センチメンタルな気分になれる小説おすすめ5選!切ない恋愛や家族の物語

更新:2019.6.14

なんだか無性にセンチメンタルな気分に浸りたい……そんな時ってありますよね。切なさや寂しさのなかに、人間のあたたかさを感じられる物語が、読者の心を満たしてくれるはずです。この記事では、切ない恋愛や家族の物語を5作紹介していきます。存分に堪能してください。

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5年越しの恋が切ないセンチメンタルな小説『グレート・ギャツビー』

 

主人公は、アメリカ中西部出身のニック。ニューヨークの証券会社へ勤めることになり、ロング・アイランドへと引越しをします。

新しい家の隣にある屋敷では、毎晩豪華なパーティーが開かれていました。誰でも参加できるそうです。屋敷の主は、ジェイ・ギャツビー。禁酒法が施行されているなかで酒の密輸に手を染め、若くして大富豪になった人物でした。

彼に興味を抱いたニックは、ある晩パーティーに参加することにします。しかし、他の参加者にギャツビーのことを訪ねても、誰も彼のことをはっきりと知らないようなのです。それどころか、悪意のある噂をささやく人もいました。

やがてニックは、ギャツビーの隠された秘密を知ることになるのです。

著者
フィツジェラルド
出版日
1989-05-20

 

アメリカの作家、フランシスコ・スコット・フィッツジェラルドの作品です。1925年に刊行されました。日本では当初『華麗なるギャツビー』というタイトルで発表され、その後改題されています。

隠されたギャツビーの秘密は、「5年越しの恋」です。第一次世界大戦に従軍していたギャツビー。休戦にあわせて故郷に戻ると、恋人が別の男と結婚していたことが判明したのです。彼女とよりを戻すためだけに今の地位を築きあげていました。

ギャツビーは、ニックと出会ったことにより、かつての恋人と再会をします。そして再び愛を育み始めるのですが、既婚者である彼女にとってそれは夫を裏切る行為……センチメンタルな展開に胸が締め付けられるでしょう。恋の行方はどうなるのか、追いかけてみてください。

大人の三角関係がセンチメンタルな小説『マチネの終わりに』

 

主人公の蒔野聡史は、18歳の若さでクラシック・ギタリストとしてデビューをした天才。それ以来、業界の最前線を走ってきました。

ある日の演奏会の後、食事会に参加した蒔野は、ジャーナリストの小峰洋子と出会います。その瞬間、互いに惹かれあう2人。しかし洋子には、すでにアメリカ人の婚約者がいたのです……。

著者
平野 啓一郎
出版日
2019-06-06

 

2016年に刊行された平野啓一郎の作品です。東京、パリ、ニューヨークとさまざまな場所を舞台に物語は展開していきます。

アラフォーとなった蒔野と洋子。それぞれ仕事へのスランプ、病への不安などを抱えていますが、それをお互いに分かち合える心の繋がりがあります。しかし、蒔野をデビュー当時から支えていたマネージャーの三谷早苗が激しく嫉妬をし、2人の仲をかき乱していくのです。

ただの恋愛小説にとどまらないのが、本作のポイント。結婚する相手は1番愛している人なのか、愛しているがゆえに距離を置くことは正しいのか……酸いも甘いも経験した大人の胸にこそ、センチメンタルに響く作品だといえるでしょう。

死と家族について考える名作小説『キッチン』

 

大学生の桜井みかげは、早くに両親と祖父を亡くし、それ以来祖母と暮らしてきました。しかし唯一の肉親だった祖母も亡くなり、ついに天涯孤独になってしまいます。残された家は独り暮らしをするにはあまりに広く、引越しを考えるものの手につきません。

ある日、同じ大学に通う田辺雄一から声を掛けられます。雄一は生前の祖母が通っていた花屋でアルバイトをしていたとのこと。そうしてみかげは、彼の家で居候をすることになるのです。

雄一は、母のえり子と2人で暮らしていました。オカマバーを経営しているえり子は、もともとは男性で雄一の父親だったとのこと。風変わりながらも心優しい親子とともに、みかげは新たな生活を始めるのです。

著者
吉本 ばなな
出版日

 

1988年に刊行されたよしもとばななの短編集です。表題作のほかに、「満月 キッチン2」「ムーンライト・シャドウ」が収録され、3編とも桜井みかげが主人公と語り手を担っています。

祖母の死をきっかけにひとりぼっちになってしまったみかげ。雄一の家のキッチンで寝泊まりをするようになり、彼らと心を通わせながら、少しずつ死を受け入れていきます。誰かと関わりながら生きていくとはどういうことなのか、読者にヒントをくれるあたたかい作品でしょう。

しかし、登場人物の心情が繊細に描かれ、柔和な優しさに包まれて傷が回復した頃。再び彼らを「死」が襲い、物語の様相が一変します。「センチメンタル」という言葉では言い足りないほど感情を揺さぶってくる一冊です。

純粋すぎる年の差の恋愛がセンチメンタルな気分にさせる小説『センセイの鞄』

 

主人公の大町月子は、もうすぐ40歳になろうとしています。行きつけの居酒屋で、高校時代の教師、松本春綱と再会しました。月子は彼の名前を覚えておらず、「センセイ」と呼び、一緒にお酒を飲む仲に。相手を慕う気持ちは恋になり、2人は交際を始めます。

月子とセンセイの年の差は30歳。他愛のない日々を過ごしながらも、センセイは常に月子の先を歩んでいます。そして再会から3年。センセイは先に逝ってしまうのです。

著者
川上 弘美
出版日
2004-09-03

 

2001年に刊行された川上弘美の作品です。

月子とセンセイはどちらもいい大人なのに、純粋すぎるほど不器用で、時に互いの行動にやきもちを焼き、心を乱します。まるで少年と少女のような、いじらしくてセンチメンタルな恋愛が読者をやきもきさせるのです。

また「おじいさん」といっていい年齢のセンセイとの恋愛には、常に「死」が付きまといます。終わりが見えている儚さ、それでも生き急がずにゆっくりと丁寧に日々を送る姿に、心打たれる作品です。

遊女が紡ぐセンチメンタルな恋物語『花宵道中』

 

物語の舞台は、江戸時代末期の吉原にある「山田屋」。1章の主人公は、朝霧(あさぎり)という遊女です。小柄ながら、火照ると体に赤い斑点が浮かぶことから、「花が咲く」と人気を博していました。

ある日、女郎仲間とともに出掛けた縁日で、半次郎という男性と出会います。2人は互いに惹かれあい、恋に落ちました。

後日、吉田屋で朝霧の馴染み客が宴会をしている場に、半次郎の姿が。彼はそこで朝霧が遊女だと知るのですが、思いは変わりませんでした。

著者
斉木久美子
出版日

 

2007年に刊行された宮木あや子のデビュー作。映画化や漫画化もされ話題となりました。本作は章ごとに主人公を変えながら、6つの物語が収録されています。

吉原で働く女性たちは、みな何かしら、そこで働かなければならない事情を抱えています。客として訪れる人もまた同様です。

好きな人の前で客に抱かれる女性、好きな人を作らない女性、実の弟に特別な想いを抱く女性……体を売ってお金を稼ぐ彼女たちですが、その心のなかは驚くほどに純粋。思いを胸に秘め、恋に悩み、死んでいく人生が切ないです。

濡れ場の描写も多いですが、いやらしさはありません。芯の通った強さを感じられる、儚くて美しい物語を堪能してください。

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