僕は、読書が好きだ。

珈琲が好きだ。

喫茶店が好きだ。

この3つは、僕の中で切っても切り離せない関係にあるために、

僕はほぼ毎日、最低2時間は喫茶店にいる。

おとといは。読書をするために、喫茶店に行き珈琲を飲んだ。

昨日は。珈琲を飲むために、喫茶店に行き本を開いた。

そして今日は。前々から気になっていた喫茶店に行くために、本を片手にお邪魔した。

もちろん注文は珈琲、という具合だ。

したがって、僕はスケジュール帳には、ほぼ365日、珈琲×喫茶店×読書、という時間が存在する。

傍から見たら、まあ毎日毎日、飽きもせず同じ事ができるものだな……と、思うかもしれない。

でも、目的や場所、開く本の種類によって。

同じ行動のなかでも、本質的な意味合いが変わってくる。違う景色に見えてくるんです。

ちなみに僕は、本は“五感”で楽しむものだと思っている。

それに気づいたのも、喫茶店で珈琲を飲みながら小説を読んでいる時だった。

持っていた小説は『海辺のカフカ/村上春樹』。

過去にジャズ喫茶を経営していた大島さんが、カフカ少年にコーヒーの作り方を教える場面。

グラインダーで豆を挽き、注ぎ口の細いとくべつなポットでお湯をしっかり沸騰させ、それを少し落ち着かせ、ペーパーフィルターを使って時間をかけて抽出していく。できあがったコーヒーに大島さんはほんの少しだけ、なにかのしるしのように砂糖を入れる。クリームは入れない。それがいちばんおいしいコーヒーの飲みかたなのだと彼は主張する。

なんだかコーヒーの香りがしてきませんか?

スプーンの先にのせたほんのすこしの砂糖を入れてマネして飲んでみたら、なんだかこのコーヒーの味が、物語のさらに奥へ連れて行ってくれた気がしたんです。

小説の中の世界と、自分のいる世界を珈琲で繋ぐ。なんだか素敵だと思いませんか?

皆さんもぜひ一度体験してみてください。

というわけで今回は、喫茶店で飲む珈琲のお供にぴったりな本を紹介します。

珈琲屋の人々

著者
池永 陽
出版日
2012-10-11

東京は下町の商店街にある『珈琲屋』。主人の行介はかつて、ある理由から人を殺していた……。

心に傷を負った人間たちが、『珈琲屋』で語る様々なドラマを七編収録。情感溢れる筆致が冴える連作集。読み終えると、あなたはきっと熱いコーヒーが飲みたくなる。

この小説は、ビターブレンドなどの苦味とコクがある「大人の珈琲」が合うと思います。

ぜひ「大人になったあなた」に読んでほしい小説です。

コーヒーカップ4杯分の小さな物語

著者
["佐藤 嗣麻子", "川口 葉子", "青目 海", "柚木 恵"]
出版日
2006-10-22

監督・脚本家である佐藤嗣麻子の「ストレンジャー・イン・パラダイス」ほか、4人の女性が綴ったコーヒーにまつわる短篇を収録。コーヒーの花、ほろにがコーヒー、モカマタリ、キリマンジャロ……。コーヒーが物語を運んでくる。

タイトル通り一つの話が珈琲一杯分のページ数。

それぞれの作品に合わせて違う味と淹れ方の珈琲を味わいたくなる。

一気に読んでしまいたい方は、ぜひとも、お腹タプタプ覚悟で4杯分の珈琲を飲みながら4つの物語を読んで欲しい!

僕は実践できてませんが……(笑)。

豆大福と珈琲

著者
片岡 義男
出版日
2019-04-05

離婚ののち息子を連れて地元に戻ってきた幼なじみの女性と、「結婚」をしないまま新しい「家族」のかたちを探っていく表題作のほか、小説的企みに満ちた「珈琲」をめぐる五つの物語。珈琲にまつわる書き下ろしの自伝的エッセイ「珈琲に呼ばれる人」も収録。

不朽の名作、ハードボイルド映画「スローなブギにしてくれ」でおなじみの片岡義男さん。

もう80歳になられていることに驚きました。

変わらずおしゃれに並んだ言葉とともに、香り高い珈琲はいかがですか?

というわけで今回は、珈琲によく合う本をご紹介しました。 
いかがでしたか? 
もし良かったら、皆さん一押しの珈琲とよく合う本がありましたら、僕にもぜひ教えてください!! 
本当は、猫カフェ(猫のいるカフェ)が題材の小説も結構あるので、 
ぜひ!! 猫カフェで読んで欲しい小説!!ってのも紹介しようと思ったのですが、「あいつ猫カフェになにしに来たんだ? モフらないで小説ばっかり読んでるぜ」と白い目で見られそうなのでやめました。 
それではまた来月、ホンシェルジュで会いましょう!

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