人気小説家・石田衣良のデビュー作であり代表作でもある「池袋ウエストゲートパーク」。池袋を舞台に、元不良のマコトがカラーギャングの若者達と、大暴れしながらトラブルを解決していくミステリー仕立ての短編集です。 テレビドラマも有名な本作ですが、2020年にアニメ化が決定。今回は、そんな『池袋ウエストゲートパーク』のあらすじと魅力、そして全シリーズの見所をご紹介します!
「池袋ウエストゲートパーク」は、人気小説家・石田衣良のデビュー作であり、代表作でもあります。
主人公のマコトは、池袋にある実家の果物屋を手伝いながら、ある活動をしていました。
それは、池袋で起こる様々なトラブルを解決すること。依頼を持ってくるカラーギャングのリーダー・タカシとともに、友達のため、仲間のため、そして愛する池袋のために、四苦八苦しています。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2001-07-10
2000年には長瀬智也主演、脚本に宮藤官九郎、演出に堤幸彦と豪華なメンバーでテレビドラマ化され、その後、他の出演キャストが豪華なことでも注目されました。
テレビドラマだけではなく、コミカライズ、舞台化など様々なメディア展開がされてきましたが、2020年にはついにテレビアニメ化が決定。多くのファンから期待が寄せられている作品です。詳細が気になる方は、TVアニメ「池袋ウエストゲートパーク」公式Twitterをご覧ください。最新刊の情報は、「IWGP」公式サイトからも確認することができます。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2011-06-10
作者である石田衣良は、1997年にオール読物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。この時の作品が今回紹介する「池袋ウエストゲートパーク」で、シリーズ化しました。
その後、数々の作品を発表し、受賞したものや映像化されたものもたくさんあります。ミステリー小説のイメージが強いですが、それだけではなく、ライトノベルやエッセイなども執筆しています。
「池袋ウエストゲートパーク」シリーズでは様々な社会問題が取り上げられていますが、それは他の作品にも感じられる特徴で、実際の事件などから着想を得たという作品が多くあります。
たとえば、『ブルータワー』という作品は、アメリカ同時多発テロ事件が作品執筆のきっかけになったそうです。しかし決して重くなりすぎず、エンターテイメント小説としてクオリティが高いのも作者の演出力の高さを感じられます。
作品の魅力をご紹介する前に、登場人物たちについてご説明します。
他にもここでは紹介しきれないほどたくさんの魅力あるキャラクターがいます。ぜひお気に入りのキャラクターを見つけてみてくださいね。
ここからは、原作をふまえ、アニメ化で注目したいポイントを紹介していきます。
爽快で反骨的な青春模様に引き込まれる本作は、ジュブナイル小説的な魅力があります。重大な社会問題を扱ってもいるのですが、身近な友情や地元愛というテーマも見所なのです。
マコトとタカシはお互いの危機に迷うことなく立ち上がりますし、池袋に対する愛着がトラブルの解決への原動力ともなっています。
しかしまったく泥臭くはならず、作品全体をおおうのは、スタイリッシュな雰囲気。クールで爽快感あふれる展開で話が進みつつ、時に読者を感傷的にもさせる、ニクい作品なのです。
豪華キャストで話題になったドラマ版は、全体的にコミカルになり、特にマコトがより親しみやすいキャラクターに変更されていました。しかし本質である、町を変えていきたいという熱い思いが感じられます。
2020年公開のアニメでは、どこが変わり、どこが共通した仕上がりになるのか。作者の石田衣良は、「通常は扱われることのない社会的事件を、どう鋭くアニメで描き切れるのか」に注目していると語ります。
本作は時代が変わったことにより、懐かしさを感じさせる内容もありますが、そこが現代的にアレンジされることもあるのではないでしょうか。気になる最新情報は、アニメの公式ツイッターなどでご確認ください。
【公式】TVアニメ「池袋ウエストゲートパーク」2020年放送!(@iwgp_anime)- Twitter
本シリーズには、様々な名言が書かれていることでも知られています。おそらくアニメになって多少印象が変わることはあってもキャラの本質は変わらないのではないでしょうか。名言が多い原作ですので、アニメでもどんなセリフが飛び出すかに期待できます。
たとえば、過酷な労働を強いるブラック企業にマコトとタカシが立ち向かっていく「西一番街ブラックバイト」の話では、マコトがこう語るシーンがあります。
「だいたい感謝や感動は人に押しつけられるものじゃないよな」
(『西一番街ブラックバイト 池袋ウエストゲートパークXII』より引用)
労働への対価に対して見合わない仕事をし続け、疲弊した人の心にしみる、この言葉。教えられる部分がありつつも、心に寄り添ってくるような優しさも感じられます。
アニメ化にあたっては、キャラクターたちがどのような言葉で視聴者を楽しませてくれるのでしょうか。
また、アニメ化の際に気になるポイントは、街並み。
本シリーズの舞台はもちろん池袋です。西口や東口を始め、チャイナタウン、西口公園、ボウリング場など、その範囲は広く、都心に住む人であれば、どこかしらは目にしたことがあるかもしれません。
テレビドラマ化された際はそのロケ地が注目されて、ファンの間では聖地めぐりが行われたそうです。実際に行ける場所で描かれることで、作品がよりリアルで、引き込まれるものになるのではないでしょうか。
たとえばどんな場所があるかというと、池袋の待ち合わせスポットとして有名な「いけふくろう」やタイトルにもなっている「西口公園」など。これらは特に分かりやすく、何かしらの思い出があるという方もいるのではないでしょうか。
このほかには、「ラーメン屋」も注目ポイント。ラーメン屋は、元G-Boysのメンバーやタカシがラーメン屋を開くエピソードもありますが、実際にどこの店かは諸説あります。このような実在するとしたら、どこか、という視点で原作以外のメディア化作品を見るのも面白いですよね。
ストーリーに直接関係しなかったり、ちょっとした時に出てくる街並みが、どれだけ現実に近いのか。また、近いとすれば、具体的にどこが登場するのか。これもアニメ作品で見ておきたいポイントです。
さて、ここまで原作をひもづけながらアニメ作品の注目ポイントをご紹介しました。ここからは、全作品のあらすじ、見所をご紹介していきましょう。
とはいえ、本作は2019年11月時点で15作品と、かなり多くなっています。それらのあらすじをすべて読んでみるのは大変なところもあるでしょう。
ということで、まずはおすすめの作品を2冊ピックアップしました。読む順番にこだわらず、どこから読んでもさほど違和感のない作品ですので、ご参考ください。
すべてのあらすじに目をとおしたうえで、自分の読むものを決めたい!という方は2作品の紹介の後に全シリーズを紹介していますので、そちらをご覧ください。
まずおすすめしたいのは、「灰色のピーターパン」。同名タイトルの短編集に収録されています。
メインキャラクターとなるのは、小学校5年生の少年です。彼は小5にして盗撮画像を売りさばき、お金を稼いでいました。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2008-10-10
しかし、池袋はピターパンのいるような幸せで安全なネバーランドなんかではありません。違法なことで稼げば同業者に目をつけられます。やはり少年も目をつけられ、マコトに助けを求めてきたのでした。
しかし、下っ端の違法ビジネス業者くらいならマコトの敵ではありませんが、マコト達の前に現れたのはマッドドッグというかなりヤバイ強敵でした。
小学生が盗撮画像を売るという設定自体は衝撃的ですが、この作品はどちらかというと、本シリーズの中では王道で分かりやすい話になっています。
テンポの良い疾走感のある雰囲気と、ヤバい敵によって強調されるマコトのヒーローらしいかっこよさが際立っている内容です。重くなりすぎず。気軽に読書したい時におすすめです。
ちなみに、タイトルのピーターパンというのは、マコトが少年に付けたあだ名。池袋の町でまだ大人になりきれない少年を的確に表した、センスを感じさせるネーミングです。
2冊目のおすすめが、「ユーチューバー@芸術劇場」。「西一番街ブラックバイト」に収録されている話です。
タイトルどおり、「140☆流星(ワンフォーティ流星)」という人気ユーチューバーが現れたことから始まる騒動を描いた話になっています。
- 著者
- 衣良, 石田
- 出版日
ある日、マコトはタカシから、G-Boysがこのワンフォーティー流星からの仕事の依頼を受けていることを知ります。そして彼らから、依頼を受けても人物かどうかを見てきてほしいと頼まれるのです。マコトが会ってみると、流星はどうやらユーチューバー同士のトラブルに巻き込まれているようで……。
ユーチューバーという新しい職業にスポットを当てた本作。もはや人気も認知度もとても高くなった仕事かもしれませんが、新しいからこそ生まれるトラブルもまだまだあります。本作を読むとそのトラブルを身近に感じる方も多いでしょう。
本作は長期間発刊されつづけているゆえ、今読むと懐かしさを感じてしまう内容も多いですが、本作は時流に合ったもので、馴染みやすい題材になっています。
現代らしい社会問題から、マコトやタカシ達の友情や仲間意識、そして地元である池袋に対する愛情を読むことができます。熱いストーリーを読みたい方はぜひチェックしてみてください。
さて、ここからは、2019年11月現在、15作品が刊行されている本シリーズの過去作を一挙紹介していきましょう。
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2001-07-10
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2002-05-10
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2004-09-03
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2005-09-02
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2007-09-04
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 2008-10-10
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 著者
- 石田 衣良
- 出版日
- 著者
- 衣良, 石田
- 出版日
- 著者
- 衣良, 石田
- 出版日
- 著者
- 衣良, 石田
- 出版日
- 著者
- 衣良, 石田
- 出版日
- 著者
- 衣良, 石田
- 出版日
いかがでしたか?「池袋ウエストゲートパーク」は短編集という形を取っています。そのため、比較的読みやすく、短い時間でも読むことができます。巻数が多く話数もかなりありますが、途中で休憩したり巻を飛ばしてみたりしても面白く読むことができるでしょう。また、その話が発表された時の社会問題を扱っていることも多いので、その時代のことを知りたい方にもおすすめです。