『来世ではちゃんとします』は、映像制作会社に勤務する20代後半の男女5人の日常と性癖を赤裸々に描いた、コメディ漫画です。Twitterにて公開され人気を呼び、コミック化されました。 誰もが大っぴらにできない、性的嗜好や、コンプレックス、悩みを赤裸々に描いた作品は、面白いだけでなく、多くの人の共感を読んでいます。ドラマ化もされ、話題になっている本作のあらすじ、魅力を簡単にご紹介いたします!
この作品の主人公は、映像制作会社に勤務する5人の社員。
高杉梅はサバサバとした美人ですが、27歳になった今も恋愛経験がなく処女。そして男性経験がないことを隠して生活しています。
それに対し、一見地味な大森桃江は5人のセフレを抱える遊び人。しかし認められたい気持ちと寂しさの間でいつも揺れています。
林勝は恋人にフラれた経験から処女しか恋愛対象にできず、檜山トヲルは風俗嬢に本気で恋愛中。松田健は関係を持った女性に対してすぐに興味を失ってしまいます……。
それぞれにこじらせた性癖の持ち主5人の、性生活を明るく描くコメディ4コマ漫画。2020年1月にはドラマ化されていることでも話題になっています。
ここからは原作の魅力についてご紹介していきましょう。
本作の表紙にもなっている大森桃江は、5人のセフレがいます。でも本当は普通の恋愛をして、普通に幸せになりたい。好きになった人に好きになってもらいたいだけ。そんな気持ちを抱えています。
実はセフレの1人である、Aに恋をしているのですが、彼は桃江を本命の彼女にはしてくれません。
しかしアンバランスな関係に心が揺れながらも、自分にだけある性癖を見せてくれるAに彼女は夢中。心がほしいと思いながらも体の関係を持つことで、どんどん深みにはまっていくのです。
「何も損してない…けど、
自分を選ばない男に抱かれると、
確実に何かを消費してるよなぁ」
(『来世ではちゃんとします』2巻より引用)
その寂しさを、他のセフレとの肉体関係で埋める桃江の行為は、お世辞にも褒められたものではありません。それでも、満たされない心の隙間をセックスというふれあいで埋めてしまう彼女が発する、行為後のさみしい発言は、読む人の心を打ちます。
『来世ではちゃんとします』の舞台となる映像制作会社。それぞれに違うタイプの、性癖をこじらせた5人が働いているので、誰か1人には共感できるというのも魅力的。
5人のセフレを持ち寂しさをセックスで埋める、大森桃江の孤独に共感する人。BL好きで恋愛経験ナシの美人処女、高杉梅の不器用さに共感する人。風俗嬢に恋をする檜山トヲルの従順さに共感する人。
- 著者
- いつまちゃん
- 出版日
- 2018-11-19
初めての恋人に振られてから処女しか恋愛対象にならない林勝のトラウマに共感する人。天性の女たらし松田健に共感する人は少ないかもしれませんが、彼のような実は一番モテる男子にすぐに振り回されてしまう女性は、共感するエピソードが多いのではないでしょうか?
また、彼らのやりとりから生まれる展開が、これまたリアル。会社で2人きりになった松田と桃江がよいムードになった時には、お互いが会社の同僚と関係を持つのはめんどうだと性欲を我慢します。
やりたい時に、すぐやるという、子供のような素直さでは進まない、大人の現実。このようなビターな成分が物語の要所に織り込まれており、ついつい共感しながら読み進めてしまうことでしょう。
『来世ではちゃんとします』は、明るくセックスを描いたコメディ4コマながら、心理描写が巧みで、切ない部分もあり、共感を呼んでいます。うまくいかない恋に悩んでいたり、なかなか恋人ができない人に読んでみてほしい作品です。