『怪獣8号』登場人物や用語も解説!社会人におすすめのSF漫画として分析

更新:2021.11.23

怪獣が「災害」の如く出現する世界を舞台に、主人公が一度は挫折した夢を再び追いかける!謎に包まれた巨大生物との戦いや主人公の意外な秘密など、見どころたっぷりの新連載として注目の作品『怪獣8号』。 この記事ではあらすじだけでなく、登場人物の魅力や作品特有の用語なども紹介していきます。

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話題の漫画『怪獣8号』とは?

『怪獣8号』は、WEBアプリ「少年ジャンプ+」にて連載されているSF&アクション漫画です。

地震などと同じように、怪獣の出現が「災害」として扱われている世界。主人公・カフカは、怪獣と戦う防衛隊員を志していましたが、夢を諦めてからは討伐された怪獣の死骸を処理する専門業者に勤めています。

そんなある日、防衛隊志望の新人アルバイト・市川レノと出会い、カフカは再び防衛隊を目指そうと奮起するのですが……。

本作は2020年7月3日から連載がスタート。第1話の公開から早くも閲覧数が100万を越え、多くの読者が期待を寄せる新連載となりました。

さらに、総閲覧数が連載8話目にして1000万を、12話目では2100万を突破という驚異的なペースで伸びており、読者からの注目度の高さがうかがえます。

この記事では、そんな話題の漫画である本作のあらすじをはじめ、登場人物や用語などを紹介していきます。 本作の具体的なおすすめエピソードを読みたい方は、こちらの記事もご覧ください。

『怪獣8号』人気の理由やおすすめエピソード!王道変身ヒーロー漫画として読む

著者
松本 直也
出版日

【あらすじ】『怪獣8号』は夢と怪獣を追いかけるSF漫画!社会人にもおすすめ

怪獣の死骸処理をする清掃業者で働く主人公・カフカは、新人アルバイト・市川レノとの出会いをきっかけに、一度は諦めた防衛隊の入隊試験に再び挑戦しようと決意します。

しかし、レノとともに怪獣と戦った日の夜、病院のベッドに横たわるカフカの前に1匹の小型怪獣の姿が。それが口の中に飛び込んできた次の瞬間、カフカは怪獣の姿に変身してしまったのです。

怪獣の姿と強大な力を手にして、防衛隊から「怪獣8号」として追われる身となったカフカは、その正体を隠してレノとともに入隊試験に挑むことになります。

社会経験を積み、年齢も32歳のカフカ。そんな彼が一度は挫折した防衛隊を再び目指すというストーリーには、大きな夢を追いかけるロマンが溢れています。社会人の読者にも共感できる部分があり、元気をもらえることもあるでしょう

怪獣が登場するシーンは迫力満点なので、ゴジラなどの怪獣映画が好きな人にももちろんオススメです

そして、防衛隊を目指していながら、自分自身が怪獣になってしまうというカフカの境遇にも驚きがあり、続きが気になってワクワクします。今後の展開からも目が離せない作品です。

登場人物紹介 主人公・カフカの秘密とは?

では、本作に登場する個性的なキャラクターたちを紹介していきます。

まずは主人公・日比野カフカ。再び防衛隊を志した矢先に怪獣姿になってしまいましたが、姿と力はある程度コントロールできるようになり、正体を隠して人間として生活しています。時には文句を言いながらも、困難から逃げずに立ち向かっていく姿に好感が持てるでしょう。

また、秘密を抱えて生きるハードな設定ですが、それを感じさせないコミカルな表情や明るさも魅力です。

そんなカフカの正体を知りつつ、一緒に防衛隊を志す頼もしい後輩が市川レノ。カフカの秘密が周りにバレないように協力もしてくれています。少し生意気なところもありますが、冷静な判断力と熱いハートを併せ持ち、防衛隊員としても将来有望な青年です。

防衛隊第3部隊の隊長を務める亜白ミナは、じつはカフカの幼馴染。幼いころに怪獣に街を破壊され、カフカとともに防衛隊になることを誓いました。

カフカと上司と部下の関係になっても、私情は挟まないクールな態度ですが、密かに彼に期待を抱いているようです。今後、彼女とカフカがどう関わっていくのかも気になりますね。

他にも、入隊試験で偶然カフカの正体を知って親しくなる四ノ宮キコルや、カフカに秘密があることに感づいて正体を探ろうとする防衛隊の副隊長・保科宗四郎など、今後の動向が気になるキャラが沢山います。

防衛隊でカフカたちの同期となるメンバーも個性派揃いなので、ぜひお気に入りのキャラを探してみて下さい。

ここがポイント!『怪獣8号』の用語解説1【怪獣】

ここからは、本作の世界観で重要な用語について解説していきます。まずは「怪獣」です。

この世界では、怪獣は地震や台風などの災害と同じように扱われており、出現すると防災サイレンが鳴り響きます。日本は世界の中でも屈指の発生率で「怪獣大国」と呼ばれることも。

怪獣災害の規模の大きさは「フォルティチュード」という単位で表されます。

また、メインで発生する怪獣を「本獣」、それに伴って現れる比較的小型な怪獣を「余獣」と呼び、種類が区別されているのです。

まるで地震のマグニチュードや本震・余震のようですね。

また、特別に強大だったり、討伐が難航したりといった場合は防衛隊が「怪獣◯◯号」とコードネームをつけています。これは台風のような呼び方です。カフカの怪獣姿は「怪獣8号」と名付けられています。

ここがポイント!『怪獣8号』の用語解説2【日本防衛隊】

発生した怪獣を討伐し、日本を守る組織が「日本防衛隊」。入隊試験に陸自からの編入希望者がいるので、自衛隊とは別の組織と推察されます。

入隊を志す人たちの中には「東京討伐大学」や「八王子討伐高専」の卒業生もいるので、怪獣討伐を専門に学ぶ学校もあるようです。

そして防衛隊の長官・四ノ宮功は、入隊試験でカフカと出会うキコルの父親。彼女の回想によると、とても厳格な人物のようです。

隊員が身に纏う特殊なスーツは怪獣を素材に作られていて、その力をどれくらい引き出せているかが「解放戦力」という数値で示されます。

この解放戦力の値はそのまま個人の強さの指標です。試験では1%でもあれば適性ありと見做されるのですが、カフカの数値はなんと0%。

この異常な数値の低さには、怪獣の力が関係しているのでしょうか?幸か不幸か、カフカはこれが原因で保科副隊長の目に留まり、候補生として防衛隊への入隊が許可されます。

ここがポイント!『怪獣8号』の用語解説3【モンスタースイーパー】

怪獣と戦うのは防衛隊の仕事ですが、討伐後は専門の清掃業者が遺骸を処理します。その業者の一つが、カフカが勤めていた株式会社モンスタースイーパーです。 カフカは第1話で、この仕事を

拍手や感謝の言葉とは無縁な 日の当たらない怪獣との戦いである(『怪獣8号』より引用)

と語っています。 

巨大な身体を解体するだけでも大変ですが、なかには人間に有毒な部位もあり、危険な仕事です。カフカの同僚は、内臓の運搬中に強力な酸を浴びて大火傷を負っていました。

回収された怪獣の身体は、企業や研究機関などに買われているらしいことがわかる描写があり、この世界における怪獣の生々しさも感じられます。

さて、そんな日陰ながらも社会に必要な清掃業者・モンスタースイーパーですが、じつは怪しい人物が紛れ込んでいるようです。今後のストーリーにどう関わってくるのか気になります。

オマージュ?『怪獣8号』と他作品の気になる共通要素

『怪獣8号』の設定には、他の作品へのオマージュと考えられる部分がいくつかあります。

まずは主人公のカフカ。彼の名前や、怪獣に変身するという設定から、フランツ・カフカの小説変身を連想する人は多いのではないでしょうか。

『変身』は、主人公がある日突然毒虫に変身してしまい、家族から疎まれるようになっていくストーリー。こちらの主人公は悲しい結末を迎えますが、本作のカフカはどのような人生を歩むことになるのでしょうか。

著者
フランツ・カフカ
出版日
1952-07-28

次に、世界観について。山本弘の小説「MM9」シリーズでは、怪獣が災害として発生しており、気象庁がその観測や対策を担っています。怪獣を大きさや重さで分類する「モンスター・マグニチュード」という尺度があるところも本作と似ていますね。

ゴジラなどの特撮作品へのオマージュも多く含まれているので、怪獣ものが好きな人には特におすすめなシリーズです。『怪獣8号』と合わせて読むと、より世界観への理解と想像が広がるかも知れません。

MM9
著者
山本 弘
出版日

このように、本作には他作品を想起させる設定があり、それが今後の予想や世界観の考察を刺激するエッセンスにもなっています。

他と共通する部分があるからこそ、どのように本作独自の要素が展開していくのかも気になるところです。

『怪獣8号』の今後の展開は?怪獣に関する2つの謎が気になる!

ここからは、今後の展開で描かれるであろう物語の2つの謎について触れたいと思います。

まず1つ目は、なぜカフカは怪獣に変身できたのかということです。

小型の怪獣が口の中に飛び込んできたことから始まるカフカの変身。 怪獣が体内に入ったことでその力を得た……ということは想像がつきますが、飛び込んでくる際、その怪獣が「ミツケタ」というセリフを呟いているところが気になります。

何かカフカでなければならない理由があったのでしょうか?彼自身も知らない秘密があるのかも知れません。

2つ目は、新たに登場した「人間に擬態する怪獣」の存在です。

 人に近い姿をしたその怪獣は、カフカたちの入隊試験にも現れ、怪獣に何か細工をしているようでした。

そして人間の言葉を話し、人間の姿に化けてモンスタースイーパーに新人従業員として紛れ込んでいるのです。 第15話では任務中のレノたちとも接触し、知力も戦闘力も高い様子がうかがえます。

彼がこの先も人間に紛れる生活を続けていくならば、いつか清掃業者の仲間たちに危険が及ぶことも考えられるでしょう。その時、カフカたちは彼らを助けることができるのでしょうか。怪獣側の動向にも謎が満ちていて目が離せません。

また『怪獣8号』の今後の展開については、別のライターも違う角度から分析し予想しています。ぜひあわせてこちらの記事もチェックしてみてください。

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作者・松本直也とは。代表作は『ねこわっぱ!』『ポチクロ』

作者・松本直也は2006年に雑誌「赤マルジャンプ」に読切『ネコロマンサー』が掲載されてデビューを果たした漫画家です。

デビュー後はたびたびジャンプ系列の雑誌で読切を発表し、2009〜2010年には「週刊少年ジャンプ」で人間と神様の交流を描いた『ねこわっぱ!』を連載。2014〜2015年には「少年ジャンプ+」で魔族の主人公と人間のヒロインのユニークな交流が描いた『ポチクロ』を連載しました。  

著者
松本 直也
出版日
著者
松本 直也
出版日

神様や魔族など、いわゆる「人外キャラ」と人間が関わるストーリーをオリジナリティのある視点から描くのが特徴的です。

『怪獣8号』にも怪獣という人外が登場しますが、これまでの可愛さのあるキャラクターとは違い、不気味さやカッコよさが際立っています。作者の新たな領域を感じさせるものになっています。 


謎と魅力がたっぷり詰まった本作は、2020年12月4日に待望の単行本第1巻が発売されます!気になる方はぜひ手に取ってみてください。

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