今日ではグローバル化とともに、さまざまな国や価値観の人との交流が進んでいます。お互いに理解しあうには、言葉はもちろん、歴史の知識が欠かせないでしょう。この記事では、大人だからこそ知っておきたい教養が詰まった、世界史の学び直しにおすすめの本を紹介していきます。
5000年分の世界史を多角的に解き明かし、世界を俯瞰して見ることで日本の姿を浮かびあがらせる作品。
ドラマチックな諸国の成り立ち、エリアや文化圏ごとの繋がりなど、世界各地の人間の営みを、ビジネスに役立つよう解説していきます。
- 著者
- 出口治明
- 出版日
ビジネス界の歴史通として知られる実業家、出口治明の作品です。2014年に刊行されました。出口は、ライフネット生命保険株式会社の創業者で、立命館アジア太平洋大学の学長を務める人物。世界各国1000以上の都市を訪れ、歴史書は5000冊以上読破しているそうです。本書は、膨大な知識と経験、そして作者独自の仮説と裏付けをもとに参考文献に頼らず書きあげました。
ビジネスの場では、時の政府や経済にどのような見解をもっているか、問われることが多々あります。説得力のある説明をするには、これまでの歴史から考察することが必要。そして今日までの日本を知るには、日本史だけでなく世界史を知ることが大切だといいます。
歴史は解明されていないことも多く、不明な部分は想像力を働かせるしかありません。作者の世界史の捉え方は、柔軟な思考力を身につけるトレーニングにもなるはずです。
「世界史を流れで把握する」をコンセプトに、数珠つなぎにしたひとつのストーリーで歴史を解説した作品。
時代や地域ごとの「主役」を固定することで一直線の物語にしています。
- 著者
- 山﨑 圭一
- 出版日
- 2018-08-18
現役高校教師である山﨑圭一の作品。2018年に刊行されました。かつての教え子から「もう1度先生の授業を受けたい」と請われ200回にわたる「世界史20話プロジェクト」をYouTubeで配信。学生だけでなく大人からも評判を呼んでいます。
ヨーロッパ、中東、インド、中国と主人公を変えながら、オムニバス形式で物語が進行。年号を使わずに、因果関係で出来事を繋げているのが特徴です。
またビジュアル面も重視されていて、時代や地域ごとに20色に分類。図やイラスト、地図も多用されています。
事実を羅列した暗記をする世界史ではなく、ひとつのストーリーとして整理されているので、読むだけで一生モノの教養が身につくでしょう。
古今東西どんな時代も、歴史上の出来事にはお金が絡んでいます。
本書は「お金の流れ」という視点で世界史を見ることで、「なぜ」を解説してくれる作品です。
- 著者
- 大村 大次郎
- 出版日
元国税調査官の大村大次郎の作品です。2015年に刊行されました。フリーライターに転身した後は、ビジネス関連の執筆活動やテレビドラマの監修などで活躍しています。
本書によると、国家の栄枯盛衰は同じパターンでくり返されているそう。徴税が順調な時は国家が栄え、役人の腐敗などで財政が傾くと他勢力や他国に侵略されて滅亡するのです。これを歴史上の出来事に当てはめていくと、他国との関連性や当時の状況が肌感覚でわかり、理解が深まっていきます。現代にも通じる、物事の本質を突くエピソードが盛りだくさんの内容です。
人類の誕生から21世紀までの世界史を「35の鍵」で紹介。それぞれの鍵からトピックスを整理し、なぜ起こったのかを現代人の感覚に沿った歴史の見方で解説していきます。
世界史の全体像を掴むのにふさわしく、現代に繋がる重要な史実に焦点を当てている作品です。
- 著者
- 宮崎 正勝
- 出版日
歴史学者で教育者でもある宮崎正勝の作品。2015年に刊行されました。
世界史の勉強は、どうしてもヨーロッパを中心になりがち。本書では苦手な人が多いといわれる遊牧民やイスラムについても言及し、勢力の構図を深く理解できるでしょう。冒頭の「図で見る世界の歴史と地理」は、視覚で理解できると好評。関係性がわからなくなった時にいつでも見直すことができます。
過去の出来事が現在にどのように繋がっているのか、どういう経緯で現在の世界ができたのか、そして今後はどうなっていくのか……基本的な教養として読んでおきたい一冊です。
経済から世界史を学ぶ作品。お金、貿易、金融、財政という4つのテーマに分類し、44のエピソードを紹介します。
消費増税やTPPなどの現在のニュースも、歴史の流れを知ることですっきり理解できるでしょう。
- 著者
- 茂木 誠
- 出版日
駿台予備学校で世界史の講師をしている茂木誠の作品。2013年に刊行されました。
現代の経済史と世界史を比較しながら解説しているのが特徴。歴史上の不況や貿易対策、バブル経済、アジア通貨危機、金の資産価値、サブプライム問題、消費増税、TPP、など網羅的に理解できます。
難しい言葉を使っていないので、初心者でも問題なく読み進められるでしょう。世界史の学び直しとしてはもちろん、経済の仕組みを理解したい人にもおすすめです。
私たちホモ・サピエンスが誕生したのは、20万年前。当時はほかの人類も生存していましたが、なぜホモ・サピエンスだけが種を繋ぐことができたのでしょうか。
認知革命、農業革命、科学革命という3つの重大な革命を中心に、その謎を解き明かしていきます。
- 著者
- ユヴァル・ノア・ハラリ
- 出版日
- 2016-09-08
イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの作品。2011年に発表され、48ヶ国で翻訳出版されたベストセラーです。
本作は人類という大きなくくりで歴史を見ていくのが特徴。学術的な世界史という枠にとらわれず、マクロな視点を養うことができるでしょう。
認知革命、農業革命、科学革命と発展してきた歴史を辿り、人工知能や遺伝子操作によって「超ホモ・サピエンス」となる未来まで予見しているのが面白いところ。生物学などさまざまな知見を駆使して人類の歴史を俯瞰すれば、大人の学び直しにぴったりの教養を身につけることができるでしょう。