とっても身近なものなのに、意外と学ぶ機会が少ない「お金」。そこで今回は、お金の価値を理解できるおすすめの絵本を紹介していきます。またお金では買えないものを描いた作品もあるので、さまざまなことを考えるきっかけにしてみてくださいね。
コンビニで買うお菓子、100円ショップで買うスポンジ……同じ100円でも、買えるものはさまざま。
ほかのお店では何が買えるんだろう?不思議に思ったぼくは、お母さんといっしょに商店街を探検してみることにしました。
「100円たんけん、しゅっぱーつ!」(『100円たんけん』より引用)
- 著者
- 中川 ひろたか
- 出版日
- 2016-10-11
100円は何と交換できるのか、実際に商店街に行って調査をするぼく。肉屋さんに魚屋さん、八百屋さん……いろいろなお店を回るうちに、同じ100円でも、種類や大きさ、重さなど、買えるものが大きく異なることを知ります。
子どもにお金について教えたくても、言葉だけでは難しいもの。そんな時はこの絵本を読んであげましょう。親しみのある100円で、お金や物の価値をわかりやすく伝えることができます。
「100円たんけん」を終えたぼく。いったい何を買ったのでしょうか。心がほっこりとあたたまるラストも、見届けてくださいね。
気がついたら、真っ暗なところにいた1円玉のぼく。そう、ここは自動販売機の下。となりに落ちていた100円玉は、にゅーっとのびてきた手に拾われて行ってしまいました。
それ以来ぼくはひとりぼっち。春、夏、秋、冬と寂しくてたまらない日々を過ごしていたある日、大きな目をした女の子が、ついにぼくを見つけてくれました。
- 著者
- やまもとゆか
- 出版日
- 2009-07-16
カリスマ主婦トレーダーのやまもとゆかが手がけた絵本。主人公は1円玉という、斬新な視点の物語です。
1円玉のみっけは、自分は人の役に立ったためしがないと思い、悩みます。そんな彼が連れていかれたのは、1円玉募金の箱の中でした。施設の子どもたちに、すべり台をプレゼントするための募金です。
その事実を知って、涙を流して喜ぶみっけの姿はいじらしく、読者の心を強く揺さぶります。「人を幸せにする」という想いを知ることで、いつも当たり前のように使っていたお金の見方が変わるはずです。チャリティについて考えるきっかけにもなるでしょう。
私たちの身近にある、あんな車やこんな車。
いったいいくらなんだろう?
- 著者
- 出版日
- 2004-07-01
セダンにミニバン、新車に中古車、バス、救急車、消防車……意外と安い車もあれば、びっくりするほど高いものも。好奇心を掻き立てられる、目からウロコのリアルなお値段が次々と登場します。
日常では見ることのない桁の数字は、子どもの世界をぐんと広げてくれるはず。車好きではなくても、夢中になってしまう魅力が詰まっています。
裏表紙に仕掛けられた演出も粋で、最後まで読者を満足させてくれる一冊。ぜひ親子でお楽しみください。
ハリネズミのおじいさんは、森の奥の草むらで小さな金貨を見つけました。おじいさんはすっかり年を取って、冬ごもりの準備さえ大変になってきたので、この金貨でほしきのこを買って、のんびり冬を過ごすことにします。
しかし、あちこち探しても、ほしきのこは売っていません。途方に暮れていると、木のうろからリスが顔を出しました。
- 著者
- ["ウラジーミル オルロフ", "田中 潔"]
- 出版日
- 2003-11-01
小学校の国語の教科書にも採用されているロシアの物語です。優しいタッチで描かれた繊細な情景からは、冬がはじまる前の森を満たす静寂さが伝わってきます。
そんな静かな森で、1枚の金貨を拾ったハリネズミのおじいさん。冬ごもりの準備をしようと思いたちますが、なかなか目当てのものが見つかりません。困り果てていると、森の仲間たちが手を差し伸べてくれました。思いやりある行動に感銘を受けるとともに、困っている人を見かけたら、何の見返りも期待せずに手助けすることができるのかどうか、深く考えさせられるでしょう。
何をするにもお金が必要な社会のなかで、助けあうことの尊さを教えてくれる一冊。優しい世界観を味わってください。
「えー、ともだちやです。ともだちは いりませんか。さびしいひとは いませんか。
ともだち いちじかん ひゃくえん。
ともだち にじかん にひゃくえん。」(『ともだちや』より引用)
大きく「ともだちや」と書いてあるのぼりを持って、キツネが森をねり歩きます。なんとお金を払えば、寂しい人のともだちになってくれるというのです。
- 著者
- 内田 麟太郎
- 出版日
「ともだちや」のキツネは、オオカミに呼び止められて一緒に遊びはじめました。そして時間がくると、お代を請求します。しかしオオカミはびっくり。本当の友達にお金のやりとりはいらないと、親愛の気持ちとともに1番大事にしているミニカーを渡すのです。
お金があれば世の中のたいていのものは手に入りますが、ともだちは違います。本作は、お金で買えない価値のあるものがあるという当たり前のことを、優しく教えてくれるのです。
絵本作家の降矢ななが描く、にぎやかで味のあるイラストも作品の魅力を高めます。キツネやオオカミの豊かな表情の変化にも注目してくださいね。
私の家には、ものすごく大きなビンがあります。おこづかいをもらったときや小銭が少し余ったとき、そのビンにお金を入れるのです。
いつかこのビンがいっぱいになったら、いすを買います。今まで使っていたいすは、去年の火事で他のものと一緒に焼けてしまったから。
仕事から帰ってきて足が痛いかあさんを休ませるために。おばあちゃんがフンフン鼻歌を歌いながら、座ってお料理ができるように。バラのもようがついたビロードがかかった、ふわふわで、きれいで大きい、世界で1番すてきないすを買うのです。
- 著者
- ベラ B.ウィリアムズ
- 出版日
鮮やかな色彩の水彩画で、家族の絆をあたたかく描いたアメリカ発の絵本です。
主人公の少女は、お母さんとおばあちゃんと3人で暮らしています。火事ですべてを失ってしまった彼女たちの目標は、世界一のいすを買うこと。そのために毎日コツコツ、大きなビンにお金を貯めているのです。そしてとうとういっぱいになり、少女たちはついに夢にまで見たいすを手に入れました。
どんな苦境に立たされても、お互いを思いやってきた家族の姿を知っているからこそ、いすを手に入れた瞬間は、こちらまで感動してしまいます。いすに座るお母さんの膝の上で眠ってしまった少女が浮かべる、幸せそうな寝顔もたまりません。
読めば前向きな気持ちになれるはず。お金の使い方を見直すきっかけにもなるでしょう。レトロポップな世界観も美しく、プレゼントにもおすすめです。