絵本は、子どもにとって夢や希望を与えたり、想像力を養ったりできる大切なものです。実は絵本にも大ヒット作品があり、空前の絵本ブームが到来しているとも言われています。子どもに夢を与えることが仕事になるなんて嬉しいですよね。 絵本作家になるには、出版社への持ち込みや賞への応募などがあります。デザイン会社などに就職・転職するのもひとつの手でしょう。兼業で収入を安定させている方もいます。 そこで今回は、絵本作家のなる方や活躍する方法、年収など気になるポイントを詳しく解説します。この記事を読めば、絵本作家になるまでの具体的な行動が分かるはずです。
絵本作家の仕事は、一言で表現すると、絵本を作ることです。シンプルな表現ですが、絵本が出来上がるまでにはさまざまな仕事があり、長い時間をかけて1冊の絵本が書店や図書館に並びます。
絵本づくりのベースになるのがストーリーです。絵本作家はまずストーリーを考えるところから始めます。題材は何にするか、どんな思いを込めるか、物語はどう進めるかなど、ストーリーづくりひとつをとっても大変な作業です。
ストーリーが決まったら、ストーリーに合わせて絵を作っていきます。キャラクターや風景などの絵をつくっていき、ストーリーと絵が組み合わさって初めて絵本のできあがりです。
ストーリーづくりと絵の作成は、ひとりの絵本作家が両方おこなうこともありますが、ストーリーに特化した作家や絵に特化した作家もいます。絵本を一からひとりで作るだけでなく、得意分野を生かして絵本づくりに関わることもできるのです。
絵本作家に必要な専門資格はなく、誰にでも絵本作家を名乗るチャンスはあります。「絵本作家になった」といえるのは、絵本の出版した経験があってこそでしょう。
では、絵本作家として活動していくためにはどのような道のりがあるのでしょうか?
絵本作家になる近道が絵本の賞に応募し入賞することです。絵本のコンクールやコンテストは、出版社や企業、団体などがおこなっています。主なコンクール・コンテストは以下の通りです。
賞を受賞することができれば、出版社や関係者の目に留まり、出版できるチャンスが巡ってくるでしょう。たくさんの応募者がいるため狭き門ではありますが、チャンスをつかむためにチャレンジすることをおすすめします。
絵本を取り扱っている出版社に作品を持ち込み、認めてもらうことで絵本作家の道が拓ける場合もあります。出版社は持ち込みに寛容なことが多く、よい作品であればチャンスが生まれるでしょう。
出版社のジャンル、編集者との相性に左右されるので、1社で諦めずに多くの出版社に持ち込むことが大切です。
絵本作家になるための養成講座では、現役の絵本作家や出版社など絵本に携わる人から絵本づくりを学ぶことができます。プロの視点でアドバイスを受けられるので、独学よりも専門的な知識・技術を身に付けられます。
身に付けた知識・技術を生かした作品で受賞を目指せるだけでなく、絵本作家や編集者とのつながりからチャンスを得られる可能性もあるでしょう。
自分の手で絵本を制作するのも、絵本作家になる方法のひとつです。自費出版は費用が多くかかるものの、自分の作品を1冊の本として世に出すことができます。初めはアマチュア作家の1冊ですが、自費出版から話題になってプロの絵本作家になれる可能性もあります。
自費出版の方法として、電子書籍で出版することも可能です。紙の書籍の需要がいまだに高く、絵本は特にその傾向が強いものの、インターネットをうまく活用できれば、世界中の人々に自分の作品が知られるチャンスはあります。
絵本作家の収入の仕組みとしては、印税の場合実際の売上の数%が報酬になります。
たくさんの絵本作家の作品が出版されていますが、生計を立てられるのは一握りというのが実状です。そのため、イラストレーターやシナリオライター、グラフィックデザイナーなどと兼業している絵本作家も多くいます。
独立する以外では、デザイン会社やキャラクター制作会社で絵本づくりに携わる方法があり、月収20万円前後の安定した収入を得られるでしょう。
絵本作家だけで生活するのは難しいですが、可能性はゼロではありません。インターネットで話題になったり、翻訳によって世界で人気が出たりするなど、さまざまな可能性があります。
絵本づくりで培った知識や技術を生かした仕事をしながら、絵本づくりを粘り強く続けることが大切です。
受賞作が出版されたり、作品を自費出版したりすれば、絵本作家の仲間入りといえるでしょう。ただ、絵本作家として生計を立てたり、有名作家として活躍したりするのは、並大抵のことではありません。どうすれば絵本作家として活躍できるのでしょうか?
1冊目の作品は、新鮮なアイデアで絵本づくりに取り組むことができます。2作品目になると、新たなアイデアが必要になり、1作品目をさらに超えるインパクトや目新しさが必要になるでしょう。
2作品目の結果は、絵本作家の力を測るバロメーターとなります。2作品目で失敗してしまうと、発行部数が減って最終的に見切りを付けられてしまうかもしれません。1作品目で満足せずに、2作品目の制作に力を入れ結果を出すことが、絵本作家としての安定につながっていくでしょう。
出版社は、自分の作品を理解し、世に送り出す手伝いをしてくれるパートナーです。どのような絵本が売れるかという視点も持っているので、自分の作風や考え方に固執せずに、アドバイスや提案を受け入れる姿勢を持ちましょう。
売れたいという気持ちが強すぎて衝突してしまえば、貴重なチャンスを棒に振ってしまうかもしれません。時にはこだわりや理想をおさえて、出版社と良好な関係を作ることが大切です。
絵本のニーズや子どもを取り巻く環境は、日々変化しています。絵本作家として長く活躍するためには、常に新しいスキルや知識を磨き、時代に合った絵本を生み出す必要があるでしょう。
絵本作家になってからも努力を怠らずに、レベルアップを目指し、絵本作りに反映し続けることが成功につながるはずです。
絵本作家に向いているのは、まず第一に感性が豊かであることです。
絵本の題材は日常にヒントを得た作品も多くあります。日常生活が送るなかで、小さなことに気づき、感動し、想像力を膨らませられると、頭のなかで絵本の世界が広がっていき、作品づくりが楽しく進められるでしょう。
絵本は子どもに読まれることが多いので、子どもへの理解・愛情があることも欠かせません。子ども目線で日常や自然を見たり、どんな力を身に付けたいかを考えたりして作られた絵本は、子どもにとって楽しく、気づかぬうちに生きる力を付けるきっかけになっているはずです。
- 著者
- つるみ ゆき
- 出版日
- 2013-01-09
絵本作家になるためには、絵本づくりができなければいけません。とはいえ、何もないところから絵本を作ることは難しいでしょう。そこでおすすめしたいのが、こちらの1冊「絵本つくりかた」です。
日本児童出版美術家連盟会員である著者がストーリーづくりや絵の描き方を丁寧に解説しています。
テーマ決めやプロット、下書きなど細かく解説されているので、絵本づくりの参考になること間違いなしです。
デジタル環境での制作や電子出版の対応などにも触れられていて、現代の絵本作家にも参考になる内容となっています。
- 著者
- 長谷川 集平
- 出版日
一見、書き込み式の参考書に見えますが、絵本づくりに関する知識や情報が詰まったテキストとなっています。著者と教えを受ける学生の方の作品が掲載されており、実際の作品とノウハウが絵本づくりのヒントになるでしょう。
絵本づくりの基本はもちろん、構想の大切さや絵本との向き合い方にも触れられます。本書を使ってトレーニングを積み、自分だけの絵本を制作してみましょう。初めての絵本づくりにもぴったりの1冊です。
- 著者
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- 出版日
絵本作家を目指すとき、活躍している絵本作家の仕事場や仕事道具も気になるところですよね。こちらの1冊では、絵本作家61人のアトリエと道具が紹介されています。
画材以外にも、アトリエに置かれたインテリアや本棚など、絵本作家の仕事場・仕事道具に触れられる貴重な本です。どのようにインスピレーションを刺激しているのかを想像しながら、自らの仕事場づくりに本書を役立ててみましょう。
絵本づくりをおこなう上で、具体的にどんなものがそろっているといいのかなどを知ることもできる1冊です。
絵本作家になるためには、コンテストでの受賞や出版社への持ち込みなどからチャンスをつかむ必要があります。絵本作家として生計を立て、活躍するためには2作品目で結果を出す、出版社とよい関係をつくるなど、道のりは平坦ではありません。兼業して生計を立てている絵本作家も多いですが、子どもに夢や希望を与える絵本を作れるのは絵本作家にしか味わえないやりがいです。ご紹介したおすすめの本もぜひ参考にして、絵本作家を目指すきっかけを見つけたり、実際に行動に移したりしてみてくださいね。