石田スイ作の『東京喰種トーキョーグール』は、「週刊ヤングジャンプ」で2011年41号から2014年42号まで連載されました。その後『東京喰種トーキョーグール:re』が、同誌2014年46号から2018年31号まで連載されました。ここでは本作に登場する強敵・オウルに注目して解説していきます!
オウルは、年齢22歳で誕生日が9月10日、身長は171.5cmです。アニメでは立花慎之介さんが声優を担当しました。
白髪で爪や唇が赤黒く、クールでかつ狂気も感じるような雰囲気をもっています。捕食に関しては抵抗を持っておらず、食欲は旺盛。CCGの捜査官を、躊躇せず獲物を得るかのようにグサッとやってしまうシーンも見られました。
そんなかっこいいオウルにはファンも多いのですが、彼は一体何者なのでしょうか……? 物語が進むにつれてその正体は明かされていきますが、はじめ登場したときは誰かわからなかった読者も多かったようです。
この記事で詳しく見ていきましょう!
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2015-06-19
オウルは、CCGの捜査官など戦う相手をただ自身の食料のように思っていて、スピーディーに始末してしまいます。その姿に「強い!」とドキドキさせられますが、それもそのはず。彼はSS(+)レートという危険度を誇る隻眼の喰種なのです。初登場は『東京喰種トーキョーグール:re』3巻のオークション編でした。
嘉納とエトがモニターで戦局を監視しているなか、オウルは戦いの場に投入されます。口調は荒々しく、厄介な喰種が出てきたなと感じさせられました。赫眼は左目だけにあることから、「隻眼の喰種」と呼ばれるようになりました。
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人間を食料とする喰種(グール)と人間との戦いや葛藤、さまざまな謎を描いてきた『東京喰種』。新編である『東京喰種:re』にまで物語が続き、喰種に潜む巨大な謎が明かされました。アニメは4期まで放映され、実写映画化も2度された人気作品です。 ここでは喰種を巡るさまざまな謎を解説や考察したあとに、最終回までの見所についてご紹介します。ネタバレを含みますので、気になる方はスマホアプリもあるので、そちらからご覧ください。
オウルの登場は、強くかっこいい喰種が出てきた!とワクワクする読者も多かったよう。しかし一体何者なのだろうか?という疑問も浮かんでくる存在でした。
なんとその正体は、CCG捜査官・滝澤。人間だったときの面影はほとんどなく、オウル=滝澤ということに初登場から気付いていた人は少ないと思われます。
ではなぜ、彼は喰種となってオークション会場に現れたのでしょうか?梟討伐戦時に、滝澤は第一隊として喰種と交戦します。そしてカネキと戦闘している亜門が窮地に陥っていることを知り、第一隊から抜け出して救助に向かいました。しかしその時に、アオギリの樹のメンバーと遭遇して左腕を食べられてしまうのです。
彼はCCGからも死亡扱いとされていましたが、実はアオギリの樹に実験体として回収されていました。そして嘉納によって人体実験を施され、ヨシムラの赫子を植え付けられグール化します。オウルの名前の由来は、梟戦の「owl」からきているようです。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2017-06-19
嘉納に手術されグール化したオウルですが、オークション会場に投入されるまでの間に悲劇に見舞われます。喰種は人間を食べなければ生きていけませんが、なんと嘉納は滝澤の家族を彼に食べさせたのです。
オウルは、はじめは何の肉かわからずにそれを食べていましたが、嘉納からある時、こう言われるのです。
「君が今食べたもの何の肉だと思う?」
(『東京喰種トーキョーグール:re』11巻より引用)
そこで自身の家族の肉を食べたことを悟るオウル。『東京喰種』の物語は悲劇の連続ですが、このエピソードは物語のなかでもトップにくるほどの悲劇といってもいいでしょう。
無印版『東京喰種』では、オウルは滝澤政道としてCCG捜査官をしていました。
もともとの滝澤はオウルとは異なり、明るく努力家でした。小さな頃に、近所に住んでいたおばさんを喰種に殺されたことで母の精神が不安定になってしまい、家族を思いやる形で喰種捜査官養成学校に入学し、次席で卒業します。学生時代は同期のアキラがずっと首席で、成績で負けていたことに劣等感を感じ続けていました。
その後、、CCG本局所属二等捜査官となり、20区捜査班に所属。メンバーには、篠原幸紀・法事項介・亜門鋼太郎・真戸暁・鈴屋什造がいました。特例入局した鈴屋にも、アキラと同様に劣等感を抱いていて、冷淡な態度をとっていました。彼らの中にはオウルになってから再会するメンバーもいて、その絡みを楽しむこともできます。
無印版『東京喰種』のラスト、梟討伐戦の前に滝澤は遺書を残しています。滝澤だけではなく、CCG捜査官は討伐戦に行く前は遺書を残す決まりがあるのです。
母に全財産を渡すこと、またCCG捜査官になろうと思ったきっかけが遺書には書かれていました。しかし滝澤は自身が死ぬかもしれないということを受け止めきれず、遺書の上から死にたくないと太い字で書き殴りました。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2014-08-20
この遺書ですが、石田スイが伏線を張ったのでは?と言われていました。滝澤は太い字で死にたくないと書く前に、細い字で遺書を書いています。その遺書に書かれた「し」の字が消されていたのです。これは、「し」がない=「しなない」とも読み取れます。
結局、彼はノロとタタラとの戦闘によって、左腕を落とされて死亡されたとされていました。しかしその後、『東京喰種トーキョーグール:re』でグール化しオウルとして登場します。
このことについても、123話の「銃後」も合わせて伏線が張られているのでは?といわれています。 「銃後」と「死なない」と組み合わせると、銃で撃たれた後も死なないという意味に取れるのです。
先ほども触れたように、オウルはオークション編で初登場となりました。嘉納とエトが戦局を監視するなか、戦いの場に投入された、佐々木ハイセと激突します。オウルは佐々木ハイセ=カネキだということを知っていました。
嘉納の最高傑作であるカネキを越え、自身が1位であることを証明したいという気持ちで彼はカネキと戦います。人間であるときはアキラに劣等感を抱いていましたが、喰種となってからはカネキに対してその矛先が向いたのです。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2015-06-19
嘉納によって芳村の赫子を移植され喰種化したオウルは強く、またカネキを越えて1番になるという執念で戦っていたこともあり、確実にカネキを追い詰めます。
その戦いをアヤト・トルソーとともに会場に入っていたヒナミが目撃します。追い詰められているハイセを見て、カネキは生存していたのだと確信するきっかけとなるシーンでもありました。
戦いの最中には、人間だったときに顔見知りだった女性CGG捜査官の首をもぎとり、狂気を感じさせるシーンもあります。
「もぎたてのパイナップルみてえだな~」
(『東京喰種トーキョーグール:re』3巻より引用)
そしてオウルはアキラに喰種化した姿を見られてしまい、その場を去っていくのでした。
流島上陸作戦では、オウルと亜門が激闘することとなります。かつての上司だった法寺がタタラと戦っているところにオウルが手を貸し、法寺はタタラの討伐に成功。
喜んでもらえると思った矢先、彼の口からはオウル討伐が告げられます。オウルは、英雄になりたくて頑張っていた心を折られ、法寺を殺してしまいます。その後、喰種として殺処分されるよりは上司の手で……と、アキラから諭されるのですが、そこに亜門が登場するのです。
人側に加勢するものの、アキラを守るためではなく、滝澤を守るために来たという彼との戦いが始まりました。それぞれの気持ちがぶつかり合い、人間時代の想い出が蘇りながらの切ない戦闘でしたが、この戦いはオウルの圧勝となります。
嘉納は滝澤以外にも人体実験をしていて、その際亜門も半喰種化させていました。しかし成功作は滝澤のみで、亜門は失敗作といわれていたのです。その影響もあり、力の差が圧倒的でオウルは勝利しました。
オウルには、タタラへ復讐をするという目標がありました。梟討伐戦でタタラにやられたことをきっかけに、彼を討伐して皆の英雄になりたいという目標があったのです。
タタラの兄はたくさんのCCG捜査官を殺害した喰種で、タタラは兄を超えるのではないかといわれていました。しかし芳村の赫子を取り込んだことで、喰種のなかでも強くなったオウルは彼を圧倒することとなりました。
ここからは切ない過去を持ち、狂気の喰種となったオウル、もしくは滝澤の名言をご紹介します。
「自分の未来がパーになった事に気づいちまったら
誰かの為に生きりゃいいだろ」
(『東京喰種トーキョーグール:re』11巻より引用)
亜門との激闘中、アキラに対してオウルが放った言葉です。「生きることをあきらめない」という、強い気持ちが伝わってくる力強いセリフです。
- 著者
- 石田 スイ
- 出版日
- 2017-06-19
「叶うなら時間を戻してぇな
俺だってアンタらみたいに…」
(『東京喰種トーキョーグール:re』11巻より引用)
お互い喰種になって亜門と再会し、彼とゆっくり話をしているときに発した言葉。
自身の家族を食べてしまった過去に苦しみはありますが、過去には戻ることはできません。未来へ突き進んでいくしかないという切迫した切ない気持ちが感じられます。
「俺はオウル ”喰種”なんだよ!!!
もう決めてんだよ どう生きるか」
(『東京喰種トーキョーグール:re』11巻より引用)
嘉納によって人体実験で喰種化されてしまい、また家族の肉を食べさせられ、彼は絶望を味わっていました。人間として英雄にもなれず、生きる希望を失うのではないか?と心配をしていたのですが……。
亜門と再会したときに、彼はこのセリフを発するのです。辛い過去を乗り越え、強く生きていく決意は、彼を魅力的にしている最大の理由ではないでしょうか。
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