あなたは”考える”と”悩む”の違いを説明できるだろうか。 ”考える”とは答えを求めて思考を前へ進めようとする前向きな行為だ。 一方”悩む”とは答えの有無から目を背け、同じ所に思考を留め続ける不毛な行為であり、”考える”とは明確に違う。 ”悩みがち”なあなたは、自分が頻繁に思考停止に陥ることに嫌気を感じているのではないだろうか。 ”悩む”行為から解放され、前進する方法を求めているのではないか。 そんなあなたは、本から"3つの目”を得ることで、前へ進むヒントを得られるかもしれない。
- 著者
- 植西 聰
- 出版日
- 2011-03-30
悩みがちな人の多くは、落ち込みやすい性質を持っているのではなかろうか。この本は、「心が折れやすい」人へのメッセージ本だ。著者は本書で「強い心」を持つことのメリットを説き、そのための考え方を公開することで、一人でも多くの「心が折れやすい」人が救われることを祈っている。
しかし私は単なるハウツー本として本書を紹介するわけではない。悩みがちな人にこの本を勧めるのは、「なぜ心が折れるのか」を正しく認識できるからだ。
突然だが、あなたは「なぜ自分はすぐ悩むのか」を第三者に説明できるだろうか。
多くの人は「性格だ」の一言で、その理由を説明したように思うかもしれない。しかしそれは本当の理由ではない。
本書の特徴は、「心が折れる理由」を客観的に伝えてくれることだ。「折れやすい」人の持つ傾向から、なぜそのような傾向を持つに至るのかまで、ロジカルに説明してくれる。
読み進めると、自身が「折れやすい」人特有の性質を持つこと、その性質は後天的に身についたこと、性質を変えられるのは自分しかいないこと等に気づかされる。
耳の痛い内容にも向かい合うことで、「悩みがちな自分」を認め受け止める「まっすぐな目」を得られることだろう。
- 著者
- 伊集院 静
- 出版日
“まっすぐな目“を手に入れて、自分を見つめられるようになったあなたに次の本を紹介する。
悩みがちなあなたは、全ての悩みに均質に向き合い、疲れてしまっているのではないだろうか。
本書は伊集院静氏が毎週『週刊文春』に連載している人気コーナーをまとめたものだ。
大作家が回答をくれるとだけあって、老若男女を問わず多様な悩みが寄せられている。
本書が面白いのは、相談者と回答者の温度差があまりにも大きいところだ。
多くの相談者の投稿には、不安や怒りや悩みなどネガティブな感情が並々とそそがれており、文字数もボリューミーなものが多い。対して回答者、伊集院氏の答えは至ってシンプルだ。巷の多くの相談コーナーが丁寧かつ理路整然とした長い回答を返すのに対し、氏は時にたった一言で相談を〆る。また、回答者でありながら「自分で考えろ」とバッサリ切り捨てることすらある。
この独特な相談本をお勧めする理由はズバリ、悩みに対する“人の目”を得られるからだ。
相談者たちを苦しめた相談内容は、伊集院氏の手にかかるとたった一言で悩みの坩堝から追い出されている。つまりこの本は、多くの悩みは「他人から見れば意外に小さい」という気づきを、作家という“人の目”を通して客観的に教えてくれるのだ。さて、あなたを苦しめる悩みは、”人の目“から見ても本当に深刻と言えるだろうか?
- 著者
- 西原 理恵子
- 出版日
- 2012-07-20
“人の目”を手に入れ、数多くの悩みに比重をつけられるようになったなら、最後にこの本を紹介する。
向き合うべき悩みに向き合ったが、同じことしか考えられず、結局前に進めない…。
時に考えが袋小路に入ってしまうこともあるのではないだろうか。
本書は人気漫画家の西原理恵子氏による人生相談本だ。西原氏といえば、その波乱万丈な半生が著名だが、そのような彼女だからこその価値観が、随所に見て取れる。
なお、先に紹介した『悩むが花』との大きな違いは、こちらは相談者以上のボリュームで回答がなされている点だ。
では、この本からは何を得るのか。それは”曲がった目“だ。今後の悩みに備える知恵袋的な使い方ができるのはもちろんだが、この本からは”一見考え付かない、でも確実に問題を解決できる、そんな考え方の存在を知ることができる。
悩みの坩堝にはまると見えなくなりがちだが、王道と呼ばれる行き方でも、邪道とも言われる道でも、悩みの解消というゴールに行き着けば実は結果は一緒なのである。
この本のタイトルにもある通り、西原氏の回答は決して王道とは言えない。しかし独特の回答は、「そのような見方もあったか」と目から鱗が落ちるような内容が多い。
王道な解決策しか使わなかったあなたに、邪道な解決策を使ってみようと思わせるにはもってこいの内容なのだ。
悩みの坩堝から抜け出す一手として、この本から得られる”曲がった目“は大きな一助となることだろう。
悩みがちなあなたに3冊の本を紹介した。是非、悩みを解き放つ3つの目を、それぞれの本から得てほしい。