5分でわかるマラリア!症状や対策、日本の状況などをわかりやすく解説!

更新:2020.4.14

紀元前から流行をくり返し、日本をはじめ世界中で大きな被害を生み出してきた「マラリア」。この記事では、症状や対策、日本の状況などをわかりやすく解説していきます。

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マラリアとは。どんな病気か簡単に解説

 

マラリアは、マラリア原虫という寄生虫が体内に侵入することでおこる感染症。イタリア語で「悪い」「痛い」という意味の「mal」と、「空気」という意味の「aria」が語源です。

ヒトが感染するマラリアは、5種類あります。

  • 熱帯熱マラリア
  • 三日熱マラリア
  • 卵形マラリア
  • 四日熱マラリア
  • サルマラリア

これらのマラリア原虫をもつ蚊に刺されることで、ヒトに感染します。ただし、ヒトからヒトへの感染は確認されていません。

マラリアの歴史は古く、 有史以前にまでさかのぼります。およそ1万年前に人類が農耕を始めるようになると、爆発的な流行が生じました。農耕のために作られた水路が、蚊の絶好の生息地となったからです。

かつては、日本にも土着のマラリアが存在していましたが、1963年に制圧が宣言され、現在は根絶されています。ただ海外から帰国した後に発症するケースが、毎年数十人ほど確認されています。

世界的に見ると、アフリカや南米、中央アジア、東南アジアなどの熱帯・亜熱帯地域で流行。厚生労働省検疫所「FORTH」のHPによると、2018年はおよそ2億2000万人が感染し、そのうち43万5000人が亡くなったそうです。

 

マラリアの症状は?

 

ヒトが感染するマラリアは5種類ありますが、どれも熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状が現れます。

原虫がヒトに侵入すると、1週間から1ヶ月前後の潜伏期間を経て、発症。特に熱帯熱マラリアは症状が重く、発症から24時間以内に適切な治療を受けないと重症化し、脳症や腎症、肺水腫などの重篤な合併症を引き起こして、最悪の場合死に至る可能性があります。

マラリアによる熱発作は、40度前後の高熱や悪寒、吐き気、関節痛が生じる発熱期が続いた後、発汗とともに熱が下がる無熱期がくり返されるという特徴があります。これはマラリア原虫が血液内の赤血球に侵入し、赤血球を破壊しているためです。

原虫が赤血球を破壊するサイクルには周期性があり、三日熱マラリアと卵形マラリアでは48時間ごと、四日熱マラリアでは72時間ごとに熱発作がくり返されます。熱帯熱マラリアも36~48時間ごとに発作があるとされますが、不規則になることもあるようです。

1度マラリアに感染すると免疫が形成されるので、再感染した場合は病状が軽くなる傾向があります。一方で子どもの犠牲者は多く、「FORTH」によると2015年にマラリアで亡くなった人のうち、およそ70%が5歳未満の子どもでした。

また妊婦が感染した場合は、流産や低体重出産の危険性が高まります。そのため流行地域では、妊婦への定期検診や予防内服が推奨されています。

 

マラリアへの対策や治療として有効なもの

 

ここまで記してきたように、マラリアは危険な感染症です。ただし予防法や治療法は確立されていて、適切な対策をとれば被害を減じることが可能です。

もっとも基本的な対策は、蚊に刺されないようにすること。

マラリアを媒介するハマダラカは、主に夕方から夜にかけて活動します。そのため就寝時に蚊帳を使用することで、感染リスクを低減させることが可能です。ほかにも長袖、長ズボンなど、刺されにくい服装をすることや、虫よけスプレーを使用することも有効でしょう。

こうした個々人の対策だけでなく、流行地域ではより積極的な予防策として、殺虫剤を用いた蚊の駆除も推進されています。

また、あらかじめ抗マラリア剤を服用することで発症を予防することも可能です。

「FORTH」によれば、日本国内で承認されている予防薬は2つ。マラリアの種類によって予防薬が異なるため、服用の際は専門医に相談してください。

ただ予防薬を服用しても、感染のリスクを完全になくすことはできません。万が一マラリアの感染が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。もしも感染してしまった際は、種類に応じて抗マラリア薬が投与されます。

また海外で感染した場合に備え、流行地域に渡航する際はあらかじめ外務省のHPなどを参照し、現地の医療事情を確認しておくとよいでしょう。

 

日本におけるマラリア

 

かつては日本にもマラリア原虫が生息し、流行がくり返されてきました。奈良時代頃から文献上に登場する「瘧(おこり)」という熱病は、マラリアだと考えられています。

またマラリアの流行は、多くの犠牲者も生み出してきました。武士として初めて太政大臣になった平清盛の死因も、マラリアだった可能性が指摘されています。

近代になってからも、琵琶湖周辺や日本海沿岸、沖縄、北海道など全国各地で発症。国内ではありませんが、「太平洋戦争」が勃発した際は東南アジアから太平洋地域が戦場となり、戦地に派遣された多くの将兵がマラリアに感染、戦病死しています。

その後、GHQがおこなった殺虫剤の散布、工業化にともなう水田の減少などにより、日本におけるマラリアの感染はしだいに減少していきました。1959年に滋賀県彦根市で確認された例を最後に、日本国内での自然感染は確認されていません。

これにより、1963年におこなわれた「マラリア終焉記念大会」で制圧が宣言され、現在日本国内のマラリアは根絶されたと考えられています。

 

アフリカでの対策をNPO活動を通じて知る

著者
水野達男
出版日

 

作者の水野達男は、52歳になってからアフリカで蚊帳を販売するビジネスに参画し、58歳の時に日本初のマラリア対策に取り組むNPOを立ち上げた人物です。

本書を通じて、自分には何ができるのか、何がしたいのかを考えつつ、NPOを立ち上げた経緯について語っています。

マラリアが社会に与える影響や、日本の果たすべき役割などもわかりやすくまとめられているので、マラリアや感染症について考えるきっかけになるでしょう。

 

人類とマラリアの歴史

著者
["ソニア シャー", "夏野 徹也"]
出版日

 

現代の日本ではマラリアは根絶されているので、私たちが日常生活で感染を意識することはほとんどないでしょう。しかし作者は、マラリアの脅威は消え去っていないと警鐘を鳴らします。

本書は、50万年という壮大な視野で人類とマラリアの闘いを振り返り、その脅威についてまとめたものです。

本書を読むことで、世界中でさまざまな文明がマラリアの影響を受けてきたことがわかるでしょう。また病気のメカニズム解析に従事した科学者たちの足跡も、さまざまなエピソードが織り交ぜられていて読みごたえがあります。

さらに本書では、マラリアの脅威は過去のものではなく、原虫が薬剤耐性を獲得するなど、その根絶が非常に困難であることを具体的に記しています。マラリアが日本人にとっていまだに無関係でないことが理解できるはずです。