時計を題材にした絵本はたくさんありますが、アプローチの仕方はさまざま。子どもが興味をもった時に最適な作品を手渡してあげたいですね。今回の記事では、時間に興味をもつ2歳頃から読める、おすすめの絵本を紹介していきます。音の出るものや人気キャラクターが登場するものもあるので、チェックしてみてください。
お散歩をしていた短針の「ちび」と長針の「のっぽ」の前に、どんぐりぼうやが現れました。通せんぼをしながら、今の時間を教えてくれたらこの道を通してあげると言い出します。
そこでちびとのっぽは、力をあわせて時間を伝えることにするのですが……。
- 著者
- まつい のりこ
- 出版日
- 1993-03-15
ファーストブックの定番『じゃあじゃあびりびり』でお馴染みの、まついのりこの作品。1993年に刊行されました。
何かの習得に絵本を活用する時は、ついつい「教えよう」という気持ちが先走りがち。子どもたちは、そんな親心をすぐに察知してしまいます。苦手意識をもたないよう、いつもどおり楽しむ心を忘れずに読みたいですね。
本書では「のっぽが7のところに来たら出掛ける準備をしよう」など、まずは時計や時間を意識させるところからスタート。2冊のシリーズになっていて、第1巻ではちょうどの時間と半の時間、第2巻では何時何分を紹介しています。セットで読むことで、時計への理解がより深まるでしょう。
毎時ごとの時計と、その時間を想像させる情景を紹介した絵本です。
たとえば午後5時であれば、日の沈む海を散歩する犬と人、長い影。深夜0時であれば、星空の下で静まりかえった海を照らす灯台が描かれます。
- 著者
- とだ こうしろう
- 出版日
代表作『あいうえおえほん』をはじめとした知育絵本で知られる、とだこうしろうの作品。1995年に刊行されました。平面や空間など幅広いデザインの経歴をもち、50歳を過ぎてから絵本作家に転身した異色の経歴です。
本作の特徴は、シンプルながら和みを感じさせるイラスト。時間を創造させる無駄のないイラストとともに、午前と午後の違いや、時と景色の変化を理解できるでしょう。文字は何時何分という表記だけで、ストーリーを説明する文言はありません。
寝ている時間に働いている人がいることを知るなど、子どもにとっては新しい発見もあるはず。心地よく時の概念を教えてくれる一冊です。
おけいこ用の時計がついていて、長い針を回して「じかん」と書かれたボタンを押すと、その時間を音声で読み上げてくれる絵本です。直感的に操作することができ、使い方を紹介した絵解きの冊子も付いています。
読み方を教えてくれるだけでなく、音声の指示に従って指定の時間に時計の針をあわせるなどのクイズもあり、遊びながら学べる内容となっています。
- 著者
- 出版日
- 2014-04-28
イラストは月刊絵本を中心に活動する森のくじら、時計の音声は声優の武田恵瑠々が担当しています。2014年に刊行されました。
子どもが扱いやすいサイズや音声でナビゲートしてくれるクイズが備わっているので、一人遊びでも楽しめるでしょう。1分刻みで読んでくれる精巧な作りも人気です。
遊び感覚で触れているうちに、いつの間にか時計が読めるようになっていることが期待できる一冊です。
ドラえもんと仲間たちの1日を追いながら、おけいこ用時計の針をあわせて遊ぶ絵本です。
本文中に記載された時間を付属の時計に反映させながら読み進めることで、長い針と短い針の動きと役割を知ったり、1日を通して時計がどのように進んでいくのかを体験できたりします。
- 著者
- ["藤子・F・ 不二雄", "わだ ことみ", "藤子プロ"]
- 出版日
人気キャラクターのドラえもんを起用した作品。2015年に刊行されました。幼児教育研究家で多くの知育絵本を手掛ける、わだことみが監修を担当しています。
本体と時計が一体となっているので、どのページでも時計の針を操作することができるのが特徴。針を回すとカチカチと音がしたり、本文中に出てくる時間の表示は色を変えて表現されたりと、細かな工夫も魅力です。
子どもたちが大好きなキャラクターのストーリーに加え、インタラクティブなワークが満載。どこからでも読め、すぐに集中できる仕掛けになっているので、お出かけの時にも重宝する絵本です。
幼稚園に通うカエルのけろくんは、とけいおじさんと一緒に時計の読み方を学びます。
「ながい はりはね、ふんを みるの。ながい はりが 12から 1の ところまで すすんだら 5ふん。」(『いまなんじーとけいのえほん』より引用)
ご飯やおやつなど1日の流れに沿って、とけいおじさんの時計が大活躍。会話のなかで時計の読み方を詳しく語ってくれるので、自然に習得できるのです。
- 著者
- ["やました はるお", "むらかみ つとむ"]
- 出版日
多くの児童文学賞の受賞歴をもつ山下明生と、「コロボックル物語」シリーズの挿絵でお馴染みの村上勉の作品。生活のさまざまなルールをテーマにしたシリーズもので、第1巻の本書は1979年に刊行されました。
楽しい幼稚園生活の物語で、ストーリーを通じて時間を創造的に捉えることができるのが魅力です。子どもたちは、自分の生活に置き換えながら、1日の流れと時間の表現を自然に吸収できるるでしょう。
細かく描き込まれた絵には読み返したくなる仕掛けも施され、絵本が好きな子どもであればお気に入りの一冊になりそうです。
とけいのあおくんは、時計屋さんに並ぶ小さな時計。でも時計屋さんはほとんど仕事がなく、退屈な日々を過ごしていました。
ある日、お母さんと男の子とが店にやってきます。男の子はあおくんをすっかり気に入り、お父さんの誕生日のプレゼントに購入しました。
お父さんはとても喜び、初めて目覚ましをセット。あおくんは、ちゃんと時刻を知らせることができるか緊張しています。とうとう朝がやってきて……。
- 著者
- ["エリザベス・ロバーツ", "殿内 真帆", "灰島 かり"]
- 出版日
月刊誌「こどものとも」から2014年に単行本化された作品。児童文学研究者で翻訳家でもある灰島かりが翻訳を担当しました。
擬人化した時計がくり広げる物語で、目覚まし時計としての仕事に取り組むあおくんの様子を見ながら、子どもたちに目覚まし時計の役割を理解することができるでしょう。定刻にしっかりと音を鳴らすあおくんに、読者も安心。まずは時計に親しみをもつところからスタートしたい子どもにぴったりの内容です。
「たったかたったか」といったオノマトペも頻出するので、読み聞かせにもおすすめです。