常識も成り立ちも違う場所に、突然放り出されたら……どうやって生き抜けばいいのでしょうか。『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』は、高校生7人の異世界トリップファンタジー。さまざまな超能力を駆使した異世界ライフを、7巻までネタバレしながら紹介していきます。 本作は、スマホの漫画アプリでも無料で読めるので、気になった方はそちらからもどうぞ!
各分野で世界最高と称される「7人の高校生たち」。彼らは、敬意と畏怖をこめて「超人高校生」と呼ばれていました。
ある日、彼らが乗り合わせていた飛行機が太平洋上空で消息を絶つという事態が発生し、物語が始まります。
7人が目覚めると、そこは異世界にある「フレアガルド帝国」が治める辺境の地・エルム村でした。エルフや獣人たちが暮らし、ドラゴンが悠々と空を飛びまわる、地球とはまったく違う場所……。
- 著者
- ["海空 りく", "山田 こたろ"]
- 出版日
- 2016-10-13
村の住人に助けられた7人は、貧しいながらも自分たちを介抱してくれた村人たちに、お礼・お詫びとしてふさわしい働きを誓います。
そして、村の財政を救うこと、元の世界に戻る方法を探すこと、この世界を知ること。当面の目標を立てた7人は、地球で「世界最高」と称された超人的な能力を活かし、動き始めるのでした。
チートな能力を持った高校生たちの異世界ライフ。7人それぞれの個性が際立ちますが、現地民との交流も面白いところ。高校生たちが起こす、さまざまな革命に心が躍ります。
本作は、GA文庫(ライトノベル系の文庫レーベル)で刊行されている、原作・海空(みそら)りくの作品です。イラスト・キャラクター原案は、さくらねこ、漫画版の作画は、山田こたろが担当しています。2016年からヤングガンガンで連載され、2021年6月現在12巻まで発売されています。
また、本作品はガンガンONLINEでも配信されています。ですが、公開が終了した話は読むことが出来ないので、ガンガンONLINEアプリで読むことをおすすめします。ガンガンONLINEアプリでは『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』が先行配信されていますので、続きが気になる方は是非ご利用ください。
また、2019年10月3日より、TOKYO MXでテレビアニメの放送が開始されました。小林裕介、石上静香、日高里菜、金元寿子など人気声優陣が出演し、大きな話題に。第2期を期待する声が多く、今注目の作品と言えますね。
本作の大きな魅力は、登場するキャラクターたちです。とくに、主人公を含んだ7人は、高校生でありながら、かなり規格外な存在。
そこで本作に登場する超人高校生たちを紹介していきましょう。
左右の瞳の色が違う、赤と青の瞳を持つオッドアイの主人公・御子神司(みこがみつかさ)。リーダーとして7人をまとめており、日本の総理大臣としても活躍。拳銃の扱いにも長けています。
司が絶対の信頼を置くのが、世界最高の実業家・真田勝人(さなだまさと)。大企業の社長をしており、お金を稼ぐ才能はピカイチ。身内を傷つけられることを嫌いますが、商人らしいドライな部分も持ち合わせています。見た目は一番、普通の高校生に近いかもしれません。
プリンス暁(あかつき)は、世界的なマジシャン。金髪に小柄な見た目が女性のような雰囲気を醸していますが、じつは男性。宙に浮いたり、物を消したりするマジックを得意としています。
世界最強の剣豪・一条葵(いちじょうあおい)は、古風な侍風の少女。機動力に長けており、1人で兵器以上の戦闘能力を有しています。
ボブの長さに三つ編みが可愛い大星林檎(おおほしりんご)は、世界最高の発明家。相棒のマネジメントAI「クマウサ」とともに、さまざまな製品を作り出します。
世界最高の医師と評されているのは、神崎桂音(かんざきけいね)。施術に道具や薬を必要とせず、まさしく「ゴッドハンド」という名にふさわしい手と、観察眼をあわせ持っています。淡い金髪を上品にまとめている姿が印象的です。
ピンクの髪が特徴的な猿飛忍(さるとびしのぶ)は、世界最高の高校生ジャーナリスト。忍者の末裔なので、諜報活動を得意としており、ストールをパラシュートにするなど、軽い身のこなしが特徴です。
このように、能力や経歴を列挙しただけでも、彼らが特殊な存在であることがうかがえます。地球上では世界的に活躍していた7人ですが、世界の成り立ちが違う「異世界・フレアガルド」に来ても、余裕で生き抜くようです。
7人の活躍はもちろんですが、現地の住人たちが彼らに感化され、さまざまな能力を開花させていくのも魅力のひとつ。小さな村から物語が始まるだけに、成り上がっていくような高揚感も味わえます。
1巻は、超人高校生7人の紹介から始まり、飛行機事故で異世界に飛ばされてしまったことで、異世界・フレアガルドのエピソードへと移ります。
フレアガルドでは、獣の特徴を持つ人類は「ビューマ」、地球人のような人類は「ヒューマ」と呼ばれます。公用語は、日本語とよく似ている「アルト語」。
村人の介抱により、怪我から回復した7人は、それぞれの得意分野を活かし、超人らしい能力を発揮していきます。
- 著者
- ["海空 りく", "山田 こたろ"]
- 出版日
- 2016-10-13
1巻で大きな活躍を見せるのは、勝人。貧しい村の財政を立て直すため、村の財政を預かるエルクとともに、エルム村に近い大商業都市・ドルムントを訪れます。
とくに「エルム商会」として、一から商売を始める勝人の手腕が見所です。優れた状況判断能力と、目的達成のための冷静さ、駆け引きで負けない豪胆さなど、大企業の社長らしさを堪能することができます。
また、ビューマの奴隷少女・ルーも登場。後に子弟関係となる2人の出会いにも注目です。
エルム商会が順調に金貨を稼いでいたころ、村では、狩りに出た男たちが遭遇した「森の主」を討伐することになりました。そして葵、林檎、桂音が森に向かい、魔物化した熊の討伐に成功します。
しかし、森から戻ると、村が火事に……。エルム商会の存在を不服とした領主が、直属の守衛騎士団を差し向けていたのです。
騎士・インザーギの、差別的な主張に憤る7人と村の人たち。村人たちは無事だったものの、そこに村娘・リルルの姿はありません。
- 著者
- ["海空 りく", "山田 こたろ"]
- 出版日
- 2017-03-25
2巻では、インザーギに攫(さら)われたリルルを救うため、「領主に戦いを挑む」というエピソードが大きな見所です。
とくに、「リルルだけの犠牲で済ませられるのに、あえて戦うのか?」と、冷静に問う司の姿が印象的。村人たちが7人に助けを求め、本格的に立ち上がろうとする姿に胸が熱くなります。
司だけでなく、葵や林檎、暁や忍たちにも、それぞれの能力を活かした見せ場が用意されているので、異世界でも「超人高校生が余裕で生き抜く姿」を堪能できるでしょう。
フレアガルドには、「7人の勇者が外の世界から現れ、邪悪な竜から世界を救った」という伝説があります。
フィンドルフ領主との戦いに勝利した7人は、伝説から派生した七光聖教を利用し、民衆の心を掴んでいきます。また、ドルムント市長を懐柔し、統治権を得るために動き始めるのでした。
そんな状況のなか、司が警戒しているのは、隣に位置するギュスターヴ領の存在。前半はフィンドルフ領の地盤固めが中心に描かれ、後半では次の展開につながる「謎多きギュスターヴ領」の内実が明かされていきます。
- 著者
- ["海空りく", "山田こたろ"]
- 出版日
- 2017-06-13
ギュスターヴ領は、一見すると平和で美しい場所ですが、潜入したエルクと忍は、過酷な真実を知ることになります。この辺りのエピソードでは、ややグロい描写があるので、苦手な方はご注意を。
3巻の見所は、司とリルルの「なんともやきもきする」恋愛関係です。司はリルルを避けていたのですが、彼女はそれを察していました。
個人よりも大衆の幸せを優先するため、一度はリルルを見捨てようとしたことに、罪の意識を抱く司。怒るリルルと、2人の仲直りの様子、そして林檎との微妙な三角関係はニヤニヤ必至です。
4巻は、オスロー・エル・ギュスターヴによる、ドルムントへの攻撃(宝槍と呼ばれる強大な武器)で幕が開けます。帝国に忠誠を誓うギュスターヴは、七光聖教を快く(こころよく)思っていませんでした。
一方、不思議な能力を開花させたリルルは、7人の勇者に「危機が迫っている」という、お告げを受けます。
ギュスターヴ領から放たれた炎の槍に、混乱する市民。リルルの不思議な能力と、林檎の製作した近代武器、そして葵の活躍により、街を焼いた槍を撃退することに成功します。
- 著者
- 海空りく
- 出版日
- 2017-12-13
司は、ギュスターヴの動きを推測し、次なる一手を打ち始め、ギュスターヴ領で囚われの身となっていた忍は、白銀騎士・ジャンヌという協力者を経て、ギュスターヴ城へ潜入するのでした。
4巻では、ドルムント危機一髪という緊迫した状況で、ギュスターヴ公との戦いが描かれます。7人の活躍はもちろんのこと、現地民であるリルルやジャンヌ、重要な働きをするゼスト・バーナードが注目ポイント。
とくに能力を開花させ、大きな助けとなるリルルの活躍が大きな見所です。
北方3領を手中にし、ギュスターヴ領に入った司たち。七光聖教を布教し、市民たちの支持を得ながら、現領主となった「碧の団」コンラッドの不正を暴こうと動き始めます。
暁と桂音は領内を回るうち、敗血症の患者が多いことを発見。薬が足りずに治療できないこと、また患者にアヘンを処方していた薬師会が、一枚噛んでいたことを突き止めます。
リルルに協力してもらい、特効薬をつくることで、患者の治療にあたる桂音たち……。
- 著者
- 海空りく
- 出版日
- 2018-06-13
一方、コンラッドは帝国の四大元帥・ネウロに取り入ります。忍は、コンラッドの動きを司に報告しますが、彼を訪ねてきたジャンヌといるときに、帝国の黄金騎士が攻撃を仕掛けてきて……⁉
5巻では、ギュスターヴ領内の統治と、今後の展開につながる動きや伏線がちりばめられています。桂音の大活躍が見られるので、ファンの方は要チェック。また、背筋も凍る「脳手術」の様子も、余すことなく見ることができます。
最大の見所は、林檎の恋。司に恋したきっかけや、デートの様子などが描かれますが、あまりの甘酸っぱさに胸がキュンとするでしょう。
黄金騎士の襲撃を受けた、ジャンヌと忍。もとの主の死に関わる男と知って激昂(げきこう)してしまい、一時劣勢になりますが、忍の機転で撃退させることに成功します。
そしてコンラッドが隠していた「黄金」を発見した2人は、そこでネウロの秘術により、ギュスターヴが蘇生していたことを知ります。
一度は撃退するも、魔物化して再び飛来したギュスターヴ。しかし、葵の持つ妖刀により、秘術を解かれて絶命します。
- 著者
- 海空 りく
- 出版日
- 2019-01-25
そして、正式に北方四領を手中に収め、エルム共和国の立国を宣言した7人は、帝国元帥・ネウロとの交渉に臨むのでした。
6巻では、死んだはずのギュスターヴが生きていた……という展開もあり、緊迫した空気が漂いますが、大きな見所は「帝国との正式な交渉」です。
また、帝国元帥・ネウロの意外な出身が明らかに……。帝国と不可侵条約を結び、独立国家として歩み始めたものの、不安要素が随所にあり、緊迫した状況が続きます。
7巻では、次の展開へとつながる布石が打たれます。それぞれの任務を遂行するため、共和国内で動き始めた超人高校生たち。
ネウロの秘術や、ギュスターヴを魔物化させた謎の鉱物、そして7人の勇者伝説の謎を探るために、忍は留学生として帝国に潜入します。
一方、勝人は帝国を含む4か国の通商会議に臨んでいました。代表を務めたのはエルクでしたが、密約を交わすも、逆に嵌められてしまい、絶体絶命に……。
ルーの奇策も不発に終わり、エルクの身は危険なまま。責任を感じた勝人は、帝国の造幣局の局長・ローゼンリンクを徹底的に潰すことを心に誓うのです。
- 著者
- 海空 りく
- 出版日
- 2019-07-25
7巻では、久しぶりに商人組である勝人やルーの活躍を見ることができます。こちらの展開も気になりますが、最大の見所はジャンヌの恋でしょう。
怪我を負ったゼストのために、斜め上方向に奮闘するジャンヌがひたすらに可愛く、ニヤニヤしてしまいます。林檎・リルル・司の三角関係にも変化があり、恋愛模様からも目が離せません。
数々のピンチを、チートな能力で解決していく本作。しかし、7人が努力をしていないわけではなく、苦悩しながらも己の限界に挑み、役割をまっとうしていく姿が印象的です。
アニメではどんな演出で活躍が描かれるのか、7人の異世界ライフの始まりを心待ちにしましょう。