怪談小説おすすめ5選!めちゃくちゃ怖い!?名作や短編、有名作家の作品など

更新:2019.5.26 作成:2019.5.26

怪談小説というと、妖怪や幽霊のイメージが強いかもしれませんが、実際は人間の心に潜む暗鬱とした部分が題材になることも多いです。この記事では、有名作家の名作と呼ばれる作品や短編集など、おすすめの小説をご紹介。身の毛がよだつような恐怖を堪能してみてください。

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四谷怪談をもとにした京極夏彦の名作小説『嗤う伊右衛門』

 

あるところに、間もなく60歳を迎える又左衛門という男がいました。22歳になるひとり娘の岩は、気性が激しく、道に外れることを心底嫌う性格。ただ容姿が大変美しく、いつも注目の的です。

しかしある時岩は疱瘡を患い、顔の半分が醜く崩れ落ちてしまうのです。それでも彼女は、凛とした態度を崩しませんでした。

ある日岩のもとに、浪人の伊右衛門という男がやって来ます。彼は生来笑ったことがないと言い、けっして愛想もよくありません。しかし岩に興味を抱き、彼女の婿養子になりたいと申し出るのでした。

 

著者
京極 夏彦
出版日

 

1997年に刊行された京極夏彦の作品です。鶴屋南北の歌舞伎狂言「東海道四谷怪談」をベースに執筆されています。

物語の冒頭では、病で美しい顔を失ってしまった岩と、それでも彼女を一途に愛した伊右衛門の純粋な愛の物語が描かれています。しかし本作の見どころは、その後。岩を取り巻く人間たちの愛憎劇です。

かつて岩には、彼女を慕ってくれる男性がいました。岩が伊右衛門と結婚したことで激しく嫉妬をし、ありもしない嘘を広めます。それに怒った岩は家を出ていき、伊右衛門はその間に他の女性と結婚してしまうのです。ただ両者の間に生まれた子どもは、伊右衛門と血の繋がりはありません……。

ラストまでドロドロした空気感が続きます。人間の怖さと、切ない恋愛物語を味わうことができるでしょう。

 

後味悪すぎ、人間の狂気を描いたおすすめ怪談小説『ぼっけえ、きょうてえ』

 

岡山県のとある遊郭で、女郎が客に身の上話を始めました。彼女の生まれは岡山県の寒村です。そこは1年置きに飢饉が発生するようなとても貧しい村で、女郎はそのなかでも最下層の暮らしをしていました。父親からの強姦、母親からの殺害未遂など、地獄のような日々を過ごしたのです。

さらにその村は貧しいにもかかわらず、近親相姦や無計画の性行為が後を絶たず、子どもが次々と生まれます。実際、女郎の両親も実の兄妹でした。さらに母親は間引き専門の産婆をしていて、女郎自身も生まれたばかりの子どもを何度も手にかけています。

そして彼女が遊郭に売られる直前、父親が何者かに殺されてしまう事件が起こりました……。

 

著者
岩井 志麻子
出版日
2002-07-10

 

タレントとしても活躍する作家、岩井志麻子の作品です。全部で4つの短編が収録されています。タイトルの「ぼっけえ、きょうてえ」とは、岩井の出身地でもある岡山県の方言で「とても、怖い」という意味だそうです。

女郎が語る身の上話は、あまりにも衝撃的で、まさに身の毛がよだつ恐怖を味わうことができるでしょう。人間がもつ狂気や残忍さをこれでもかと突き付けられます。

女郎が岡山の言葉を使って語ることで、村という閉鎖的な空間と、そこに沈殿している重たくて密度の濃い空気感を演出しているのも魅力です。後味の悪い怪談を堪能してください。

 

切なくて悲しい7つの怪談物語『抒情的恐怖群』

 

都市伝説を追いかけるうちに街の秘密を知ってしまうライター、住民が次々と不可解な死を遂げるマンション、「生ける屍体」となった彼女を世話し続ける恋人……。

切なさと、どこかもの悲しさが感じられる物語が収録された短編集です。

 

著者
高原 英理
出版日
2009-04-17

 

2009年に刊行された高原英理の作品です。全部で7つの短編が収録されています。「抒情」とは、「胸が締め付けられるような切なさを超えた感情」のことです。

リズム感があって、耳に残る文章が魅力的。どこか幻想的な雰囲気も漂わせつつ、おどろおどろしさもしっかりと身にまとっています。読み進めていくうちに、いつの間にか踏み込んではいけない場所に入り込んでしまった印象を受けるのです。

知らぬ間に鳥肌が立っているような、そわそわする読後感を味わえるでしょう。

 

クラシックな怪談を楽しめる短編集『ついてくるもの』

 

とあるホラー作家が、知人の女性から聞いた話だとして物語を綴ります。

それは彼女が高校生のころ。下校途中にたまたま立ち寄った廃屋の中を見てみると、七段飾りの雛人形が置かれていました。ほとんどの人形は、なぜか左目が潰された状態です。彼女は、唯一無傷だったお雛様を家に持ち帰ります。

その日を境に、彼女の周囲では次々と不幸な出来事が起こるように。その原因が雛人形にあると察した彼女は、人形を手放そうとしました。しかし何度捨てても、壊しても、お雛様はしつこく彼女の手元に戻ってきてしまうのです。

 

著者
三津田 信三
出版日
2015-09-15

 

2012年に刊行された三津田信三の作品です。表題作を含めた7つの短編が収録されています。

どの物語も、語り手が他の誰かから聞いた話として展開していくのが特徴。実録なのか創作なのかが曖昧で、信ぴょう性のある文章に鳥肌が立ってしまいます。

捨てたものが何度も戻ってくるというクラシックな設定で、怪談小説をあまり読んだことのない人にもおすすめです。また三津田は推理小説も得意とする作家だけあり、怪談特有の不気味さと、伏線を回収していくミステリーさながらの展開が融合して恐怖を煽ります。

 

古都京都で展開される怪談小説『祇園怪談』

 

主人公は舞妓を志望している恵里花という少女です。舞妓たちが所属する祇園の老舗お茶屋「夕月」の女将は、彼女の才能を見抜き、「夕月」に仕込みとして雇うことを決めました。

恵里花は以前から霊に憑かれやすい体質で、「夕月」に来てからは、どこからともなく謎の声が聞こえるようになります。ある日、謎の声に誘われるがままに向かった先で、着物を見つけ、身にまとってみました。しかしその着物は、かつて惨殺された梅姫のものだったのです。それからというもの「夕月」では、さまざまな不吉な出来事が起こります。

 

著者
森山 東
出版日
2012-02-25

 

2012年に刊行された森山東の作品です。華やかな祇園を舞台としつつ、人間の心に潜む闇が綴られるのが特徴です。作者の森山は京都の出身だそう。やや古風な描写や、花街の慣習などが違和感なく記されています。

主人公の恵里花と、痛ましい過去をもつ梅姫を中心に展開される物語は、怪談ならではの不気味さもさることながら、人間が抱く愛憎やグロテスクな部分が丁寧に表現されています。

最後の一文まで読者に恐怖を突き付けてくる作品。京都の雰囲気とともに楽しんでみてください。

 

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