2016年に惜しまれながら解散した国民的アイドルグループ「SMAP」。そのメンバーであり、現在もヤンチャな面影を残す中居正広が、実は大の読書家だとご存知でしょうか。ファンの間では「中居文庫」と呼ばれている、中居くんおすすめの本を厳選して紹介していきます。
1972年生まれの中居正広。1986年にジャニーズ事務所に入所し、1988年にアイドルグループSMAPのメンバーになりました。1991年にCDデビューをして以降、芸能界の第一線で活躍し続けています。
司会業での活躍が印象的な一方、実はかなりの読書家でもあり、テレビ番組や雑誌の取材でもたびたび「この本が好き」と語っています。ジャンルとしては、ミステリーが好きなよう。
彼が読んだ本はファンの間でリスト化され、「中居文庫」と呼ばれるようになり、SNSなどでも話題になっています。「中居文庫」入りすると、かなり前に出版された本がまた売れ始めるなど、その影響力は絶大です。
アル中のバーテンダー・島村が、朝から酒を飲みながら新宿中央公園で寝そべっていると、すぐ近くで爆弾テロ事件が起こります。 この時、指紋のついたウィスキーの瓶を公園に置き忘れてしまったことから、警察に追われることになってしまいました。
実は島村は、かつて学生運動にまつわる事故で人を死なせてしまったことがありました。今回の爆弾テロの犠牲者のなかには、学生運動の同志で22年も音信不通だった元恋人の優子と、友人の桑野も含まれていたのです。
島村はホームレスとして身を潜めながら、元警官のインテリヤクザや、優子の娘、ジャーナリスト志望の少年などに助けられ、事件の真相に迫っていきます。
- 著者
- 藤原 伊織
- 出版日
- 2014-11-07
1995年に刊行された藤原伊織の作品です。「中居文庫」入りしたことで再注目されました。
学生運動にまつわる事故で人を死なせてしまい、20年以上も逃亡生活を続けてきた主人公。今度は爆弾テロ事件の容疑者として、指名手配されてしまいます。 警察から逃げながら真犯人を追い詰めていく、ハードボイルドミステリーの傑作だといえるでしょう。
作者は安保闘争の時代に東大に在籍していただけあって、リアリティも抜群。キレのよい文章とスピード感のある展開はアクション映画さながらで、あっという間に物語の世界に引き込まれていきます。
また、深い挫折を味わって心に傷を負う島村をはじめ、登場人物たちが魅力的に描かれており、感情移入しやすいのも特徴。全共闘という時代に青春を捧げたかつての若者たちが、今を懸命に生きる姿を魅力的に描いた一冊です。
主人公の櫛森秀一は、女手ひとつで家計を支えてくれている優しい母親と、明るく素直な妹の3人で暮らしています。家族にも友達にも恵まれていましたが、ただひとつ大きな悩みがありました。
母親が10年前に再婚し、すぐに離婚した曾根が突然家にやって来て、居候をしながら金品をせびり、暴力までふるうようになったのです。
- 著者
- 貴志 祐介
- 出版日
- 2002-10-25
1999年に刊行された貴志祐介の作品です。2003年には映画化もされました。中居正広は、2011年にデビュー20周年を迎えたSMAP初めての海外公演が北京で開かれた際に、楽屋で本作を読みふけっていたそう。
母親と妹を守るために、自らを犠牲にして殺人に手を染める17歳の少年を描いた青春サスペンスストーリーです。しかし秀一が目指した完全犯罪には幼稚な無軌道さがあり、犯罪に唯一気づいたある人物の登場によって、破綻への道を一気に転がり落ちていきます。
恐怖や葛藤、虚無感といった秀一の心情がダイレクトに伝わってきて、母親がひた隠しにしてきた事実が明らかになった時、切なさで胸がいっぱいになります。
中学受験戦争に明け暮れる4組の親子が、湖畔の別荘で合宿をしています。そこで殺人事件が起きました。犯人はすぐに名乗り出たのにも関わらず、誰ひとり警察に通報しようとはしません。
何かがおかしいと気づいた主人公が探偵役となり、事件の真相に迫ります。
- 著者
- 東野 圭吾
- 出版日
2002年に刊行された東野圭吾の作品です。2005年には映画化もされました。
俊介は、妻・美菜子の浮気を疑っていて、その調査を自分の愛人である英里子に頼んでいました。調査結果を聞くために別荘近くのホテルで待ち合わせしていたのですが、いつまで経っても彼女は現れません。英里子は、並木家が使用している部屋の中で殺されていたのです。
美菜子は、英理子に離婚してほしいと詰め寄られたために殺してしまったのだとすぐに告白。ところが別荘にいる大人たちは「受験に差し障る」という理由で、殺人を隠蔽することで意見を一致させました……。
特筆すべきは、登場人物の心理描写が一切無いことと、殺人の元凶を作った俊介が探偵役になること。戯曲のように物語は進んでいき、固い絆で結ばれた親たちの秘密を暴いていきます。幾重にも張り巡らされた伏線のなか、俊介が辿り着いたのは意外な犯人の姿でした。
受験勉強に明け暮れる覇気のない子どもたちに対し、大人たちは合格を勝ち取るために剥き出しの欲望を露わにする様子もとてもリアルです。
「何でもやってやろう屋」を名乗る元私立探偵の成瀬将虎は、高校の後輩である芹澤清から依頼を受け、組織的な保険金殺人の疑いが濃厚な「蓬莱倶楽部」の調査に乗り出します。
同じころ、駅のホームで飛び込み自殺を図ろうとしていた麻宮さくらを助け、何度か会ううちに恋に落ちてしまいました。
蓬莱倶楽部の潜入捜査をおこなう成瀬に、過去に起きたヤクザ殺人事件や飲み仲間の娘の行方捜しなども絡み、ラストには驚愕のどんでん返しが何度も待ち受けています。
- 著者
- 歌野 晶午
- 出版日
2003年に刊行された歌野晶午の作品です。中居正広がテレビ番組「SMAP×SMAP」で、「最後の1ページまで目が離せない!」と絶賛したことで知られる恋愛活劇ミステリー。「本格ミステリ大賞」をはじめ、ありとあらゆるミステリー賞を総なめにした「騙しのテクニック」を存分に楽しめる仕上がりになっています。
読者の思い込みや先入観をうまく利用する手法が見事で、主人公の女好きでやんちゃな性格までもがトリックのひとつとして使われています。
物語全体にちりばめられている伏線に、どこまで気づくことができるのか……叙述トリックを語る際には絶対に外せないといわれる一冊です。
「ノムさん」の愛称で知られ、プロ野球の名捕手、名監督として輝かしい功績を残した野村克也。
戦力不足の楽天イーグルスをクライマックスシリーズに連れて行った名将が、チームを優勝に導くための戦略、選手の育成法、人と組織の変え方などを語ります。
- 著者
- 野村 克也
- 出版日
- 2009-11-19
2005年に刊行された野村克也の作品です。50年間の野球人生から見いだされた人間教育のあり方を、彼が綴ってきた「伝説のノート」をもとに明かしています。
具体的な選手名を交えた技術論は、プロ野球ファン必見の内容。そのなかに織り込まれた人生哲学や人生論は、長年にわたり仕事と人間形成に取り組んできた野村克也ならではの重みと説得力があります。
人のほめ方やサインの出し方ひとつひとつに野村流の「原理原則」があり、小さな積み重ねや気づきから成功の道が拓けるのだそう。
中居正広はこの「野村流成功法」を参考に、SMAPというチームを牽引してきました。子どものころはプロ野球選手を目指していたものの、肘の故障で断念し芸能界に入った彼。野球をとおしてチームプレーを学び、SMAPにおいても自分だけが目立とうとするのではなく、抱かれたい男ナンバーワンだった木村拓哉を4番バッターに据えることで、グループを大成功に導いています。
野球好きだけでなく、すべての人に役立つ人生の指南書となるでしょう。
中居正広は、テレビドラマ「砂の器」に出演する際に原作を手にしたことがきっかけで、本をよく読むようになったそうです。あなたも「中居文庫」を参考に、自分だけの愛読書リストを作ってみませんか?