交換殺人を描いた小説おすすめ5選!「あな番」に匹敵する緊張感

更新:2021.11.22

ドラマ「あなたの番です」でも話題になった交換殺人。ミステリー小説でも昔から使われる手法で、読者を楽しませています。この記事では、交換殺人を用いたおすすめの小説を紹介していきます。

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交換殺人とは?おすすめ小説を紹介!

 

交換殺人とは、お互いに繋がりのない2人以上の人間が、対象となる人間を交換して殺害をおこなうことをいいます。

ターゲットを交換することで、殺害の動機がなくなるため警察の捜査を混乱させることができ、また本来自分が殺害したい人が殺される時のアリバイも作りやすくなります。

交換殺人を描いた小説の魅力は、計画がうまく進んでいる時のスリルはもちろん、複雑な人間関係から生じる裏切りや、事がうまく運ばなくなった時の緊迫感など。時には恐怖や焦りを感じながら読み進めることになるでしょう。

日本テレビ系のドラマ「あなたの番です」では、新婚夫婦が引っ越したマンションで交換殺人の計画が進行し、住民たちが疑心暗鬼になっていく場面が印象的でした。

単なる事件で終わらない交換殺人の臨場感は、ミステリー小説としても人間ドラマとしても楽しめます。

本当の犯人は誰?15年前の交換殺人を捜査する『アンダーリポート/ブルー』

 

自宅マンションの隣人が金属バットで撲殺されてから15年。検察事務官の古堀徹は、当時4歳だった被害者の娘、村里ちあきと再会します。大学生になった彼女は、自分の母親が嘘をついていると打ち明けてきました。

当時の調書を見直し、記憶を頼りにある仮説を立てると、ひとりの女性が浮かびあがります。果たしてちあきの父親を殺したのは誰なのでしょうか。

著者
佐藤 正午
出版日
2015-09-08

 

2015年に刊行された佐藤正午の作品です。もともと「アンダーリポート」は2007年に単行本として発表されていました。本作は後日談である「ブルー」をつけた完全版です。

物語は、15年前と現在を交互に描きながら進行していきます。登場する女性たちは、皆したたかでどこか癖のある人物ばかり。会話劇と心の細かな揺れ動きが読者を惹きつけるでしょう。

古堀が記憶を頼りに組み立てた交換殺人という仮説は、当初は荒唐無稽に思えましたが、徐々に現実のものとなっていきます。本作では、真相がすべて明かされて犯人が逮捕されるわけではありません。ただ伏線の張り方は見事で、冒頭と巻末で同じシーンが描かれ、最後まで読んだら思わず最初から読み直してしまいたくなるはずです。

四重の交換殺人を描いたおすすめ小説『キングを探せ』

 

繁華街にあるカラオケボックスに、何の関係性もない4人の男が集まりました。

おのおのが殺意を抱えていた彼らは、交換殺人を企てています。誰がどのターゲットを殺すのか、決めるのは4枚のトランプです。

奇抜な殺人の計画は、完遂されてしまうのか。四重の交換殺人に、法月警視と綸太郎のコンビが立ち向かいます。

著者
法月 綸太郎
出版日
2015-09-15

 

2011年に刊行された法月綸太郎の作品。「本格ミステリ大賞」にノミネートされたほか、「本格ミステリ・ベスト10」では1位を獲得しています。

AQJKの4部構成となっていて、カードをめくるたびに殺人がおこなわれていきます。犯人はあらかじめわかっているのですが、綿密なトリックと謎解きの面白さに惹きこまれるでしょう。

縁もゆかりも無い男たちの四重の交換殺人に、警察側は圧倒されながらも犯人たちを追い詰めていくのですが、ラストにはさらなる驚きが待っています。トランプも単なるモチーフではなく、物語の重要局面に関わってくるのでお楽しみに。

ユーモアと巧みな叙述トリックを楽しめるおすすめ小説『交換殺人には向かない夜』

 

私立探偵の鵜飼杜夫は、不倫調査のため、使用人としてある山奥の家に潜入していました。一方、鵜飼の弟子の戸村流平は、ガールフレンドに誘われて山荘を訪れています。

そんななか、人里離れた山中の別荘地で、2件の連続殺人事件が発生。関係ないように思えていた出来事が、徐々に繋がりを見せていき……。

著者
東川 篤哉
出版日
2010-09-09

 

2005年に刊行された東川篤哉の作品。「烏賊川市」シリーズの4作目ですが、本作から読み始めても問題ありません。

作中にはコミカルなシーンも多く、ギャグをまじえながらユーモアたっぷりに物語が進行していきます。ただ推理が始まると一変、多種多様なトリックと、怒涛の伏線回収が待ち受けています。『交換殺人には向かない夜』というタイトルも含めて叙述トリックになっていて、読者を楽しませてくれるでしょう。

気軽に本格ミステリを堪能できる一冊です。

日常の謎を描いた短編集『放火魔』

 

さまざまな犯罪を描いた短編集です。

「危険な乗客」は、新宿発の夜行列車「ムーンライトえちご」で隣同士になった2人の女性が主人公。殺人を犯したのは、私なのか、隣に座っている彼女なのか……。

表題作の「放火魔」では、夜中にこっそりと家を抜け出す引きこもりの息子が、最近近所で起こっている放火魔の犯人なのではないかと母親が疑います。

著者
折原 一
出版日

 

2007年に刊行された『疑惑』を改題し、2010年に刊行された短編集。全部で6つの物語が収録されています。

「交換殺人計画」では、遺産相続のために息子が父親の殺害を計画。自分に捜査の目が向かないよう、交換殺人を企てるのですが……。

短編ですが、どの物語も人物描写は緻密で、捻りを加えたトリックも巧み。また折原一らしいブラックユーモアのあるオチも楽しめるでしょう。

主人公は小学生!孫と祖父が難事件を解決するおすすめ小説『交換殺人はいかが?』

 

本作の主人公は、君原樹来という少年。小学校6年生です。将来はミステリー作家になりたいと思っていて、執筆の参考にするべく、元刑事だという祖父の家に遊びに行きました。

祖父は交換殺人や密室殺人など、難事件の数々を語ってくれます。すると賢い樹来は、当時の見解とは別の推理を披露するのです。

著者
章子, 深木
出版日

 

2015年に刊行された深木章子の連作短編集。孫と祖父が過去の事件を謎解きしていきます。密室殺人、超自然現象、ダイイングメッセージ、交換殺人、双子絡みの事件、そして見立て殺人を描いた6作が収録されています。

祖父と孫のほのぼのとした会話と事件の緊迫感が味わえるため、ミステリーが苦手な人でも楽しんで読むことができるでしょう。

表題作の「交換殺人はいかが?」では、名門女子学園で起こった食中毒事件が描かれます。死因となったトリカブトは、学内の資料室から誰でも簡単に持ち出せるもので、警察の捜査を翻弄していました。

子どもとは思えない推理力をもった主人公が、迷宮入りした事件を解決していくさまが爽快な一冊です。

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