旅先で読む本というのは、いつもより一層味わい深い。物語を読めば、旅の非日常さに感化されていくぶん、ほぐれた心に一文一文が染み入るし、旅行記などを読めば自分の旅と照らし合わせて明日への想像が刺激されてわくわくする。
冒頭でも述べたが、旅とはロマンだ。ロマンに危険は付き物だ。そしてどうしようもなく時代錯誤だ。それが男のロマン。アメリカのビート文学を代表する作家、チャールズ・ブコウスキーの短編集を選んだ。酒に溺れてセックスをして、宵越しの銭は持たないぜって具合にその日暮らしな作家の自伝的とも言える物語。職を転々としながらアメリカ各地を放浪していた時の経験が詰まった一冊。
- 著者
- チャールズ ブコウスキー
- 出版日
- 1998-05-28
村上春樹の作品を読んでいると、思考がクリアになるというか、フラットな気持ちになれる気がする。なので、海外旅行に限らずバンドのツアー先とかにもよく持っていって、一人の時間があると読み返して気持ちを落ち着けることがよくある。恐らく作品の語り手の淡々とした感じや、会話のどことなく非日常的な雰囲気が、自分と作品の波長を整えてフィットさせているような気がする。感情移入とか共感というのとは別の形で。
- 著者
- 村上 春樹
- 出版日
どうせ一人旅するなら、クレイジーな土産話の一つも欲しい。見栄っ張りな私は鼻息荒くそんなことも期待する。最近某テレビ番組でも旅ロケで活躍しているのを見かける丸山ゴンザレス氏のこの本では、氏が実際に遭遇したトラブルや引き起こした悪事の数々が記されている。
- 著者
- 丸山 ゴンザレス
- 出版日
- 2016-06-13
自分の身の丈を知ったものの、まだ旅に対してのロマンはしっかり抱えたまま。しかし数十年前の世界と現代の世界では、すっかり変わってしまったところもたくさんあり、風情を期待して降りたったら思っていた以上に文明化が進んでいて、これじゃ東京と変わらないじゃんガッカリ、なんてこともあるかもしれない。
- 著者
- 吉田 友和
- 出版日
- 2014-07-03
旅に出ると、以前よりたくましくなったような気がする。素敵な自分に変われたんじゃないかって思う。思い描いたロマン溢れる旅に近付けて自分に酔いしれても、極力人と話すことを避けてご飯は結局マクドナルドばかりとかいう切ない自分に直面しても、旅というのは疲れるものだ。
- 著者
- 穂村 弘
- 出版日
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。