主人公は、事故で記憶をなくした女子高生・詩織。彼女は戸惑いながらも、少しずつ自分自身を見つけていくことに……。女友達とのいざこざや、家族との問題を乗り越え、ひとりの女性として成長するサクセスストーリー……だけでなく、禁断の愛に悩まされる、切なく甘い恋愛漫画です。今回は、『シックスハーフ』のあらすじや見所を、ネタバレしながら結末まで紹介します。 本作は、スマホの漫画アプリでも無料で読むことができるので、気になった方はそちらからもどうぞ!
女子高生の主人公・菊川詩織(きくかわしおり)は、ギャル生活を送っていたある日、原付バイクで事故に遭います。病院で目が覚めると、彼女は自分のことを含め、家族のこともすべて忘れていました。
はじめは記憶喪失になったことに戸惑う詩織ですが、後輩の白石開(しらいしかい)や、兄である明夫(あきお)などの助けにより、なんとか生活していきます。
そして記憶喪失をきっかけに、自分自身と向き合うように……。
- 著者
- 池谷理香子
- 出版日
- 2010-06-15
自分のなかにある「わずかな記憶」に悩まされながら、親友だった横川チカとのいざこざを解決したり、仲が悪かった妹の真歩(まほ)に優しく接したりと、以前とは違う自分の人生を歩み始めます。
記憶を失くしたことを悲観するのではなく、自分とも家族とも向き合おうとする姿に胸を打たれる本作。詩織が自分の気持ちに葛藤しながらも成長していく姿に、胸が熱くなる作品です。
ここから先は、主人公の成長・兄妹の絆・そして恋物語の一部を紹介します!ネタバレを含みますので、苦手な方はご注意ください。
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作者・池谷理香子は、20歳のときに『いつか何処かで』でデビューし、恋愛作品を中心に作品を発表しています。
作品の中には、初の長編作『FUTAGO-ふたご-』や、2006年に集英社の「Cookie」にて連載された『微糖ロリポップ』や、2015年から「Cookie」に連載している『ハコイリのムスメ』などがあります。
『微糖ロリポップ』は、両親が宝くじで1億円を当て、急に医者を目指すと宣言します。医者を目指す両親のため、勉強の妨げにならないように、ある家に居候をすることになった主人公ですが、そこで居候先の息子・知世(ともよ)に出会います。
しかし、そこの家庭には複雑な問題が……。
- 著者
- 池谷 理香子
- 出版日
- 2015-09-25
『ハコイリのムスメ』は、東京に行きたいお金持ちのひとり娘が、とある男性を「婿に迎える」ところから物語が始まります。
まだ大学生の二人は婚約者になりましたが、それは主人公が東京に出るための嘘であり、偽装婚約でした。しかし、家族には婚約したと話しているため、同じ家で暮らさなければならず、嘘の関係から二人の生活は始まるのです。
このように、池谷理香子の作品は「ただの恋愛物語」にとどまらず、あまり見かけない設定がつきもの。読者を驚かすような展開が多く、予想できないストーリーは、読んでいてワクワクが止まらないことでしょう。
『ハコイリのムスメ』については以下の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
『ハコイリのムスメ』8巻までの見所ネタバレ!同居スタートの恋?【無料】
箱入りのお嬢様が、地方を飛び出して上京する物語『ハコイリのムスメ』。どこまでも素直な主人公が、物語をテンポよく進めていきます。まさかの展開もあり、どんどん大人の階段を登っていく軽快なストーリーに引き込まれるでしょう。恋愛だけでなく、主人公をとりまく環境や人物も気になる骨太な漫画です。 本作は、スマホの漫画アプリでも無料で読むことができるので、気になった方はそちらからもどうぞ!
本作は、もともと男遊びの激しいギャルの詩織や、頼りなさそうに見えるも、妹たち思いの優しい詩織の兄・明夫、実の姉を毛嫌いする無愛想な妹・真歩、中学の時から詩織を恋い慕う後輩・開などがメインのキャラクターです。
主役となる三兄妹も十分濃いキャラクターなのですが、詩織に53回も告白した記録を持つ開や、詩織の親友ポジションであるチカも見逃せません。
詩織の彼氏である開は、ヤンキー感丸出しの派手な見た目をしています。しかし、内面はただ一途で純粋な男の子。何度断られても諦めないその姿は、忠実な犬のようで見ていて可愛らしくもあります。
途中でチカに変な噂を吹き込まれ、騙されそうにもなりますが、それでも詩織を思い続けてる彼の一途さには感服です。彼の恋を見守るのも、この漫画の楽し方のひとつでしょう。
そんな開のことを好きなチカ。彼を取られたくないという一心で、大暴走してしまうシーンがあります。ほかにも、明夫の友人である大が、じつは昔から明夫に恋心を抱いていたり、明夫の幼馴染である瑞希(みずき)は、清楚な見た目からは思えない性格をしていたり……個性的なキャラクターたちが作品を支えます。
詩織と真歩の母親も登場しますが、かなり強烈な性格で……そんな不穏な空気を醸し出す彼女の言動にも注目せざるをえません。
記憶を失くす前は、ばっちりメイクが基本、男遊びの激しいギャルだった詩織。家に帰らず遊び呆け、妹の真歩とは口もきかないほど険悪な状態でした。
しかし記憶を失くしたことをきっかけに、家族が自分を支えてくれていることに気づきます。物語の前半は、詩織の孤独がひしひしと伝わり、読んでいて辛くなるかもしれません。しかし彼女は持ち前の根性で、現状を打破していくのです。
成長するきっかけとなったのは、現役女子高生ながらグラビアモデルに挑戦した経験です。記憶を失う前の詩織が応募していたモデルのオーディション。その仕事から何か掴めたらという思いから、明夫の反対を押し切り、グラビアの撮影に挑みます。
結果的に、詩織は自信を持つことができ、周りとの関係もうまくいき始めます。 記憶ゼロでなにもわからないところから、詩織がどのように考えて、開や明夫たちと接していくのか。そこが、本作の一番の見所です。
この作品のもう一つの見所は、なんといっても複雑な恋愛関係です。
兄に恋してしまったことに悩む、記憶喪失後の詩織。しかし、彼らは血の繋がった兄弟ではありません。
記憶喪失後の詩織は、明夫のことを優しい兄として慕します。それがだんだんと恋心に近いものになっていき……記憶を失った詩織は明夫とは本当の兄妹であると思っているため、家族を壊さないためにも、自分の感情を消そうと努力します。
恋心を消そうとバイトに専念する姿や、記憶を失っても明夫のことを好きだと思う健気な詩織に、応援する気持ちでいっぱいになります。純粋なその思いに胸を打たれることでしょう。
さらに、明夫に思いを寄せるのは詩織だけではありません。登場人物たちの絡み合った恋愛模様が描かれています。誰かが幸せになっても、誰かは好きな人を諦めなければいけない、その切なさが胸を締め付けます。純粋すぎる登場人物たちに、全員幸せになってほしいと願いながら、読む手が止まらなくなってしまうでしょう。
恋愛作品でありながら、家族の関係がとても重要である本作。
菊川家は高校生の詩織と、大学生の兄・明夫、中学生の妹・真歩の三人だけで暮らしています。離婚をきっかけに母親は家を出ていき、その後4人で暮らしていましたが、父親は病気で亡くなってしまいました。
3人で仲良く暮らしているのか……というとそうではなく、詩織と真歩の仲は険悪。さらに、物語の途中で、明夫と詩織は血が繋がっていないことが判明します。詩織は母親の連れ子であり、明夫は父親の連れ子だったのです。
本作の肝は、詩織と明夫が「じつは血のつながらない兄妹である」ということ。
そして詩織は、このこじれた家族の関係がきっかけとなり、記憶喪失になってしまうのです。また二人の関係は、明夫の幼馴染である瑞希にも大きく影響していきます。
- 著者
- 池谷 理香子
- 出版日
- 2015-03-13
物語の後半では、出ていったはずの母親が戻ってきて、4人で生活していくことになります。しかしここでも問題が発生。母親が親戚のおじさんだといい連れてきた人は、じつは親戚でもなんでもない赤の他人で、菊川家の亡き父親の財産を狙っていたことが明らかになり……。
母親のぬくもりを求めていた真歩は裏切られてしまい、まとまりかけていた家族が再びバラバラになってしまうのです。しかしそんな状況になっても、彼らは兄妹の力で乗り越えていきます。
最終回では、明夫と詩織、そして真歩が大人へと成長していきます。詩織は高校を卒業するとき、明夫に告白し、彼もまた自分の想いを伝えることに。
多くの困難を乗り越え、長い遠回りをした二人。
やっと素直にお互いの想いを受け入れられます。ドロドロした展開の後のさわやかさが見所の本作。グラビアモデルでもある詩織が、高校卒業後にとった行動にも注目です。最後の最後まで、まったく目が離せません。
主人公の成長物語であり、兄妹の絆物語であり、恋物語でもある本作は、多くの方が楽しめる恋愛漫画なので、ぜひ読んでみてくださいね。