主人公・柴石(しばぜき)すいれんは、その美貌から男女問わず人気者。しかし、人気がありすぎるせいで、喋ることも表情を変えることも極端に少なくなってしまいます。そんな彼女の前に、まるで態度を変えない男子生徒が現れて……⁉今回は、口下手同士のもどかしい純愛を描いた『日々蝶々』の見所を全巻ネタバレ紹介します。 本作は、スマホの漫画アプリでも無料で読むことができるので、気になった方はそちらからもどうぞ!
歩くだけで誰もが振り返り、赤面するほどの美少女・すいれん。可愛すぎるため、男子に群がられ、ときには意地悪をされることもありました。
そのことで男性が苦手になった彼女ですが、自分を見ても騒がずに、かといって冷たくされるわけでもない不思議な男子生徒に出会います。
今まで異性を好きになることなどなかったすいれんですが、はじめての恋に戸惑い、悩み、苦しみながらも、「一生に一度きりの恋」ときちんと向き合って成長していき……。
ここから先は、本作の胸キュンエピソードや全巻の見所を紹介します!ネタバレを含みますので、苦手な方はご注意ください。
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- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2012-07-25
『日々蝶々』の魅力は、なんといってもすいれんと川澄の「不器用同士の恋」です。すいれんは、周りからの過剰な反応を恐れ、最低限しか言葉を発さず、また表情も変えないようになりました。そのため、いつの間にかとても口下手な人間になってしまったのです。
一方、本作のヒーローとなる川澄も、幼いころから空手一筋で、女子と話すのが苦手です。すいれんに対しても異様な口下手さを発揮します。ヒロインとヒーローが同じ空間にいながら、無言の時間や片言の会話が続くことも。
また、口下手ということは、それだけ自分の気持ちを言葉にするのも、相手の本心を引き出すのも苦手ということ。2人も多くの少女漫画のように、付き合ってからのすれ違いや衝突が起きるのですが、そのどれもが非常に静かに発生するのです。
お互いがお互いに気を遣ってしまっているという状態は、現実の恋愛なら当たり前に起こることですが、少女漫画ではなかなかめずらしい展開でしょう。自由にできることや、自由にできる時間が少ない学生だからこそ起こりうる問題を、見事に描いています。
キャラクター自体は、絶世の美少女と硬派という現実的ではない設定ですが、この2人が織りなす恋愛は、とてもピュアで子どもらしいもの。現実と通ずるものがあるのが魅力的な部分ですね。
男子も女子も魅了してしまうほどの美貌を持つすいれんは、そのせいで男性が苦手になり、口数も減り、無表情でいることが多くなってしまいました。
女子校でもアグレッシブな黄色い声を浴びせられ、共学の高校へと進学するのですが、そこにはすいれんに興味を示さない男子生徒・川澄がいたのです。
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2012-07-25
1巻の見所は、そんなすいれんが彼への想いを自覚し、そして川澄と短いながらも会話をするシーンです。学校では川澄を狙う先輩・小春に押し負けてしまいますが、同じ学年のすいれんのほうが有利なイベント「遠足」でアピールをします。
ひとり浜辺で海を見ていた彼女に、バレーボールが当たります。痛くないか確認に来てくれた川澄。そんな彼を呼び止めようにも、口下手なすいれんはそれができず、ひとりで海水をバシャバシャするというアピールを始めます。あまりにも不器用ですね。
見事それに釣られた川澄ですが、彼もまた口下手。2人でなぜか海を眺めるという時間がやってきます。お互いに距離を測りかねているなか、すいれんは、そんな優しく不器用な彼が好きだと自覚するのです。
勇気を振り絞って自分から声をかけるすいれんと、それに照れながら答える川澄に、胸キュンすること間違いなしです。
ほかの男子と違い、すいれんに対して素っ気ない川澄。しかし、これは空手一筋で生きてきたせいで、女子とどういう風に接していいかわからないからでした。
すいれんに興味がないわけではなかったようで、むしろ自分にだけ笑いかけたり、話しかけてくれたりする彼女に、どんどん惹かれていくようになります。
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2012-11-22
川澄だけに見せる特別感。彼もその特別感だけは自覚しているようでしたが「それは自惚れではないのか」など余計なことをいろいろと考えているようでした。
一方、すいれんはなんとか彼と一緒にいる機会を作ろうと、花火大会に2人で行こうと誘います。浴衣姿がとても可愛いので、ここは必見ですね。
花火大会にやって来た2人は、知り合いに見つかりそうになりながらも、出店や花火などを楽しみます。口下手同士の、うまく会話が続けられないドギマギ感は、見ていてとても微笑ましいです。
すいれんが男子と花火大会に来ているところを、川澄の友人・りょーすけに見られてしまい、今後ひと悶着ありそうな気もしますが、まずは幸せそうにデートをする2人に胸が温かくなります。
川澄がすいれんを特別に想っている……それは、小春とすいれんだけが知っていること。
押して押して作戦から、引いて引いて作戦に変えている間に、すいれんと川澄がずいぶんと先へ進んでしまったことを知った小春は、想いを諦めきれず、2人の間に立つことに。
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2013-03-25
本当に川澄を好きなのか疑問なところもありましたが、すいれんと同じく、本当に彼そのものを好きなようでした。しかし、川澄がすいれんのことを、きちんと「好き」なのだと気づいてしまう小春。このシーンには、胸が痛くなるでしょう。
小春が気づくタイミングで、川澄の友人であるりょーすけは、すいれんと川澄、そして小春の気持ちをすべて知ることに。どこからどう見ても両想いな2人に、小春が可哀想になってしまうりょーすけ。
3巻では、今までモブだった彼の、人の良さや川澄との友情などが多く描かれています。ぜひそこに注目してほしいですね。
普段はすいれんを「高嶺ちゃん」と呼び、ほかの男子と同じように騒いでいますが、川澄とすいれんの想いを再確認してからは、何よりも川澄の幸せを願い、小春に想いを吹っ切る時間を作るなど、その活躍ぶりが目立ちます。
4巻では、小春のことが一段落し、川澄も自身の想いを認め、毎週水曜日は一緒に帰るところまで恋が進展します。
お互い口下手なため、決して会話は弾みませんし、距離が急激に縮まるわけではないですが、それでも確実に2人は前へと進みます。
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2013-06-25
高校が舞台の作品の定番イベントといえば、文化祭。前日と当日は部活がないと言われたすいれんは、水曜日以外も一緒に帰れることを喜んでいました。2人きりになれる時間はとても大切です。
文化祭当日に、一緒に回る約束を取りつけたすいれんですが、学校中が知っている高嶺の花であることは変わりません。
そのため堂々と一緒にいることは叶わず、しかも、ほかの学校に通う川澄の先輩・後平が、2人が付き合ってるんじゃないかと大声で言ったせいで、余計に一緒にいられる雰囲気ではなくなります。
しかし、結果的に2人で隠れることになったおかげで、すいれんと川澄はお互いの想いを知ることができたのです。
両想いであることを知った川澄とすいれん。しかし、好き合った後に「付き合う」とはどういうことかがわからない2人は、お互いへの想いを知ったまま、それ以上の関係にはなりませんでした。
川澄がすいれんと彼女の両親とともに食事をするシーンが、照れくさくもキュンとする5巻ですが、1番の見所はやはり、川澄の公開告白シーンではないでしょうか。
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2013-09-25
付き合って何をするのか、何が変わるのかわからなかっただけで、付き合いたくないわけではない2人。そんななか、再び小春と出会ったすいれんは、自分は何も努力していないのでは、と考えるようになります。
たしかに、小春のガッツに比べると、すいれんのアピールは弱々しく見えるかもしれませんね。
もっと頑張ろうと決意したすいれんは、学校で川澄に挨拶することにします。普通のことのようですが、すいれんにとってはとても大変なこと。案の定、すいれんと挨拶をしたい男子生徒や、とりあえず告白したい人たちが大勢群がってきます。
げんなりしながら、首を振って断っていたすいれんですが、それを止める形で、川澄がついに告白をします。大勢の生徒の前での告白は、男気を感じる名シーンです。
付き合ってはじめてのデートの約束。川澄もすいれんも、お互いにどうしていいかわからないまま、当日が来てしまいました。
目的もなく長距離を歩いたせいで、すいれんは靴擦れを起こし、それ以上どこかに行くことなくデートは終了。成功か失敗でいえば、失敗に終わった初デートですが、それは「次」を約束するきっかけにもなりました。
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2013-12-25
長い距離を歩く場合、履きなれないおしゃれな靴は合いませんが、それでもデートのために可愛い格好をしようとするすいれん。付き合ってからのほうが空回りしてしまってる様子は、とても可愛らしいです。
すいれんの靴事情に気づかなかったり、クリスマスには参考書をプレゼントしたりするなど、不器用で少々ズレたところのある川澄ですが、それでも一生懸命なところを見ると、やはり嫌いにはなれません。
すいれんも嬉しそうですし、2人にはこのまま幸せになってほしい気がします。
しかし、川澄にはすいれんと出会う前より大切にしていた空手があります。今のところ、空手を最優先している川澄に対し、このまますいれんが受け身でいると、どこかですれ違ってしまう……かも。
川澄が空手中に腕を折ったことを後から知ったすいれん。そんなことも知らずに、ただ電話を待っているだけだった自分を情けなく思いました。
また、自分はただ待って応援することしかできないと思うすいれんですが、川澄はそんな彼女の心情も知らず、応援されたことを素直に喜びます。
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2014-04-25
川澄は空手が好きなため、骨折してもやっていたいし、応援されて嬉しいと考えます。しかし、すいれんは応援しかできないもどかしさや、安静にしてほしい不安なども感じていました。
そんな2人のすれ違いを修正するように見せて、ひっかき回す後平。後平が2人にからんでくるのは、川澄に対しての負けたくないという想いと、恋愛で腑抜けてほしくないという期待があるからでした。
しかし、「不安にさせない」という川澄の言葉を受け、すいれんはどんなことがあっても信じようと決めます。
口下手同士なので、ちょっとしたすれ違いがこじれるのでは?と心配でしたが、そんなこともなく、さらに絆を強めた2人。そして高校2年生になり、同じクラスになります。今後どんな距離の縮め方をするのか楽しみですね。
同じクラスになることで、恋の展開が加速するかに思われますが、すいれんたちが付き合っていると知っている男子生徒たちが変に騒ぎ、彼女の心労が溜まっていくことに。
それを気にした川澄が、クラスでは話さないよう提案するのですが、川澄が空手の大会で忙しくなり、2人で喋る時間がなくなってしまいます……
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2014-07-25
空手の大会に力を入れたいからと、水曜日も一緒に下校しなくなってしまい、学校でも話せないとなると、2人の接点はありません。
そんな状況のなか、ろくに話せないまま迎えた遠足日。観覧車のジンクスを聞いたすいれんは、追ってくる男子たちから逃げるように観覧車に乗り、なんとキスをせがみます。しかし、その後に乗ってきた男子のせいでそれさえ叶いませんでした。
すいれんの気持ちを最優先に考えてあげられない男子たちに、少々うんざりした気持ちになってしまいますね。
キスができなかったすいれんは、自分の不安をすべて川澄に打ち明けました。モブたちへの怒りと、空手に比重を置いてしまった川澄へのやるせなさを伝える、切ない名シーンです。
彼女が泣いているのを見て、別れたという噂が流れ始めたのを知ったすいれん。その噂と後平の正論に、苦しく、恋がわからなくなり、一度川澄と距離を置いてゆっくり考えることに決めました。
距離を置くと決めたものの、席替えでなんと後ろに川澄が座ることに。恋人同士のまま、一旦距離を起きつつ、実質的な距離は近づく2人。そして、再び花火大会へ行くことを約束します。
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2014-11-25
前回とは違って、仮面はなし。2人とも堂々と顔を出して祭りを楽しみます。この違いは、やはり彼氏・彼女の距離感によるもの。その後、2人は休日デートにも再チャレンジします。
今度はお互いの好きなところへ行くことにしますが、結果まったく趣味が合わず、またすいれんの好きなものを川澄が苦手だと判明。しかし、以前より気を遣わない関係になり、2人の距離はグンと縮み、教室で挨拶するところまで復活しました。
ちょっとずつ擦り合わせていこうとする姿は、とても可愛いですね。川澄のために強くなろうとするすいれんの姿からは、無理をさせたくない健気さと、応援したいガッツがうかがえます。
後平からのアドバイスを実践し、少しずつ変わっていこうとするすいれん。それからも何かと後平は気にかけてくれるようになりますが、それはすいれんに気があるから。
そんな後平の変化に川澄は気づき焦りますが、じつは川澄もすいれんも知らないところで、小春が後平に想いを寄せていたのです。
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2015-03-25
最初は、ただただちょっかいをかけているだけだった後平。いつの間にかすいれんに惹かれていたようでした。
小春は、後平に好きな人がいることを知りますが、それが誰なのかまでは知らないのです。小春のことを考えると、なんともやるせない気持ちになります。
そして、後平がすいれんに告白し、すいれんがそれを断ったことを小春も川澄も知りません。いくら親しい間柄でも、言えないことはあります。すべてを知る読者からすると、もどかしい気持ちになるでしょう。
ただ、後平も川澄も、お互いを恋のライバルとして、それぞれモヤモヤとした気持ちを抱えながらも、お互いが元気だったかをまず確認するという、変わらない友情のシーンにぜひ注目したいところですね。
3年に進級したすいれんたち。後平や小春などもいなくなり、最後の高校生活が始まります。
すいれんにとってはいつもと変わらない、今までとは違う高校最後の年。このときはじめて、幼馴染のあやの秘めた想いを知ることになったのです。
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2015-07-24
ずっとすいれんを守ってきたあや。すいれんとあやの絆は、当たり前のものとして物語が進んできたため、これほど明確に「友情」を表したのは本巻がはじめて。ぜひこの2人の友情にも注目したいところです。
また11巻の見所は、やはり最終回となる最終話ではないでしょうか。ついに迎えた卒業式。厳かに進行するなか、下級生の男子が壇上ですいれんに告白し、笑いが起きました。小さく震えるすいれんでしたが、川澄が壇上に上がり、その生徒を下に落としていることに気がつきます。
静まり返った全校生徒・保護者の前で、川澄は堂々と宣言したのです。
「彼女を冷やかさないで下さい
困らせるのなら俺が相手します
柴石すいれんさんはこの先も俺が守っていく人です」
(『日々蝶々』11巻より引用)
付き合い始めたころの、しどろもどろしていた彼と同一人物とは思えない一幕。素晴らしい男気を見せた川澄がとてもかっこいいですね。卒業式後も彼の真面目さや、素直さが見られる胸キュンポイントがあるので、あわせて要チェックです!
12巻では、漫画家からのイラスト寄稿や、本編1話の川澄サイド、大学生になった後平と小春の話、友人・ゆりの恋愛事情など、多くの番外編が収録されています。そのなかで、もっとも見所となる話は、後平と小春の話です。
- 著者
- 森下 suu
- 出版日
- 2015-10-23
本編では、小春が後平を好きだけど告白はしないこと、後平が小春の気持ちを知りつつ、すいれんへの未練を断つまでしか描かれませんでした。その後2人がどうなったのか気になりますよね。
後平と小春は、二十歳になって再会するのですが、彼女は変わらず後平のことを好きでいました。再会してからも、彼はひょうひょうとしていて、気持ちの真意は読めません。すいれんや川澄とは違った不器用さがある2人です。
そんな彼ですが、最後の2ページにある描き下ろしで、「あの短編はなんだったんだ後平!」と物申したくなるようなことを言います。本人には素直になれないけれど、周りには素直に気持ちを打ち明ける、それが彼の魅力なのでしょう。
すいれんと川澄の番外編も収録されているので、ぜひ読んでみてください。
『日々蝶々』をはじめとした絵のかわいいおすすめ漫画を紹介した<絵が可愛いおすすめ恋愛漫画5選!ヒロインを描くのが上手い少女漫画家>の記事もおすすめです。気になる方はぜひご覧ください。
恋愛も、それ以外も不器用な人々が、不器用ながらに一生懸命に恋をする『日々蝶々』。叶う恋、叶わない恋、叶えてはいけない恋、諦めきれない恋。恋にはさまざまなものがあり、どれも尊いものだと思わせてくれる作品です。