明るく元気に働くクリーニング屋のお姉さんと、そこを訪れる様々なお客さんとのやりとりが描かれる、ほのぼの日常漫画。グルメ漫画ではレシピを知ることができるように、本作では洋服の豆知識を得ることができますよ。本作は2017年から「ヤングガンガン」で月1連載されているはっとりみつるの作品です。 スマホの無料アプリでも読むことができるので、気になった方はそちらもどうぞ!
「金目にお任せ下さい」
(『綺麗にしてもらえますか』より引用)
クリーニング屋を営む主人公・金目綿花奈(きんめ わかな)にかかれば、どんな頑固な服のシミも綺麗さっぱり消えてしまいます。
海辺の街、熱海の住宅街にひっそりと佇むクリーニング店「キンメクリーニング」。彼女はたった1人で店を切り盛りしていました。誠実で働き者、クリーニングの腕も抜群な彼女の人柄に惹かれて、キンメクリーニングにはさまざまなお客さんがやってきます。
- 著者
- はっとりみつる
- 出版日
- 2018-03-24
本作はクリーニング屋という職業がフィーチャーされた珍しい作品で、クリーニング店を中心に、穏やかな日常が描かれ、さらに洗濯のお役立ち知識を得ることができます。舞台となっている熱海の景観も美麗に描かれており、ローカル漫画としての魅力も盛りだくさんの本作。
素敵なクリーニング屋のお姉さんが、衣服の汚れだけでなく、心の汚れまでもすっきり洗い流してくれるような、さわやかな日常生活を描いた物語です。
作者・はっとりみつは、三重県出身の男性漫画家です。代々木アニメーション学院卒業後、2000年に『イヌっネコっジャンプ!』で連載をスタートし、漫画家デビューを果たしました。
学園モノ、ラブコメを得意とする作家。青年誌での活動が多い関係で、各作品に多少お色気要素があるのも特徴でしょう。
- 著者
- はっとり みつる
- 出版日
- 2006-01-17
代表作は『ケンコー全裸系水泳部 ウミショー』(通称、ウミショー)、『さんかれあ』です。どちらもTVアニメ化されました。
「ウミショー」は水泳部を舞台にしたギャグ中心のラブコメで、『さんかれあ』は同じくラブコメではあるもののゾンビが登場する現代ダークファンタジー作品。気になったかたは、ぜひこちらも手に取ってみてください。
綺麗な(クリーニングをしてくれる)お姉さんは好きですか?
主人公の金目綿花奈(きんめ わかな)は、思わずそんなフレーズを思い浮かべてしまうような女性です。年齢はおそらく20代、明るくはきはきとしていて、気遣いのできるキャラ。麗しい黒髪のポニーテールがトレードマークで、活発さと清楚感が滲み出ています。
クリーニング店を営むも、お得意様にご年配の方が多いことから、集配も請け負っているので外出することも。わざわざ出向いて仕事をする心配りからも、彼女の人柄が垣間みえます。
基本的には天然キャラですが、微笑ましいボケをかましながらも営業をかけているなど、結構ちゃっかりしています。それも好感度を上げることに繋がっていて、常連客どころか読者の心も鷲掴みにするでしょう。
また、子供のようにあどけない仕草をしていたかと思うと、ふとした瞬間に大人の色気を感じさせるシーンが出てきます。薄着から覗く胸の谷間、陽気に照らされうっすら汗ばむ様子には、健康的な色気に自然と魅せられてしまいます。
油断から生じるラッキースケベもあり、温泉地として知られる熱海だけに、入浴シーンも。この他、一夜明けて寝乱れたあられもない姿……など、目の保養には事欠きません。
しかし実はなんらかの事情で、2年より前の記憶がありません。ボロボロになった自分の幻影を見る場面もあり、謎の多い人物でもあります。健康的で優しいお姉さんかと思えば、色気もあって、謎もある……一体彼女は何者なのでしょうか。目を離すことのできない主人公です。
主人公の綿花奈もとっても魅力的ですが、彼女のお店に集まる人たちも魅力的。そんな本作に欠かせないキャラクターたちをご紹介します。
綿花奈とは異なる大人の魅力が溢れる人妻のお姉さん、矢柄麻未(やがら あさみ)。普段は少女っぽい綿花奈の大人の側面を引き出してくれます。プライベートでも仲が良く、彼女達がお酒を飲んだ翌日の描写は必見です。
職業柄、綿花奈の交友関係は主婦をはじめとした女性が多いです。その中で数少ない異性の知り合いに、石持毬祥(いしもち きゅうしょう)がいます。
彼は民宿旅館「いしもち」の息子で、忙しい女将に代わってクリーニングを出しにきたときに、綿花奈と知り合いました。年頃の少年だけに、美人のお姉さんである綿花奈にドギマギするのが微笑ましいです。
クリーニングの仕事に興味津々の小学生、片口那色(かたぐちないろ)も魅力的なキャラです。小さな女の子なのですが礼儀正しく、非常に聡明で綿花奈を慕っています。集中すると他が疎かになって綿花奈を困惑させることもありますが、綿花奈も他人に同じようなことをするので似た者同士という感じです。
キンメクリーニングには、老若男女の優しい常連さんたちが日々行き交います。それぞれに魅力をもったキャラクターたちです。
『綺麗にしてもらえますか』には職業漫画の側面もあります。
自宅には洗濯機があり、街角にはコインランドリーもある現在、クリーニング屋さんにお世話になることはあまりないかもしれません。利用するとしても、スーツや季節物のコートを洗ってもらう程度でしょうか。
キンメクリーニングは「地域に根差したまごころサービス」をモットーに、洋服どころか、鞄や靴、皮、布製の小物のお手入れまでしてくれます。
綿花奈は職業病というか、ある種マニアックなまでのクリーニング気質があります。汚れやほつれを見かけると、ついそのままにはしておけず、その場で処置をしてしまうほど。
その最中に、普段の洗濯や衣服の手入れで使える豆知識、ワンポイントアドバイスなどを教えてくれるのが読者にとっても嬉しいところです。
シミの構造や、消臭・除菌スプレーの適切な使い方には目から鱗。知っているととても便利な知識ばかりなので、「洋服を大事にしたい」そんな方にはぜひ読んでみてくださいね。
本作を読むと、洗濯してみたくなったり、クリーニングを利用してみたくなるのも魅力の1つといえるでしょう。
ある夏の日、綿花奈は仕事を終え、近所のお祭りにでかけました。山車の巡行には、彼女が洗った法被を着た何人かの常連客が混じっていました。綿花奈は彼らに誘われて、山車を引く列に加わり、祭りを存分に堪能します。
その後、祭りに参加していた毬祥に促され、山車の上に登ることになるのですが……。
- 著者
- はっとりみつる
- 出版日
- 2018-10-25
毬祥は、綺麗な年上のお姉さんとして綿花奈を意識している様子。しかし、彼女の方は馴染みのお客さんか、せいぜい弟感覚でしかありません。これまで恋愛に発展しそうな気配はありませんでした。
しかし、祭りの最中に起こった出来事で事態は急変。ラッキースケベとは異なりますが、男子としては嬉しいハプニングです。さすがの綿花奈も、このエピソードで起こったことを考えれば、彼を異性として意識せざるを得なくなるはずですが……。
キンメクリーニングを中心とした、日常を描いた作品。それに加えて、ラブコメとしてどう進展していくのか、今後に期待が膨らみます。
いかがでしたか? クリーニング店はあまり馴染みがない、という人も多いのではないでしょうか。彼女の人柄のよさとともに、クリーニングの意外な裏側を知ることができる作品となっています。