高校から新たに科目として加わる化学。あまり馴染みが無いため苦手意識を持つ人が多い科目です。 この記事では、レベル別におすすめの化学参考書を紹介します。さらに、大学入学共通テスト対策や難関大学受験にも役立つ、上級者向けの参考書も取り上げます。大学受験対策用の参考書をお探しの方はぜひ参考にしてください。
ここでは最初のステップとして、化学の参考書の選び方を解説します。
せっかくやる気を出して参考書を買ったのに、使いにくくて挫折した経験を持つ方もいるのではないでしょうか。そんなことにならないよう、まずは自分に合った参考書を選ぶところから始めましょう。
ここでは参考書選びのポイントを4つ紹介します。
他の科目の参考書と同様に化学の参考書も「基礎レベル」「大学入学共通テストレベル」「難関私大・国立大レベル」と難易度が分かれています。
授業の補助として使うなら「基礎レベル」、大学入学共通テスト対策で使うならマークシート形式に対応した「大学入学共通テストレベル」、難関大学受験を目的とするなら、応用問題まで網羅した「難関私大・国立大レベル」を選びましょう。
ひとえに「化学」といっても分野は多岐に渡ります。注力したい分野がある場合、その分野に特化した参考書を選ぶことで、より効率的に学習が出来ます。
また、取り扱う範囲が広い一般的な参考書を選ぶよりも、集中したい部分を深く学習できるというメリットもあります。
参考書によっては演習問題が無い場合もあります。
参考書を読んで理解したつもりでも、いざ問題を解いてみると理解出来ていなかったと気づくことがあります。演習問題が豊富な参考書を選ぶようにしましょう。
化学の参考書には、イラストが豊富なものと問題演習が主なものがあります。
化学は文字だけでは理解しづらい理論も多いため、基礎から始めたい方は、イラストが多い参考書を選ぶとイメージが湧いて理解しやすいでしょう。
参考書は本であり、人が口頭で教えるのとはやはり違います。
そのため、いざ自分にあった参考書を選んで購入しても、学習方法が正しくないと点数は伸びづらいものです。
そのような状況を避けるために、効果的に参考書を使用する方法を知っておきましょう。
化学の参考書を買ったはいいが、結局理解出来ずに途中でやめてしまったという方も多いと思います。
そんな方に実践していただきたいのが、1冊を3周かけて理解する勉強法です。1周目はとりあえず最後まで読んで自信をつける。2周目は理解することを目標にしながら、わからない部分を洗い出す。そして3周目にわからないところを重点的に読み込む。
このように3周かけて1冊を終えれば、理解も深まり、途中で挫折することがなくなります。
解ける問題を何度も復習するのはやめましょう。わかる問題を解いている間は学習がストップしている状態です。
逆に、わからない問題を解いているときにこそ「自分は前に進んでいるんだ」と考えるクセをつけられると学習がスムーズに進みます。
参考書を読むというのは、インプットをすることです。実際の試験ではアウトプットが求められるため、そのための対策も必要です。
問題集を使って学習した内容を適切な形でアウトプットする練習を行い、理解度を確認しながら、同時に出題傾向も把握していきましょう。
ここからはいよいよレベル別のおすすめ参考書を紹介します。
まずは「高校1〜2年生におすすめの参考書」です。高校1〜2年生もしくは化学が苦手で基礎からしっかりと学びたい方向けの参考書です。
図解の多さや難易度にも多少差がありますので、自分に合うものを選んでください。
- 著者
- ["船登 惟希", "水谷 さるころ"]
- 出版日
特徴は、何といっても豊富な図解です。右側のページは全て図解という革新的なレイアウトで、文字だけでは理解しづらい高校化学を、最大限わかりやすく解説しています。
図解の多さや登場するゆるいキャラクターの印象から、一見したところでは本格的な参考書に見えないかもしれません。しかし抑えるべきポイントはきちんと抑えてあり、化学の基礎固めに最適な1冊です。
- 著者
- 柿澤 壽
- 出版日
本書は化学が苦手な人でも理解出来るよう、中学で学ぶ内容を理解している前提ではなく、ゼロから解説しています。
化学は基礎知識を応用しながら発展させていく学問です。そのため一度どこかでつまずいてしまうと、そこから先に進めないことが多々あります。どこが分からないのか、どこから復習すればいいのかも見失ってしまい、いつしかそのまま苦手科目の一つになることもあるでしょう。
この問題集では初歩から解説しているので、高校レベルまで挫折せずに学習することが出来ます。
- 著者
- 鎌田 真彰
- 出版日
改行を多くした会話口調の本文や、ページ最下部での難しい語句の解説掲載など、読みやすさとわかりやすさを徹底的に追求した参考書です。
イメージしながら化学を学べるように、図解もふんだんに使用されています。また、各章末に「まとめ」と「確認テスト」を掲載しており、知識の定着を確認しながら学習が進められます。インプットとアウトプットがバランスよく出来る1冊です。
- 著者
- 淳一郎, 竹田
- 出版日
高校の化学を完全に網羅した情報量と、「暗記科目」になりがちな化学を「理解」することに重点を置いているのが特徴です。
授業の補助として、また化学の辞書として3年間使用でき、1冊持っていると非常に便利です。上記の3冊とは違い基礎知識の理解が前提となっているため、やや中級者向けである点には少し注意が必要です。
基礎から学びたい方は、まず上記で紹介した初心者向けの参考書を使用したあとに本書を活用してみてください。より効果的な学習が出来ると思います。
- 著者
- ["亀谷進", "目良誠二"]
- 出版日
授業の理解から大学入試やセンター試験対策まで、幅広い目的で使える1冊です。
土台がある程度出来ていて次のステップに進みたい方が、基礎を確認しながら大学入試対策の入門書として手に取るのに最適です。
カラーの図解や表が用いられ、学習しやすい工夫がされています。いきなりレベルの高い入試対策をして挫折する心配もなく、安心して入試対策の一歩を踏み出すことが出来ます。
続いては「大学入学共通テストにおすすめの化学参考書」です。基礎はひと通り理解出来ており、化学を特別苦手としない方向けの参考書です。
また大学受験とは切っても切り離せない大学入学共通テストや、国公立大学入試対策などにも使えるものをまとめています。ぜひ参考にしてください。
- 著者
- ["福間智人", "鎌田真彰"]
- 出版日
筆者は東京大学教養学部卒、元駿台予備校化学科講師であり、現在は弁護士としても活動する「学びのプロ」です。
大学受験に特化した参考書で、膨大な量の無機化学の暗記が最小限で済むように工夫されています。そのため本当に必要な箇所に絞ってしっかりと理解し、大学入試に挑むことが出来ます。
携帯に便利な「別冊まとめ(赤セルシート付き)」も付いており、こちらは頻出部分がさまざまな角度で整理されているので、試験会場での最終確認にも最適です。
- 著者
- []
- 出版日
こちらの『新化学化学基礎+化学(チャート式・シリーズ)』は、化学の教科書の配列に準拠しています。
授業の内容理解やセンター試験対策に最適な、非常にバランスの取れた中級者向け参考書です。ただやみくもに暗記するのではなく、しっかりとメカニズムを理解することによって、応用力を身に付けることを目標としています。
また、化学のコラムや雑学などを記載することで、読者が興味を持ち自ら学ぶ意欲を持つような工夫も施されています。
- 著者
- 照井俊
- 出版日
読者から30万人以上もの国公立大学合格者を出した、『理論化学の最重点 照井式解法カード』の新課程対応版です。
理論化学の必須事項を重点的に解説し、つまずきやすいポイントを対話形式でわかりやすく説明しています。また図解などはカラーで描かれており、視覚的にも化学を理解しやすい参考書です。
- 著者
- 鎌田真彰
- 出版日
現在の大学入試で重視される「思考力・判断力・表現力」のスキルを育成することを目的に作られた参考書です。
演習問題が豊富で、問題ごとのテーマを徹底的に掘り下げ、さまざまな視点から「思考力・判断力・表現力」を問う構成になっています。解説文では、解答に至るまでの道筋はもちろん、出題の背景やポイントまで詳しく取り上げていることも大きな魅力です。
- 著者
- 橋爪 健作
- 出版日
その名の通り、センター試験対策に特化した参考書です。こちらも中級者向けですが、理解しづらポイントは、化学基礎の範囲まで振り返って解説をしているので、少し不安な方でも安心して学習を進めることが出来ます。
ボリュームが多いため、どうしても本自体が分厚く見えてしまいますが、そのぶん掘り下げて学べる1冊です。
最後に「難関大学受験におすすめの参考書」です。
化学は得意科目で、自分の武器である化学でもっと点数を伸ばしたいという方はこれから紹介する参考書から選んでみてください。より応用的な知識を得ることが出来ます。
難関私大や難関国公立大を目指す方は、このレベルまでしっかりと通読して試験に臨むことで、期待通りの結果が望めるでしょう。
- 著者
- 卜部 吉庸
- 出版日
理系の難関大学を突破した先輩が口を揃えて勧める理系受験のバイブル『化学の新研究』の改訂版です。現行課程の入試に合わせて記述内容を見直し、さらなる充実を遂げた1冊です。
「サイエンスボックス」を約50項目追加し、化学への関心がさらに高まるように改訂されています。語彙の取り上げ方も丁寧なので、参考書としてだけではなく、適宜辞書のように活用することもできます。
- 著者
- 鎌田真彰
- 出版日
多くの人の解けない原因にもなっている見落としがちな重要事項を、入試に直結する記載でわかりやすく説明しています。
丸暗記ではなく、大学入試に必要な有機化学の捉え方を学び、しっかりと知識を定着させられるように作られているため、効率よく応用力を身に付けたい方にもおすすめです。
- 著者
- ["鎌田真彰", "橋爪健作"]
- 出版日
国公立大2次・私立大の入試問題を徹底的に分析し、頻出の「基礎問題」の解き方を丁寧にわかりやすく解説しています。
「基礎問題」と言っても「簡単な問題」という訳ではありません。入試に必要な実践力や応用力を身に付けるために、理解しておくべき内容を厳選して掲載しています。
- 著者
- 卜部 吉庸
- 出版日
今後も類似の問題が多く出題されると思われる頻出問題と、実力強化に役立つ長文の重要問題が掲載されています。
331題という豊富な演習問題数でありながら、膨大な問題数の中での重複を避けるために丁寧なアレンジが施されています。徹底的に演習問題に取り組むことで、入試に役立つ「解く力」を鍛えられます。
各問題には3段階の難易度が割り振られているので、自分のレベルを確認しながら読み進めることが出来ます。
- 著者
- 妻木 貴雄
- 出版日
日常学習から難関大学受験まで対応できる参考書です。後半は教科書ではあまり説明されないところまで丁寧に深堀りして解説しています。
ベテランの著者が詳しく説明しているので、化学の本質を理解でき、本当の学力を身に付けられます。難易度の高い設問には印が付いていたりと、使用しやすい心遣いもあるので、自分のレベルに応じて使い分けることが可能です。
ここまでおすすめの化学の参考書を紹介してきましたが、残念ながら読むだけで終えてしまっては点数は伸びません。
インプットをしたあとは試験を想定したアウトプットを行い、本当に理解出来ているかを確認する必要があります。ただひたすら文字を読んで頭の中で反復するよりも理解が深まることは言うまでもありません。
ここからはそのアウトプットにおすすめの問題集を3冊紹介したいと思います。
- 著者
- 冨田 功
- 出版日
こちらは「よくわかる参考書シリーズ」に対応している問題集です。前述した『よくわかる化学基礎ー授業の理解から入試対策まで』もこのシリーズで展開されています。
重要ポイントをしっかりと解説し、実力を伸ばせる良問のみを厳選。また中間試験・期末試験予想問題も掲載しています。「よくわかる参考書シリーズ」をお使いの方はもちろん、違う参考書を使用している方にもおすすめ出来る1冊です。
- 著者
- 数研出版編集部
- 出版日
化学と化学基礎を、1冊で総合的に学習出来る問題集です。
教科書に基づいて問題を編成しているため、中間試験・期末試験対策はもちろん、センター試験対策としても活用することが出来ます。出題範囲は広すぎず、難易度も学習に申し分ないレベルではありながらも高すぎないため、最初に手にする化学問題集としておすすめです。
- 著者
- 橋爪 健作
- 出版日
最後に紹介するのは、一問一答形式の問題集です。
完全版の名にふさわしく、入試に必要な高校化学を、頻出から応用レベルまで網羅しています。
また出題頻度が3段階で分けられており、重点的に学習すべき部分がひと目でわかる仕様になっています。普段の学習はもちろん、試験の直前のチェックにも役立つ問題集ですので、1冊持っていて損はありません。
いかがでしたか。
今回は高校生に向けて、おすすめの化学の参考書を紹介しました。
化学は苦手科目として挙げられることも多く、難しいイメージがあるかもしれません。しかし土台からしっかりと学びを進めていけば、得意科目に変えることもできる学問です。
まずは冒頭で説明したように、自分に合った参考書を選ぶことがポイントです。化学に苦手意識を持っている場合は、図解が豊富なものを選んでみましょう。
すでに化学が得意で、より理解を深めたいという方には、演習問題が多いものを選んで実力をつけることをおすすめします。
学年や理解度に応じて相性のよい参考書を選び、効率的に学習を進めていきましょう。