文芸

ホラーミステリー小説おすすめ5選!ゾクゾク鳥肌、でもやめられない

更新:2020.11.25 作成:2016.12.4

ハラハラゾクゾクが止まらない、ホラーミステリー小説のおすすめ5作品をご紹介します。読了後は、思わず怖くなって後ろを見てしまうかも?日常に刺激が足りないと思うあなたを、恐怖の世界へいざないましょう。

おぞましい、いにしえの闇

『厭魅の如き憑くもの』は、険しい山々に囲まれ、「おぞましいもの」の気配が漂う村で起こる連続殺人事件が描かれた作品です。

神々櫛村(かがぐしむら)。そこは、何代にもわたり本家と分家の従兄弟同士で結婚を繰り返している村。巫女を崇め何事も巫女の力を頼りにする、因習に縛られた村。そんな村の憑き物信仰を取材すべく、刀城は、神々櫛村(かがぐしむら)を訪れます。そこで待ち受けていたのは、連続殺人事件でした。身の毛もよだつ事件が次々と起きる中、刀城は事件の謎に迫っていきます。
著者
三津田 信三
出版日
2009-03-13

険しい山々に囲まれた寒村で対立する名家。呪われた血筋や伝説を見立て、次々に殺されていく名家の者たち。実際にありえそうな情景描写は「こんなのは絶対にない!」とは言い切れない恐ろしさを感じさせ、得体のしれないなにかへの恐怖心をより煽ります。

視点が変わる構成も読者を飽きさせない要因になっていて、不気味な世界へ引きずり込まれていきます。じわじわと迫る恐怖が、息の詰まるような臨場感を与えてくれます。そんな恐怖の中でも、薄幸な人生を送る少女と青年のやり取りが不気味な世界を和らげてくれ、二人の青春を感じられる点は魅力的です。いにしえより伝わる呪術の神秘や、民俗学的な部分がよく描かれていることも興味深い作品です。

人知を超え、次々と降りかかる怪現象に、あらゆる可能性を引き出し、二転三転する刀城の推理に、最後まで真相の読めないゾクゾク感が止まりません。

囚われる誰かを想像して、ゾクゾク!

『秋の牢獄』は、三つの不思議な物語が綴られた中編の三作品からなる小説です。

時をループする物語が描かれた『秋の牢獄』。主人公の少女が目を覚ますと、また11月7日でした。全ての出来事、人の些細な動きまでもが11月7日と全く同じ。自分の記憶だけが時を進んでいるのです。この奇妙な体験は、彼女以外にも起きていることを知ります。
著者
恒川 光太郎
出版日
2010-09-25

抗いながらも、解決策のない現状に生気を失くす人々の様子は、徐々に恐怖を大きくさせます。朝目覚めれば、新しい一日が始まる。この当たり前な日常から突然切り離されたら……と思うと、背中にぞわぞわする恐怖が走ります。

『神家没落』では、出ることができない家に迷い込む物語が綴られます。主人公の男は、偶然、萱葺き屋根の古い家に迷い込みます。そしてそこに住む老人に、家を委ねられるのです。しかし男は、一年をかけて日本を移動する不思議な家からは抜け出せないという、恐ろしい事実を知ることになります。主人公の悲壮感が読者にも押し寄せてきます。一方で猟奇的な連続殺人は現実の事件を連想させ、背筋が凍るようです。

ラストを飾る『幻は夜に成長する』は、特殊能力が使える女性の半生が描かれた物語です。歪な生活を送る彼女は、あらゆる幻を人に見せることができる力を持っていました。そして望まぬも、様々な思惑を持つ人々が集まってきます。彼女の過去の全てが明らかになるとき、胸に突き刺さる痛みが走り、苦しくなりました。

どの作品も、巧みな人間描写に引き込まれます。孤独感や恐怖を、これでもかというほどに堪能でき、心に沁みる余韻を残す作品です。実は今、どこかで囚われている誰かがいるかもしれないと思わずにはいられなくなるでしょう。何気ない日常の中の見えない恐怖。あなたの部屋の扉が、抜け出せない異次元の世界への入り口かもしれません……。

アマゾンの恐ろしい謎、最後はホロり

生き物の生存戦略や、神話などが巧みに結び詰められた、まさに地獄と呼ぶべきミステリーホラー小説『天使の囀り』。あらゆるマイナス面である、嫌悪や苦痛、さらには恐怖までもが、快楽に置き換えられ、精神を壊されそうになるほど、独特の世界が広がる1冊です。

物語は、主人公の恋人から送られてきた、不自然なEメールで始まります。徐々にその不自然さの原因が明らかになります。不気味で嫌悪感を呼び起こす描写が、気持ち悪さを助長させます。特に蜘蛛のシーンは、思わず目を逸らしたくなる衝動に駆られますが、それが出来ないほど物語に囚われてしまうのです。
著者
貴志 祐介
出版日
2000-12-08

アマゾンから帰国した恋人が不審な死をとげます。原因を突き止めるべく、女医の早苗は動き出します。早苗は、恋人だけではなく恋人の同行者たちにも異変が起きていることに気付くのです。「それ」は広がり、次々と不審な死を遂げていく人たち。読み進めていくと、自分も本から感染してしまうのではないかという恐怖も芽生え、身の毛がよだちます。

早苗が短い時間の中で、高梨と依田に心を奪われていく様子も、おぞましい世界を際立たせていると感じます。異常な状況下で生まれる愛は儚く、胸を激しく締めつけますが、それすらも恐怖を煽る要因にしてしまう本作。

生物学上の解説が詳しくされており、その知識量には驚かされます。詳しく説明されているのに読みやすく、読者を物語の中に捕らえたまま離しません。

世界中が繋がっている現代において、未だに解明しきれていない「それ」はどこからともなく、静かに広がっているのかもしれません。アマゾンの奥深くに眠り、世界へ這い出せるタイミングを見計らっているだけかもしれません。そう考えるだけでもゾクゾクしませんか?

おぞましい世界の中で、ラストはホロりとしてしまいます。ゾクゾク感を味わいたい方におすすめの1冊です。

1冊のノートから始まる、ホラーミステリー

ある村で起きた二つの怪異を、第一部と第二部でわけて綴る物語『のぞきめ』。

作家になった主人公は、あることをきっかけに、昔小学校教師から聞いた実話怪談を本にすることを決めます。何年か前にライター・南雲が送ってきた民俗学者の四十澤想一のノートを手にしたからです。南雲がおかしくなったことで、読まずに返却しますが、突然それは送られてきたのです。奇怪に始まる物語に、はじめからゾクゾクさせられます。
著者
三津田 信三
出版日
2015-03-25

第一部『覗き屋敷の怪』は、山々に囲まれた貸別荘でアルバイトをする大学生・成留の怪奇体験が綴られています。巡礼者が訪れるという滝。地図に載ってないことに疑問を感じますが、成留の友人・和世が、ある日、巡礼の親子について行ったときに大きな岩のある場所に出たといいます。

成留たちはそこに向かい、大きな岩の前に辿り着きますが、和世がなにかに憑かれたように岩を登りはじめてしまうのです。急いで後を追い、辿りついたのは不気味な違和感のする廃村でした。見えない何か……それも多数の視線に追われている感覚に襲われる、成留たち。その不気味さに急いで引き返した成留たちですが、友人が突然死を遂げていくのです。

第二部『終い屋敷の凶』は、親友・惣一の死に腑に落ちない想一が、侶磊(ともらい)村に訪れた際の怪奇体験が綴られます。民俗学に興味を持っていた想一と惣一。想一は、惣一が亡くなる少し前に、惣一の故郷である侶磊(ともらい)村の鞘落家にまつわる伝説を聞かされていました。鞘落家は、六部の巡礼者の親子を生き埋めにしてきたことから、六部の呪いを受けていたのです。

鞘落家を訪れた想一は、奇妙な体験をし始めます。柱の陰からこちらを覗く女の子を目撃したり、巡鈴堂で女の子の声が聞こえてきたり。ついには不審な死を遂げる人が次々に出てしまうのです。

昭和も終わりに近いころに起きた第一部の怪異事件と、その数十年前に起きた第二部の怪異事件。自然描写が情景を読者の想像を掻き立てます。登場人物の心情描写に、生きた人間の恐ろしさが徐々に襲い、ゾクゾクが止まりません。

最終章では、主人公が二つの怪異事件の謎解きをするのですが、ラストの恐ろしさにゾッとしてしまいます。ふとした時、誰かに見られているような感覚を感じたことはありませんか?血も凍る恐怖をご堪能ください。

犯人の、異常で永遠な愛

『殺戮にいたる病』は、歪んだ愛を抱くサイコキラーの軌跡が綴られた衝撃のミステリーホラー小説です。冒頭からラストまで、残虐性が身を凍らせます。

犯人が、殺人現場で現行犯逮捕されるエピローグから、物語は始まります。第一殺人からどんどん猟奇的になる犯人を主体に、登場人物それぞれの視点で物語は展開していきます。時系列が微妙にずれた視点で進み、登場人物の心情が複雑に絡み合い、最後に全て繋がるという、読者を飽きさせない構成に読む手は止まりません。
著者
我孫子 武丸
出版日
1996-11-14

物語は殺戮場面が細かく描写されているため、嫌悪感を抱かずにはいられないでしょう。しかし、犯人の歪んだ愛が生み出す殺人は、美しいとさえ感じてしまう錯覚に陥るほど、物語にのまれてしまいます。狂おしいほどに愛を求める犯人。しかし、求め続けても得ることができず、それでもまた、愛を求め続ける犯人の心理。相手が死ぬことで永遠の愛を得ようとするそれは、純粋ともいえるのかもしれません。

繰り返される犯人の異常すぎる奇行は生々しく、登場人物の歪んだ思考にも、終始ゾクゾクさせられます。さらに、繰り返される殺人で流れるBGM。作中に出てくる名曲が頭の中で流れ出すと、それがまた犯人の狂気をより際立たせ、恐怖を煽るのです。

読みやすい文章に、読み手の想像を膨らませる表現力と、先の読めない展開。胃がキリキリする緊張感は、ラストが近づくにつれて強くなっていきます。衝撃のラストで、様々に張り巡らされていた伏線に気づき、全身の毛が逆立ってしまうでしょう。底知れない恐怖を堪能できる1冊です。

最初からラストまで、ハラハラとゾクゾクが止まらない5作品。現実の世界でもありそうで、ふとした時にゾクっとしてしまうかもしれません。あなたの日常に刺激を与えてくれること間違いなしでしょう。恐怖の扉は、すぐそばにあるかもしれませんよ?