ドジでおっちょこちょいな真東輝が、天才外科医として名を馳せた父のようなゴッドハンドを目指していく医療漫画が、『ゴッドハンド輝』です。若手外科医の成長物語の様子と、患者を決して死なせないという熱い気持ちに引き込まれて行く作品です。 この記事では、『ゴッドハンド輝』最終回までの見所をご紹介。
「神々の座す処」と評判の高い安田記念病院、通称ヴァルハラには神の手と呼ばれる敏腕医師がそろっています。そこで天才外科医として名を馳せた父親のようになりたいと頑張るのが、主人公の真東輝。
ドジで、おっちょこちょいな一面を持ち合わせた彼ですが、今のところ患者の死に一度も立ち会ったことがないという天運を持ち合わせた人物でした。
- 著者
- 山本 航暉
- 出版日
- 2001-07-06
本作は、そんな彼の成長の物語。ドジではあっても、父親譲りの神眼力を持ち、亡き父を知る安田院長や厳しく彼を鍛える指導医の北見、ライバルである四宮たちに囲まれながら、父のようにゴッドハンドと呼ばれる日を目標に進んでいきます。
1988年に「週刊少年マガジン新人賞」に入選し、入選作の「セカンド』」でデビューを果たしました。山本晃名義でも活躍しており、代表作に「疾風伝説彦佐・疾風の七星剣」シリーズ』や、『アッパーロード』、『紅の旋風』、『戦国の旋風』などがあります。
- 著者
- 山本 晃
- 出版日
今回ご紹介する『ゴッドハンド輝』は、2001年から「週刊少年マガジン」で連載がスタートした全62巻の長編人気漫画。2009年には平岡祐太主演、水川あさみや要潤、別所哲也、渡部篤郎ら豪華キャストによってテレビドラマ化もされました。
山本航暉という名前や医療ドラマを描くことから、男性と思われがちですが、実は女性漫画家である彼女。特徴は、目がパッチリとした表情豊かなキャラです。今回ご紹介する輝のように、表情豊かで明るくまっすぐな人物が多く、読んでいて力が湧いてくるようなストーリーを得意としています。
主人公の輝はおっちょこちょいなところがあり、現場でもドジの連続で、周囲の医療スタッフを不安にさせてばかりです。その反面、医療に向けた情熱や心意気では誰にも負けていません。
- 著者
- 山本 航暉
- 出版日
- 2001-08-08
というのも、幼いときに自分を守るために父親が飛行機事故で命を落とした過去があり、もう二度と人を死なせないというかたい決心を持っているからです。父のような天才外科医になる、というのは憧れだけでなく、後悔も混じった理由からの目標なのでした。
そんな想いが天国にいる父に通じて守られているのか、絶対的な天運が彼に宿るようになります。生命の悲鳴が聞こえると、輝の血が燃えたぎるのです。
ゴッドハンドと呼ばれた亡き父が託した想いを胸に、患者を決して死なせないと奮闘する主人公にいつの間にか引き込まれます。全62巻です、彼のエネルギーに巻き込まれて一気に読んでしまうこと間違いなしです。
危なっかしくて見ていられないほど普段は不器用な輝ですが、いざとなるとありし日の父親を彷彿させる天才っぷりを発揮します。読者によっては医療ドラマとしては荒すぎるという描写もありますが、本来ならありえないと思わせる、飛躍した内容こそ面白いと賞賛するファンも少なくありません。
- 著者
- 山本 航暉
- 出版日
- 2001-10-15
ただ、フィクションならではの医療シーンだけでなく、実際に使える実用的な知識も時々登場します。特にネットなどでも話題となっているのは、寝違えた際の対処法です。
読者がその治し方を実践してみたところ、ほんの数分で実践でき、しかも、本当に首の痛みが解消したと話題を集めているのです。
漫画で語られるところによれば、寝違えは首や肩に問題があるのではなく、寝ている間に何らかの原因で脇の下の神経が圧迫されてしまったことで引き起こされるそう。なので圧迫された部分の筋肉をストレッチして伸ばしてあげれば、血行が回復して自然と痛みが取れるというのです。
寝違えると首の痛みをとろうとして揉みほぐす方も多いかと思いますが、実は原因は脇にあったんですね。フィクション的な面白さがありつつも、たまには役立つ実用的な情報も含まれているのが本作なのです。
『ゴッドハンド輝』は62巻まで出ていますが、実は61巻が本編としての完結巻です。62巻は番外編で構成されており、いわば、読者の期待にこたえて描ききれなかったエピソードや、輝以外のキャラに焦点を当てたボーナストラックというところでしょうか。
- 著者
- 山本 航暉
- 出版日
- 2012-02-17
実質的に最終回となる61巻は、成長を遂げてきた輝と、よきライバルとしてしのぎを削ってきた四宮とのエピソードがメインです。輝がなんとヴァルハラを出るかもしれないと噂を耳にした四宮が、その真相を確かめるべく輝へと迫ります。真剣な表情で問いただす四宮に対して、輝が告げたこととは何なのでしょうか。
その結末は、命を助けるための懸命さという点で共通していたキャラたちそれぞれの幸せな様子が見られます。特に見開きは今まで登場してきた人物が集合し、ここまで追ってきた読者としては感慨深いものがあります。
輝の幸せながらも照れくさそうな表情は、ぜひご自身でご覧ください。
最終62巻は、本編の終焉を迎えた後で番外編を収録した巻です。
収録されているのは2編で、まずはヴァルハラでナンバー2と呼ばれる天才外科医の北見と、四瑛会病院の敏腕外科医である蓮が同じ時間帯に同じ手術に臨むエピソードが描かれます。患者こそ違えど、外科医の腕前が試される勝負だとにわかに話題にあがります。
- 著者
- 山本 航暉
- 出版日
- 2012-05-17
もっとも、当の2人は目の前の命を救うことだけを考えているに違いありません。そんな先輩医師の2人から輝たち若手医師がどんなことを学ぶのかが、描かれていきます。
もう1編は本作の前日譚にあたる内容。輝の父である光介とヴァルハラの安田院長が、若き日にアメリカで交わした約束が明らかになります。
父を目指し続けてきた輝ですが、知らず知らずのうちに父のような道を歩んでいることが感じられ、ジンときてしまいます。
ファンなら読まない理由がない!最終回を終えた後の続編もぜひご覧ください。
いかがでしたか?ドラマ化などで耳にしたことはあるものの、読んだことがないという方は多いかもしれません。