『仮説思考』を要約!仕事のスピードと質を向上させる。

更新:2020.11.19

仕事を素早くこなす人と時間がかかる人。この差は一体どこにあるのでしょう。『仮説思考』によると、それは「考え方」の差だと言います。つまり分析力や情報収集のスキルの問題ではなく、思考法や仕事の進め方を改善することで最短で最高の成果を出せるようになるのです。本記事では、仕事をスムーズにおこなうための「仮説」を用いた思考法から、思考力を高める具体的なアクションまでわかりやすく解説していきます。

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『仮説思考』のあらすじ

問題が生じたときの解決のためのアプローチとして「網羅思考」と「仮説思考」の2つがあります。

網羅思考とは、たくさんの情報を集めて、すべてを理解してから行動すること。問題解決の正確性が増すといったメリットがあるのですが、膨大な時間がかかってしまうというデメリットもあります。

一方の仮説思考とは、手元にある選択肢から仮説を設定し、それを検証しながら精度の高い答えを導き出すこと。網羅思考より短い時間で、問題解決にたどり着くことができます。

お金をもらって仕事をする際は、この「仮説思考」を使って、問題解決を早くおこなうことが大切であると著者は言います。

一流コンサルタントの仕事術

本書の著者である内田和成が携わるのは企業の問題解決を助ける「コンサルティング」の仕事。世界有数のコンサルティング会社で日本法人の代表に抜擢されたほか、「世界の有力コンサルタント25人」に選ばれた実績もあります。

今回紹介する『仮説思考』は、一流コンサルタントの彼が実践する課題の発見法や、解決するにあたっての秘訣を知りたいと、多くのビジネスマンからの支持を得ています。

情報収集に時間をとられ、意思決定が遅くなってしまう人に向け、コンサルタントならではの視点で、問題解決のスピードを上げる方法を紹介しています。失敗を恐れてしまう人や、完璧な答えにこだわり過ぎしまう人にも、著者の思考法によって、新たな気づきがあるかもしれません。

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

2006年03月31日
内田 和成
東洋経済新報社

仮説思考とは

「仮説思考」とは、今現在持っている情報を元に、最も正解に近そうな仮説を立て、その仮説を確かめるために情報を集め、問題解決につなげる考え方になります。

たとえば、「12~13時はレストランが混みそうだから、少し早めにご飯を食べに行こう」という考えも、実は仮説思考を使った問題解決方法なのです。

何かを決める際に、情報が多いほど正確な判断ができると考えていませんか。しかし、ビジネスにおいては大量の情報を集め、それを分析することで正しい決断ができるといった「網羅思考」は好ましくないと著者は言います。ビジネスにおいては、コストやスピードがとても重要な意味を持つからです。

仮説思考を実践し仕事をスムーズに進めるには、早い段階で、仮の答えである「仮説」を持っておくことが大切になります。


仮説の使い方

仮説思考の利点がなんとなくわかってきたところで、仮説の使い方を紹介していきます。

まず最初に、「こうだろう」というストーリーを組み立てます。大まかな全体像を想像し、自然な流れになるように順序立てていくのです。

自社の商品の売り上げが下がっているとしましょう。このとき「売上を上げるには、値下げするべき」と単純に考えてはいけません。「最近の売上の減少は、ライバル社が競合製品の価格を下げたから。自社も値段を落とせば売り上げが戻る」と原因も含めたストーリーにしていきます。

そして、ストーリーを構成する要素に足りない情報を調べていくのです。仮説を前提に、 それが正しいか間違っているのかを検証して進めていくことで効率的に仕事が行えます。

仮説が間違っていたらどうしようと不安になった方もいるでしょう。しかし、そうした心配は必要ありません。万が一ストーリーが誤っていた場合、検証や情報集めをしている段階で、うまくいかなかったり、望んでいる情報が集まらないといった状態になります。その時点でストーリーが間違っている可能性が高いということに気がつき、早い段階で軌道修正ができるのです。

先ほどの例で言うと、検証の結果、売上が低迷しているのは「ライバル社製品の値下げ」ではなく、「製品そのものの需要が少なくなった」からと新しい原因が見えてくるかもしれません。

仮説思考のトレーニング

仮説を立てるコツがつかめてくると、最初から正解に近い仮説を考えられるようになります。間違っていたからと、ストーリーを組み直す必要がなくなり、仕事のスピードはさらに上がっていきます。しかし、当然のことながら、方法を知っただけで身につくものではありません。よい仮説を立てられるようになるにはトレーニングが必要です。ここでは、仮説思考のためのトレーニングを2つ紹介します。

①「だから何?」を常に考える

この質問は、今ある情報から、何らかの結論を発見するのに役立ちます。「新しい商品のクレームが多い」ことが判明したのなら、「顧客はどのような使い方をしているのか」や「どの工場で生産された品物なのか」と出来事に対して問いをいれていくのです。

②「なぜ?」を繰り返す

こう問いかけることで、納得できる理由が必要になるため、思考が深まる効果があります。1回だけでなく、何度も繰り返していくことがポイントで、深く見えずらい部分まで思考を広げることができるのです。

「会社がもっと予算を増やしてくれたら売れる商品が作れる」と思った場合には、「予算が少ないのはなぜなのか」や「よい商品を作れないのはなぜか」を繰り返すことによって、なにが本当の問題なのかつかめるようになるはずです。

トヨタ自動車でも、「なぜを5回繰り返す」が自動車生産のポリシーになっています。

高い成果を発揮する頭の使い方:反対側から見る

いつも自分の視点から考えているだけでは考えが凝り固まってしまいます。自分とは反対の立場から捉え直すことで、これまで見えなかったアイデアを見つけることができるのです。反対側から見るためには「顧客」、「現場」、「競争相手」の3つの視点で考えることが有効になると著者は語ります。

ここでは「顧客」について説明していきましょう。

顧客視点とはこちらが商品を販売することを考える前に、どのような人が購入するか、どのような理由で買うか、どのように使用するかを考えることです。

「商品を買うか買わないか」「どんな問題を解決するために買うか」「製品をどう使うか」

このように製品についての決定権はすべて顧客側にあります。会社の売上を考えたときには、「商品が売れない」と自社の主観的な視点ではなく、「お客様がライバル会社の商品を買った結果」と顧客を主語にします。そうすることによって、会社側からの目線では考えることができなかったアイデアが見つかるのです。

高い成果を発揮する頭の使い方:反対まで降る

これは、あえて両極端に考えてみることであり、思考の幅を広げることで物事の本質が見えてくるといった考え方です。

会社経営を例にします。「全ての計画がうまくいく」と「全ての計画が失敗に終わる」のよいパターンと悪いパターンの2つ用意し、それぞれが起こったときにどうなるかを考えます。

もし、経営が難しくなるのであれば、経営を左右するのは会社の計画によるものであると考えられます。しかし、計画の成功と失敗によって大きく会社の経営が変化しないのであれば、会社を支えているのは計画ではなく、他の要因であるということがわかるのです。

高い成果を発揮する頭の使い方:ゼロベースで考える

「ゼロベース」とは、物事を最初(ゼロの状態)からやり直すことです。

常識や既成の概念にとらわれたままの前提で考えてしまうと、思考に制限がかかり問題解決が困難になる場合があります。そこで、まったく何もない白紙の状態から考え始めることで、新しいアイデアが思い浮かぶというのです。

カーシェアリングを例にとってみましょう。これまで、車は個人が所有するものという考えが一般的でした。しかし個人での所有は維持費が負担になるなど、車を持つことをためらう人も。しかし、複数人でシェアをすることで、一人当たりのコストを下げながら車を利用することが可能になりました。「車は一人で所有するもの」という常識を疑うことによって問題を解決したよい例と言えます。

ゼロベースで思考することは、前提とする固定概念などを取り払うことができるため、「絶対に不可能だ」と思われるような状況でより一層の効果を発揮するのです。

『仮説思考』の関連オススメ本①

こちらは『仮説思考』の漫画版です。

著者
内田 和成
出版日
2018-11-15

『仮説思考』のエッセンスがストーリー仕立てに説明されています。イメージをつかみながら理解を深めることができ、答えにたどり着くまでのスピードを上げる仮説思考の方法と効果について楽しく理解できます。サクサクと読み進められるので、時間がない人にもおすすめです。

『仮説思考』の関連オススメ本②

著者の他の作品も読んでみたい人はこちら。

著者
内田 和成
出版日
2010-01-29

『仮説思考』が問題の解決方法に焦点を当てていたのに対し、本書では解くべき「問題の設定」の重要性について語っています。論点の役割や論点の決定方法などの説明から、論点思考が「人材育成」の鍵になることも説明している内容です。

『仮説思考』の関連オススメ本③

他の著者が考える「思考」について知りたい人はこの一冊。

ロジカル・シンキング (Best solution)

["華子, 照屋", "恵子, 岡田"]

ロジカルであることはコミュニケーションにおいて最大の武器になると断言する著者が、相手にメッセージを正確に伝える技術を解説しています。

何か伝えるときにいつもうまく伝えられなかったり、話が長くなりがちな人におすすめの一冊です。

今回は世界有数のコンサルティング会社の日本代表まで勤めた著者が教える、最短で最高の成果を出せる力について解説しました。「仮説思考」を使えば手元にあるわずかな情報だけで答えを出すことができますし、失敗してもゆとりをもって修正できる点も仮説思考の強みでした。ぜひ本書を読んで、日常的に活用できるまで定着させていきましょう。

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