過激な言葉と受験の真実。「二月の勝者」が受験生、ママ、塾講師 必読な理由とは

更新:2020.3.3 作成:2020.3.3

「受験」自体は誰しも経験があるものですが、中学受験経験者はさほど多くないのではないでしょうか。『二月の勝者』は中学受験をテーマにした作品。過酷な中学受験の真実が克明に描かれており、関係者からも圧倒的な支持を受けています。 なぜ、受験生や保護者、塾講師にこれほどまでに支持されているのか、その理由と魅力を考察していきます!

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目次

「二月の勝者」がドラマ化!原作のあらすじ、ドラマの見所を解説!

「二月の勝者」がドラマ化!原作のあらすじ、ドラマの見所を解説!
出典:『二月の勝者 ー絶対合格の教室ー』1巻

 

『二月の勝者』は、中学受験をテーマにした漫画作品。中学受験のための進学塾のなかでも、トップの実績を誇る「フェニックス」から、「桜花ゼミナール」の新校長となったトップ塾講師の黒木蔵人を中心に、中学受験のリアルを描いていきます。

見所は、リアルな中学受験事情が描かれているところ。中学受験のガイドブックとして利用できるほど、情報量が豊富です。舞台が学習塾ということもあり、特に情報量が多いのは塾関係のこと。内情や講師の本音、お金のことまで、参考になる情報が掲載されています。 

また、情報だけでなく、人間ドラマも見所の一つ。塾講師と生徒だけでなく、生徒同士や親子、塾講師と保護者など、様々な人間模様が描かれています。受験生の保護者ひとつとっても、受験に熱心な者、そうでない者と様々。それぞれの事情の中で、もがきながら合格という目標に向かって進んでいく姿に胸打たれます。

リアルな中学受験が知れると話題の本作は、2020年7月からドラマの放送が予定されています。公開日は未定です。ドラマでも漫画同様の情報量が期待されますが、ドラマならではの見所は、人が演じているというところ。一層深みを増すであろう、受験関係者の心の機微に注目して視聴してみるのも、よいのではないでしょうか。

こちらの記事では、リアルな中学受験を描いたことで注目されている本作が、なぜ保護者や受験生、塾講師などの関係者から支持されているのか。考察をふまえ、作品の魅力をご紹介していきます。

 

登場人物を紹介。ドラマのキャストも!

登場人物を紹介。ドラマのキャストも!
出典:『二月の勝者 ー絶対合格の教室ー』3巻

魅力を解説する前に、作品の魅力の一つである登場人物の紹介をしていきます。

まず、作中でも最重要人物である黒木蔵人(くろきくろうど)をご紹介しましょう。ドラマでは柳楽優弥が演じます。

黒木は塾講師。中学受験を主とする進学塾のなかでも、トップの実績を誇る「フェニックス」から、「桜花ゼミナール」吉祥寺校の新校長として赴任してきました。

カリスマ塾講師で、その実力は折り紙付き。フェニックスのなかでも、実力のある生徒が籍を置くクラスを担当していました。歯に衣着せぬ物言いが多く、「受験生は子どもの将来を売る場所」、生徒を「顧客」と称するなど、お金を意識させる発言を度々しています。

とはいえお金のためなら何でもする、というキャラクターではありません。金銭の対価として受験をある程度成功させようという意識が高く、勉強だけでなく生徒や保護者の受験への意識改革やサポートを的確に行っています。

塾講師としてのスキルが高い黒木ですが、プライベートは謎が多いキャラクター。塾にいるときは髪を整え、スーツを着こなした真面目で固そうな印象ですが、通勤時は髪がぼさぼさ。同一人物とは思えないほどの変貌っぷりに驚かされます。

黒木と対照的なのが、新米塾講師の佐倉麻衣。キャストは2020年2月時点では未定です。

本作の主人公で、物語冒頭では桜花ゼミナール吉祥寺校で研修を行っていました。ある受験生の付き添いを行ったとき、偶然黒木に関わる機会があり、彼のサポートの実力に驚きの表情を見せました。

素直で元気な性格で、根っからの体育会系。過去に空手の指導をしていた経験から、人に教えることにやりがいを感じ塾講師となりました。寄り添ったスタイルの指導のため、実績重視の黒木方針とは反発する姿も度々見られます。

中学受験の進学塾に就職していますが、中学受験は未経験なうえにまだ新人。そのため、知識もノウハウもない状態からスタートをします。読者の代わりに、黒木に様々な疑問をぶつけてくれる、ナビゲートキャラクター的役割を担ってくれています。 

他にも黒木が校長を務めることになる、桜花ゼミナール吉祥寺校の講師や個性的な生徒たちが登場。生徒の保護者にもスポットが当たります。また、グループ内の別の校舎に通うライバル生徒が登場するなど、受験する生徒たちの人間関係もしっかりと描かれています。 
 

「二月の勝者」を関係者はどう見ている?感想をいくつかに分類してみた

 

本作はリアルな中学受験を描いた作品として注目されています。膨大な資料と綿密な取材から、中学受験、そして進学塾の今が赤裸々に描かれていますが、関係者はどのようにみているのでしょうか。感想を大きく3つに分類してみました。

まず1つめは、中学受験をする際に参考になったという感想が最も多くみられました。同じ年頃の子どもを持つ読者からは、自身の子どもの受験の際に読みたい、教育関係者からは中学受験に馴染みのない層に対して中学、高校受験それぞれのメリット、デメリットを考える契機になるのでは、という意見が寄せられています。

本作では様々な家庭の事情を抱える生徒が登場します。それぞれの立場から中学受験をさせるか否か、するなら学校はどうするのかが描かれているので、参考にしやすいのでしょう。

2つ目は、数字によってリアリティが増している、という声です。本作には様々な数字が登場します。塾にかかるお金、中学受験をする人数、その中で希望の学校に合格する人数など、塾講師や教育関係者から見てもリアルな数字だそう。

実際の数字を見せることで、中学受験というものが、より一層現実的に感じられた、という感想が見られました。

3つめは、情報や数字のことではありません。本作が、受験期の支えに一役買っている、という感想です。 

作中に登場する生徒たちは、それぞれが懸命に受験へと取り組んでいます。同じように中学受験に挑んでいる子どもたちは辛さや不安など、作中で共感できる部分が多い様子。また、子ども支える保護者にもスポットも当たっており、親子で楽しむことができます。 
 

黒木はクールではっきりとした物言いから、冷たい人という印象を受けがちです。しかし、読んでいくと生徒の問題に真正面から取り組んでいく講師だと分かるでしょう。

実際に塾講師をしている読者からは、黒木のようにできるのが理想だけど、生徒の個性まで見ている余裕はなく、現実ではかなり厳しいという感想も寄せられています。しかしそう思う人にも作品が読まれているということは、やはりこの業界を描いた作品として評価できるということなのではないでしょうか。
 

上記の3つの感想が出る理由こそ、本作の魅力なのではないでしょうか。他にも数多くの感想が寄せられていますが、この記事ではそんな感想が出る理由を実際の作品の内容から考察していきます。
 

 

著者
高瀬 志帆
出版日
2018-02-09

「二月の勝者」が関係者にウケる理由:塾から学校選びまで!中学受験マニュアルとして優秀

まず本作が指示される理由のひとつが、受験マニュアルとしてとても優秀だということ。先ほどもお伝えしたように実際に自分の子どもの受験の参考にした、という感想が数多くみられており、それだけでもマニュアルとして優秀であることを証明しているといえるでしょう。

とはいえ、こちらではもっと細かく、その魅力を紹介していきます。合宿やゼミのエピソードを例に説明してみましょう。

受験をするにあたって、多くの子どもが塾に通います。そして長期休みや試験の日が近づくと、合宿やゼミなどの、特別日程が組まれます。追い込みをするのだな、という想像はできますが、保護者からすると開催するから行かせるか、くらいの認識になりがちではないでしょうか。

本作では、なぜ合宿やゼミが行われているのか、塾側の意図が明確に提示されています。保護者側は理由を理解したうえで子どもを通わせたり、お金を支払ったりすることができるので、納得感が得られるようになるのです。

また、学校選び方についての言及もためになるもの。たとえば作中で、共学にするか、男子校にするか、と学校を選ぶエピソードが登場します。なぜ共学がよいのか、男子校にするメリットは何なのか、細かい解説もされているため、子どもにあった学校選びをするための基準を作る、知識を得ることができるのです。

このように、ひとつひとつの事柄に丁寧に解説がつけられているので、本作はお受験のマニュアルとしてもとても役立つ内容なのです。

「二月の勝者」が関係者にウケる理由:かかる費用から合格者数まで!数字がリアルすぎる

「二月の勝者」が関係者にウケる理由:かかる費用から合格者数まで!数字がリアルすぎる
出典:『二月の勝者 ー絶対合格の教室ー』1巻

 

ふたつめの理由は、綿密な取材に基づくリアルな数字です。たとえば物語冒頭、中学受験をする小学6年生がどれくらい存在するのか、その中で志望校に合格する割合や、有名中学校に合格するのはどれくらいなのか、という数字が登場します。

全国の小学6年生が約110万人。その中で、東京都内に住んでいるのが約10万人とします。その中で、中学受験をするのは2万5千人ほど。つまり4人に1人が中学受験をする、という数字を見ると、思ったよりも受験生が多いと感じるのではないでしょうか。

それに対して生徒を募集している私立中学校が188校。全体で合格できるのは3割。そのなかでも有名神学校に合格できるのは1割という数字を見ると、想像以上にシビアであることが実感できるはずです。

この合格率を見ると、塾にかかる費用の150万円が、必要投資に見えてくるから不思議です。平均的な塾の費用が150万円、作中に登場する元黒木の職場であるフェニックスでは、200万円、トップクラスはさらに上乗せと費用はかなりお高め。実際に存在する塾を参考にしているため、費用もかなりリアルになっているようです。

 

「二月の勝者」が関係者にウケる理由:親子から塾関係者まで共感できるエピソード

 

本作の魅力は、中学受験に関する豊富な情報だけでなく、人間ドラマにもあります。

生徒の数だけ家庭があるわけですから、読者の家庭事情に近い事例が、きっとあるでしょう。読者は共感し、さらには作中の保護者を通して黒木から、どのようにして受験に挑むべきかアドバイスまで得られてしまうのです。

試験を受けるのは子ども自身ですが、中学受験は家族で挑むもの。1巻1話目の黒木の「君達が合格できたのは、父親の『経済力』、そして、母親の『狂気』」というセリフからも、家族の協力がどれだけ欠かせないのかが実感できるでしょう。実際に子どもの中学受験を経験した多くの保護者は黒木のセリフに共感しているようです。

また、子どもたちにも大きな影響を与えています。同じように中学受験をする子どもはもちろんのこと、受験予定がない子どもにも変化が。受験がどういうものかを知ることにより、受験を予定している子どもへの気遣いができるようになった、という読者も存在しているのです。

誰もが真剣に中学受験のことを考え、迷い苦しんでいる。そんな姿を描くからこそ、多くの読者の共感を得られているのでしょう。黒木の冷静さが、精神安定剤のように感じられます。

これらのように、実利的な部分でも、精神的な部分でも中学受験を描ききっていることから、本作はここまで幅広い層に支持されているのでしょう。

気になった方はまずは1巻だけでもご覧になってみてはいかがでしょうか。

 

著者
高瀬 志帆
出版日
2018-02-09

中学受験の過酷な現実が浮き彫りになる話題作。受験は過酷ですが、子どもたちの眼には力があり、自分の未来に向かって進もうと奮闘している姿に胸が熱くなります。リアルさの損なわれないドラマは胃にくるところがありますが、黒木の元で奮闘する子どもたちの姿を見届けてみてはいかがでしょうか。