酒好き必見!つい飲みたくなる、お酒が出てくる小説おすすめ5選!

更新:2019.5.17

大きな仕事を終えた後の1杯や、友人や家族と楽しく会話をしながら飲む1杯……日常的にお酒を飲む人も多いでしょう。アルコールは私たちの生活に密接し、物語のなかにもたくさん登場します。この記事では、酒好きな人にこそ読んでほしいおすすめの小説を紹介していきます。

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ヒロインの飲みっぷりに酒がすすむ、おすすめ小説『夜は短し歩けよ乙女』

 

主人公は、「先輩」と呼ばれる京都の大学生。同じクラブの後輩である「黒髪の乙女」に恋をしています。この日は、彼女と仲良くなるきっかけがあればと、大学のOBの結婚式に出席しました。さて二次会へ行こうかという時、彼女の姿が見当たりません。

「黒髪の乙女」はとてつもない酒豪で、誰にも遠慮せずに飲みたいため、二次会へは参加せず「月面歩行」というバーへ行っていたのです。

彼女がひとり飲んでいると、錦鯉の養殖をしている経営者、東堂に絡まれます。彼は竜巻などの災難が重なり、李白という高利貸しから借金をしているとのこと。そして返済のためには、命よりも大切な春画を売らなければならない状態だったのです。

「黒髪の乙女」は傍で飲んでいた羽貫という女性の助け船で、東堂から逃れることに成功。しかし、李白という人物は「偽電気ブラン」という、とても強くておいしいお酒をもっているという噂を聞いて、興味を抱いてしまうのです。

著者
森見 登美彦
出版日
2008-12-25

 

2006年に刊行された、森見登美彦の作品です。イラストレーターの中村佑介の表紙が目印。

主人公であり語り手でもある大学生の「先輩」と、彼が片思いをしている後輩「黒髪の乙女」を中心に物語が4編収録されています。なかでも表題作の「夜は短し歩けよ乙女」は、酒豪の「黒髪の乙女」と富豪の老人、李白との「偽電気ブラン」の飲み比べ対決が見どころです。

「電気ブラン」とは、電気がまだ珍しかった明治時代にできた、ブランデーをベースにしたカクテル。「偽電気ブラン」は、それを模して作ったものなのでしょう。アルコール度数が非常に高いそうですが、「黒髪の乙女」は酔うどころか幸せな気分を感じるようになります。彼女がおいしそうにお酒を飲む姿に、読者も思わずつられてしまうかもしれません。

ワインを中心に心温まる物語が描かれた小説『ヴァン・ショーをあなたに』

 

舞台は下町にある小さなフレンチレストラン「パ・マル」。ぶっきらぼうで、変わり者として知られる三舟シェフを中心に、4人のスタッフで切り盛りしています。

店には毎回、不可解な謎を抱えた客がやって来ます。スキレット(厚手のフライパン)が錆びて困っている常連客や、次々とベジタリアン向けの料理をオーダーする客など……。

それでも三舟シェフは、さまざまなおいしい料理で客の舌を喜ばせながら、同時に彼らの抱える謎も解き明かしていくのです。

著者
近藤 史恵
出版日
2015-02-27

 

2008年に刊行された近藤史恵の作品です。前年に発表された『タルト・タタンの夢』の続編で、作中で名推理をみせる三舟シェフの過去の物語も収録されています。

タイトルにある「ヴァン・ショー」とは、ワインと香辛料などを温めて作るホットカクテルのこと。加熱することで若干アルコールを飛ばし、寒い時期に体を温めてくれる飲みものです。地域によって使われる材料が異なることも特徴でしょう。

本書では、作中にヴァン・ショーがたびたび登場。特に表題作「ヴァン・ショーをあなたに」では物語のキーとして用いられています。さらにお酒だけでなく料理がかなりおいしそうに描写されているのも魅力です。垂涎ものの一冊でしょう。

酒を飲みながら読みたいハードボイルド小説『テロリストのパラソル』

 

主人公の島村圭介は、ある出来事をきっかけに名前を変え、過去を隠してバーテンダーとして生活をしていました。

アルコール中毒の彼が公園の芝生でウイスキーを飲んでいたところ、6歳の少女に話しかけられます。その直後、公園の奥で爆発が発生。現場はたちまち絶叫や混乱が入り乱れ、島村は咄嗟に先ほどの少女を助けるのです。

救助した少女を近くにいた若い男性に託し、その場をあとにする島村。しかし駆けつけるパトカーに気付き、自分が飲んでいたウイスキーの瓶とカップを置き忘れたことを思い出します……。

著者
藤原 伊織
出版日
2014-11-07

 

1995年に刊行された藤原伊織の作品です。

主人公の島村は、過去を隠しながら生きているアルコール中毒のバーテンダー。物語の冒頭で爆発事件と遭遇し、これをきっかけに彼の過去がしだいに明らかになっていきます。島村の正体は、20年前に起きた爆発事件(実際は事故)の当事者、菊池俊彦だったのです。過去から目を背けるために、中毒になるほど酒に逃げていました。

しかも今回の事件には、かつての友人や同棲相手が巻き込まれていることが判明。彼は容疑者として身元を追われながら、事件の真相を自ら解き明かそうとまっすぐ生きていくようになります。ラストは過去を払拭した島村の姿とともに、おいしいお酒を飲めることでしょう。

バーを中心にくり広げられる村上春樹のおすすめ小説『風の歌を聴け』

 

主人公の「僕」は、29歳。20歳の時に経験した夏の18日間の出来事を、断片的に記していきます。

帰省をした僕は、友人の「鼠」とともに、連日バーでビールを飲んでいました。ある日、バーの洗面所に倒れていた女性を介抱し、家まで送り届けます。

後日、たまたま入ったレコード店で、アルバイトをしている彼女と再会。しだいに距離を縮めていくのです。そして僕は、彼女のある秘密を知るのでした。

著者
村上 春樹
出版日
2004-09-15

 

1979年に刊行された村上春樹のデビュー作です。1981年には映画化もされました。主人公の僕と同じ29歳になった春樹が、自身もバーで働いていた経験を活かして綴っていきます。

バーという閉鎖的な空間、酒の力……登場人物の置かれている状況が、ぽろりぽろりとこぼれていく描写が秀逸です。彼らが発する機知に富んだセリフが、淡々としていながらも妙にもどかさと儚さを醸し出しているのです。

村上春樹は、プロ野球を観戦中に突発的に文章を書きたくなったのだそう。彼が何を伝えたかったのか、過ぎ去った夏の物語から感じてみてください。

酒好きの人にこそ読んでほしいいおすすめ小説『今夜、すべてのバーで』

 

主人公の小島容は、アルコール依存症で全身ボロボロに。眼球が黄色くなってきたため病院へ行くと、そのまま緊急入院することになりました。

病室には若者から老人まで、個性的な患者たちがいます。彼らは病院内を自由気ままに動きまわり、小島も蕎麦が食べたくなるとこっそり抜け出して、盛大に酔っぱらって帰ってくるのです。

そんな彼を見て、担当医師が霊安室へと連れていきます。そこには同じ部屋にいたはずの男の子が横たわっていて、小島は酔っ払いながらも、虚しさに打ちひしがれるのでした。

著者
中島 らも
出版日
1994-03-04

 

1991年に刊行された中島らもの作品です。重度のアルコール依存症である小島の入院生活を描いています。作者の中島自身もアルコール依存症で入院した経験があり、リアリティのあるエピソードの数々が魅力でしょう。

依存症になるきっかけは、人によってさまざま。そして、生きていくうえで心の支えになる何かを求めることも、間違っているわけではありません。本書は、徐々に酒に溺れていく人や症状などを面白おかしく描きながらも、アルコールとの付き合い方を考えさせてくれる内容になっています。

酒好きであるならば、おいしく楽しく嗜みたいはず。酒好きの人にこそ読んでほしい作品です。

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