スポーツ漫画を楽しみたいけれど、暑苦しい絵はちょっと……という方。または、可愛い女の子が活躍する姿を愛でたいけれど、日常よりももう少しドラマチックな展開があってもいい、という方。そんな欲望を叶える漫画が、ここにあります。 可愛いタッチの絵からは想像もできないほど本格的な描写で熱い野球ドラマが話題の本作は、2020年にアニメ化も決定しています。今回は、野球に青春を捧げる女子高生たちを描いた『球詠』をご紹介しましょう。
主人公・武田詠深は中学時代、野球部でエースを任されていましたが、試合はいつも初戦敗退。勝利を経験することがないまま、高校に進学しました。
そんな彼女が入学した新越谷高校の女子野球部は、昔は全国大会にも出場する強豪校でしたが、近年の成績はパッとせず、前年に不祥事を起こし、長期間停部となっていました。
野球を続ける気はなかった詠深ですが、入学式当日、幼なじみの山崎珠姫と再会します。彼女は中学時代に強豪チームの捕手として活躍し、全国大会にも出場するほどの実力でした。しかし野球を続ける道を選ばず、新越谷高校に入学したのでした。
久しぶりの再会の記念に2人はキャッチボールをすることになります。
- 著者
- マウンテンプクイチ
- 出版日
- 2016-11-11
そんななか、詠深は子供のころに「魔球」と呼ばれていた球を投げてみてよ、と珠実にリクエストされます。実は彼女、目立った結果は残していないものの、落差の大きい変化球を得意としていたのです。
しかし中学時代のチームメイトは誰も捕ることができず、詠深はその技を封印していたのでした。そして試しに珠実にその球を投げてみると、何と彼女は一球も逸らさず受け止めるのでした。
初めて全力でプレーをし、今までにないほど野球を楽しめた詠深は、珠姫と、双子の息吹・芳乃と一緒に再び野球を始める決意をします。
もともと廃部寸前で、部員は詠深たちたった4人だけ。果たして彼女たちはどうやって野球部を再建するのでしょうか?野球に青春をかける女子高生たちの熱い野球ドラマが始まります!
本作は2020年春にアニメ放送されることも決定しています。可愛らしい彼女たちが戯れる様子や、野球の臨場感あふれる展開などの原作の魅力がどんなふうに再現されるのでしょうか。
木になる方は、アニメの公式サイトもご覧ください。
本作の作者・マウンテンプクイチは、2012年に漫画家デビューし、代表作『ななゆり』『あまゆる。』を生み出した作者です。可愛らしいタッチの画風と百合要素を取り入れたストーリーを得意とし、男性読者を中心に人気を集めています。
- 著者
- マウンテンプクイチ
- 出版日
- 2013-12-26
マウンテンプクイチの魅力は、どこまでもポップで可愛らしい百合漫画を描くこと。
このジャンルでは時に生々しい作風で物語を描く漫画家もいますが、マウンテンプクイチのストーリーは、どこまでも爽やか。萌え系といわれる絵柄なのでいやらしさもほとんどなく、ストーリーとの愛称もピッタリなのです。
本作『球詠』も、キャラクターたちの会話やスキンシップに少しだけ百合要素を感じられるものの、野球漫画らしい試合展開の見所などもしっかりと押さえられたスポーツ青春漫画です。とはいえ普通の野球漫画にはない新しい魅力を持っており、新鮮な面白さを感じられる作品に仕上がっています。
主人公・武田詠深は、捕れる捕手がいないため、最大の武器である変化球を封印していた、隠れた才能の持ち主。「制服が可愛い」という理由で新越谷高校に入学しますが、野球への気持ちを捨てることができず、春休みも自主トレを続けていました。
しかし珠姫からその才能を見つけられ、野球部でバッテリーを組むことになります。ちなみに彼女のことが大好きで、かつてバッテリーを組んでいた他校の投手に対抗心を燃やすことも。
ポジティブでお調子者ですが、試合のプレッシャーにも負けない強い精神力と、キレのある変化球でエースとしてチームを支えます。ただ、打撃は苦手で打順は初心者メンバーより下の9位です。
詠深が再会した山崎珠姫は、幼い頃に野球をして遊んだ幼なじみでした。転校した先で強豪のガールズチームに入り、中学時代は捕手として全国大会に出場も果たします。
クールで大人しい性格ですが、野球への愛は人一倍。可愛らしい見た目に反して、強気で生意気な配球が得意です。高校で野球を続ける気はありませんでしたが、「詠深となら野球をやりたい」と、もう一度捕手としてグラウンドに立つことを決めました。彼女の実力を最大限に活かす配球で、息の合ったコンビネーションを見せます。
もともと強豪校にいた中村希は、中学時代の仲間と全国で会う約束を果たすためにチームに入りました。
チームでは最強打者ですが、過去の失敗経験がトラウマとなり、チャンスでまったく打てないという悩みを抱えています。 普段はおどおどした性格であるものの、勝負の際には闘争心を発揮するギャップが魅力です。
キャプテンとしてチームを牽引する岡田怜は、もともと野球部から在籍していた1人で、走攻守が揃った選手。勝負所でチームの士気を高めるために安打を打てる、安定感のあるキャラクターです。
チームのマネージャーを務める川口芳乃は、野球の才能はあまりないものの分析能力に長けたブレーン。味方も敵も能力を細かく把握し、それを活かした作戦立案で役立ちます。また、栄養指導や体調管理、メンタルケアなどのマネジメントにも長けており、プレー以外の多方面で活躍します。
本作のタイトル『球詠』の元になっていると思われる詠深と珠姫のバッテリーを中心に、ここで紹介しきれなかった5人のメンバーがいる、新越谷高校の女子野球部。9名の選手、1名のマネージャーの計10名で全国大会出場を目指します。
本作は、一見ほんわかとしたイメージを抱かせる可愛らしいタッチの画風で描かれていますが、試合の展開や動作のフォームは、少年野球漫画に引けを取らないほど本格的です。
とくに、試合の状況に合わせて組まれる戦略は、野球に詳しい人や経験者なら思わずうなずいてしまうほどリアル。奇をてらった非現実的な魔球などはない代わりに、戦法は斬新で面白いものばかりです。
また、捕手や指揮官が、試合中にどんなことを考えて指示を出しているかがよくわかるおかげで、野球の試合がより味わい深くなります!
試合中のキャラクターの動きもわかりやすく、難しい専門用語もわかりやすく言い換えられているので、野球に詳しくない人も楽しめます。
手に汗を握るハラハラする試合展開と、可愛いキャラクターたちが泥まみれになって全力で頑張る姿は、読んだ人の心を熱くさせること間違いなし。可愛くて熱い、今までにない野球漫画です!
女子高生たちが青春を野球に捧げ、汗を流して夢中で頑張る姿は、読者に勇気を与えてくれるものです。
詠深と珠姫をはじめ、チームメンバー全員が野球が大好きで、「このメンバーで全国大会まで行きたい」と、どんなつらい練習でも文句を言わずにこなします。ダイエットや美容を気にする年頃であるはずの彼女たちは、筋トレで身体が大きくなったことを喜ぶほど、野球に青春を捧げています。
目標に向かってストイックに頑張る姿勢や互いを励まし合い全員で勝利を目指す姿勢は、どの年代の人の心にも強く響くはず。野球好きだけじゃなく、目標に向かって頑張っている人にもぜひ読んでいただきたい作品です!
- 著者
- マウンテンプクイチ
- 出版日
- 2017-06-12
本作は、女子野球がメジャーな人気スポーツとして認知されているという設定ですが、高校女子野球が1番盛り上がるのは、やはり夏の大会。
新越谷高野球部には3年生メンバーはいませんが、他校の3年生にとっては負ければ引退の大事な大会です。だからこそ、対戦校が試合にかける想いも並ではありません。
厳しい練習に耐え、本気で勝ちたいと思っているほど、負けたときの悔しさは大きいもの。敗戦校の選手の涙は、スポーツ漫画ならではの名場面でもあり、本作でも見所の1つです。
全国大会出場をかけて夏大会に挑む新越谷高校はもちろん、他の強豪校の熱いドラマにも注目です!
選手9名が集まった新越谷高野球部は、顧問を迎え入れ、初めての練習試合に挑むことに。メンバーは、試合結果にひるむことなく、ますます練習に打ち込み、着実に力を付けていきます。
そうして、いよいよチームにとって初めての公式戦、夏大会が開幕。初戦の影森高校との試合は、相手投手・中山のクイックモーションに試合のペースを握られ、苦戦を強いられます。しかし、新越谷の先発投手・理沙と、初心者でコピーの達人・息吹の好投で相手のペースを崩し、見事初戦突破を果たすのです!
- 著者
- マウンテンプクイチ
- 出版日
- 2019-03-12
続く対戦校は、埼玉四強で春大会の準優勝校・梁幽館です。4番エースの中田や、以前ガールズチームで珠姫とバッテリーを組んでいた吉川をはじめ、どのメンバーも名選手ばかり。いきなり立ちはだかる大きな壁。
先発投手・詠深の変化球や特訓を重ねてきた強直球、主将・怜や4番・希の安打で序盤リードした新越谷でしたが、梁幽館のハイレベルなプレーと戦略に、徐々に形勢は逆転していってしまいます。
指揮官として戦略を立てる芳乃は、自分が出した指示がことごとく裏目にでる状況に自信を無くし、指示に迷いが現れます。しかし、グラウンドの新越谷メンバーは励まし合って全力のプレーを続け、劣勢ながらもピンチをしのぐのです。
そして5回裏を終えて3-1で梁幽館にリードを許すも、新越谷メンバーの闘志は未だ衰えず、試合は終盤へ向けて大きく動きます!
結成3ヶ月で初心者もいる新越谷高野球部が、試合ごとに成長し、チームの絆を深めていく姿に胸を打たれます。またそれぞれのキャラクターが得意分野を活かし、不得意分野を補い合うことでチーム一丸となって頑張る姿は、見所です。実際にグラウンドに立つことのない芳乃の影での活躍ぶりにも、ぜひご注目ください。
どの試合も手に汗を握る展開で、ピンチをしのいだときはメンバーと一緒に安堵し、ファインプレーには思わず拍手をしたくなるほど。 まるで本物の高校野球地方大会を自らベンチで試合を見守っているかのような臨場感で進む梁幽館との試合は、 いよいよ6巻で勝敗が決まります!
埼玉四強・梁幽館との試合も残すところあと2回。6回表・新越谷の攻撃で、怜が主将の意地を見せた三塁打をきっかけに、3-2に追い上げます。回を追うごとに詠深の球威も上がってきており、逆転の可能性は十分。
- 著者
- マウンテンプクイチ
- 出版日
- 2019-09-12
ついに迎えた最終回、両校ともこの回の打者には4番が控えていて、まだまだ勝敗はわかりません!しかし、司令官の芳乃は前半からの判断ミスを引きずって表情は曇ったままでした。
見兼ねた希は、新越谷高校野球部に入るきっかけをくれて、4番を任せてくれた芳乃への感謝の気持ちを込めて打席に入るのでした。はたして、勝利の女神はどちらのチームに微笑むのでしょうか……⁉試合の結末と同時に、希と芳乃の絶妙な関係性も見所の1つです。
どんなに力の差を見せつけられても決してあきらめず、梁幽館に立ち向かう新越谷メンバーたち。あきらめなければ最後まで何が起こるかわからない、スポーツの面白さをあらためて思い出させてくれる6巻です。試合の結果は、ぜひご自分の目で見届けてください!
女子高生が本気で野球に向き合う『球詠』のアニメが2020年4月から放送開始です!
主人公・武田詠深を演じるのは、今回がアニメ初主演となる前田佳織里。フレッシュな女性声優達が、女子野球部の部員達を演じます。
エンディングテーマは、なんと女子野球部の9人とマネージャーの新越谷高校女子野球部が歌う「プラスマイナスゼロの法則」に決定しています!
詳細なキャストや放送情報などはTVアニメ「球詠」公式サイトをご覧ください!