恋愛関係に発展した男女に、トラブルは付き物。「不倫」も男女のいざこざのひとつです。最近では、ドラマや漫画で表立ってフォーカスされることも増え、一部の人には切ない恋愛……と捉えられるのかもしれませんが、された側からしたら大迷惑!考えるだけで腹ワタが煮えくり返ります。 今回は、もし不倫されたらどこまでやり返してOKなのか?を弁護士の方に聞いてきました。
不倫し返すのは泥沼一直線だし、SNSでの拡散は名誉毀損で訴えられるかもしれないし……不倫された側の心の傷は、お金だけでは解決しません。何かしら痛い目に合わせたい……というパワフルな女性もいるのではないでしょうか。
結婚している身でもある私は、不倫撲滅を願います。そして「不倫されたら合法的にやり返したい!絶対に!」という想いのもと、もし私が不倫をされたらという目線から、町田北斗弁護士にお話を伺ってきました。
まずは基本的な知識からおさらいしましょう。
不倫とは……配偶者以外と、性交渉をおこなうこと。
つまり、どちらかが既婚者あるいは両方が既婚者で、すでに身体の関係をもっていたら「不倫」になる、ということ。身体の関係を持っていなかった場合は、不倫にはなりません。(人によっては「浮気」と呼ぶようですが、明確な区別はされていないようです。)
まずは弁護士に相談しましょう。その際は、「今後自分がどうしたいのか」を明確にして相談に行くことが大切です。婚姻関係を続けたいのか、慰謝料をもらってすっぱり別れたいのか……。それによって弁護士からのアドバイスも変わります。
相談時間で料金を取られることもあるので、「どんな結論なら自分が納得できるのか」をはっきりした状態で相談しに行くのがおすすめです。
不倫された場合に必ず話し合うことになる慰謝料。相場についても確認してみましょう。ここで肝になるのは、「婚姻関係を続ける」のか「離婚するのか」です。ケース別に見ていきましょう。
婚姻関係を続けることになった場合は、相手女性に慰謝料を請求するのがメインになります。不倫していた期間や相手女性の年収などによって変動しますが、100万円以下になるケースが多いようです。
離婚することになった場合は、元旦那と相手女性に対して請求でき、200万円〜400万円くらいになります。こちらも不倫していた期間や、旦那の年収や相手女性の年収などによって金額が変動します。
とはいえ、お金だけでもない
ここまでで、「不倫していた期間」と「婚姻関係を継続するのか否か」「不倫相手や旦那の年収」が、慰謝料の金額に大きく関わってくることが分かりました。
慰謝料をしっかり取ることは大切ですが、これだけでは、私はしっくりきません……もし不倫されたら簡単には許せないでしょう。そこで「不倫 仕返し 合法」で調べたのですが、なかなかパンチの効いたものはでてきませんでした。
なので今回は「自分で仕返し方法を考え、法律的に可能なのか?」ということを弁護士の方に聞いてきました。お話を聞くのは、町田北斗先生です。
町田北斗(町田北斗法律事務所)
都内の法律事務所にて、離婚や不倫に関する男女関係のトラブルを中心に取り扱う。専門は、男女関係のトラブル、不動産トラブル、労働トラブル。
ーー今回は不倫した人たちにどこまでやり返していけるか、というラインを探っていきたいと思います。よろしくお願いします。
町田北斗弁護士(以下、町田先生):よろしくお願いします。
ーー町田先生のところにはこのようなご相談は多いのでしょうか。
町田先生:今は不動産関係を中心に活動していますが、男女トラブルを取り扱うようになってから約2年間で合計50~60件ほど担当していました。
ーー単純計算で、1ヶ月に約2件は担当しているんですね。貴重なお時間をありがとうございます。
ーー早速ですが、今回のモデルケースは旦那が社内不倫した場合です。不倫された奥さんは、今回は離婚しないということを決め、和解(※1)を選んだと仮定します。その場合、どこまで仕返しできるのか、そのOKラインを探っていきたいと思います。
※1 和解……当事者が互いに譲歩して合意により紛争をやめること。詳しくはこちら
今回の取材の題材になっているのは、「こういう奴、いるわ!」と思わず共感してしまうほど嫌な奴が出てきて、修羅場から成敗されるところまでが描かれる漫画『ブラックガールズトーク』です。
作品に出てくるヤバイ人たちが見事に成敗される様が、読んでいてスカッとした気持ちになる作品となっています。
ーーまずは「会社への報告」について伺いたいと思います。会社に報告する人は多いのでしょうか?
町田先生:多くはないですけど、実際にはいますね。職場にバラしたり。直接行っちゃうとか。
ーー会社に報告するのはOKなのでしょうか?
町田先生:人事や経営陣への報告は名誉棄損になる可能性があるためお薦めできません。ただ同僚と不倫をしているような場合には、会社にとっても無関係な事とはいえないため、報告する必要があるケースも存在します。
また、不倫を辞めさせるため説得してもらいたいという目的で、旦那と仲のよい知り合いに伝えることや、不倫相手の女性の家族に伝えることなどは問題ありません。
しかし相手女性を傷つけることを目的にして、不特定多数の人に教えるのは違法性が強くなってしまいます。インターネット上やSNS上で不倫の実態を公開するのは、やめたほうがいいでしょう。
ーーちなみに、「人事の人に送ろうとして違う人をメーリングリストに入れちゃった」という場合はどうなるのでしょうか?
町田先生:それは結果的にばらまいてることになるのでだめですね。「不倫を辞めさせたい」などの目的を持って、教える必要のある人だけに報告する、ということが大切です。
ーーメールでの報告は慎重にならないとですね……たしかにこれなら直接会社に行った方が、メール送信でミスをするよりはリスクが低そう。また信頼のできる友人たちの手を借りながら、不倫しにくい環境を作るのは効果がありそうですね!
ーーしかしこれだけでは、続行しようとする人もいますよね。旦那や不倫相手にGPSをつけるのはどうでしょうか。
町田先生:旦那であれば、GPSをつけるのは問題ないと思います。ただ、不倫相手にGPSをつけることは強制できません。強く求めることはできますが。
ーー強く求めることはできる……ということは、和解となった場合、「和解の内容」を決めることがあると思います。その中に「GPSをつけること」という条項を含めることは可能なのでしょうか。
町田先生:「GPSをつけること」を和解の内容にすることはないですかね。なので一度和解をして、その後接触があれば10万円とか20万円とか、罰金を払ってもらうという違約金条項を設けることが多いですね。
ーー違約金について、初めて知りました!どこからが接触になるんでしょうか?
町田先生:基本、接触したこと自体に違約金を設けることが多いですね。なのでカフェで会ったとしても、違約金が発生することがあります。「どこで会ったか」や、「違約金の金額」などは話し合いで決めることができます。
まあ要は、牽制みたいな意味合いの条項です。この条項はつけることが多いので弁護士の方から提案してくれることもありますが、不慣れな場合は提案してこない場合もあるかもしれないので、頭の片隅に入れておくとよいかもしれません。
ーー前段でもあった通り、慰謝料は200万円〜400万円が相場でした。相手の年収によっても金額が変動するということですが、慰謝料1,000万円を払うことを約束した誓約書を旦那に書かせることは可能なのでしょうか?
町田先生:それは当事者の合意があればいくらでもできます。ただあまりにも非現実的な金額だと、後々裁判になった時に有効性に疑義(※2)が生じることもあるので注意です。
「支払いがなかった」と裁判を起こしたときに、そもそも1,000万円の支払いは無理じゃないかと判断されることがあります。
※2 疑義……内容が疑わしいこと
ーーでも相手は誓約書を書くときにOKって言ってますよね?
町田先生:それでも、やっぱり作成したときに恐喝じゃないですけど、強迫とかそういう状況があったのではないかと推認されます。真意じゃないのではないかと思われる可能性があるので金額は慎重に決めてください。
たとえば誓約書を書いたときに、旦那さんの年収が1,000万円だったら誓約書が有効になることがあるかもしれません。それでもやっぱり、1,000万円は厳しいラインですね。たとえば500万円なら正当性が認められる可能性が高いです。
ーー慰謝料1,000万円はかなりハードル高いんですね……では、もし不倫した旦那が某有名ファッションECサイトの元社長レベルで稼いでたらどうなりますか?
町田先生:全然あり得ますね。もっと(金額が)行くかもしれない。本当に人の年収や資産状況によります。
慰謝料は、精神的な制裁という側面がありますからね。日本では制裁的な意味合いがあまりないんですけど、でもやっぱり年収が高い人の方がたくさん取られます。もちろん上限はありますが。
ーー何かを仕返してやりたい!と思っても、なかなかハードルが高いですね。
町田先生:そうですね。不倫された側が、法のハードルを背負ってまで仕返しをするっていうのは大変だと思います。実際には、不倫で裁判を起こされるというだけでかなり心理的なダメージを追うんですよね。実名が公表されますし。
なので不倫された人はまず、不倫の証拠をしっかり掴むこと、そして複数の証拠を集めることが大切ですね。探偵とかに頼んで写真を集められないときには、男性側の証言だけでは証拠にならないので、相手女性が不倫を認めた録音テープだとかそういうのがあればかなり固いかなと。
そして、自分がどういう風にしたいかを決めてもらったほうがいいですね。婚姻を継続するのか、やり直す気持ちがあるのかどうか。
相手女性に対して慰謝料請求をするかどうかというのも、慎重に検討すべきですね。慰謝料請求をしないで円満に戻るということもあります。
旦那と復縁したことで、相手女性のことを忘れてしまうという人もいますので、何よりも自分がどうしたいのか、というのを考えるのがよいですね。
こちらからの突飛な質問に対し、真剣にかつ分かりやすく答えてくださった町田先生。今回のインタビューをまとめると、こちらになります。
会社への報告
不倫した旦那と相手にGPSをつけたい
慰謝料の設定
頼れる弁護士を見つけ、正当な慰謝料を請求すること、和解の内容を細かく決めること、そして何よりも裁判を起こすことが最大の仕返しになるということが分かりました。
本当に不倫されたらたまったもんじゃないですが、他人の話はついつい気になる……そんな人には、女子会を覗き見できる漫画『ブラックガールズトーク』がおすすめです。「芸能人のスキャンダルなどはつい読んじゃう」そんな人も、ぜひ読んでみてください。
「職場や身の回りで起きたトラブル」を酒の肴にして、女子会が開かれます。「自称サバサバ女と、上司の不倫」「最近できた友達の彼氏が、後輩の彼氏でもあった」「キャバ嬢に貢ぐモラハラ夫」「ステータス重視の結婚至上主義女」などなど、ヤバイ奴がたくさん登場。
そして全ての話が、しっかり成敗されるというオチつき。スカッと感がたまらないストーリーで、漫画アプリ・マンガワンでも、女子向け作品ランキングで常に上位に入る作品となっています。
- 著者
- マキノマキ
- 出版日
- 2019-10-18
基本1話完結で、気になるタイトルから読むこともできます。スカッとしたオチが気持ちのよい作品です!