あなたにとっての「オカルト」とは?
僕は世代的に「ノストラダムスの大予言」です。
1999年7の月、空から恐怖の大王(アンゴルモア)が降ってくる……というやつです。当時僕は小学生でしたが、やけに世間がソワソワしていたことを覚えています。
結果として予言は外れたワケですが、「世界滅ぶなら夏休みの宿題はやるだけ損じゃね?」という見切り発車を行い、9月に地獄を見た子供は僕だけではないハズ。でもね、7月に滅ばなかった時点で8月には宿題をし始めなさいよと、かつての自分にそう言いたい。
……そんなこんなで今回は「オカルト」をテーマに3冊ご紹介。これらの書物を紐解くことによって、いずれ来る終末を生き延びる術を身につけられるかも。生き延びるなどとんでもない、むしろ我こそが終末を引き起こし、仕事も〆切もない永遠の週末を手に入れるのだ!!という人もいるでしょうが、そういう方々は社会に疲れているので無理せず休みましょう。
解き明かされていく謎にワクワク
- 著者
- グラハム ハンコック
- 出版日
“この文明をもたらした英雄は誰だろうか?
(中略)
神か? 人間か?
もしも人間たちだったら、神話に細工をしなかっただろうか?”
これはいわゆる「古代に現代に匹敵する超高度文明が存在した説」を提唱する書物。
エジプトのオシリス、ペルーのピラコチャ、アメリカのケツァルコアトル……これらの神々は顎鬚を持ち蛇をシンボルとし、超高度な天文学を操ったりと共通点が幾つもある。つまりこれら全ては同一人物、ないしは同じ志を持った集団ではないか? 彼らは滅んだ高度文明からの使者であり、その技術を伝えるためにナスカの地上絵を描き、ピラミッドを作ったりという「指紋」を残したのではないか?
そんなロマン溢れる仮説を元に、元『エコノミスト』誌の東アフリカ特派員・グラハム氏が世界各地を調査して回ったレポート。超古代文明はあったのか? なぜ滅んだのか? 現在は何処に眠っているのか? 解き明かされていく謎に年甲斐もなくワクワクしてしまいました。
しかしこの『神々の指紋』、ベストセラーの座を獲得するや否や多くの批評家や学者から、「この本の記述には嘘や都合のいい文献の解釈など、読者を騙す心理トリックが多数仕掛けられており、学術書としての信憑性はまるで無い」と批判されていることも付け加えておかねばなりません。
ですがこの本が醸し出す歴史の壮大さ、説得力ある語り口は確かにそこにあり、仮にでまかせだらけだとしてもエンタメとして読む価値は十分にあります。
地球人必読の「完璧な漫画」の一つ
- 著者
- 吉崎 観音
- 出版日
“侵略する側、侵略される側。
お互いの立場はお互いに、簡単には譲れるものではないわ。
どんなに親しくなったとしても、お互いを曲げることはできないわ”
オカルト好きな小学6年生・日向冬樹はひょんなことからケロン星から来た侵略者・ケロロ軍曹を捕獲する。蛙そっくりなヘッポコ宇宙人と日向家との、地球の命運を賭けたり賭けなかったりな共同生活を綴る、ハートフルコメディ。
この漫画は僕が思う「完璧な漫画」の一つです。
手塚治虫氏を彷彿とさせる躍動感あるコマ割り、切れ味のあるギャグ。分かればより面白く、分からなくとも問題はない「隠しパロディ」。そしてそれらを限界まで引き立てる、アニメーター・金田伊功氏や庵野秀明氏の流れを汲んだ超絶クールなSFメカの数々……。
どの角度から読んでも驚くべき完成度を誇るこの作品ですが、特にロボット系の造形美や動きは素晴らしい。デビュー前の同人誌時代からメカ物を愛し、ロボットアニメ『VS騎士ラムネ&40炎』のコミカライズも務めた吉崎観音先生ならではといえるでしょう(同人誌は今でも『とらのあな』さんなどでお買い求め頂けます。)。
格好良さ・可愛さ・面白さ・エロさ。全て兼ね備えた地球人必読のこの漫画。
エロさに関しては「小学館漫画賞児童向け部門」を受賞したあたりから息を潜めていきます。コアファンには嬉しくも寂しいところですがそれも味ということでひとつ。