教養

戦争に関する本おすすめ6選!あの日のことを考える名著や小説など

更新:2020.11.25 作成:2020.5.10

けっして忘れてはいけない「戦争」。歴史を振り返ってみると、日本もこれまで数々の国と戦火を交え、多くの人が命を落としてきました。この記事では、当時の人々の考えに触れることができるノンフィクション本や、戦争をテーマにした歴史小説など、読んでおきたいおすすめの本を紹介していきます。

高校生にもおすすめの戦争を描いた本『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

作者の加藤陽子は、東京大学の教授も務める歴史学者。本書は、高校生たちに向けておこなった戦争史講座をまとめたものです。

日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、太平洋戦争という5つの戦争について、それぞれどのような過程で戦いに突入していったのか、その流れをわかりやすく解説していきます。

著者
加藤 陽子
出版日
2016-06-26

戦争を中心にした近代日本の歴史を解説した作品。「歴史」というと暗記科目として捉えられがちですが、事象と事象の因果関係を考える歴史的思考力についても言及しているのが魅力でしょう。なぜ戦争が起きたのか、どのように展開していったのか、国際的な視点も含めさまざまな立場から見た戦争を知ることができます。

情報量も多く、多少難しい言葉も出てきますが、やわらかい文章で説明されているため自然と読み進めることができるでしょう。

高校生向けではありますが、国内の事件や海外との関係を多角的に深堀りした、大人でも読みたい作品です。

終戦直前の日本を描いたおすすめ本『日本のいちばん長い日』

ポツダム宣言受諾の直前、玉音放送の様子を克明に記した作品です。ノンフィクションとして日本敗北の最前線を描いていて、映画化もされました。

戦争終結の裏に隠された政府の思惑と、兵士たちの抵抗。それぞれの立場から戦争をやめることの難しさを描き、24時間の緊迫した雰囲気を感じる内容になっています。

著者
半藤 一利
出版日
2006-07-01

太平洋戦争の末期である1945年。早期和平を望む閣僚たちと本土で戦いを続けようとする陸軍が対立し、日本はポツダム宣言を受け入れるか否かという判断を決めかねていました。

そんな時、広島と長崎に原爆が投下され、事態が悪化します。「一億玉砕論」が叫ばれるなか、苦悩しながらも国民の命を考えて降伏の準備を進める昭和天皇。一方で、終戦に反対する青年将校たちはクーデターを計画するのです。

多くの資料に裏づけられた文章で、終戦の日に誰が何を考えて行動していたのかを知ることができる作品。教科書ではわからない歴史の一幕を感じるでしょう。

古市憲寿が戦争について考える本『誰も戦争を教えてくれなかった』

世界中の戦争博物館に訪れた作者の長編評論です。

3年の月日をかけて取材や考察をした内容は、さまざまな国の戦争に対する態度を浮き彫りにしていきます。

著者
古市 憲寿
出版日
2013-08-07

社会学者の古市憲寿の作品。古市は1985年生まれで、戦争を知らない世代です。

戦争の爪痕を残すことに執念を燃やす国、現代アートで戦争の悲惨さを表現する国、自分たちの戦争観を表明せずに曖昧さを貫く国など、戦争博物館はその国の性格を表します。

パールハーバーや南京、アウシュビッツ、香港、ローマといった各国の戦争の歴史を渡り歩くなかで、古市は日本の戦争博物館にも立ち寄りました。世界と比べると、日本の戦争博物館は慰霊のモニュメントのようになってしまっていることを知り、日本の戦争に対する価値観に疑問を抱くのです。

私たちは戦争を知らない、だからこそ戦争や平和について知るためにはどうすればいいのか、考えさせられる作品です。

戦時中の日常を教えてくれるおすすめ本『戦争中の暮しの記録』

戦争下で暮らす人々の生活が記録された作品。終戦から23年後の1968年に刊行した雑誌「暮しの手帖」が投稿を呼びかけ、集まった原稿から厳選した135人の手記がまとめられています。

当時の状況をリアルに描いた経験者の語りは、戦争の恐ろしさを克明に伝えてくれるでしょう。

著者
暮しの手帖編集部
出版日

焼跡での卒業式をはじめ、疎開先での苦労、東京大空襲の日の出来事、防空壕の作り方、戦争中の料理の工夫など、日常の記憶が詳細に書かれた内容です。

生の声だからこそ胸に突き刺さる悲しさや怒りが当時の情景とともに映し出され、忘れてはならない歴史として刻まれます。

これが紛れもない事実だったということが、何よりも恐ろしいかもしれません。戦争を知らない世代こそ読んでおきたい一冊です。

戦争の悲惨さと理不尽さを痛感するおすすめ小説『終わらざる夏』

第二次世界大戦末期の1945年、夏。日本は本土決戦に備えて大動員計画を練っていました。

東京で翻訳書編集者をする片岡は、45歳という兵役年限直前に赤紙を受け取ります。また、これまでも戦地に向かいすでに指を3本失っている退役曹長の富永、東京大学の医学部に在学している菊池も同じく招集され、3人は同じ列車に乗って北へと向かうのです。

著者
浅田 次郎
出版日
2013-06-26

浅田次郎が2010年に発表した小説です。

北海道の北、ソ連のカムチャッカ半島近くにある占守島に向かう3人。片岡は、アメリカ軍と和平交渉をする際の翻訳を頼まれました。赤紙を受け取り、死を覚悟する彼らの悲壮さが痛々しく伝わってくるでしょう。

また赤紙を届ける役人、子どもを徴兵され泣き崩れる女性などの描写は、戦争の悲惨さと理不尽さを読者に痛感させます。

終戦間際の困窮した日本でどのようなことが起こっていたのか、兵士たちは何を思って戦場に向かっていったのか、ソ連との攻防も含めて臨場感たっぷりに読める作品です。

日系二世をとおして戦争を描いたおすすめ小説『二つの祖国』

アメリカのロサンゼルスで生まれた、日系2世の天羽賢治。日本の大学を卒業した後、ロスの日本語新聞「加州新報」にて新聞記者をしていました。

仕事も軌道に乗りこれからという時に、日本とアメリカの開戦を知るのです。日系人として収容所に入れられた賢治と家族。日本人として生きるべきか、アメリカ人として生きるべきか、選択を迫られます。

著者
山崎 豊子
出版日

1983年に刊行された山崎豊子の小説。テレビドラマ化もされました。

日本人の父と、アメリカ人の母のもとで育った主人公。生まれた地はアメリカですが、日系人として日々差別や偏見を受けています。それは収容所に入ってからさらにひどくなり、理不尽さに振り回されながらもアイデンティティを模索していく姿に胸を打たれるでしょう。

さらに彼自身はアメリカ軍として、弟は日本軍として戦場に向かうことになり、それぞれの運命と選択を追ううちに、やはり戦争を憎まずにはいられません。

真珠湾攻撃や原爆投下、東京裁判など、日本人が知っておきたい事実も多数描かれている、名作長編小説です。