのです。その力は、決して人が触れてはならない恐ろしいものでした。

一方、南極にたどり着いた優達の前には強大な敵が立ちふさがります。かつてないほどの絶望的な状況に追い込まれた彼らは、果たして世界を救うことができるのでしょうか。

 

著者
["たかしげ 宙", "皆川 亮二"]
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ヘンリー・ガーナムは、終わらない戦争や環境破壊など腐敗した世界を正すためには、自ら強大な力を持って管理しなければならない考えて、アーカムを支配するようになります。しかし優達は、どれほど世界が腐敗していたとしても一個人が支配する世界は間違っていると考え、アーカムに反旗を翻すことにしたのです。

1人の人間として強く成長した優、そして彼に協力する仲間のスプリガンや科学者たち。彼らは組織という固まりから外れ、1人1人が自分で判断して協力し合います。そんな優達と、強大な力で支配するアーカムとの対立は、最終回の最大の見所でしょう。

アーカムは力を求めるあまり、地球の生命エネルギーを呼び起こしてしまいます。強大な炎の蛇の姿をした地球の生命エネルギー「炎蛇」。恐ろしくも美しいその力は、人類の科学をもってしてもコントロールすることはできない、とてつもない力です。

終末感漂う最後の戦いは、皆川亮二ならではの秀麗な筆致によって、漫画界屈指の幻想的な光景に描かれています。予想外の美しさ、展開はぜひご自身でご覧ください。

皆川亮二の幻想的で端麗な絵、たかしげ宙の奇想天外なストーリーと設定。

冒険も、ファンタジーも、SFもすべて詰まった少年の宝箱のような本作を、ぜひ読んでみてください。

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