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明治時代の文豪の代表作やおすすめ小説と名言を紹介!

更新:2020.11.25 作成:2020.4.2

明治時代は、日本に西洋の文化が流入し、文学界でも革命的表現が生まれた時代です。多くの文豪が登場し、彼らの作品は国語の教科書に取りあげられるなど広く知られています。今回は、そんな明治時代を生きた文豪のなかから6人を紹介します。彼らが残した名言と代表作を解説するので、興味をもっていただけたら嬉しいです。

明治時代を彩った文豪たちのおすすめ小説を紹介

明治時代の日本では、文明開化によって西洋の思想や文化が流行し、文学の世界においても多様な作品が生まれました。特に女性の社会進出や自由民権運動が人々に知られるようになると、政治そのものに対する考え方を描いた小説が書かれるようになったといわれています。

また、そうした政治や善悪について書かれた小説が誕生する一方で、それまでの日本文学作品のような人間の心を表現した作品や、現実をそのまま描いた作品などを支持する作家もおり、さまざまなジャンルで文学活動が盛んにおこなわれました。

現在ではそのような明治時代の作品が国語の教科書にも取りあげられ、近代小説として人々に知られています。

明治時代に近代小説の道を拓いた文豪・坪内逍遥の『小説神髄』

『小説神髄』は、時代に先駆けて写実主義を提唱していた坪内逍遥の代表作です。坪内は東京大学(旧東京帝国大学)で文芸批評を学び、演劇作品の翻訳でも活躍して近代文学の誕生に貢献しました。

「小説の主脳は人情なり、世態風俗これに次ぐ」(『小説神髄』より引用)

このように綴っており、人間の内情をより客観的に描くリアリズムこそが重要だと主張しています。

作家として活動していた当時は、戯作や政治小説が流行していたため、文学作品は娯楽としての意味あいが強く、地位の低いものでした。しかし、そんな社会の風潮に逆らうような坪内の主張によって小説の地位が向上。新たな文学理論は他の作家たちにも影響を与えていったのです。

著者
坪内 逍遥
出版日
2010-06-16

江戸時代までの日本文学では、物語の登場人物は品行方正で理想的な人物が多く、等身大の人間として描かれることはほとんどありませんでした。ところが本作ではそれまでの風潮とは反対に、人間の心情を写実的に表現することが重要であると主張。その次に世の中の情勢を表すことに注力すべきだと述べられています。

本作の魅力は、写実主義などそれまでの時代にはなかった、革命的な文学論を主張しているところです。西洋の思想に触れる機会の多かった坪内逍遥だからこそ書ける文章や考え方が丁寧に記されていて、日本文学の発展のきっかけを知ることができるでしょう。

現代では当たり前のように使用されている写実的表現が、まったく新しい技術として描かれている興味深い作品です。

明治時代に近代小説の始まりを牽引した文豪・二葉亭四迷の『浮雲』

ロシア文学の翻訳でも活躍する二葉亭四迷が書いた『浮雲』は全3篇の長編小説です。同時代の作家である坪内逍遥が主張した写実主義に影響を受け、当初は坪内の名前で出版されていました。

「信ずる理由があるから信じているのではなくて、信じたいから信じているのだ」(『浮雲』より引用)

この言葉からもわかるとおり、これまでの日本文化に流されない新しい表現を生み出すなど、確固たる意思をもって小説を書いていることがわかります。

作品の特徴として挙げられるのは、話し言葉で小説を書く「言文一致体」。これまでの時代にはない文章表現を作り出した、近代小説の先駆けとしても有名です。

著者
二葉亭 四迷
出版日
1951-12-18

物語の主人公は、事務官として働いている内海文三です。文三は下宿先で従姉妹のお勢に勉強を教わるうちに好意を抱きますが、仕事中も彼女のことを考えるようになり、とうとう事務官をクビになってしまいました。

そんな彼に対し、叔母のお政は冷たい態度で接するようになり、ついにはお勢からも疎まれる事態に。一方で、文三の元同僚である本田はたびたび下宿先に現れ、お勢と親密になっていくのです。

本作最大の魅力である写実的表現で、主人公の三角関係に葛藤する繊細な気持ちが表現されています。また、人間関係だけでなく社会情勢も盛り込まれていて、リアルな人間ドラマと、当時の生活を感じられる作品です。

明治時代に華やかな西洋文化と切ない恋を描いた森鴎外の『舞姫』

森鴎外の短編小説『舞姫』は、彼が医学を学ぶためにドイツへ留学していた時に執筆されました。1989年には日独合作で映画も制作されています。

森鴎外は、東京大学の医学部を卒業後、陸軍の軍医として働いていました。その後ドイツに留学し、帰国した際にいくつかの作品を発表。戦争などで創作活動ができない時期を乗り越え、晩年には帝国美術院(現在の日本芸術院)の初代院長にも就任しています。

「実に敵という敵の中で山の神ほど恐ろしい敵はない」(『金貨』より引用)

この言葉からもわかるとおり、戦争を間近で体験したからこそ書ける権力の表現が特徴。日本に革命を起こそうとする情勢とは反対に、日本らしさを描く小説を多く執筆しています。

著者
森 鴎外
出版日

物語は、主人公の豊太郎が医学を学ぶためにドイツへ留学したところから動き始めます。それまで真面目に勉強してきた彼は、周囲の環境に刺激を受けつつ、踊り子エリスと出会い、父親の葬儀に向けた手助けをすることになりました。

2人はしだいに距離を縮めて恋仲になりますが、仲間の裏切りもあって豊太郎は身分や地位を失ってしまいます。今度はエリスに助けられ、一緒に暮らし始めたころに帰国の話を持ちかけられるのです。出世と家族、どちらを選ぶかで葛藤する彼は、ついにある決断を下すのでした。

主人公が今まで勉学一筋な人生を歩んできたからこそ、ドイツの自由な空気に感化され、最大の見どころである恋の行方をドラマティックに演出しています。当時はめずらしかった、国を超えたラブストーリーを描いた作品です。

明治時代に活躍した女流作家、樋口一葉の『たけくらべ』

『たけくらべ』は、樋口一葉の短編小説です。彼女は貧しい生活を送りながら、わずか1年半でいくつもの作品を発表。和歌の先生になりたいという夢をもっていたため、その影響も感じられるでしょう。

しかし24歳という若さで肺結核を患い、創作活動を続けることを断念せざるを得ませんでした。

「恐ろしきは涙の後の女子心なり」(『やみ夜』より引用)

女性が勉強することに抵抗があった時代に、それでも古典や和歌を学び、22編もの素晴らしい作品を生み出した樋口一葉。美しい文章だけでなく、ストーリーの面白さでも知られています。

著者
["松浦 理英子", "藤沢 周", "阿部 和重", "井辻 朱美", "篠原 一"]
出版日

『たけくらべ』は、吉原で暮らす子どもたちの物語です。美登利、信如、正太郎の3人の中心人物のほか、多くの少年少女たちが登場します。

本作の見どころは、子どもたちの切ない成長でしょう。特に美登利と信如は、子どもらしい冷やかしが原因で距離が離れてしまいますが、ある出来事をきっかけにお互いの心が揺れ動くさまが描かれます。

吉原の子どもたちは遊女や僧になる運命が決まっていて、自由に生きることはできません。そんな彼らだからこそ精一杯に暮らす姿が魅力的に映るのです。定められた未来に向けて進む子どもたちの、切なさとはかなさが現れた作品になっています。

明治時代に自然主義の先陣を切った文豪・島崎藤村の『破戒』

長編小説『破壊』は、島崎藤村が初めて自費出版した作品です。日本文学界にて自然主義を確立し、夏目漱石にも絶賛されたといいます。

「今日まで自分を導いてきた力は、明日も自分を導いてくれるだろう」(『新生』より引用)

島崎は明治学院大学を卒業した後、20歳で英語の教師として働き始めました。当初は女性誌や文芸雑誌などに劇詩や随筆を発表していて、『破壊』をきっかけに小説を書き始めるようになります。

日本文学界ではそれまで事実を美化するような表現が多く語られていましたが、島崎が自然主義小説の先陣を切り、その思想を確立しました。

著者
島崎 藤村
出版日

主人公となるのは、部落出身の青年、瀬川丑松です。父親から身分を隠すよう堅く戒められていましたが、解放運動家をしていた猪子蓮太郎に影響を受け、自らの出生を隠すことに抵抗を覚えます。そんな時、蓮太郎の凄惨な最期を目にして、追い詰められていくのです。

本作の見どころは、当時の差別問題を鮮明に描いている点。丑松という青年をとおして、江戸時代に確立された階級制度の一端を知ることができるでしょう。

差別を受ける人々の苦しさや葛藤が描かれていて、主人公の激しい正義感が際立つ作品になっています。

明治時代を代表する文豪・夏目漱石の『坊っちゃん』

『坊っちゃん』は、夏目漱石の2作目の小説。国語の教科書にもたびたび取りあげられています。

東京大学を卒業した後、英語教師をしていた夏目漱石。イギリスへ留学し、帰国後に『吾輩は猫である』を発表しました。その後は朝日新聞社に入社して小説を掲載するなど、多くの作品を発表しています。

小説の設定には自身の体験や心情を参考にすることが多く、大衆的な作風で人気を集めました。『坊っちゃん』は、漱石が愛媛の中学校で働き、熊本の高等学校へ赴任するまでの経験がもとになっています。

「精神的に向上心のない者は馬鹿だ」(『こころ』より引用)
著者
夏目 漱石
出版日

物語の舞台は、四国にある田舎の中学校です。伝統的なしきたりや密接な人間関係が根強く残り、保守的な考えの人が多いため、東京出身の主人公の坊っちゃんには馴染みにくい地域でした。

さらに坊っちゃんの江戸っ子気質で無鉄砲な性格は、同僚の教師たちからも反感を買ってしまいます。

昔ながらの慣習を守ろうとして卑怯な手を使う教師たちを見て、それでもなお自分の正義を貫こうと主人公が奮闘する様子は痛快。いたずら、暴力、恋愛騒動などさまざまなハプニングも発生しますが、そのたびに坊っちゃんは正面からぶつかっていくのです。

理不尽な環境だからこそ勧善懲悪な展開が面白く、読んでいて気持ちのいい作品です。

明治時代の日本では、西洋の文化を取り入れようとする流れもあれば、これまでの日本文化を守ろうとする流れもあり、文豪たちも新たな時代に向けた名作を数多く生み出してきました。気になった作品があれば、ぜひ実際に読んでみてください。