1位:ボクシング漫画の金字塔『あしたのジョー』

ボクシング漫画といえば誰もが名前を上げるほど強い存在感を持つ作品です。この作品は試練や挫折を努力により乗り越えて、スターダムにのし上る一人の男の姿を描いており、熱血かつ感動的なストーリーに仕上がっています。ボクシング漫画として有名ですが矢吹丈の人生を追っていく、まるで文学のような力強さを感じられるマンガです。
著者
ちば てつや
出版日
2003-05-23
東京のドヤ街に矢吹丈と名乗る少年に、一方的にたたきのめされた元ボクサー・丹下段平。彼は、ジョーに天性のボクシングセンスを見いだし、一流のボクサーに仕立て上げようと口説き始めます。

しかしジョーは、警察に逮捕されて鑑別所へと送られてしまいます。鑑別所にはボクサー下がりの力石徹がおり、力石と対戦して負けたジョーは彼を倒すことを決意し、ジョーのボクシング人生が始まります。

スポ根マンガとして有名な「巨人の星』の作者である梶原一騎先生が書く手に汗握るストーリーを、ちばてつや先生の描く表情豊かなキャラクターが見事にマッチしていました。

何といってもジョーがとてもかっこいいです。ニヒルにみえても人情深い青年で、とても好感が持てます。 逆にライバルの力石徹はストイックで男気のあるキャラで、容易に近づけないような不思議な凄みがありました。彼の死に様は、漫画史に残る感動的なものでした。

力石の死を引きずりながら、まるで死に場所を探すかのようにボクシングに打ち込むジョーの姿は、見るほうも辛いものがありますが孤独なヒーローの姿には憧れを抱いてしまいます。そんなどこまでもかっこいいジョーの生き様を読んでみてはいかがでしょうか。

2位:本当の強さを教えられるボクシング漫画『はじめの一歩』

いじめられっ子の一歩がボクシングと出会い、人間として、そしてボクサーとして成長していく姿を描いた作品です。一歩だけでなく仲間やライバル達の戦いも詳細に描いている点がこの話の特徴です。
著者
森川 ジョージ
出版日
1990-02-09
幼い頃から実家の釣り船屋を手伝い、母親と二人暮らしの主人公・幕之内一歩。性格は温厚ですが、いつもいじめられていました。そんなとき、いじめの現場を助けてくれたプロボクサーの鷹村守に出会い、ボクシングの魅力にとりつかれ、鴨川ボクシングジムに入門します。そして「強いとは何か?」という問いの答えを探し求めます。

この作品の一番の魅力はなんといってもボクシングの試合です。試合展開はスピーディに描かれていますが、ストーリー性に富んでいて読み応えたっぷりです。リアルに描写されていて、マンガ的な突飛な技があまり出てこないのもこの作品のいいところです。

また、対戦相手が魅力的なのも飽きさせずに試合に引き込まれるポイント。1試合限りしか出てこないのにとても味のあるキャラクター達ばかりです。1つの能力を特化させるところから対戦相手のキャラクターが生まれていますが、そこから深みのある人物が作られています。

長期に渡って連載を続けていますが、世界チャンピオンを目指すという軸が全くブレていないのも素晴らしいです。ひとりのボクサーの人生を描いた作品としてはかなりリアルな内容になっており、作品に入り込める世界観があります。

3位:孤独な少年がボクシングでのし上がる漫画『リクドウ』

松原利光の初連載作品で、そのクオリティの高さから新人とは思えないという声が相次いでいるボクシング漫画です。スポーツ漫画らしい熱血や青春というテーマではなく、ダークな雰囲気の本作。主人公リクの壮絶な生い立ち、そして葛藤の様子に引き込まれます。

著者
松原 利光
出版日
2014-09-19

リクは虐待されていた父が借金苦で自殺したことを機に、家を捨てた母親に引き取られることに。しかしヤクザの愛人になり、薬漬けになった母親のもとでも命の危険を感じます。そこで父親の借金の取り立てにやってきた所沢という男に教えてもらったパンチでそのヤクザを転ばせ、死の恐怖から灰皿でとどめをさしてしまうのです。

そこから養護施設に入ることになったリクですが、そこでも母親の愛人だったヤクザの仲間たちが報復にやってきて、彼が慕っていた施設の先生に性的暴行を加えます。現実の残酷さと自分の無力さに絶望するリク。そこに街中の様子を不穏に思ってやってきた所沢がやってきて、ふたりを颯爽と助けるのです。先生を抱きしめながら涙を流すリクは彼の強さを見て必死に頼み込みます。殴り方を、所沢のような拳をもつためにどうすればいいかを教えてくださいと。そしてそこから少年の強さを求めていく旅が始まるのです。

本作で異色なのが、主人公のボクシングへの認識。彼は自身の生い立ちから、ボクシングに人を殴るもの、そして生きるためにしなくてはいけないもの、というドライで切実な認識を持っているのです。平気そうに見えるけれど、実は人一倍優しく感受性の高い彼なのですが、現実はさらなる厳しい試練を彼に与えていきます。そのハードでシリアスな世界に、一度読むと引き込まれること間違いなしの新しさを感じる作品です。

4位:憎めない天才が魅力のボクシング漫画『シュガー』

『キーチ!!』などで有名な新井英樹のボクシング漫画です。主人公は責任感がなく、のらりくらりとした性格ですが、ボクシングの才能に関しては天下一品。デリカシーがなくてお調子者なのに、なぜか惹き込まれる不思議な魅力があるキャラクターです。

著者
新井 英樹
出版日
2002-04-09

16歳の凛は板前になるために故郷を離れて上京しますが、その道すがら、地元でお世話になり、尊敬していた先輩の欣二と再開会します。そこで彼と同居していたニューハーフのレイラにボクシングの才能を見出され、プロボクサーを目指すことに。地元でも周囲から人気はあったものの問題児だった彼ですが、その軽すぎるノリの良さと才能を活かしてボクシングで上へ上へと登っていきます。

共感するというよりもただただ今まで見たことのない天才に見惚れてしまうボクシング漫画です。彼は人を怒らせるぎりぎりの発言ばかりし、相手が怒りそうになった時にひらりとかわすのがうまい憎めない性格。

その特徴は彼のボクシングの戦法にも共通しており、そのバネや柔軟性、吸収能力、スピード全てが素晴らしい間合いとタイミングで発揮されるのです。そんな彼の様子は得体の知らないものに惹かれるようにただただ見惚れてしまうもの。まさに普通とは違う「天才」を描いたボクシング漫画です。

『シュガー』に関しては「ボクシング漫画「シュガー」が面白い!板前志望からプロボクサーに!」で詳しく解説しています。

5位:不良×ボクシング漫画の名作『ろくでなしBLUES』

典型的な不良マンガですが、喧嘩だけでなくボクシングというスポーツについてしっかり描かれていて、最終的にボクサー太尊として成長していきます。少年ジャンプの3大原則「友情・努力・勝利」を軸に、あまり暴力に重きを置かず、勉強や部活、登下校など普通の学校生活を使った描写に引き込まれる作品です。
著者
森田 まさのり
出版日
帝拳高校に入学した泣く子も黙る喧嘩ヤロウの前田太尊が、応援団とボクシング部の抗争に巻き込まれてしまうところから物語は始まります。最初はただの殴り合いのようだった喧嘩も、ボクサーとして学んだ技を駆使して相手に勝つようになる、太尊の成長を感じることができる物語になっています。

劇画っぽい絵柄で馴染みがない雰囲気ですが、喧嘩のシーンは躍動感があり、特に殴られている側の表情がリアルでその絵柄ならではの迫力がバツグンです。サブキャラも個性豊かで性格や話し方や背格好がきちんと描き分けられ、かぶるキャラクターが全くないことからも作者の凄さが伺えます。

ボクシングを題材にしているので、よくある不良マンガのような軽薄さや説教臭さがなく、荒々しくもアツい青春漫画です。コミックスは全42巻ですが、内容が濃いのであっという間に読むことができるスピード感ある作品となっています。

6位:超次元なボクシング漫画『リングにかけろ』

過去に戦った敵達が仲間になるという少年マンガでよくあるパターンのパイオニア的な作品です。

主人公の高嶺竜児は姉からいやいやボクシングを学んでいましたが、ライバルに出会いその面白さに目覚めます。次々と立ちはだかる強敵を倒しながらも、仲間との友情を深めて成長し、最終的に世界チャンピオンになるまでの軌跡を描いた話です。

リングにかけろ

車田正美
集英社
始まりは普通のボクシング漫画でしたが、アメリカを始めとする世界大会編からは必殺技の連続する超人的なバトルマンガへと路線が変わっていきます。

雷や爆発などを用いた迫力のある背景にしたためにボクシングとはかけ離れた展開になっていきましたが、それが逆に読者の心を高揚させ、人気が高まっていきました。超人バトルというジャンルを切り開いた最初の作品はこれではないでしょうか。

竜児の「ブーメランスクエア」、剣崎の「ギャラクティカマグナム」、石松の「ハリケーンボルト」などルールに従わないスケールの大きい技の連続で、他のボクシング漫画にはない迫力があります。

熱い戦いに主人公たちとのめり込んだあと、そのストーリーを昇華させる名シーンもみどころです。竜児と剣崎の闘いの後、姉の菊も含めた3人が目標を達成し終え、「ありがとう… いつか… いつかまた…」というメッセージを残して魂を昇華させるシーンは感動的です。

ボクシング漫画をあまり読まない人でも、バトル漫画が好きな人なら楽しんで読むことができます。

7位:戦後日本でボクシングと共に生き抜く漫画『雄飛』

この作品はボクシング漫画であると同時にヤクザ漫画の要素も持ち合わせた話です。

時代は敗戦を迎えた昭和20年。主人公の雄飛は、母と姉をある男に殺され、天涯孤独の身の上となってしまいます。野宿生活を送っていた雄飛は娼婦のまち子に助けられ、ヤクザの親分である大垣の養子になることを勧められます。やがて17歳になり、母と姉の仇である男への復讐のためにプロボクサーになる道を選びました。
著者
小山 ゆう
出版日
2014-09-30
このマンガで一番注目すべき点は雄飛の母と姉の敵である峻堂巌の存在です。卑怯で狡賢くまさに外道!といった極道で、これほど強烈なインパクトを放つ敵はなかなかいないのではないでしょうか。

そんな外道の峻堂を、6巻で雄飛が峻堂のアジトにひとりで乗り込み、敵をボコボコに殴るシーンは爽快感があるとともに、積年の恨みをのせた雄飛の拳の重さに迫力を感じます。

悪いヤツを最後まで悪いヤツとして描いてくれる勧善懲悪のストーリーにはスッキリできます。家族との離別、幼なじみで女優となった青葉との再会など、色んな人との出逢いを重ねながら、敗戦後の日本を熱く生き抜く少年の物語です。

8位:恋に揺れ動く青春ボクシング漫画『ポンドの福音』

『めぞん一刻』や『らんま1/2』などの作品で有名な高橋留美子が描く、恋愛とコメディが入り混じったボクシング青春ドラマです。
著者
高橋 留美子
出版日
主人公は減量嫌いで負け続けのボクサー、畑中耕作。ジムの会長から最後の試合のチャンスを与えられた耕作は、必死に減量に取り組み練習に励みますがロードワーク中に倒れてしまいます。そんな耕作が出会ったのは、マリアのように美しいシスター・アンジェラでした。

耕作はアンジェラにいいところを見せようとリングに立ち続け、その懸命な姿を見てアンジェラの心も徐々に傾いていきます。

ボクシングを題材にした漫画ですが、試合は勝ちも負けも全てKOで決まり、技術や駆け引きなどはあまり細かく描かれていません。本格的なボクシング漫画というよりは畑中とアンジェラの恋や、ライバル達の人間模様に重きが置かれている作品です。

耕作の最大の敵はなんといっても食欲に勝てない自分自身です。練習風景よりもメシを食っているシーンのほうがよっぽど多くて、なんでコイツはボクシングをやっているのか?と思ってしまいます。

しかし、そんな誘惑に負け続けてきた耕作もアンジェラへの愛と持ち前の負けん気で変わります。そして徐々にその頭角を現し、勝ちを重ねていきます。その実力は対戦相手に認められるほどです。

9位:巨乳女子マネージャーのボクシング漫画『マイボーイ』

『神戸在住』や『からん』で知られる木村紺のボクシング漫画です。様々な癖の強いキャラクターたちが集まった、スポーツ漫画の王道の熱気が感じられる作品となっています。

著者
木村 紺
出版日
2014-11-21

ペンギンジムは長年経営に苦しんできたボクシングジムです。しかし今年は豊作。有望選手たちが参加する興行試合で華々しい復興を夢見ますが、結果はまさかの全員敗退。それによって一文無しになったジムはほとんどのものが差し押さえ。トレーナーは辞めてしまい、練習員はみんな他のジムへ。文字通りすっからかんになったジムの再建を任されたのは会長の孫娘の響。所属するボクサーたちは彼女をトレーナーとして練習することになります。

本作は響がメインで描かれ、彼女を取り巻くボクサーたちのキャラクター、そして彼女によるボクシングの解説が楽しめる作品です。ボクサーたちはキャラが濃い人物ばかり。打たれ弱く鈍感なスーパーフライ級、ナルシストのライト級、体は大きいが弱虫の最年少スーパーバンタム級など様々な選手たちがいます。

そしてそれを束ねるのが小柄で巨乳、つぶらな瞳が印象的な響です。彼女は可愛らしい見た目とは裏腹にかなり強気な少女。選手たちを豊富な知識でビシバシ鍛えていきます。一度見たら忘れられないようなキャラたちに専門的な知識が分かりやすく話されている本作。読みやすい作品なのでさくさく進められること間違いなしのおすすめ漫画です。

スポーツ漫画は、実際にそのスポーツについて詳しくなくても登場人物たちの心情を読み取ることで楽しむことができます。ボクシング漫画を読んで登場人物たちと一緒に戦う気分を味わってはいかがでしょうか。