漫画アプリ・マンガワンの看板作品ともいわれる『血と灰の女王』。本作は、個性的なキャラクターや特殊能力を使ったバトルなど、ファンタジー漫画らしい魅力がたくさん詰まった作品です。なかでも注目なのは、主人公ではなく、主人公の先輩にあたるキャラクター・狩野京児。 物語のキーパーソンであり、読者からも人気のある京児から、本作の魅力をお伝えします!一部ネタバレを含みますので、苦手な方はご注意ください。
まずは本作を知らない人向けに、あらすじを簡単に紹介します。
作品の舞台は、富士山が噴火し、火山灰が降り続く日本。
この噴火で世界は一変し、「ヴァンパイア」たちが夜な夜な人間を襲う世界になってしまいました。このヴァンパイアの正体は、火山灰を被った人間。
火山灰を被った一部の人間は、ヴァンパイアに変身することができ、人間を簡単に殺せるような特殊な能力を持つことになります。
こうして、凶暴なヴァンパイアたちが、罪なき人間を無差別に殺しはじめるのでした。
本作の主人公・男子高校生の佐神善(さがみ ぜん)も、ヴァンパイアの能力に選ばれた1人。そんな彼の前に、突然「ドミノ」という超強力なヴァンパイアが現れます。
彼女は善の能力を見抜き、自分の仲間へと誘います。世界を変えることができると言われる「ヴァンパイアの王」になるため、ヴァンパイア同士の殺し合いが始まります。
この戦いは、なんとチーム戦で行われます。ドミノチームの他のメンバーは、善の親友の兄・狩野京児(かりのきょうじ)、善の幼き友人・七原健(ななはらけん)と、敵チームのリーダーの娘でありながらドミノの味方になる日ノ元明(ひのもとあきら)の4名。
能力に応じ、それぞれ異なるデザインのコスチュームで戦うシーンは、王道のバトル漫画好きにはたまりません。
そして『血と灰の女王』でバトルシーン以上に、読者を惹きつけるのが、登場人物たちの魅力です。その魅力について、詳しく紹介していきます。
迫力のあるバトルシーンも魅力的ですが、ヴァンパイアとして戦うキャラクターたちにも注目してほしいところです。
ヴァンパイアとなった彼らの過去は、徐々に明かされていきます。この展開は、バトル漫画に限らずどんな作品にもありますが、『血と灰の女王』は過去の背景がとくに重要になります。
ヴァンパイアに選ばれる理由となった過去が明かされることによって「疑問」や「あらたな謎」がでてきて、予測不能な展開へと突入していきます。
重い過去を持ちながら、そのダークな世界観に反するような、愛着のあるキャラクターたち。そのギャップに、読者はハマってしまうのです。
この記事では、ファンの中でもとくに人気のある狩野京児から、作品の魅力に迫っていきたいと思います!
優しそうに笑っていますが、彼は暴力をこよなく愛する人間です。
彼の善悪の基準には道徳や倫理はなく、自分にとって損か得かで物事を考えます。
人を殺すことに強い興味・関心を抱いており、命を大切にする善とは真逆な性格。これまで一般人を殺さなかったのは、殺人を犯すと社会的弱者になるからだと話します。
逆にいうと、法に触れさえしなければ、殺すことになんのためらいもありません。なので法の外側になるヴァンアパイアに対しては、一切容赦なし。
主役側のセリフとは思えぬ狂気性を感じます。
ヴァンパイアになった当初から「殺す」ことに躊躇しない姿は、彼のボスにも一目置かれているところです。そして、一時の感情によって目的を見失わない冷静さも併せもっています。
しかし実は、京児の弟はヴァンパイアに殺されています。そんな経験がありながら、殺しを楽しむ京児。彼を許せない善は、質問を投げかけるのですが……。
バトルの時と様子が一変します。深読みせざるを得ないこの表情……。彼が実際にはどんな過去を持っているのか、内心はどう思っているのかは、2019年11月現在もはっきりとは分かっていません。
京児本人からは語られず、なんとなくはぐらかされて描かれる様子が、読者の興味をどんどん引くのでしょう。
そして京児の魅力は、ミステリアスさだけに留まりません。次のページでは、作品のファンを虜にさせる、彼の意外な一面についても紹介していきます!
鬼畜な表情が際立つ京児ですが、誰よりも優しい一面があります。王道と思われるかもしれませんが、やはりこれが人気者たる理由なのではないでしょうか……!優しさが伝わるエピソードをご紹介します。
命を大切にする善と、ヴァンパイアを楽しんで殺す京児は正反対の性格です。作中でもたびたび意見がぶつかります。
ヴァンパイアになりたての善と、京児が対峙するシーン。圧倒的な強さで善を打ちのめす京児ですが、実は、善にバトルのイロハを教えていたのです……!不器用な優しさが、彼らしいシーンです。
本気で戦うヴァンパイアたちは、殺すか殺されるかの世界で生きています。ヴァンパイアであろうと殺すのを躊躇っていた善に、京児から一括が入ります。
「お前は何の為に生きてる!?」
「命をかけてでも絶対に叶えたい、心の底からの夢があるか!?」
「何にも無えなら死んじまえ!!」
(『血と灰の女王』1巻より引用)
読者にも大切なことを教えてくれていると思いませんか?善も京児の叫びを受けて、自分が何を大切にしているのかということを再認識し、芯の通った人間になっていきます。
残酷で皮肉っぽく、歯に衣着せぬ言動の京児ですが、彼なりのやり方でチームメイトの成長に力を貸している姿は頼れる先輩そのもの。
小細工一切なしで真正面から相手にぶつかる京児の強さに、心を奪われる読者がたくさんいるのも頷けます。
ミステリアスだけど、不器用な優しさをもち、実は子ども好き……。尊い要素が大渋滞。
孤児院で子どもたちに勉強を教えたり、孤児院の修理を買って出たり、この対応には「ギャップを感じた」とのコメントも多数あります。
「子供好き」という要素は、京児の性格を理解する上で重要な役割の可能性があります。なぜ子供好きなのかという理由はあまり描かれておらず、注目するべき要素です。
この他にも、子供に対しては優しい表情を見せる京児のシーンは多々ありますので、伏線となるポイントがないか要チェックです。
キャラクターたちの悲しい過去が明かされるときなど、辛い場面もありますが、このような子供たちとのシーンにはほっこりさせられます。癒される場面でもありますので、ぜひお見逃しなく!
人気キャラクター・狩野京児の魅力についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
本作は、彼以外にも魅力的なキャラクターがたくさん登場します。
それぞれのキャラクターは事情を抱え、悲しみや苦しみ、弱さを持ち合わせています。読んでいるうちに、共感できるキャラクターや、応援したくなるようなポイントを見つけられるでしょう。
登場人物たちの成長ストーリーに自分を重ね合わせて、物語に没入できるのが『血と灰の女王』の魅力。この点が他のバトル漫画と違うユニークなポイントです。