誰もが一度は見たことでしょう、「ルパン三世」シリーズ。主人公のルパンはもちろん、仲間の次元大介・石川五ェ門・峰不二子そして宿敵の銭形警部それぞれに魅力があり、原作の漫画だけでなく、アニメや映画などでも親しまれています。 2019年12月には3DCGアニメーション映画として『ルパン三世 THE FIRST』が公開されました。3DCGのルパンや、キャラたちの表情にも注目したい作品です。 この記事では本作の魅力を原作漫画、アニメ、3DCGアニメーション映画などさまざまな角度からご紹介します。
フランスの大怪盗アルセーヌ・ルパンの子孫である主人公・ルパン三世は、仲間の次元大介、石川五ェ門、峰不二子とともに世界中のお宝を盗み出します。
そんなルパンたちの宿敵は銭形警部。宿敵でありながら、ルパンは彼のことを「銭形のとっつぁん」と呼び、お互い宿敵との対決を楽しみにしています。
天才的な頭脳と盗みのテクニックを持ち、変装と射的の腕前も素晴らしい、ルパン。誰も思いつかないような方法で毎回お宝を盗み出します。
ルパンと次元と五右衛門は友情のような固い絆で結びついているものの、不二子は状況によってはルパンたちを出し抜くしたたかさの持ち主です。
そんな言わずと知れた名作が「ルパン三世」。そもそもはモンキー・パンチが1967年に連載を始めた漫画で、ルパンは泥棒でありながら殺し屋でもあり、ダークなイメージの持ち主でした。
そこからテレビアニメ・映画・ゲームなどさまざまな形で親しまれるようになり、それにともない彼のキャラクターも少しずつ変化していきました。今ではギャグ要素も多く、幅広い年代から支持される作品となっています。
2019年には3DCG化され、さらにパワーアップ。立体的に動き回るルパンの姿は、映画の公式サイトや予告編などでご覧ください。
映画『ルパン三世 THE FIRST』本編映像一部公開【大ヒット上映中】
ルパン、次元大介、石川五ェ門、銭形警部にはモデルがいるのはご存じでしょうか?
まず、ルパンのモデルは、『007(ダブルオーセブン)』のジェームズ・ボンドではないかと言われています。このモデルについては噂レベルの話ですが、ルパンは小説「アルセーヌ・ルパン」シリーズの主人公・アルセーヌ・ルパンから生まれたキャラクターです。この怪盗の三代目が、漫画のルパン三世なのです。
また、次元大介のモデルは映画『荒野の七人』のメインキャラクター・ブリット。クールでガンマン、帽子がよく似合うところはまさに次元そのものです。
ちなみにブリットの吹き替えと次元大介の声はどちらも声優の小林清志さんが演じています。こんなところにも共通点があるんですね。
石川五ェ門は唯一実在する人物がモデルとなっているメインキャラクターです。それは安土桃山時代の盗賊・石川五右衛門であり、五ェ門はその十三代目。ずば抜けた身体能力を持ち、それを生かして盗みを働いていました。
彼はお金持ちから盗んだものを、貧しい人々に分け与えている、ヒーロー的な存在です。
最後に銭形警部のモデルですが、野村胡堂による小説『銭形平次捕物控』に出てくる銭形平次といわれています。銭形平次の子孫という設定です。
知らない人も多い主要登場人物たちのモデルを知るとより親しみやすくなるのではないでしょうか。
ルパンにとって手が届きそうで届かない人物として描かれている峰不二子。しかしもともとモンキー・パンチは、「007」シリーズのボンドガールのように、ヒロインとして毎回違う女性を登場させようと思っていたそうです。
ただ、実際違う女性を毎週考えるのは時間的にも無理があったので、コスチュームや髪型、性格も毎回コロコロと変わる峰不二子というキャラクターにしたのだそう。
味方なのか敵なのか正体不明なところがあり本性はわからないけど、なぜか惹かれる男性が求める女性像を描いたのが、不二子なのです。
その人気ぶりは、彼女にスポットライトを当てたアニメ『LUPIN the Third -峰不二子という女-』が作成されるほど。彼女の魅力である色気がスタイリッシュな画風で仕上げられた作品です。気になる方は、公式サイトからもその雰囲気が分かりますので、覗いてみてはいかがでしょうか。
LUPIN the Third ~峰不二子という女~|日本テレビ
ルパンの仲間で寡黙で堅物で剣の道を究めているのが五ェ門です。実は彼、最初から仲間だった訳ではありません。そして原作のキャラクターとはまったく違う人物として描かれているのです。
五ェ門は漫画ではルパン三世の第28話から登場しており、師匠の錬金術をめぐってルパンと戦っていました。そして46話でも再び戦っています。
- 著者
- モンキー・パンチ
- 出版日
- 1994-11-01
この最初の出会い、漫画の28話の部分は、内容は大幅に変更されているもののアニメでも描かれています。また、アニメ版では殺し屋で「またつまらぬものを斬ってしまった」が決め台詞の五ェ門ですが、もともと漫画で描かれていた五ェ門はもっと明るく陽気な青年剣士だったのです。
どうやら「ルパン三世」はもともとルパンと次元、そして不二子の3人がメインで描かれていく予定だったのだそう。しかし、製作途中で第二の相棒として別の人物を入れようとなり、それをすでに作品に出ていた五ェ門という剣士を原型に採用したということ。
ですので、原型にはなっていますが、見た目や性格などは少しずつ改良されていき、アニメで受け入れられるように変更されていったのです。
五ェ門がサムライ言葉を喋る、女性にめっぽう弱いというキャラクターもアニメ用のものです。
ルパン三世にはSEXY編があることはあまり知られていません。
どの作品でも不二子が出てくるシーンは色っぽく描かれていますが、1984年に「週刊漫画アクション」で短期連載された『SEXYルパンIII』はさらにSEXYな作品でした。
サンフランシスコでバーテンダーをやったり、娼婦を助けようとしたり、知りあったばかりなのに海でバカンスを楽しんだりと、物語の内容は非常にロマンチック。3人の女性たちに見せるルパンの表情が多彩なことも人気です。
「ロールスローラー」「センチメンタルナイト」「Tell me a bedtime Story」「寂しい夜の出来事」のSEXY編はルパンファンにとっては忘れられない作品となっています。
残念ながら単行本には収録されていないシリーズ。今となっては当時の雑誌を入手するしか読めない、幻の作品です。
「ルパン三世」は1967年から連載が始まった、長寿作品です。実はそのなかでルパンと峰不二子と思われる人物との間の子供が登場したことがあります。
その子供が通称、ルパン小僧。この呼び名がそのままタイトルとなった漫画では、彼がルパン四世になるために、父親探しの旅に出る様子が描かれます。
- 著者
- モンキー・パンチ
- 出版日
- 1998-05-01
連載されていた「週刊少年アクション」の休刊にともない18話で終了してしまったので、ルパン小僧がルパン四世になれたのか、母親は峰不二子なのかは結局のところ不明のままで終わってしまいました。
第1話と第18話に、ルパン三世らしき男が登場していますが、本当にルパン小僧の父親であるのかはわからないままです。
1982年に日本のアニメ制作会社 東京ムービー新社とフランスのサバン・インターナショナル・パリとの合作で製作されたアニメ作品では、ルパン三世の子孫であるルパン8世が主人公となっていました。
代々泥棒として活躍していたルパン一族ですが、この『ルパン8世』で表の顔は探偵、裏では泥棒という2つの顔を持つようになります。
舞台を宇宙に移し、次元や五ェ門、不二子や銭形警部といった主要登場人物の子孫とともに物語をくり広げられていくという内容でしたが、著作権の問題によって製作中止となってしまいました。
第6話までは製作されていたことから、ファンからは放送を待ち望む声がおさまることはなく、2012年ビデオグラム『ルパン三世 Master File』で一部が公開となりました。
「ルパン三世」には「平成の漫画版ルパン三世」と言われているものがあります。さまざまな漫画家が作画を担当しているシリーズとなっていて、その作画者の名前の頭文字を取ってS、Y、M、H、B、Tと呼ばれています。
『ルパン三世S』(『ルパン三世―Takaguchi Shusayスペシャル版』とも)は、Shusay作画、高口里純脚本、モンキー・パンチ監修の作品です。「宝石(ダイヤ)はもう誰も愛さない」「プリンセス特急(エクスプレス)雪山を行く」「眠れぬガンマンに鎮魂歌(レクイエム)を」「レンブラント夫人の幸福な週末」「わたしのルパン」の5作品が収録されており、平成の漫画版ルパン三世」の先駆け的な作品となっています。
ルパンの顔が少し堅い印象のイケメンになっていて、初期の雰囲気が強く出ていますが、それでも1話1話違うアプローチで描かれているので、面白いです。スぺシャル版として下絵段階の原稿やイラストギャラリーも発行されました。
続いては、Y、M、H、B、Tについても紹介していきましょう。
- 著者
- ["モンキー・パンチ", "高口 里純", "Shusay"]
- 出版日
『ルパン三世Y』は作画を山上正月が担当しました。「Weekly漫画アクション」で1998年から2003年まで連載されており、その後は不定期で連載が続きました。
ルパンに情報を提供するモンビジョーやルパンが資金援助をしている博士など、独自のキャラクターも登場するとともに、作中に実在の人物が出てくるなど、社会風刺した作品も多いです。
- 著者
- ["モンキー・パンチ", "山上 正月"]
- 出版日
『ルパン三世M』は深山雪男が作画を担当し、2004年から2013年まで「ルパン三世officialマガジン」で連載されました。脚本も深山自身が担当することも多かった作品です。
「M」の最終作では、なぜかまったく最終回らしい演出がなく、次元が主人公として描かれた上、ルパンと五ェ門は少し登場するだけというものでした。
『ルパン三世H』は早川ナオヤが作画した作品で、「ルパン三世officialマガジン」に連載されました。この作品は過去のテレビシリーズ、パチンコ、パチスロのストーリー、小説版などをコミカライズされており、オリジナル作品はありません。
パチンコ・パチスロのコミカライズではCRシリーズを独自にアレンジしており、原作テイストからアニメテイストまで、さまざまなテイストで作品を楽しめる内容となっています。
- 著者
- モンキー・パンチ
- 出版日
- 2005-01-27
『ルパン三世B』の作画は・馬場民雄が担当しました。「ルパン三世officialマガジン」にて連載し、コミックは全1巻発売されています。
収録されている作品「犯罪帝国の財宝」では、ルパンが街を牛耳る麻薬王のお宝を狙うというストーリーを、ルパン、次元と不二子、五ェ門、銭形警部と四つの視点から描いていて、普段見られないルパン以外の視点が面白い作品です。
- 著者
- ["馬場 民雄", "モンキー・パンチ"]
- 出版日
- 2014-02-28
『ルパン三世T』は「ルパン三世officialマガジン」でデビューして2019年連載中のtogekinokoが作画を担当しています。原作をしっかり読んでいるとのことでもともとの雰囲気を壊さないまま独自のテイストも加えています。
togekinokoが作り出す先の読めない展開にハラハラドキドキしながらも、ルパンたちが活躍する姿は圧巻。躍動感があり、ルパンや銭形警部がそれぞれのキャラクターに応じた活躍を見せます。ギャグありシリアスありで、一気に読み進められる作品です。
- 著者
- ["togekinoko", "モンキー・パンチ"]
- 出版日
- 2014-03-28
ルパン三世と言えば、「カリオストロの城」がやはり一番人気ではないでしょうか。テレビでも何度も放送されていますね。ただそこに登場するルパンは紳士そのもの。他の宮崎駿作品に出てくる男の子と同様にとにかく優しく、理想の男性像を描いています。
しかし、もともとのルパンは泥棒であると同時に一流の殺し屋でもあるという冷血な一面がありました。アニメ化によってそのダークな部分は抑えられましたが、それでも「カリオストロの城」のルパンはアニメの作品以上に、原作とは違う人物だといえるのです。
1969年に全109話で終了となった漫画「ルパン三世」。最後の作品は『ルパン葬送曲』というものでした。ルパン・次元・五ェ門と銭形警部の最後の戦いが始まります。
- 著者
- モンキー・パンチ
- 出版日
- 1995-04-01
銭形警部はこれまでに何度も何度も戦ってきたので、ルパンのやり方を知り尽くしていました。ルパンを逮捕するために彼並みの変装技術を使って出し抜こうとします。
そうしてまんまとハマってしまう次元と五ェ門は銭形警部に捕らえられてしまいます。残るはルパンのみ。この最後の戦いをどう乗りきるのでしょうか?そして、最後に待ち受けているルパンの秘策とは……?
「ルパン三世」ならではの大どんでん返しの結末に、「さすがモンキーパンチ先生!」「最後の台詞がとても感慨深かった」などという感想が多く見られる最終回。
読み終わった読者に不愉快な思いをさせたくない、朗らかな気持ちになってほしいというモンキーパンチの思いのつまった最終回となっています。
ここからは、おすすめエピソードをご紹介していきましょう。まずは第1話。
本作は、ディスコパーティーが行われている大木博士の家に銭形警部が家宅捜索に入るところから始まります。ルパンが屋敷に入り込んでいるという情報を仕入れ、探しにきたのです。
殺人事件が起こるなか、最終的にルパンは外国のスパイから設計図を盗みますが、ハトに運ばせ、自分は捕まってしまいます……!
世紀の大泥棒が初回から捕まるというびっくりな展開なうえ、捕まえたのは何と宿敵である銭形ではないという驚きの第1話です。
アニメを見ていた人からすると原作独特の雰囲気に驚かれることでしょう。色褪せない世界観のセンスや、初回から捕まるという展開、さらにそれが銭形警部じゃないなんて……。
やはり原作に目を通すうえでは欠かせない始まりのエピソードです。
続いてご紹介するのは、次元との再会のエピソードです。
連載では「ルパン殺し」というエピソードで初登場しますが、文庫版では今回ご紹介する「健在ルパン帝国」が先に掲載されており、こちらを初登場とさせていただきます。
- 著者
- モンキー・パンチ
- 出版日
もともと次元は、ルパンの幼馴染でした。しかしルパン帝国を2世から奪って支配していたキングの部下として登場します。アニメなどではルパンの相棒として根強い人気のある彼ですが、実ははじめは敵対していたのです。
その後ルパンがキングを倒し、次元が仲間になります。なぜルパンと敵対することになってしまったのか、そしてどのようにして仲間になるのかが描かれているのが見所です。
最後にご紹介するのは、五右衛門の登場のエピソード。
五右ェ門の師匠である百地三太夫が示刀流空手の秘伝書を見つけ、それをルパンが狙ったことから敵対関係となります。
- 著者
- モンキー・パンチ
- 出版日
- 1994-11-01
アニメでは細長でキリッとした目つきで、渋く、クールなイメージの五右衛門。しかし実は漫画では目は割と大きくイケメンで、真面目で明るい性格として登場します。さらには最大の特徴でもある昔の日本の言葉遣いがまったくありません。
いままでアニメなどで彼を見てきた人にとっては衝撃のシーンではないでしょうか。また居合の達人をいわれている五右ェ門が出始めのときはどのくらいの実力だったかも見所です。まさに、別人です。
ルパンが初めて3Dとなって登場する『ルパン三世 THE FIRST』は、初期の頃のハードボイルドなルパンではなく、アニメや映画で描かれてきたユーモラスで、女性に優しいルパンが主人公。
アルセーヌ・ルパンが唯一盗めなかった、謎を解き明かしたものは莫大な財宝を手にすると言われている秘宝「ブレッソン・ダイアリー」が今回のターゲットです。考古学を愛する少女レティシアとともに、その謎に挑むことになったルパンの前に、次々と敵が立ちはだかり……。
原作者のモンキー・パンチは2010年頃から3DCGの構想を持っており、2010年夏には短編のパイロットフィルムも制作されていました。
モンキー・パンチが亡くなってから、やっとかねての願いが叶うという結果になってしまいました。しかし3DCG化されたルパンは、動きに迫力があって彼らしい魅力がパワーアップしたもの。ここから新たなルパンの魅力が広がっていくのだろうとファンの夢も広がる作品となることでしょう。
ぜひこの機会に、原作とともに映画も楽しんでみてはいかがでしょうか。 映画の詳細は、公式サイトでもご覧ください。
映画『ルパン三世 THE FIRST』本編映像一部公開【大ヒット上映中】
原作の「ルパン三世」はこちらからも購入できます。
- 著者
- モンキー・パンチ
- 出版日