僕には姪っ子が4人いる。 この前実家に帰った時、3歳の姪が「たっちゃん、これ読んで」と絵本を持ってきた。 タイトルは、『100万回生きたねこ』 どこから引っ張り出してきたんだろう。この絵本は、まさしく僕の本だった。 厳密に言えば、まだこどもだった時の“ボク”の本。 どのくらい振りなんだろう? 大人になった“僕”が、すっかりホコリをかぶっていた絵本を開いた。
- 著者
- 佐野 洋子
- 出版日
- 1977-10-19
『100万回生きたねこ』を、読み聞かせすることになった僕は、その5分後に姪っ子に「ちゃんと読んで!!」とお叱りを受けることになる。
久しぶりに本を開いた僕は、朗読するのを忘れてしまうほど、すっかりストーリーに引き込まれてしまっていたからだ。
“こんなに深い物語だったっけ!?”
過去の記憶というのは、まったくもってアテにならないのだと痛感した。
僕の頭の中では、「大きいねこが最後死んじゃう、悲しいお話」くらいにしか記憶してなかった。
これは悲しい物語なんかじゃない。
自分の心に正直であることの大切さ。
誰かの人生ではなく、自分の人生として、
今を大切に生きてほしい。
そんな気持ちが熱く込められたとても優しい物語だった。
ボクの記憶ではバッドエンドだった物語は、僕の前では正真正銘のハッピーエンドだ。
この一件から、僕は絵本の魅力に取り憑かれました。
限られたページ数。絵と少ない文字によって、想像力を掻き立てられる絵本。
そして読み聞かせを計算されたものであろう、言葉のリズムも心地よい。
作品と向き合いながら自分の感性と向き合う、自分のための時間を絵本は与えてくれる。
作家の柳田邦男氏の言葉「絵本は人生で三度読むべき」がありますが、
まさに絵本はどの年代の人にも読んで欲しい本だと思います。
1度目は、子供時代。
2度目は、親世代になったとき。
3度目は、祖父母時代になったとき。
僕はまだ祖父母世代を経験していませんが、“今の僕”と“子どものボク”の感じ方が違いましたから。
きっと祖父母世代になると、また新しい視点を持って楽しめるのだと思います。
みなさん、最後に絵本を読んだのはいつですか?
子どもの頃、お母さんに読んで聞かせてもらったのが最後ですか?
我が子に読み聞かせてあげたときですか?
絵本は、大人になったイマこそ必要かもしれませんよ。
- 著者
- ジャクリーン ウィルソン
- 出版日
「泣き虫エイプリル」それがいまのあたしのあだ名。でも「エイプリル・フール」おばかのエイプリルよりはまし。「ダストビン・ベイビー」ごみ箱ベイビーよりはうんとまし。
そう、あたしの人生はピザ屋のうらのごみ箱からはじまったんだ。
生まれてすぐにごみ箱に捨てられた女の子は、14歳の少女になった今も過去の重さに苦しむ毎日。幼くして大きな命題を抱えて生きている彼女が、自分と向き合いもがきながら未来を切り開こうとする物語。
- 著者
- 長尾 玲子
- 出版日
- 1998-10-15
「一緒に遊べるくまさんがほしい」。男の子からの手紙を読んで、サンタさんはぬいぐるみのくまさんに言葉を教えます……。美しい刺繍で描かれた、心温まる絵本。
言葉を覚えたクマは、自分の置かれた状況を理解し、サンタさんと離れたくないと言うのです。
クマの気持ちがとてもよくわかるからこそ、涙なしでは読めません。
- 著者
- 鮫島 浩二
- 出版日
- 2003-07-11
わたしのすべては、神様とあなたたちからのプレゼント。わたしはこころよく受け入れました。きっとこんなわたしが、いちばん愛されると信じたから。「いのち」に感謝する愛の詩。
母親になった女性。そして大人になったあなたに本当にオススメの絵本です。
命が宿り、生まれてくることの感動をまっすぐに描いています。
お母さんと赤ちゃんの深い愛を感じられる絵本です。
- 著者
- いとう ひろし
- 出版日
- 1995-10-17
大きくなるにつれて、こまったことやこわいことが、どんどんふえていくけれど、おじいちゃんのおまじないがあれば大丈夫。
ほら、ぼくらのまわりは、こんなにも楽しいことであふれてる。
困ったことや、怖いことに出会うたび、おじいちゃんがつぶやいてくれた魔法の言葉「だいじょうぶ、だいじょうぶ」。
そして今度は大きくなったぼくが、おじいちゃんに言ってあげるんだ。
心温まって、でも最後は切なくて。
大人にこそ必要な絵本です。
余談です、3歳の姪の読み聞かせにしくじり機嫌を損ねてしまった僕ですが。
その後の努力で読み聞かせに成功。今ではガッチリ姪の心を掴めました!!(笑)。
大人が絵本好きになることで、子どもと共通の世界を持てる喜びにも気付けた気がします。