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行動経済学の本おすすめ5選!入門書や、簡単に実践できる人気の本など

更新:2020.7.26 作成:2020.7.26

経済学や心理学と深い繋がりをもつ「行動経済学」という学問。2017年にノーベル経済学賞を受賞したことで話題になりました。この記事では、行動経済学の概要を解説したうえで、初心者でも読める入門書や、実践に役立つおすすめ本を紹介していきます。

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行動経済学とは。ノーベル経済学賞も受賞

行動経済学とは、経済学に心理学的視点を取り入れた研究手法のことです。人間が必ずしも合理的な行動をとらないことに注目し、それまでの経済学では説明することができなかった社会現象などを、人間の行動を観察することで実証しようとしました。

研究が始まったのは、1950年頃。それまでの経済学は、「世の中に存在する資源をどのように活用すれば人間は幸せに過ごすことができるのか」を考えるもので、世間一般に通用する人間像を作り出し、人間は自分の利益のみを考えて常に合理的な行動をとる存在だとしていました。

しかし実はすべての人間が合理的な行動をとるわけではなく、経済活動には心理的な側面が大きく関わっていたのです。行動経済学は、これらを分析して理論的に体系化することを目標にしています。

2002年、ダニエル・カーネマンが「行動経済学と実験経済学という新研究分野の開拓への貢献」という理由で、行動経済学の分野で初めて「ノーベル経済学賞」を受賞しました。2017年にはリチャード・セイラーが「行動経済学に関する功績」という理由で受賞しています。

「ノーベル経済学賞」は、発明者ノーベルの遺言にもとづいて設立されたいわゆる「ノーベル賞」とは異なり、1968年にスウェーデンの国立銀行がノーベル財団に働きかけて設立された賞です。受賞者は、経済界における業績が認められ、なおかつ未来の研究にも大きな影響をおよぼすであろう人物が選ばれています。

行動経済学の知識がわかりやすくまとめられたおすすめ本『実践 行動経済学』

行動経済学の基礎知識と、現代社会にあてはめた考え方を紹介している作品。

常に合理的な人間はいないということを受け入れたうえで、周囲をどのように整えていくかという方法を解説。貯蓄や結婚、社会保障などさまざまな事例をあげてくれています。

著者
リチャード・セイラー キャス・サンスティーン
出版日
2009-07-09

2017年に「ノーベル経済学賞」を受賞した、リチャード・セイラーの作品。リチャード・セイラーはシカゴ大学の教授で、専門が行動経済学です。同じく2002年に「ノーベル経済学賞」を受賞したダニエル・カーネマンなどと協働して、研究を進めてきました。

本作は、シカゴ大学やハーバード大学で教鞭をとるキャス・サンスティーンとの共著です。全4部構成で、行動経済学の初歩的な内容を網羅できるのが魅力でしょう。

行動経済学を学ぶうえでキーワードになる「ナッジ」についても理解でき、ナッジを取り入れた設計や事例、社会における行動経済学の立ち位置も説明してくれています。

行動経済学というものが私たち人間の生活にどのように関わっているのかを豊富な研究結果とともに示してくれていて、具体的な政策や事業に対するアドバイスなども多数掲載。初心者でも理解できる内容で、行動経済学を知るきっかけとしておすすめの一冊です。

ノーベル経済学賞受賞者の論文をまとめたおすすめ本『ファスト&スロー』

昔から人間は、意思決定をする際に判断を誤ることがありました。それは与えられた選択肢を検討したつもりでいても、実は認知的な錯覚を起こしているからです。

ファスト&スローとは「システム1」と呼ばれる速い思考と、「システム2」と呼ばれる遅い思考のこと。意識することなく脳が答えを出すことが速い思考だとすると、意識して答えを出すことが遅い思考だと定義し、これをもとに錯覚を引き起こす仕組みを解説していきます。

著者
ダニエル・カーネマン
出版日
2014-06-20

2002年に「ノーベル経済学賞」を受賞した、心理学者であり行動経済学者でもあるダニエル・カーネマンの論文をもとにした作品。ダニエル・カーネマンは、経済学と認知科学をあわせた「行動ファイナンス理論」や「プロスペクト理論」で有名な人物です。

認知心理学の側面から人間の行動を分析しているのが特徴。身近な事例を用いて、人間が日々どのようにして合理的な判断をしているのか、振り返っていきます。

意思決定や、物事を考える力、さらには幸福の感じ方まで掲載されていて、その知識はビジネスシーンにも役立つでしょう。経済を多角的に見ることができる一冊です。

理論と実践の両方を学べるおすすめ本『行動経済学の使い方』

行動経済学は研究が進み、すでに「使う」段階にきているとして、具体的な使い方を紹介している作品です。

プロスペクト理論、現在バイアス、互恵性と利他性、ヒューリスティックスという4つの理論と、「ナッジ」の作り方を解説していきます。

著者
文雄, 大竹
出版日

日本の代表的な行動経済学者、大竹文雄の作品です。

「ナッジ」とは、人間の行動の特性をふまえて、よりよい意思決定やよりよい行動を引き出すための知恵と工夫だとのこと。日本だけでなく世界の事例を紹介してくれているので、知識を得るだけでなく実際にどのように使われているのか、想像しやすいでしょう。

行動経済学を実際に「使う」というのは応用的な内容ですが、第1章では基本的な概要の説明をしてくれているうえ、本文中でも用語の紹介をしてくれているので事前知識がない人でも問題なく読めるはずです。

行動経済学ブームに火をつけたベストセラー本『予想どおりに不合理』

人間というのは不合理な行動をとるもの。たとえば他と比較して相対的に物事を判断したり、無料というだけで興味を刺激されてしまったりという経験をしたことがある人も多いでしょう。

そのような人間の特性を理解しておくことで、マーケティングやセールスコピーライティングを効果的にできるようになるのです。

本作では、本質的かつ現実的な行動経済学の基礎を教えてくれます。

著者
ダン アリエリー Dan Ariely
出版日
2010-10-22

作者のダン・アリエリーは心理学と行動経済学を専門とする研究者。本作は『不合理だからすべてがうまくいく』とともに「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーになり、行動経済学ブームの立役者となりました。

人間の行動が合理的なものだという前提で考えられる経済学に対して、人間の不合理な判断が経済活動にどのような影響をおよぼしているのかを解説しています。

現金は盗まないけれど鉛筆なら平気で失敬する、頼まれごとなら頑張るけれど安い報酬ではやる気が失せる……人間は本当に不合理ですが、そんな不合理さを予想することができれば、大ヒットする商品を作れるかもしれないし、これまで成功しなかったダイエットもうまくいくかもしれません。身近な例をあげながら行動経済学を解説してくれるのでわかりやすいでしょう。

また、私たちの生活のあらゆるシーンに行動経済学を用いたマーケティングや宣伝がおこなわれていることにも驚くはず。実は身近な学問なのだとあたらめて知るきっかけになる一冊です。

イラストがわかりやすい!初心者におすすめ『行動経済学見るだけノート』

日々の生活やビジネスシーンで役立つ行動経済学を、イラストでわかりやすく解説した作品。

視覚で楽しみながら、いちから学ぶことができるので、初心者に最適の入門書だといえるでしょう。

著者
真壁 昭夫
出版日

イラストでわかりやすくサクッと学べると人気の「見るだけノート」シリーズ。本作では行動経済学を紹介しています。

基礎知識や歴史にはじまり、損失回避やハロー効果、ナッジなどテーマごとに見開きで解説。まずは視覚でイメージをとりこむことができるので理解しやすく、文章量も少ないため、他の作品で挫折した経験のある人でもチャレンジしやすいのではないでしょうか。

「当たり前のことを、当たり前に言っているに過ぎない」といわれることのある行動経済学ですが、そんな「当たり前」を体系的にまとめて、誰でも使える理論にすることにこそ意義があるのでしょう。初心者におすすめの一冊です。