夏+刺激=ミステリー!日常にない刺激をもらえるおすすめ小説・マンガ3選!

更新:2021.11.19

はじめまして。ライターのyuyuです。書店員を転々としたあと、「1泊2日と1冊の本」をテーマに旅する書評家として活動しています。書店員だった経験を生かし、書評家として皆さんに素敵な作品をたくさんご紹介していきたいと思います! さっそくですが今回は、夏を楽しむミステリー作品です。夏といえばミステリーものがちょっと読みたくなる、なんてことはありませんか?日本では昔から夏に怪談などを楽しむカルチャーがありますが、ミステリーなんていかがでしょうか。

ブックカルテ リンク

夏になるとミステリーが恋しくなる

 

夏になると少し刺激のある作品が読みたくなる、なんてことはありませんか?

夏といえば怪談ですが、ホラーものはちょっと苦手なんて方もいますよね。また、夏にホラーは読み飽きたという人にもおすすめしたいのが、謎解きや考察が刺激的なミステリー作品です。

じめじめした暑さをスカッと爽快に吹き飛ばすような、はたまた背筋に冷たい水が1滴おちてゾッと慄くようなミステリー作品で涼をとるのも一興ですよね。

では夏をさらに楽しめるミステリー小説とマンガを紹介していきます。

 

物語の違和感を楽しむ。道尾秀介『向日葵の咲かない夏』

 

夏が舞台のミステリーについて紹介してください、といわれたときにパッと浮かんだのがこの作品でした。デビュー時に「ミステリー界隈に突如現れた新進気鋭の若手」と評された道尾秀介の『向日葵の咲かない夏』。こちらは、デビューから2年後の作品です。

突然ですけど、人って「変なもの」や「怖いもの」「気持ち悪いもの」をあえて覗いてみたい願望をもってると思うんです。くさいとわかっているのに嗅いでみたい欲求に駆られるあの感覚、わかりますよね?

この『向日葵の咲かない夏』は、私にとって、夏になると手に取りたくなる「変なもの」ポジションに鎮座ましましている作品です(※褒めています)。

登場人物は、みんな浮足立っていて実体が感じられず、どこか、ふわふわとしています。

主人公・ミチオが同級生・S君の自殺現場を目撃してしまうシーンからはじまり、クモに輪廻転生したS君、どこか大人びた物言いをするミチオの妹・ミカとともに、S君を殺した真犯人をつきとめ捕まえにいく、という展開です。

物語は進んでいるのに、どこか拭いきれない違和感と一緒に最後まで進まざるを得ない感覚が癖になるので、一風変わったミステリーを求めている方にはうってつけ。

決定打を与えてくれない結末も含め、読後に考察がいるような『向日葵の咲かない夏』、ぜひこの夏に試してみてほしい一冊です。

 

著者
道尾 秀介
出版日
2008-07-29

ホラー要素も楽しめる。乙一『夏と花火と私の死体』

 

1996年に出版された『夏と花火と私の死体』、乙一のデビュー作であったことを改めて知って感慨深い気持ちになりました。

乙一といえば、『ZOO』や『GOTH リストカット事件』などのTHE・ホラー作品が有名。心底震え上がらせる、人間の生理的恐怖を目覚めさせるような描写は、鮮烈すぎて好き嫌いが分かれるところかもしれません。

この『夏と花火と私の死体』は、ホラー要素だけではなく、ミステリーの要素も感じられる夏の夜にぴったりな作品です。

物語は、ひょんなことから友人・弥生に殺されてしまった主人公・五月の一人称で進んでいきます。この珍しい構成と、淡々とした語り口も相まって、作品に漂う不気味さを加速させています。

死体になってしまった五月をなんとか隠そうと動く弥生と、兄・健。この2人の奔走するさまを、すでに命潰えたはずの五月が眺め、描写していくストーリーの最後には、思いもよらない結末が待っているのです。未読の方はぜひ手にとってみてください。

少々脱線します。乙一といえばホラー!ミステリー!というイメージが強いかもしれませんが、『暗いところで待ち合わせ』などのほっこり恋愛テイストな作品もガガッと心を掴まれるので、非常におすすめです。

 

著者
乙一
出版日

青春×ミステリーのマンガ!大柴健『君が死ぬ夏に』

最後に漫画作品をひとつ。ホンシェルジュでも過去に紹介されている、大柴健の『君が死ぬ夏に』です。

「夏」「ミステリー」「マンガ」というキーワードを並べると、どうしてもおどろおどろしいホラーマンガの表紙を思い浮かべてしまうところでしょう。純粋に、夏が舞台のミステリーを楽しめる作品ってそうそうない気がしていました。そう、この『君が死ぬ夏に』に出会うまでは……。

中学生の頃から好意を寄せていた同級生・沙希の幽霊と遭遇した主人公・智也。彼女のことを救うべく、未来を変えようと奔走します。持ち前の洞察力と観察力を発揮する智也の姿が、この物語の肝となります。

本格ミステリーというよりは、ライトに楽しめるマンガなので、今までミステリー作品を読んだことない人にぜひ手にとって欲しい一冊。青春ストーリーも交えてくり広げられるため、謎解きをはじめとしたミステリー要素以外にも見所があります。

面白いミステリー作品ほど、ネタバレせずに紹介するのが心底難しい!こちらはぜひ事前情報なしに読んで欲しいです!

 


とは言ったものの、『君が死ぬ夏に』がもう少し気になるという方は<『君が死ぬ夏に』の面白さについて。最終回までの見所をネタバレ考察>の記事をご覧ください。

著者
大柴 健
出版日
2016-02-17

夏に読むミステリー作品で思う存分、涼を楽しむ!

 

秋に読むミステリーも、冬や春に嗜むミステリーも、寸分違わずおもしろいはず。しかし、夏に読むとまた新鮮な趣が感じられるのは、なぜなのでしょうか。

暑い夏にあわせて気分も高まり、日常とは別の刺激が欲しくなってしまうのかもしれませんね。

今回は夏に読んでほしいミステリー作品を3つ厳選して紹介しました。あなたにとってのベスト・ミステリーにランクインされたら、これほど嬉しいことはありません。

 

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る