絵本は、大人になったイマこそ必要なのかもしれない【吉村卓也】

更新:2021.11.27

僕には姪っ子が4人いる。 この前実家に帰った時、3歳の姪が「たっちゃん、これ読んで」と絵本を持ってきた。 タイトルは、『100万回生きたねこ』 どこから引っ張り出してきたんだろう。この絵本は、まさしく僕の本だった。 厳密に言えば、まだこどもだった時の“ボク”の本。 どのくらい振りなんだろう? 大人になった“僕”が、すっかりホコリをかぶっていた絵本を開いた。

2007年、アミューズ30周年全国オーディションにて6万5000人の中から『審査員特別賞』を受賞。“俳優”として映画やドラマ、更には情報番組などで活躍を続ける中、自身が脚本を手掛けることにも目覚め、2015年からはお笑いコンビ、「伊村製作所」を結成し、“お笑い芸人”としての活動もスタート。単独ライブ、お笑いライブの出演の他、キングオブコント、M-1などにも出場。相方の芸能界引退を機に2017年末に解散。 自身は2017年12月から俳優としてテレビ朝日「仮面ライダービルド」に黄羽役として出演し、テレビ朝日系「陸海空 地球征服するなんて」への出演や舞台「おおきく振りかぶって夏の大会編」への出演、一人舞台の上演や、ドラマへの出演など、幅広い活躍を見せている。
泡の子

100万回生きたねこ

『100万回生きたねこ』を、読み聞かせすることになった僕は、その5分後に姪っ子に「ちゃんと読んで!!」とお叱りを受けることになる。

久しぶりに本を開いた僕は、朗読するのを忘れてしまうほど、すっかりストーリーに引き込まれてしまっていたからだ。

“こんなに深い物語だったっけ!?”

過去の記憶というのは、まったくもってアテにならないのだと痛感した。

僕の頭の中では、「大きいねこが最後死んじゃう、悲しいお話」くらいにしか記憶してなかった。

これは悲しい物語なんかじゃない。

自分の心に正直であることの大切さ。

誰かの人生ではなく、自分の人生として、

今を大切に生きてほしい。

そんな気持ちが熱く込められたとても優しい物語だった。

ボクの記憶ではバッドエンドだった物語は、僕の前では正真正銘のハッピーエンドだ。

この一件から、僕は絵本の魅力に取り憑かれました。

限られたページ数。絵と少ない文字によって、想像力を掻き立てられる絵本。

そして読み聞かせを計算されたものであろう、言葉のリズムも心地よい。

作品と向き合いながら自分の感性と向き合う、自分のための時間を絵本は与えてくれる。

作家の柳田邦男氏の言葉「絵本は人生で三度読むべき」がありますが、

まさに絵本はどの年代の人にも読んで欲しい本だと思います。

1度目は、子供時代。

2度目は、親世代になったとき。

3度目は、祖父母時代になったとき。

僕はまだ祖父母世代を経験していませんが、“今の僕”と“子どものボク”の感じ方が違いましたから。

きっと祖父母世代になると、また新しい視点を持って楽しめるのだと思います。

みなさん、最後に絵本を読んだのはいつですか?

子どもの頃、お母さんに読んで聞かせてもらったのが最後ですか?

我が子に読み聞かせてあげたときですか?

絵本は、大人になったイマこそ必要かもしれませんよ。

 

ダストビン・ベイビー

「泣き虫エイプリル」それがいまのあたしのあだ名。でも「エイプリル・フール」おばかのエイプリルよりはまし。「ダストビン・ベイビー」ごみ箱ベイビーよりはうんとまし。
そう、あたしの人生はピザ屋のうらのごみ箱からはじまったんだ。

生まれてすぐにごみ箱に捨てられた女の子は、14歳の少女になった今も過去の重さに苦しむ毎日。幼くして大きな命題を抱えて生きている彼女が、自分と向き合いもがきながら未来を切り開こうとする物語。

サンタさんありがとう

「一緒に遊べるくまさんがほしい」。男の子からの手紙を読んで、サンタさんはぬいぐるみのくまさんに言葉を教えます……。美しい刺繍で描かれた、心温まる絵本。

言葉を覚えたクマは、自分の置かれた状況を理解し、サンタさんと離れたくないと言うのです。

クマの気持ちがとてもよくわかるからこそ、涙なしでは読めません。

わたしがあなたを選びました

わたしのすべては、神様とあなたたちからのプレゼント。わたしはこころよく受け入れました。きっとこんなわたしが、いちばん愛されると信じたから。「いのち」に感謝する愛の詩。

母親になった女性。そして大人になったあなたに本当にオススメの絵本です。

命が宿り、生まれてくることの感動をまっすぐに描いています。

お母さんと赤ちゃんの深い愛を感じられる絵本です。

だいじょうぶだいじょうぶ

大きくなるにつれて、こまったことやこわいことが、どんどんふえていくけれど、おじいちゃんのおまじないがあれば大丈夫。
ほら、ぼくらのまわりは、こんなにも楽しいことであふれてる。

困ったことや、怖いことに出会うたび、おじいちゃんがつぶやいてくれた魔法の言葉「だいじょうぶ、だいじょうぶ」。

そして今度は大きくなったぼくが、おじいちゃんに言ってあげるんだ。

心温まって、でも最後は切なくて。

大人にこそ必要な絵本です。

余談です、3歳の姪の読み聞かせにしくじり機嫌を損ねてしまった僕ですが。 
その後の努力で読み聞かせに成功。今ではガッチリ姪の心を掴めました!!(笑)。 
大人が絵本好きになることで、子どもと共通の世界を持てる喜びにも気付けた気がします。

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