数学は、得意、不得意が分かれやすい学問であるともいえます。高校から数学はぐっと難しくなり、大学の数学科に入ればさらに難解となっていきます。しかし数学の世界に魅せられた人が、数学を学び・研究したからこそ、便利になった現代があります。 今回の記事では、中学校の義務教育を修了した後、高校、大学ではどのような数学を学ぶのか、さらに数学の知識を職として活かすことができるのかを詳しくご紹介します。 数学を深く学びたいという方、数学を仕事にしたいという方、また、学生時代に苦手だった数学に再度チャレンジしようと考える方におすすめの本も紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
数学とは量、構造、空間、そして変化の研究をする学問のことをいいます。
数学の歴史な非常に長く、残っている資料によれば古代ギリシャ時代にまでさかのぼります。古代ギリシャ時代には、学生時代に学習した方も多い比例や幾何学、円や図形などが提唱され、古墳時代には0~10の数や正の数、負の数の概念、二次方程式の解の公式が研究されてきました。
そしてこれらの数学的な概念について数学者たちが19世紀ごろにほぼ完成をさせています。しかし、それでもフェルマーの定理やリーマン予想などまだ完成していない数学の問題がいくつか残っており、数学者たちはこれらの問題を解決するために研究をおこなっています。
私たちが学ぶ数学も日常にあふれるさまざまな問題の解決法とその解決する能力を身に着けるためにあるといえます。
数学は3つの分野に主に分かれます。
数理論理学、集合論、圏論、計算理論がこれにあたります。たとえば学生の頃に勉強した集合などは、基礎と哲学です。
これはさらに量、構造、空間、変化に細分化されます。
3つ目は応用数学といい、さまざまな分野に数学的知識が応用されています。
小学校は算数、中学校は数学という名前で1つの教科でした。ですが、高校になると数学I、II、III、A、B、Cと数学が細分化され、大学生になるとさらに幅がひろがっていきます。
大学の数学では、高校までに比べて論証が重視されていきます。数学はそもそも論理、特に数理論理学・命題論理が基礎となっています。中学、高校ではこれを親しみやすくするためにかんたんにに数字を用いて学んでいくのですが、大学に入ると論証という数学本来の姿に戻っていきます。これが、中学、高校、大学における数学の大きな違いとなるのです。
そのため、たとえば計算が得意という理由で数学の道を突き進んでいき、大学に入ったタイミングでこの論証という壁にぶつかり挫折してしまうという学生も少なくないようです。
数学が好きな方は知っているかと思いますが、大学のなかには「数学科」が設けられた大学があります。国立・私立を合わせると全国で約50校の大学に数学科が置かれています。
▷数学科のある国立大学の例
▷数学科のある私立大学の例
参照:みんなの大学情報
数学をより専門的に学びたい方は、数学科への進学がおすすめですが、数学科の授業はひたすら定理とその証明を書いていき、日常的にさまざまな計算をしなければなりません。
他学部他学科と違い、理系のなかでも演習などがない分は楽ですが、大学数学には解が存在するとは限らないと言われています。そもそもの公式・定理について考え、難解な証明をおこなうなど、仮定を組み立てて証明することが好きな方でないと、数学科の授業は厳しいと感じるかもしれません。
数学を学ぶことでどのような職に就くことができるのでしょうか。
まず、直接数学につながる職業は、数学者や数学教師となります。
数学者は、今でも解決されていない問題を解決していくということが仕事となります。目に見えず、答えも出ていないものを解決したり、論として証明していくためとても難しく、これによって大学数学から挫折する方も出てくるのです。
数学教師は数学を教えるだけでなく、学生の時期に苦手意識が芽生えやすい数学を少しでもわかりやすく、苦手意識を持たせないようにアプローチしていくことも求められる仕事です。
数学が苦手な生徒にいかにわかりやすく教えられるかがポイントとなるため、数学が好きではないという方でも教師になることはできます。
また、数学は他の分野に応用が利く学問のため、上記の職業以外でも、他の職業の養成校に入るために数学が必要となるところが多くなります。たとえば以下の分野はそれに当てはまります。
これらの分野では、養成校に入るための入学試験に数学が試験に出たり、高校生の時にある程度数学を学んでおくことが必要となることも多いです。
そのため、数学は苦手だがこの分野に就職したいという方はもう一度数学を学んでおくことが必要となります。
- 著者
- 二宮 敦人
- 出版日
- 2019-04-11
日本を代表する7人の数学者のほか、数学教室の先生、お笑い芸人、天才中学生など4人の数学マニアを通して、数学の未知なる世界に触れる1冊です。
数学の本質を語っているのではなく数学者や数学マニアに取って数学がどう見えているのかを対談で解説しています。そのため数学が嫌いな方や、文系の方でも楽しく読むことができます。
数式が書き込まれた大量の紙で部屋を3つつぶした大学教授や「691が一番美しい素数」という自説を懸命に説明する中学生など、登場される方がとにかくキャラクターが濃く、ユーモラスです。数学が芸術、アート、ゲームという感覚になりより身近なものに感じられるようになるでしょう。
数学者になりたいという方だけでなく、数学が苦手な方や、数学はとっつきにくいと考えているが数学の面白みは知りたいという方にもおすすめです。
- 著者
- サイモン シン
- 出版日
- 2006-05-30
数学が得意という方や大学レベルの数学まで学んできたという方はフェルマーの最終定理という言葉をご存知かもしれません。
フェルマーの最終定理とは、数学界最大の超難問といわれています。この最終定理を3世紀にわたって証明をした数学者たちの証明にいたるまでの人間ドラマを描いた作品です。
フェルマーの最終定理を知っている方はもちろん、知らない方でも物語ですので、スラスラと読めることがこの本の特徴です。この本を読んでから数学の道へ進みたくなったあるいは進んだ方も多くいらっしゃいます。
数学の概念が覆されるといっても過言ではない1冊ですので、数学について知りたいという方や、数学がどんな学問かをあらためて知りたいという方にぜひ読んでいただきたいです。
- 著者
- 西成 活裕
- 出版日
5〜6時間で中学3年分の数学がほぼ終わってしまうというテーマで執筆されている1冊。そのため、16歳以下の方が読むことをおすすめしないR16指定を謳ったことでも話題となりました。
実際はもちろん、16歳以下の方が読んでもよいですが、中学校の数学に挫折してしまった大人に向けて書かれています。
数学が苦手という方には図形や計算などそれぞれ躓いてしまった部分があるかと思います。そのすべてをわかりやすく解説しているのが本書です。話し手と聞き手に分かれて、対談しており、会話の内容だけをみても非常におもしろく読めます。
著者は、数学物理学、渋滞学をメインに扱う東大の教授。小学生に微積分の概念を理解してもらった経験があるほどわかりやすい解説が特徴で、子どもから大人まで多くの読者がトリコになっています。
数学が苦手だが勉強しなおしたいという方はぜひ読んでみてください。
中学校、高校、大学と少しずつレベルの上がる数学。そのため、途中で躓いてしまったという方もいらっしゃるかもしれません。
数学は、数学者など数学メインな職業だけでなく、医療系など一見、数学と縁がなさそうな職業にも職に就くために必要となる学問です。ご紹介した書籍を読み、数学が苦手という方は数学に興味を持っていただけますと嬉しいです。