『結婚×レンアイ。』は月刊ウェブマガジン「Love Silky」で連載されている萩尾彬の作品です。アラサー未亡人のヒロインが、高校三年生のイケメン義弟に押し切られる形で結婚してしまい、波乱に満ちた日々を過ごしていく大人のラブコメディとなっています。 本作はスマホの無料漫画アプリでも公開されているので、気になった方はそちらからどうぞ!
とある法律事務所の事務員として勤務する29歳の主人公、明智詩保。アラサーとは思えないほど美人でスタイルが良く、仕事もそつなくこなすことから密かに男性人気のある女性です。
まさに引く手あまたの結婚適齢期女性なのですが、実はすでに結婚していました。相手は9年間、同棲してきた男――彼女とは11歳も離れた明智誠という男子高校生です。恋愛結婚した1人目の夫・護(まもる)の腹違いの義弟で、9年前に護が亡くなってからも家族同然に過ごしてきた少年でした。
詩保自身は死別した護を未だに忘れられずにいましたが、同じくらい大事な家族である誠に押し切られる形で、彼女は婚姻届にサインしてしまったのです。誠は言葉巧みに詩保を惑わせ、詩保は年上の面目丸つぶれで1つ屋根の下に暮らす超絶イケメン男子にクラクラしっぱなし。
本作は押しの強いイケメン高校生と受け身がちなアラサー未亡人によるギャップが面白い大人のラブコメです。
- 著者
- 萩尾彬
- 出版日
- 2015-09-04
- 著者
- 萩尾 彬
- 出版日
- 2006-09-05
萩尾彬(はぎおあきら)は1月6日生まれ、愛知県出身の女性漫画家です。
詳しい経歴は不明ですが、2001年に第26回白泉社アテナ新人大賞にて『フェイス オブ フェイク』が佳作を受賞。翌2002年には「月刊LaLa」第118回LMS大賞でベストルーキー賞受賞した『太陽とひまわり』が「LaLa DX」に掲載されて商業デビュー。以後、「LaLa」や「LaLa DX」を中心に少女漫画を発表してきました。
代表作は主人公の少女が、父親の再婚で家族となった弟に振り回される『シュガー☆ファミリー』。
血の繋がりのない主人公達が1つ屋根の下で暮らすシチュエーションが多く、キャラが徐々に心の交流を重ねていく様子をドラマに仕立て上げるのが萩尾の作品の特徴です。
主人公は明智(旧姓・小林)詩保です。外見も言動もよいことから他人に好かれやすいようですが、好意に鈍いのか、その気持ちにはほとんど気付いていません。亡き夫の護を今でも想い続けており、大事な義弟である誠と結婚してしまったことに負い目を感じています。
普段は理知的な大人の女性なものの、精神年齢は少女のまま。自宅では自活力のなさが目立ちます。アルコールにめっぽう弱く、数々の失態を演じてはその記憶をなくす残念な美女です。
そして彼女のお相手となるのが、18歳の現役男子高校生・明智誠。品行方正、成績優秀、家事万能、なんでもそつなくこなし、感情が表に出ないクールな少年です。小学生の時に護に引き取られた異母弟で、護を尊敬しつつも、彼の妻である詩保に恋い焦がれてきました。
クールな内面に似合わず、趣味はお笑い。法学部志望で検事を目指す傍らで本気で芸人になろうとするほど真剣ですが、ギャグセンスは壊滅的です。実は、詩保を笑顔にしたいという思いからの趣味だったのです。
誠は幼少期から詩保を慕っていたせいか、価値観の全てが彼女基準という、ちょっとヤンデレっぽい一面があります。彼が鬼畜な責めっ気を見せるのも本作の魅力の1つです。
本作は冒頭からいきなり、詩保が誠に押し切られて結婚したというところからスタートします。9年間家族として過ごし、ほんの数日前に籍だけ入れた形だけの結婚。
そのためか形式上は夫婦でも、夫婦らしさは微塵もありません。誠が熱烈なラブコールを送り、詩保は終始圧倒されて困惑します。しかし、元々憎からず思っていたので、そんな彼女も段々と誠に惹かれていきます。段階を踏まずにいきなり夫婦になった2人が、結婚してから不器用に恋愛していくのが本作の魅力の1つです。
大人の女性である詩保は経験豊富かと思いきや、護にエスコートされっぱなしだったので実際にはほとんど経験がなく、誠の方がよっぽどリードできているというギャップも面白いです。
またこの2人に詩保の古い女友達・ミツと、詩保の同僚の男性弁護士・松本が関わってきます。ミツも松本もタイプの異なる恋愛に飢えた肉食系キャラで、詩保や誠に適度な刺激となります。ミツと松本の関係が番外編で少しずつ進んでいっているのも注目したい点です。
夫婦と言えば欠かせないのが夜の生活です。詩保はあまり乗り気ではありませんが、誠は年頃の男子だけあってやる気満々。ほとんど毎夜のようにアプローチをかけてきます。基本的にはなんらかの要因で未遂に終わりますが、前戯に至る描写は普通に描かれます。
またそうした直接的な性描写以外にも、ドキッとさせられる場面が数多く出てくるのも特徴です。
たとえば数年前に流行語にもなった「壁ドン」。超絶イケメンでSっ気のある年下の男子が、不意打ちで壁ドンするのは詩保でなくともクラクラするでしょう。
あるいは年の差を擬似的に埋める、制服デートなどというものも出てきます。現役学生の誠はともかくとして、詩保にとってはある種のコスプレですが、普段とはまったく違った様子が見られるのも魅力的です。
- 著者
- 萩尾彬
- 出版日
- 2018-09-05
2歩前身しては1歩後退する、というように微妙に関係が変化していく詩保と誠。誠が高熱で寝込んだことをきっかけに、2人の心はようやく通じ合いました。詩保は誠の元カノ騒動を経て、より深く誠への愛情を自覚していきます。2人が身も心も結ばれるのはもう目前……という状態です。ところが5巻では大きな波乱が巻き起こります。
誠はずっと詩保に隠してきたことを告白しました。
それは2年前、前後不覚になった詩保が、誠を護と思い違いして初体験に至っていたという事実。誠の回想や彼が思い悩んでいた様子から、読者にはうっすらわかることでしたが、詩保には途轍もない衝撃でした。
詩保はミツの自宅に身を寄せ、誠と距離を置きます。それは決して嫌悪感からではなく、もっと複雑な感情のせいでした。一方の誠は読んでいて哀れなほど弱っていきます。本心と裏腹にしてしまう行動や、それでも相手を想う描写は必見。好き合って求め合うほどに、なぜかすれ違っていくのがもどかしくもあり、面白いところ。
結婚してから恋愛関係に発展していく2人の物語。果たしてこの結婚生活はどこへ向かうのでしょうか?
本作は大いに笑えて、そして真剣な恋心に泣けるラブコメです。まだまだご紹介しきれない魅力があるので、ぜひご自分の目でご覧ください。