【ネズミマニアが教える】ネズミの種類や生態!かわいすぎる写真集や害獣対策を解説

更新:2021.7.9

時に愛され、時に煙たがられ、人間の暮らしと切っても切り離せない関係のネズミ。この記事ではそんなネズミの種類や生態、害獣対策などを解説します。またかわいすぎる写真集や、ネズミを主人公にした絵本なども紹介するので、ぜひご覧ください。

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ネズミの種類と生態を解説!特徴や寿命、見分け方など

「ネズミ」は哺乳類ネズミ目に分類される動物の総称です。英語では小型のものを「Mouse」、大型のものを「Rat」と呼び分けるのが一般的です。

特徴として、かわいらしい前歯を挙げる方も多いのではないでしょうか。ネズミの前歯は一生伸び続けるため、常に何か硬いものをかじって、前歯を削る必要があります。

およそ1800種ほどが世界中のあらゆる地域に生息し、そのほとんどが夜行性だといわれています。多くはアカネズミやハタネズミなど野外に生息する「野ネズミ」です。一方で人家やその周辺に生息する「家ネズミ」も存在します。代表的な種類はドブネズミやクマネズミ、ハツカネズミなど。日本に暮らす私たちは、家ネズミのほうが見かける機会が多いでしょう。

では代表的な家ネズミの特徴を紹介していきます。

ドブネズミ

頭胴長が180~280mmほどの大型のネズミです。尾の長さが頭胴長より短いのが特徴。背面は褐色がかった灰色で、腹面は灰色か黄色がかった白色をしています。

生息地は中央アジアもしくはシベリア南部の湿地帯だといわれています。人の移動にともない各地に生息域を広げました。現在では南極大陸を除くすべての大陸で確認されています。

高い所に登るのが苦手で、主に地表や下水、建物の下層階など湿った場所で暮らし、寿命は1~3年です。

クマネズミ

頭胴長は140~240mm。体の色はドブネズミとよく似ていますが、尾の長さが頭胴長と同じか、やや長い点が異なります。

ドブネズミとは対照的に乾燥している場所を好み、高い所に登るのが得意です。ネズミは屋根裏に住み着くというイメージがありますが、その場合のほとんどがクマネズミを指します。寿命は1~2年です。

ハツカネズミ

頭胴長は55~90mmの小型のネズミです。体の色は白、灰色、褐色、黒色などバラエティに富んでいます。

寿命が20日ほどしかないことが名前の由来だという説がありますが、実際の寿命は1~2年です。和名の由来(ハツカネズミ)は、妊娠期間が約20日であることだそうです。

日本では江戸時代からハツカネズミを愛玩動物として飼育する習慣がありました。現在ではペットのほか、実験用のマウスとしても用いられています。

 


 

この3種は古くから日本に生息していて、戦後の都市化とともに地下街や下水道など湿った場所を好むドブネズミが勢力を拡大しました。1970年代以降は高層ビルが増えるにつれてクマネズミの増加が目立つようになり、現在では、東京都内に生息するネズミの約9割がクマネズミだといわれています。

慶應義塾大学大学院生・作家

篠原かをりさんのココがポイント!

大きさを見れば少なくともマウスとラットは一目瞭然なのですが、写真で見ると意外と分からないもの。ドブネズミは愛嬌のあるのんびりした顔とずんぐりした身体。クマネズミはドブネズミに比べると少し細面な美人顔。スリムで尻尾が長いです。ハツカネズミは全てのパーツが顔に対して大きくキュートな印象。輪郭は逆三角形に近い形をしています。 

 

害獣としてのネズミ。被害例、ふんや駆除など対策を紹介

ネズミは古来から農作物を荒らし、病原菌を媒介する害獣として嫌われてきました。現在も、農作物を荒らしたり、家ネズミによって電気や通信ケーブルがかじったり、ふんを落としていったりすることから衛生害獣に指定されています。

日本ではドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種は鳥獣保護法の適用外とされ、誰でも自分で罠を仕掛けて駆除することが認められているほどです。

また海外では、大規模な災害に発展することもあります。2007年、中国の湖南省にある洞庭湖周辺では、湖の水位の上昇で住処を追われた野ネズミ約20億頭が農村部を襲い、160万ヘクタールにおよぶ被害が出ました。

ネズミへの対策としては、「家の中の食料を隠して兵糧攻めにする」「粘着シートやネズミ捕りを用いて捕獲する」「殺鼠剤を含む毒餌を食べさせる」「猫を飼う」「蚊取り線香などネズミが嫌う煙を充満させる」「駆除業者に依頼する」などの方法が一般的です。

ただ彼らの学習能力は非常に高く、罠などに関しては一時的な効果しかないともいわれています。近年では殺鼠剤などの薬剤に対する耐性を身につけた「スーパーラット」も現れていて、新たな薬を開発する人間の知恵と、ネズミの進化との絶え間ない競争になりつつあるのが現状です。

慶應義塾大学大学院生・作家

篠原かをりさんのココがポイント!

今、日本において都心部の家屋でネズミを見掛けることは少なくなりましたが、街中や郊外の住宅ではネズミが人間のすぐ近くに住んでいることが実感できる時が多くあります。人類史上最も絶望的であった疫病のペストを媒介したのもネズミが運んだノミからだと言われています。しかし、最近、中世におけるパンデミックの犯人はネズミではなく人間であったという研究も出てきました。いずれにせよ、ネズミの賢さをみると侮り難い動物であることは間違いありません。 

 

ネズミを知る入門書としておすすめ!ネズミマニアによるエッセイ

著者
篠原かをり
出版日

「ネズミ」という生き物について、まず身近に感じてみたい方へは、「ネズミマニア(オタク)」を自称し、 TBS系で放送中の「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターとしても有名な篠原さんのエッセイがおすすめです。日々の生活のちょっとした悩みに対して、ネズミのさまからヒントを得て豪快に答えを出していきます。新しいタイプの人生の指南書としても楽しめるでしょう。

慶應義塾大学大学院生・作家

篠原かをりさんからのコメント!

Scienceや Natureなど一流論文雑誌に掲載された学術論文から江戸時代のネズミ愛玩本まで幅広くネズミを扱った研究をテーマとしたエッセイです。 最初から最後まで、とにかくネズミ尽くしの一冊となっています。ネズミの愛らしさや驚きの賢さまで、ネズミの魅力を入るだけ詰め込みました。 しかし、ネズミの魅力はまだまだほんの入り口。 この本から面白すぎるネズミの世界に一歩踏み出してみてください! 

 

かわいすぎる!ネズミの写真集を紹介!①

著者
MdN編集部
出版日

家ネズミが害獣として嫌われる一方で、野ネズミのなかにはハムスターのように愛玩動物として飼育されるかわいらしい仲間もいます。近年、かわいすぎると注目されているカヤネズミもその一種です。北東北や南西諸島を除く日本各地に生息している小さなネズミで、その大きさは頭胴長55~80mmと、大人の親指ほどしかありません。

主に休耕田や河川敷に暮らし、ススキや荻、茅などイネ科の植物を利用して地表から約1mの高さに直径10cmほどの巣を作ります。水田で栽培されている稲に巣を作ることもありますが、稲は食べずに雑草を食べるので、害獣とはみなされていません。

ネズミのなかでも大人しい種類で、巣の中からこちらを伺うつぶらな眼差しに心を射抜かれてしまうでしょう。

 

かわいすぎる!ネズミの写真集を紹介!②

著者
畠 佐代子
出版日

そのかわいらしい姿から注目を集めつつあるカヤネズミですが、開発によって個体数が減少し、レッドリストにも掲載されています。

本書は、そんなカヤネズミのかわいらしい生態と、彼らを取り巻く環境をわかりやすく解説したものです。生息環境の全国調査や行政との折衝など、カヤネズミを守ろうとする作者の情熱がひしひしと伝わってきます。

写真も多く見ているだけでも楽しめますが、彼らの置かれている状況を学ぶこともできるので、このかわいい動物を守るためにはどうするべきなのか、思いを巡らせるきっかけにもなる1冊です。

 

やっぱりネズミはかわいい!キャラクターや絵本にも

古くは『古事記』にも登場し、仏教においては大黒天の眷属とみなされ、ドイツの民話『ハーメルンの笛吹き男』にも描かれるなど、ネズミはたびたび神話や物語の世界に登場します。

20世紀以降、アニメや漫画などのサブカルチャーが発展するなか、ネズミをモチーフにしたキャラクターもたくさん生まれました。

もっとも有名なのは、ミッキーマウスでしょうか。ウォルト・ディズニーが飼っていた白いハツカネズミをモデルにしているといわれています。

またもうひとつアメリカ発のキャラクターといえば、アニメーション映画『トムとジェリー』のジェリー。ネズミらしいすばしっこさと賢さをもちあわせ、そんなジェリーに翻弄されるトムの姿がコミカルに描かれていて人気です。

日本のキャラクターでは、「ポケモン」のシンボル的存在のピカチュウを欠かすことはできません。「ねずみポケモン」に分類されていますが、頬袋があることから、ハムスターやリスに近い生態をしています。

また、1972年に斎藤惇夫が発表した児童文学『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』では、仲間たちと協力しながらイタチと戦うガンバの姿が印象的です。累計発行部数260万部超えの人気絵本「ぐりとぐら」シリーズに登場するぐりとぐらなども有名です。

 

ネズミが主人公のおすすめ絵本①

著者
なかえ よしを
出版日

お母さんが編んでくれた手編みのチョッキを着て「似合っているでしょう」と得意げなねずみくん。そこへ「ちょっと着せてよ」と仲間の動物たちが集まってきて、チョッキがどんどん伸びていってしまいます。

本書は1974年に出版され、翌年には「講談社出版文化賞」受賞した名作です。発表当初は、子どもには少し難しいのではないかという声も多かったそうですが、累計500万部を超える人気シリーズとなり、今では世代を超えて愛されています。

小さな体で頑張るねずみくんの姿に、思わずくすっと笑ってしまうでしょう。小さな子どもが持ちやすいサイズなのも嬉しいポイントです。

 

ネズミが主人公のおすすめ絵本②

著者
["ルーシー カズンズ", "太郎, 五味"]
出版日

ある日、プールに行くことになったネズミのメイシーちゃん。洋服を脱いで、靴を脱いで、水着を着ます。

本書は引っ張ったり、動かしたり、さまざまな仕掛けを駆使してメイシーちゃんの準備をして手伝うことができる絵本です。

作者のルーシー・カズンズは、両親とも画家の家庭で育ち、ロンドンの美術学校に進学しました。絵とデザインを学ぶかたわら、絵本作家として活動を始めたそうです。カラフルな色使いと、ネズミらしい長いしっぽのかわいいメイシーちゃんの姿が印象的です。

おままごとや着せ替え人形などに移行する前の小さい子どもでも夢中になれる1冊です。

 

ネズミに関するおすすめ本

著者
["ウィリアム ソウルゼンバーグ", "Stolzenburg,William", "香方子, 野中"]
出版日

オウム、ウミスズメ、海鳥……絶滅寸前の彼らを救うには、生息地である島に繁殖するネズミなどの外来生物を駆除することだといいます。本書は、実際におこなわれたネズミの駆除作戦を記録したノンフィクションです。

作中ではいわば害獣として扱われているネズミですが、その生き方を見ていると、私たちの想像をはるかに超えて賢いことがわかるでしょう。毒が1滴でも入った水は飲まず、エサを食べて死んでしまう仲間が出たら絶対に同じものには手をつけず、繁殖力も強いのです。

さらに読み進めていくと、ネズミは歴史上、地球の生態系に大きな影響を与えてきたことも判明します。

外来種を持ち込んだのは人間で、駆除する生き物と守る生き物を決めるのも人間です。果たしてこれは環境保全なのかエゴなのか、他に方法はないのか……考えてしまう1冊です。

 

知っておきたいネズミに関する豆知識!

さまざまなキャラクターや文学作品にも用いられ、人間と身近な存在のネズミ。最後に、彼らに関する豆知識を紹介していきます。

1:ねずみの好物がチーズって本当?

ネズミといえば、チーズが好物だというイメージがあるのではないでしょうか。

2006年、イギリスのブルーチーズ製造団体とマンチェスター・メトロポリタン大学の研究者が共同でおこなった研究で、「実はネズミはチーズが好きではない」という結論が出され、話題になりました。

しかし、2015年におこなわれた関西学院大学の研究では、アーモンドや干し芋などの他のエサに比べて、チーズを食べる量が多く、「やはりネズミはチーズが好き」という結論が出ています。結局のところ、ネズミがチーズ好きであるか否かは、現状ではわかっていません。

ネズミはチーズが好きというイメージが定着したのは、アニメや漫画でおなじみの穴のあいたチーズ、スイスの「エメンタールチーズ」の影響です。

このチーズは熟成の過程で炭酸ガスが発生し、穴があきます。中世ヨーロッパの人々は、これを「ネズミがかじった跡」だと考えていたため、彼らが好んで食べるという風潮が広まったようです。もしも実際にネズミがかじっていたとしたら、それはエメンタールチーズが比較的固いため、前歯をけずるために噛んでいたと考えられています。

2:ネズミは遊んであげると笑い声をあげる?

ネズミは遊んであげると笑い声をあげるといわれています。これは事実だそうで、体をくすぐると笑い声をあげていることが科学的に証明されているのです。しかしこの声は超音波で発せられているため、人間が聞くことはできません。

3:ネズミ(子)年はなぜ1番はじめ?

十二支のなかで、1番最初にやってくるネズミ年。中国の伝承によると、神が十二支の動物を決める際、自分の家の門の前に到着した順番にすると言ったそうです。この時、1番最初に門前に到着していたのは牛でしたが、牛の頭に乗って移動をしていたネズミが、門が開いた瞬間に飛び降りて1番になったといわれています。

ちなみにこの時、猫も十二支に入れてもらおうと準備をしていましたが、ネズミが嘘の集合日を教えたために十二支に入ることができなかったんだとか。これが、猫がネズミを追い掛け回す理由だといわれています。

4:急激に数が増えることを、なぜ「ネズミ算式」という?

急激に数が増えることを「ネズミ算式」といいます。「ネズミ算」とは、1627年に吉田光由が書いた『塵劫記』に登場する和算のひとつです。これは、ネズミの妊娠期間が短く、1度に多くの子どもを産むことにもとづいています。

同じように、ネズミが増えることをもとにした計算法は古代エジプトにも見られ、あっという間に数が増えるネズミにいかに人間が悩まされてきたかがわかる一例です。

 

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