眼鏡をかけたら、パワハラな上司も美少女に!? そんなストレス社会で働くあなたに嬉しい展開の作品が『パワハラ美少女カンパニー』です。サラリーマンのライフハックともいえる発想の転換から学べる美少女漫画です。 今回は、『パワハラ美少女カンパニー』の魅力を最終回までご紹介。下のボタンからダウンロードできるスマホアプリで読むこともできます。
職場にパワハラ上司がいる……。身に覚えのある方も多いかと思いますが、あなたはどうしてきましたか?
仕事だけでなく人格を否定するようなことまで言ってきたり、時代錯誤に大声でどなってみたり、仕事のミスではなく単なる八つ当たりだったり……。
今の時代、訴えたり、転職したりするという選択も可能です。ですが、せっかく就職できた職場だから、お給料がいいから、他に不満はないから、と留まっている方もいるでしょう。そんな方々の気持ちをちょっと癒してくれて、発想の転換により、もしかしたら明日から職場が少し楽しくなるかもしれない、そんな漫画が『パワハラ美少女カンパニー』です。
小山内はパワハラ上司やオヤジばかりの職場に嫌気がさしていますが、仕事を辞めるまでには至ってません。ある夜、「オッサンが美少女に見える眼鏡」を見つけ、酔っぱらった勢いで買ってしまいます。
酔いが覚めて冷静に考えてみれば、そんなことはあるはずないと思うわけですが、まさかと思いながらかけてみると、どうでしょうか。その日からバラ色の日常が始まっていくのです……!
- 著者
- 広間 月下
- 出版日
- 2018-08-17
広間月下はヤングジャンプなどで活躍されている漫画家です。 本作が初の単行本化された作品です。
会社を題材にしたストーリーが多く、キャラクターはオタク系やとんでも系、ドエロ系、おバカ系などバラエティに富んだ設定が魅力。
そのなかでも大きな特徴は、お色気系の作品も面白おかしく描く点。ただその展開一色になるだけでなく、どこかハズす工夫のあるストーリーです。それでいて軽いだけでなく、どこか考えさせられるようなテーマを描きます。
本作でも美少女にパワハラされるという、ポップな内容ですが、パワハラやブラック企業、無職・ニートの増加などの話題にさりげなく切り込みます。社会問題を重く描くのではなく、コミカルに変換してくれるので、気分も重くならず、むしろ、読み終わったときには爽快感やふっきれ感が得られる作品にしあげた作者です
- 著者
- 広間 月下
- 出版日
- 2019-02-19
小山内は、オッサンが美少女に見える不思議な眼鏡をかけ、毎日がパラダイスに。大の苦手だった無茶な仕事を振ってくる部長も、無駄話が長くて話すのを尻込みしていた本部長も、面倒くさくて横暴な取引相手も、み~んな可愛い美少女に大変身!
誰しも、オッサンよりはアイドルなみに可愛い子のきつい言葉の方が、ワガママいってるな~程度で許せる可能性が上がるのではないでしょうか。
そう思うほどに本作の美少女たちは可愛い!上司からの無茶な指示や文句も、取引相手の接待だってへっちゃらになります。
そして読者とともに小山内は間違ったトキメキを加速させていきます。可愛い表情や、ポロリまであるのです。
しかしこの美少女たちが可愛ければ可愛いほど、読者としては複雑な気持ちになります……。
- 著者
- 広間 月下
- 出版日
- 2018-08-17
とにかく美少女が可愛いという魅力のある本作ですが、それはあくまで眼鏡をかけていれば、の話。オッサンが美少女になって、パワハラすらご褒美にさえ思えてくるという小山内のテンションに、読者までその気にさせられますが、やはり、彼らはただのオッサン。
眼鏡をかけた小山内と読者だけがそう見えているのであって、周りの人には美少女に見えていません。もちろんオッサンたちも、自分が美少女に見られてるという自覚は、ありません。基本的にはパラダイス、でも現実は何も変わっていないというズレが、読者を複雑な気持ちに、そしてクスリと笑ってしまう仕掛けになっています。
本作は、現実では何も変わりはないものの、少し視点を変えるとラクになるということを教えてくれる作品でもあります。
嫌な人が可愛く見える眼鏡なんて現実にはないよね、現実にはパワハラが解消できてないじゃないか、と思う人もいるかもしれません。
- 著者
- 広間 月下
- 出版日
- 2019-02-19
しかし、ただパワハラ上司が嫌だと思っていても、それこそ何の問題も解消できません。この眼鏡はオッサンが美少女に見えるVR進化形眼鏡です。VR技術がどんどん進化し、仮想アバターを作る技術を有名な企業がすでに開発に成功しているなか、ありえない話ではないと想像するだけでも少し現実の息抜きになるかもしれません。
また、VR技術に頼らなくても、美少女だと思い込んで想像を膨らませば、小山内と同じ体験だってできるのではないでしょうか。
パワハラは、しかるべき対処をすべきです。ですが、現実はそううまくはいかず、我慢しなくてはならないことのほうが多いでしょう。だからこそ、今目の前の辛さを乗り越えるために発想を転換する必要があるのです。
苦手な人がいてもうまく仕事をこなしている人のなかには、クレームをいってくる顧客を子犬だと思う、プレゼンで緊張しないように聴衆はみんなカボチャだと思い込むなど、自己暗示をかけている人が実は少なくありません。
それと同じ発想で、まだ現実にはないオヤジが美少女に見える不思議な眼鏡の世界からヒントを得てはいかがでしょうか。
苦手なオヤジ軍団を眼鏡に切り抜けていた小山内ですが、眼鏡を手放すときが来てしまいます。しかし盗まれたり、無くしたりする訳ではありません。最終回では、自ら手放そうと考え始めるのです。
眼鏡をかけた効果で、いつの間にかパワハラ部長の仕打ちにも慣れ、うまく切り抜けるコツを習得した小山内。社会人として成長した彼は、このまま眼鏡に頼り続けてはいけないのではないかと悟るのです。
- 著者
- 広間 月下
- 出版日
- 2019-06-19
最後に彼はどんな決断をするのでしょうか。もし手放したとして、彼女の職場でのその後はどうなるのでしょうか。
はじめは驚く展開ではありますが、眼鏡に頼り続けて何も成長しないと気づいた小山内の心境は、社会人である読者なら理解できるかもしれません。
コメディ要素が強い作品ですが、最終回では嫌なことやつらいことから逃げ出さないための勇気を教えてくれる、深い内容となっています。もし、皆さんのなかに似たような近況があって挫折しそうなときは、この作品を読んでみるのもいいかもしれません。